井岡がララを11RKOに下して快勝!! エストラーダとの対戦指令に従う…ないかなぁ。案外正規王者vs暫定王者の統一戦になるかもね【結果・感想】

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ニカラグア教会イメージ
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2016年7月20日にエディオンアリーナ大阪で行われたWBA世界フライ級タイトルマッチ。王者井岡一翔が同級6位の挑戦者キービン・ララを11R1分11秒でKOに下し、3度目の防衛に成功した。

序盤は挑戦者の手数にやや苦戦を強いられたが、ボディとカウンターを的確に決めてポイントを奪取。中盤以降に失速した挑戦者から10Rにダウンを奪うなど、最後は盤石の勝利を飾った。
 
「比嘉が半病人エルナンデスを5回ダウンさせてTKO勝利!! パーフェクトレコードで世界初奪還を果たす」
 
これで世界戦での通算勝利数が12勝となり、具志堅用高の持つ14勝に次ぐ国内歴代2位タイとしている。

「井岡のボディでスタンプ嘔吐。2016年大みそかも悶絶ボディで安定のKO勝利。唯一無二の伝説()」

安定の井岡が盤石の勝利!! 模倣版ロマゴンを寄せつけず!!

井岡vsキービン・ララ、11Rで決着!!
井岡一翔の盤石の勝利である。

まず感想から申し上げると、この試合は非常におもしろかったと思う。
多くの方はセミファイナルの和氣慎吾vsグスマン戦に感動したとおっしゃっていたが、昨日も言ったように僕はあの試合から何かを感じることはできなかった。

「顔面崩壊で完敗和氣。ダメだ、全然感動しなかった…。グスマン4度のダウンを奪い世界タイトル獲得!!」

それより、3階級制覇王者井岡一翔が若いキービン・ララの猛攻を受けながらも見事勝利を収めたこの試合の方がはるかに楽しめた次第である。

予想記事でも書いたように、キービン・ララを見た僕の印象は「めっちゃバランスの悪いロマゴン」
 
「おおう、やっばい。井岡一翔にダラキアンとの指名試合交渉出ました。今回の相手はちょっとマズイんじゃないか?」
 
柔軟な上半身と小さなシフトウェイトでコンビネーションを間断なく打ち込むスタイル。スパーリングパートナーをつとめるうちに身につけていったのだろう。攻防兼備のスタイルはローマン・ゴンサレスを想起させるものである。
ロマゴン本人が「ニカラグアの宝石」と称するだけあって、ポテンシャルの高さはかなりのものを持った選手だった。

「キービン(ケイビン)・ララってそんなにダメか? 井岡が勝つと思うけど、普通にいい選手じゃないの?」

だが、ロマゴンに似ているとはいっても、もちろん本家に比べればはるかに劣る。
確かに手数は多いが命中率が悪く、1発1発の威力も足りない。
そして致命的なのが追い足のなさである。シフトウェイトを繰り返しながらコンビネーションを打つのはいいが、基本的にその場で振り回しているだけである。なので距離感のある相手に追いつくことができない。

「小原佳太がトロヤノフスキーに場外に吹っ飛ばされる!! 模造テクニシャンを大量に生み出したメイウェザーの功罪」

また、身体全体のバランスも悪く、ロマゴンほど連打が続かないのも痛い。バランスが悪いので打ち終わりに身体が流れてスキができやすいという部分も大きな欠点である。本人が「ディフェンスが課題」だと言っていたが、確かにあの打ち終わりは絶好のカウンターチャンスだろう。

恐らくキービン・ララはロマゴンと比べて体幹が弱いのだと思う。逆に言うと、体幹を鍛えて身体の芯がしっかりすればまだまだ伸びる選手という意味でもある。

「山中vsモレノ再戦予想!! 疑惑の判定勝利から1年。因縁の対決に決着をつけられるか?」

といっても、ロマゴンはもっとスムーズにシフトウェイトするし、左右に動くし、腕が6本あるんじゃないかというほど多彩なコンビネーションを永遠に打ち続けることができる。あのスタイルを完全に極めろというのも酷な話ではある。

むしろあそこまで模倣できていれば十分ではないかという気もしてくる。

「ロマゴン強し!! ビロリアに何もさせずに9回TKO勝ち!! こんな化け物に誰が勝てるんだ?」

失速するまでのララはマジでよかった。きっかけさえあればモンスター化するんじゃないか? そのララを仕留めた井岡もやっぱりすばらしい

実際、今回のララは本当によかったのではないだろうか。
5Rで失速したが、あの井岡にあそこまで連打を浴びせるのだから十分な逸材である。予想記事でも申し上げたように、何かのきっかけがあれば一気にモンスター化する可能性を秘めた選手だと思う。

特に3Rの1分20秒過ぎの左右フックなどはかなりいいタイミングだった。あんな風に後退する井岡の姿は本当に珍しい。
 
「比嘉大吾vsエルナンデス予想。和製ロマゴン? ちょっと違う気がするけど」
 
そして、その「ニカラグアの宝石」キービン・ララを手の上で操るように仕留めた井岡。やはりすばらしいとしか言いようがない

冗談でも何でもなく、この日の井岡はちょっと意表を突かれた部分があったと思う。

「河野惜敗!! 激闘の末、コンセプシオンに敗れる。引退なんかするなよ?」

相手に正対したまま打つボディや手打ちのカウンターには即効性がなく、ララにお構いなしの前進を許してしまう。予想以上に継続性のあるララの連打に戸惑ったはずである。

だが、コツコツと積み重ねていけば中盤以降に必ず効いてくることもわかっていたのだろう。要所要所でボディとカウンターを打ち続け、ララの体力を確実に削り、最終的にはきっちりと圧勝である。

「村田1Rで圧勝!! 廃棄処分するようにタドニッパをKOする。100点満点じゃないか?」

特にララの得意な左ボディアッパーをまったく打たせなかったのはさすがだった。ララはあの左ボディから大振りのアッパーにつなぐコンビネーションによってリズムを作る選手である。だが、井岡は最初のボディをエルボーブロックで封じることで、ララの攻撃パターンを完全に寸断してしまうのだ。
試合前に相手をよく研究してきているのだろう。慎重な井岡陣営らしい堅実な作戦である。

ラウンドごとの勝負ではなく、試合全体を通して考える計画性と冷静さ。木を見ずに森を見るというか。憎たらしいことこの上ない。

「田口完勝!! 宮崎を完封する。小柄ハンターぶりをいかんなく発揮!!」

緻密な計画性。予定表通りにすべてのスケジュールを淡々とこなしていく

この日の井岡は、1試合をだいたい2Rずつに区切って6分割していた感じだろうか。

1、2Rはいわゆる様子見のラウンド。あまり積極的には手を出さず、相手の技量と自分の調子を確かめる作業に終始する。試合前に確認した映像と実際の動きの差異を埋めるための時間である。

3、4R。思った以上の手数にやや手を焼くが、ディフェンスの甘いララの打ち終わりを的確にカウンターで捉える。また、レベコをKOした得意のボディを要所で織り交ぜ、後半への布石を打つ。

5、6Rでララが少し失速したことを確認したところでほんの少しペースを上げる。手数を増やし、1発1発に力を込めてダメージのさらなる蓄積を狙う。
 
「ギャビン・マクドネル敗北!! レイ・バルガスがポイントゲームを制して初の王座奪還!! 手がなが〜〜い!!」
 
7、8Rはララの勢いが完全に止まったことを確認して冷静にカウンターを放つ。打ち終わりに身体が流れる瞬間を狙って確実にポイントとダメージを重ねていく。ララの前進する力がなくなったことでスペースができ、より強いボディを打つことも可能になる。
8Rの2分過ぎにララが見せたコンビネーション。恐らくあれがララの最後の力だったのだろう。

9、10Rは仕上げのラウンドである。力の乗ったパンチが打てなくなったララに対し、得意のコンビネーションでテクニックを誇示。すでに青息吐息の挑戦者に逆転する力はないと確信した上でのエンターテイナーぶりである。とどめは多くの視聴者をイラつかせたアリシャッフル。

「井岡vsスタンプ・キャットニワット予想。18歳の暫定王者は強いぞ? 井岡伝説の幕開けか」

フィニッシュのタイミングをうかがう達人井岡。どうやらカウンターからの高速コンビネーションでカッコよく決めることにしたらしい。いや、こりゃあモテモテっすわ。

というか、レフェリー何で止めねえんだよ。
こじるりは大喜びで拍手してる暇ちゃうぞ? お?
かわいいけど。
 
「井岡vsノクノイを予想する。てか、井岡圧勝を予想する。今回ばかりはやりやすい相手を厳選した感が」
 
最後は勝利を決めた11R。恐らく井岡の計画では前のラウンドでストップがかかっていたはず。ある意味エキストラのラウンドである。どう見ても危険な状態だったララをきっちり倒したのは最低限のマナーだろうか。

何から何まで計画通り。
憎たらしいくらいのクレバーさ。
まるで受験勉強の年間スケジュールのような試合運びである(例え悪っ!!)。

やはりクオリティの高さは井岡ならではというか、文句なしの実力者である。セミファイナルの和氣慎吾vsグスマン戦と比べると安心感と安定感が半端じゃない。

ただ、この選手の試合は会場で観るとクソつまらないような気がする。テレビ画面で細かい部分を観察してこその選手だと思う(おもしろいとは言ってない)。

防衛戦が発表された際、キービン・ララを見てテンションが上がりまくった。井岡陣営やる気じゃね?

ポテンシャルの高いキービン・ララを退けた井岡だが、果たして期待されるエストラーダ戦は実現するのだろうか。
勝利者インタビューのインタビュアーが「エストラーダ」というNGワードにビビりまくる光景はかなり印象的だったが。

「【BOX】井岡、「気だけを抜かず」V3戦…勝てば年内にも統一戦も」
↑この記事内の井岡会長の言葉にはマジで笑わせてもらったww
統一戦の話が出た途端「そんな話は今、関係ないやろがぁぁああ!!」
前後の脈絡もどんなニュアンスで言ったのかも知らんが、キレる要素がなさ過ぎであるww

話を元に戻すが、みなさん待望のエストラーダ戦、僕個人の意見を言わせていただくと正直難しいと思っている。

エストラーダが故障中であることや完全にロマゴンの方を向いていることもあるが、一番の要因は今回の試合内容である。

「エストラーダがタブゴンを一蹴!! S・フライで準備万端か。井上尚弥、ロマゴンをパワフルに蹴散らす?」

前述したようにキービン・ララはロマゴンとスタイルが似ている。
そして、僕はこの試合が決まってから「井岡にはキービン・ララと正面から打ち合ってねじ伏せてほしい」と言い続けてきた。

理由は「井岡陣営がキービン・ララを仮想ロマゴンと考えているのではないか」と思ったからである。つまり、近い将来のロマゴン戦を想定してこの挑戦者を選んだのではないかと思ったのである。実現するかしないかはともかく「井岡陣営ガチやんけ!!」という雰囲気が感じられ、非常にテンションが上がったのである。

ダメっすね。井岡の最大の欠点はフィジカルの弱さ。あれじゃロマゴンには通用しない

だが、今回の試合内容でその期待はもろくも崩れ去ってしまった。
残念ながら井岡陣営はロマゴンを意識などしていなかった。また、実際に井岡がロマゴンに勝つのは不可能だということも証明されてしまった。

先ほども言ったが、僕はこの試合で井岡がララを打ち合いでねじ伏せることを期待していた。そして、両者は確かに5Rまで至近距離での打ち合いを見せてくれた。

だけど、これじゃない。
「打ち合え」とは言ったが、こういうことじゃない。

あれは井岡が打ち合いにいっているのではなく、ララに距離を詰められて付き合わされているだけ。
ジャブと右ストレートでスペースを作ろうとはしているが、ララの前進を止められずに至近距離での打ち合いを「させられている」。時おりいいボディが入ってもララの前進を止めるまでには至らない。

いや、この内容ではちょっと厳しい。
前回のレベコ戦もそうだが、この程度の圧力の相手に簡単に距離を詰められるようではロマゴン戦など話にならない。

もっと自分の距離をキープした上で、井岡のパンチだけが当たるような打ち合いを観たかったのである。キービン・ララをフィジカル面でも圧倒してねじ伏せてもらいたかったのである。

「田中恒成vsモイセス・フエンテス予想! 実は一番楽しみな試合。大みそかに試合が組みにくいだって?」

やはり井岡の最大の欠点はフィジカルの弱さ。
抜群の距離感と無駄のない効率的なボクシングはスタイリッシュだが、あくまで上背とフィジカルで上回っているという条件つきである。

「亀田和毅日本復帰!! また亀田の試合が観られるぞ。協栄ジム所属でライセンス申請」

キービン・ララ程度に押し込まれてしまうフィジカルではロマゴン戦など不可能。そのロマゴンに当たり負けしなかったエストラーダも無理。これが慎重な井岡陣営の出す結論ではないだろうか。

ちなみにだが、以前も言ったように本当に井岡のスタイルを身につけるべきなのは井上尚弥ではないかと思っている。

「井上尚弥が拳を痛めないために? 井岡スタイルに変更すればいいんじゃない? それでロマゴンに勝てるかは知らん」

井上のフィジカルがあれば懐に入られずに自分のパンチだけを当てることができるだろうし、持ち前の爆発力を温存することもできる。あの攻撃力を発揮する場面を限定すれば拳を痛めることも少なくなるはずで、燃費も格段によくなる。「堅実」と「ゴリ押し」。最強の2段構えスタイルが完成するのである。
そうなれば僕自身、もう少し井上尚弥に興味が沸くのだが。

大みそかは「正規王者vs暫定王者」の統一戦になるんじゃないの? ちなみに暫定王者のスタンプ・キャットニワットはかなりヤバいと思う

何だかんだと言われてはいるが、結局大みそかは「正規王者vs暫定王者」の統一戦に落ち着きそうな気がしている。
井岡がエストラーダに相手にされないのか、それとも井岡陣営が避けるのか。もしくはエストラーダ側が避けるのか。どうなるかはわからないが。

「井岡vsレベコ決着!! やればできるじゃねえか井岡おいww ボディ一閃!! 11R壮絶TKO」

ただ、暫定王者であるスタンプ・キャットニワット。この選手はめちゃくちゃいいと思う。恐らく井岡と激突すれば相当いい試合になる。

暫定王者はまったくノーマークだったのだが、試合をちょろっと観てびっくりした。タイのボクサーでまだ18歳と若く、今後の伸びしろにもかなりの期待が持てる。向こう半年で大化けする可能性もあるし、現時点でも間違いなく強い。

いや、本当にタイの軽量級は奥深い。思い出作りの観光ボクサーも多いが、その反面、こういう逸材も普通にいるから驚いてしまう。

相手がこのスタンプ・キャットニワットなら、たとえ正規王者vs暫定王者の統一戦になってもまったく問題なしである。失望する人は多いと思うが。

ん?
エストラーダ戦が実現したら?

そりゃあ、手首がちぎれるくらい掌返ししますよ

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