松坂大輔引退表明…。多くのものを背負って腕を振り続けた旧世代の生き残り。圧倒的な躍動感、背中から漂う悲壮感と哀愁がたまらなくカッコよかった

松坂大輔引退表明…。多くのものを背負って腕を振り続けた旧世代の生き残り。圧倒的な躍動感、背中から漂う悲壮感と哀愁がたまらなくカッコよかった

プロ野球、西武ライオンズに所属する松坂大輔投手が今シーズン限りで引退する意向とのこと。


2020年に14年ぶりに古巣西武に復帰した松坂大輔。
同年7月に脊椎内視鏡頸椎手術を受け、復活を目指してリハビリに励んだもののなかなか状態が上がらず。
2021年シーズンもここまで一軍、二軍ともに実戦登板はなく、7月7日に今季限りでの現役引退の意向を固めたという。
 
また西武ライオンズの公式によると、現在本人の体調面、精神面が万全ではなく、会見等は回復具合を見て行う予定であるとのこと。


 
松坂大輔引退登板。まだ整理がついていないが、あの全5球で松坂の現状を理解した。引退会見でも発揮した名言マシーンっぷりはやっぱりスーパースター
 

松坂大輔引退…。夜中にニュースを目にしてしばらく放心状態だった。シーズン前の成績予想ができなくなるのが切ない

西武の松坂大輔が今シーズン限りで現役を引退する。
 
このニュースを目にしたのが7日の0時過ぎ。
そろそろ寝ようかなと思っていたところに「松坂引退」の文字が飛び込んできて一気に目が覚め、そこから小一時間ほど放心状態が続いたせいで見事に寝不足であるw
 
 
中日を退団した松坂が古巣西武に復帰すると聞いてとテンションが上がり倒したのが2019年12月。
 
松坂大輔の西武復帰に狂喜乱舞している。来年から西武ファンになることを誓います。わかるか? 松坂のやることに間違いはないんだよ
 
そこからキャンプ→新型コロナウイルスによる開幕延期を経て6月にようやくシーズンがスタート。
 
だが一軍ロースターに松坂の名前はなく、開幕からしばらくして脊椎の手術を受けるとの報道が。
 
それ以降、いっさい続報のないまま2020年シーズンは終了し、迎えた2021年。
春のキャンプが始まっても相変わらず音沙汰はなく、正直この時点で「さすがに今年までかな」というのは薄々感じていたところ。
 
だが実際に現実のものとして目の前に突き付けられると喪失感が尋常ではない。
 
基本、特定の選手にそこまで思い入れを持つ方ではないのだが、松坂大輔に関しては完全に別格。2018~2019年の2年間はこれまで毛の先ほども興味がなかった中日ドラゴンズを「松坂がいるから」という理由だけで応援したほど。
 
その松坂の西武復帰が発表され、いよいよ平成の怪物の“最後の旅”が始まると思っていたのに……。
 
 
2015年に日本に復帰してから今年で7年目。
毎年キャンプとオープン戦を観て松坂の成績を予想し、シーズンオフに盛大に外した予想の言い訳を並べるというのが恒例行事になっていたのだが。
 
松坂大輔2018年成績予想。ついにこの季節がやってきました。ほら見ろ、松坂はすげえだろが。あ?
 
金輪際それができなくなることを含め、今回の発表は残念としか言いようがない。
 

常に何かを背負って腕を振り続けた松坂大輔。後先考えずに“今を生きた”

思えば、松坂大輔という選手は常に何かを“背負っていた”のだと思う。
 
高校時代は名門横浜高校の看板、春夏連覇を狙う強豪校の大黒柱としての責任感。
西武時代はチームのエースという立場以上に世代トップの重圧を。
アテネオリンピックやWBCといった国際大会では「日本のエース」として最強日本を証明するために。
MLB時代は日本一のピッチャーとして一流のメジャーリーガーと真っ向勝負。
 
そして日本復帰以降は“松坂世代”の代表&生き残りとして、復活を願うファンの期待を背に最後までもがき続けた。
 
松坂大輔の熱い123球に感動ww やっぱりすげえわコイツ。あの空気感を出せるのは選ばれた選手だけ
 
マジな話、松坂が何も考えずに目いっぱい腕を振れたのはルーキー時代の初先発試合、東京ドームでの日ハム戦くらいなのではないか(片岡篤史から155kmのストレートで三振に取った試合ね)。
 
うまく言えないのだが、この人は「長いシーズンをトータルで考える」とか、「これ以上やるとぶっ壊れるからやめておこう」というブレーキが利かない選手なのだと思う。
 
キャリアを長い目で見る、トータルでプラスを取るといった合理性より、今この瞬間に全力を尽くす方がはるかに大事。
しかも舞台が大きくなればなるほど気持ちも前のめりになり、後先考えずに絞り出した底力はしばしば人知を超える。
 
自分の双肩にかかる重圧、期待に応えられるならぶっ壊れても構わない。
一つの勝利を得るために明日を捨てることもいとわない。たとえこの先一生腕が上がらなくなっても悔いはない。
 
常に“今を生きていた”というか、“先を見ていなかった”というか。
 
桜木花道風に言うなら、
「オヤジの栄光時代はいつだよ」
「オレは今なんだよ」


 

根性論で育てられた最後の世代。いいか悪いかはともかく、マウンド上で“生き様”を見せ続けたよね

恐らくだが、松坂大輔は根性論で育てられた最後の世代。
「練習中は水を飲むな」
「肩の痛みは投げて治せ」
「疲労など気持ち一つでどうにでもなる」
 
指導者の罵声がグランドに響き渡り、体罰すら容認されていた時代の生き残りとでも言えばいいか。
 
松坂よりも下の年代、ダルビッシュ有や涌井秀章、田中将大などはどちらかと言えば合理主義で育った側で、彼らがプロ入りした頃は球数制限や登板間隔などの管理がある程度浸透していた。
 
だが、松坂の若手時代はそうではない(西武は特に)。
16勝を挙げたルーキー時代にいきなり年間投球回188回を投げているし、2001年の投球回240.1回は完全に常軌を逸している。
もともと球数が多いタイプ&投げたがりだったせいもあり、1試合130球以上などはザラ。中4日で171球完投という頭がクラクラするような記録も残っている。
 
分業制が進んだ現在とは違い、先発ピッチャーはひとたびマウンドに上がれば最後まで投げぬいてこそ一人前と言われた時代。
しかも本人がそれを嬉々としてこなすせいで、余計に「やっぱり松坂はすげえ」となる。
 
守りたいこの笑顔w 松坂大輔が甲子園で復活の6勝目。まさかここにきて今季一番のピッチングとは。興奮し過ぎて健康損ねるレベル
 
多くのものを背負い、ときに日本のために自ら進んで命を削った男・松坂大輔。
 
後先考えずにアクセルを踏むことが正解だなどと言うつもりはない。
2011年のトミージョン手術以降の惨状を見れば、キャリアを通して安定した成績を残せるように身体をいたわることの重要性は火を見るよりも明らか。
自己犠牲こそが美徳などクソくらえである。
 
だが、常にタイトロープの上を歩くような松坂の姿からは、圧倒的な躍動感に悲壮感と哀愁が上乗せされる。
それが何ともカッコいいのである。
 
チープな表現だが、松坂大輔はマウンドで“生き様”を見せられる数少ない選手だった。
 
投手大谷翔平の洗練されっぷりに驚いた。打者大谷翔平はよーわからん。コイツのせいで野球のルールを変えなアカン? やっぱりモノが違うってあるんやね
 

僕はやっぱり現役にしがみつく選手が好きかな。ボロボロになっても最後の最後までジタバタする姿は何とも言えない味わいがある

2015年の日本復帰以降の7年間で松坂が残した成績は6勝5敗 投球回61.2回。
まともに働いたと言えるのは中日に所属した2018年のみである。
 
ソフトバンク時代などは高額年俸を受け取りながらも3年間で1イニングしか投げておらず、これだけ見れば「何しに帰ってきたの?」と言われても仕方ない。
月並みな表現を使うのであれば「晩節を汚した」というヤツ。
 
だが、松坂が復活を目指してジタバタし続けたことは動かしようのない事実で、キャリア終盤の往生際の悪さは主力として活躍していた全盛期とは別種の味わいがある。
 
2018年のインタビューで松坂は「よく晩節を汚すって言いますけど、だから何なの? って思いますね」と答えているのだが、要はそういうこと。
 
力が落ちる前にスパッと辞める選手もいれば、全盛期のパフォーマンスを出せなくなってもあの手この手で生き残りを模索する選手もいる。
どちらがいいか悪いかではなく、どちらも素晴らしい。
 
そして、僕はやはり最後の最後まで現役にしがみつく選手が大好きである。
 
中日が松坂大輔さんを獲得しなくてはならない理由。日本球界の功労者に対する敬意が足らんよ敬意が
 
「若手に居場所を譲れ」という声もよく耳にするが、それも松坂には当てはまらない。
なぜなら松坂大輔だから
 
日本プロ野球界には日本のために腕を振った男を最後まで見守る義務がある。
 

これ以上、チームに迷惑をかけることはできない

いや、かけていいんだよw
 
お前にだけはその資格があるんだよw
 
 
松坂大輔の引退はしばらく後を引きそうである笑
 

Advertisement

 

 

 

 

【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!