河野惜敗!! 激闘の末、コンセプシオンに敗れる。引退なんかするなよ? 仇討ちは自分でやるから価値があるんだぞ? 絶対ここからだろ【結果】

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スタジアムシートイメージ
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2016年8月31日に東京・大田区総合体育館で行われたWBA世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者河野公平が、暫定王者でランキング1位の挑戦者ルイス・コンセプシオンに敗れ、4度目の防衛に失敗した。

「井上vs河野予想!! ペッチバンボーン最強説を覆せ。モンスター井上の実力を証明する試合」

戦前の予想にたがわぬ大激闘となったこの試合、お互いが持ち味を存分に発揮した末に3-0(115-113、116-112、116-112)の判定でコンセプシオンが勝利。念願の日本での試合で見事王座奪還を果たした。

「河野公平vsコンセプシオン予想!! キツいか河野。強敵来襲で激戦必至」

敗れた河野はこれで都合3度目の王座陥落。試合後に「悔しいが、出し尽くした」と、一定の充実感を感じさせるコメントを残す。
幾多の苦境、幾多のチャンスをものにしてきた日本屈指の雑草ボクサー河野公平の去就は果たしてどうなるか。

出ました年間最高試合。僕が決めた。異論は認めません

河野陥落。
だけど年間最高試合間違いなし

ひと言で言って、すばらしい試合だった。
前回の記事で「僕は河野が勝ったら泣く」と申し上げたのだが、結果はともかく普通に涙腺が崩壊しかかった試合だったww

何と言うか、勝敗云々を超越した試合というヤツを久しぶりに観た気がする。間違いなく河野史上最高のファイト、2016年の年間最高試合である。サリドvsバルガス戦を完全に超えた。

「ゾンビか!! サリドがバルガスを追いつめ惜しくもドロー!! 三浦を敗ったバルガスが初防衛に成功」

理由?
僕がそう決めたから。
異論はいっさい認めませんww

実は昨日、テレビ観戦を終えた直後に感想記事を書こうと思ったのだが、あのテンションのまま書くと絶対に中二病全開のさっぶい文章になることが目に見えていたので止めておいた。

「井上拓真がタパレスに挑戦!! って、何を焦ってるんだ拓真さん」

一応、一晩おいて試合を観直してみたのだが、それでも全然ヤバいww 香ばしい記事になりそうな予感がプンプンする。

というか、マジで観に行けばよかったな。
今回の興行は会場に行くかどうかを最後まで迷った末に見送ったのだが、こんな試合になるのであれば絶対に行っておくべきだった。やらない後悔よりやる後悔とはよく言ったものである。

「田口完勝!! 宮崎を完封する。小柄ハンターぶりをいかんなく発揮!!」

まあ、テレビ観戦だからこそよく見えるものもあるし、それはそれでよかったということにしておこう。

あれ? 河野が理詰めのプレッシャーかけてんのか? コンセプシオンを下がらせてるぞ

開始直後、河野がコンセプシオンと距離をとるようにリングを回る。

おや、クアドラス作戦か?
河野にそんな器用なことができんのか?

「ロマゴンvsクアドラス? クアドラスに勝ち目あるか? 判定までいけば上出来でしょ」

そう思ったのもつかの間。
コンセプシオンが凶悪なワンツーを出しながら前進してプレッシャーをかける。
威嚇のワンツーの後に相手の左側に踏み込み、角度をつけて追撃の右。1発1発に角度があり、なおかつ重く強烈。相変わらずのエグい詰め方である。

体格的には勝るものの、身体全体のパワーで劣る河野はあっさりとロープに追い詰められる。この時点でアウトボクシングの作戦はあっさりと崩壊してしまった。
それとも序盤はコンセプシオンに攻めさせ、中盤以降の失速を狙った作戦だったのか。何とも言えないところだが、序盤2Rでコンセプシオンに試合の主導権を握られてしまったのは間違いない。

3Rに入ると、流れを変えたい河野が徐々に前に出始める。
ステップを踏みながら左右に小刻みにポジションを変え、じわじわと距離を詰める。
体格差と右カウンターの脅威を活かし、コンセプシオンに対してポジション的な優位性を確保する。

あれ、何かすげえな。
ちょっとゴロフキン的? ロマチェンコ的? サリド的とでも言えばいいのか?
元来のセンスやスペックが低いために見た目はブサイクなのだが、やっていることは理詰めのスペシャリストに近いような気がする。気のせいかもしれないが。

「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!! アカンわこりゃww」

こういうプレッシャーのかけ方はどう表現すればいいのだろうか。
立体的? 奥行きがある?

実際、コンセプシオンは河野の前進を嫌がって後退していたし、かなり効果的だった。

僕は常々河野のことを「あまりセンスを感じない」と言い続けてきた。そして、その思いは今も変わっていない。
だが、もしかしたら、足りない部分を膨大な努力と研究で補った上でタイトルを獲得してきた選手なのかもしれない。違うのかもしれないが。

「レイ・バルガスがムニョスに勝利し、また一歩王座へ近づく。でも見た目ほど圧勝じゃなかったな」

コンセプシオンの突進とタイミングを掴んだ河野が右のカウンターを炸裂させる

4R以降は観ての通り。

小さなポジションチェンジを繰り返しながら前進する河野がコンセプシオンと正面からぶつかり、パワーで上回るコンセプシオンがそのつど押し勝つ。
スペースができたところでコンセプシオンがたたみ掛けるが、その瞬間を狙って河野が右のカウンターで迎撃する。デンカオセーンや亀田興毅を沈めた必殺の右である。

「亀田興毅、河野に判定負け!! ダウンも奪われ完敗、試合後に引退を表明する」

角度をつけて剛腕を振るうコンセプシオンに対し、コーナーに詰まりながら反動をつけてカウンターをねじ込む河野。階級屈指の凄技はこの日も健在である。

結果だけ見ればもう少し早いラウンドからあの展開に持ち込んでいればと言いたくなるところだが、コンセプシオンの前進のタイミングや失速を考えると、あそこからの反撃が最適だったのかもしれない。

「怪物ロマゴンも人間だった? クアドラスを判定で下して4階級制覇達成!! キャリア最大の苦戦」

コンセプシオンの突進を交差法で切り落とす河野。
「コーナーで打ち合うな」という声が盛んに飛んでいたが、僕はむしろあの打ち合いの中にこそチャンスがあると思っていたのだが、どうだろうか。

涙腺崩壊やべえww 河野が左のカウンターを覚醒させる

そして、僕の涙腺が崩壊しかけたのが8R。

ラウンド開始早々、コンセプシオンの左アッパーをモロにもらい、河野がガックリと膝を落とす。それでもロープにもたれかかることで、ギリギリでダウンを拒否する。

一気にペースを上げてたたみ掛けるコンセプシオン。だが、ここが勝負と見た河野も全力で抵抗する。

ラウンド中盤、若干失速を見せるコンセプシオンに対し、逆に河野がプレッシャーを強める。ガードを高く上げ、時おり左を出しながら前後左右に動いて距離を詰める。
だが、フィジカルで上回るコンセプシオンをリング中央からなかなか下がらせることができない。
角度を決めて左を打ち込むコンセプシオンの左側に回り込み、河野が得意の右カウンターを振るう。右を4発連続で打ち込み、体重を預けてコンセプシオンの前進を受け止める。

激しい打ち合いが続くラウンド後半。
残り1分を切ったところで、コンセプシオンが再び左のアッパーを放つ。
その瞬間、河野の左がクロスで炸裂する!!
絶妙のタイミングで左のカウンターがコンセプシオンの顎にヒット!!
さらにコンセプシオンの返しの右に左のカウンターをもう一発!!

マジかこいつ、左のカウンターも覚醒させやがった!!
それもダブルの左。
思いっきり扉を開けやがった!!

試合中に至近距離での左のカウンターを身につけやがった。

しかもラウンド開始直後にもらった左アッパーに合わせてのカウンター。得意の右をたっぷり見せておいてからの左ということで、効果も尋常じゃない。

試合を観直してみてわかったのだが、実は5Rあたりからその兆候はあったのだ。コンセプシオンの前進に合わせたジャブやボディフックなど、角度を変えた多彩な左がタイミングよくヒットしていたのである。

恐らくあれで徐々に自信を深めていったのだろう。じっくりとタイミングを測り、だんだんと力を込めていった結果、8Rについにスパークしたのだ。

まさしく実直で研究熱心な河野ならではの覚醒。
あれはマジでやばかった。

中間距離での右カウンター。
至近距離でのショートの左。
もう中間距離でしか打ち合えない選手などとは言わせない(僕が言ったんだけど)。

コーナーでは「右出せ、右」と連呼していたが、両腕に超絶カウンターを手に入れた河野にそんな指示は無意味である。

「復ッ活ッ 内山高志復活ッッ 内山高志復活ッッ「試合してェ~~~~」」

やれることを全部やった上で負けた。納得の敗戦かな

ご覧のように、試合結果はコンセプシオンが前半の貯金を守りきっての見事な勝利である。僕も3-0という判定結果について異論はまったくない。

そして「悔しいけど、出し尽くした」というコメントからもわかるように、河野自身もやれることをすべてやった上で負けたことに納得しているのだろう。

前半はクアドラス的なアウトボクシング。
中盤以降はオルランド・サリドを想起させる理詰めのボクシング。
そして、試合の中で覚醒させた左のカウンター。

思うに河野公平という選手は、誰とやっても今回のような激戦に持ち込む力を持っているのだ。泥試合力というか、恐らく井上尚弥やロマゴンのような格上が相手でも一進一退のシーソーゲームを展開できるのではないだろうか。
逆にインタノン・シッチャモアンのような格下相手にも泥試合を展開してしまうため、いまいち評価が上がりにくい部分もある。

「名前で損してるぞペッチバンボーン。悪い選手じゃないような…。勝つのは井上尚弥だが」

本当に意味のわからない魅力を持った選手である。

引退? するわけねえだろが。河野公平はここからですよ

惜しくも敗れてしまった河野だが、今後はどうするのだろうか。
個人的な意見を言うのであれば、これで引退などということはあってはならない
35歳であれだけの成長曲線を描き、強敵コンセプシオンに肉薄できるのだから続けない理由が見当たらない。
モンスターレフトの西岡利晃がドネアに敗れて引退したのが36歳。河野公平は間違いなくこれを超えられる。

今回の試合後に「コンセプシオンvs井上尚弥、コンセプシオンvsロマゴンが観たい」という声をいくつか聞いたが、もし本人たちがコンセプシオンとの対戦を望んだのなら僕は声を大にして言いたい。

「黙っとけ。あれは河野のベルトだ」

いやマジで。
河野の仇討ちとか必要ないから。
そんなのは自分でやるもんだから。

というか、もう一度やれば普通に勝てるんじゃないか?
4R以降のペースを初回から貫ければ。

覚醒した河野公平さんがすぐに4度目の王座奪還するからよく見とけ。

う~ん。
やっぱり思い入れが強いと内容が偏ってしまいますね。我ながら河野推しが気色悪いww 一晩時間を置いても相変わらずさっぶいww

「井上尚弥がペッチバンボーンに10RKO勝ち!! 井上が何者なのかがいまだに謎…」

まあ、それを差し引いても今回の試合はよかったと思いますが。間違いなく2016年のベストバウトでしょ。
改めて無敗記録に大した意味がないことがわかったというか、人間臭い河野の魅力の虜になったというか。試合のレベルがどうこう、本物がどうのという話は僕にはよくわかりませんが。

「ゲイリー・ラッセルがロマチェンコに熱烈片思い? ハイランド戦を2RTKOで圧勝防衛!!」

え? これから年末にかけてもっといい試合が出てきたら?
そりゃあもちろん、豪快に掌返ししますけどそれが何か?

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