ロブ・ブラントvsジャニベク・アリムハヌリ、リンドルフォ・デルガド、オマール・ロサリオ。井上尚弥、中谷正義のアンダーカードを予習する

ロブ・ブラントvsジャニベク・アリムハヌリ、リンドルフォ・デルガド、オマール・ロサリオ。井上尚弥、中谷正義のアンダーカードを予習する

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2021年6月19日(日本時間20日)、米・ネバダ州ラスベガスで行われるWBAスーパー/IBF世界バンタム級タイトルマッチ、同級王者井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス戦が近づいている。
 
イベントを主催するトップランクもSNSやYouTubeチャンネルでせっせとプロモーションに励んでいるし、先日WBC王座戴冠を果たしたノニト・ドネアが生観戦のために現地入りしたというニュースも見かけた。
 
 
ただ、僕自身はこの試合に対するテンションがいまいち上がってこない。
理由は挑戦者マイケル・ダスマリナスが井上尚弥をどうにかできる感じがしないことに加え、単純にダスマリナスに思い入れがないのが大きい。
 
前回は挑戦者ジェイソン・モロニーを応援していたこともあってそれなりに楽しめたのだが、今回は……。
井上のファンではない僕にとって、ワクワク要素がどこにも見当たらないのが本音だったりする。
 
 
逆に次週の中谷正義vsワシル・ロマチェンコ戦はヤバい。
以前から「中谷の勝利は確定している」「負ける理由が見当たらない」などと喚き散らしてきたように、日本ボクシングの歴史が動く瞬間を目撃できることを楽しみにしている。
 
中谷正義がロマチェンコに勝つ姿しか想像できない。負ける要素が見当たらない件。偉業でも過去最大のビッグマッチでもない単なる通過点
 
というわけで表題の件。
今回はこの両イベントのアンダーカードの中から気になった選手を取り上げてみたい。
 
大した理由はないのだが、ちっともワクワクしない井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス戦を少しでも楽むためという僕なりの前向きさである()
 

ロブ・ブラント危ないんジャマイカ? 元トップアマのジャニベク・アリムハヌリとのサバイバルマッチ

まずはコレ。
2021年6月26日(日本時間27日)に米・ネバダ州で行われるロブ・ブラントとジャニベク・アリムハヌリによるミドル級10回戦。
僕が楽しみにしている中谷正義vsワシル・ロマチェンコ戦のアンダーカードに組まれている一戦である。
 
ジャニベク・アリムハヌリはカザフスタン出身の元トップアマで、2016年のリオ五輪に出場したサウスポー。現在9戦全勝5KO+3戦連続KO勝利中と波に乗る。
 
一方のロブ・ブラントは2019年7月に村田諒太に敗れた後は2020年8月のビタリ・コピレンコ戦で5RTKO勝利を挙げ、見事再起に成功している。
 
村田諒太vsゴロフキン年末合意? 中谷潤人vsアコスタ入札、清水聡vs森武蔵戦感想。今の日本って海外の選手にとっては旨味がないからな
 
で、今回のサバイバルマッチを迎えるわけだが……。
 
個人的にはかなりおもしろい組み合わせだと思っている。
 
ジャニベク・アリムハヌリの試合をざっと漁った印象としては、“左構えのゴロフキン”
前傾姿勢の構えから放つリードジャブで相手を削り、鋭い左のカウンターで仕留める。
ゲンナジー・ゴロフキンをサウスポーにしてアウトボクサー寄りにしたバージョンとでも言えばいいか(それはもはやゴロフキンではない)。
 
スタイルこそ違うものの、力強い上半身とパワフルなリードジャブからは濃い口のゴロフキン風味、出入りと連打の両立からはわずかにロマチェンコっぽさも感じる。
 
ここまで目立った相手との対戦はないようだが、はっきり言って強い選手だと思う。
 
対するロブ・ブラントも再起戦では上々のパフォーマンスを見せていたし、ジャニベク・アリムハヌリに勝つようなら王座再挑戦の資格も十分あると言えそう。
 
 
試合の展望としては、ロブ・ブラントの左リードと出入りがどこまで通用するか。
アリムハヌリはアウトボクサータイプではあるものの、あまりバックステップが利くようには見えない。相手の射程内に長く留まるシーンも目立つ。
 
 
正直なところ、今回はサバイバルマッチというよりロブ・ブラントが当て馬にされた試合なのだと思う。
 
だが、どちらにしても勝負論のある組み合わせ。
もしかしたらアリムハヌリが置いてきぼりを食うかもしれないし、アリムハヌリのカウンターがブラントの側頭部を捉えるかもしれない。
 
少なくとも先日のジェイソン・クイグリーvsシェーン・モズリーJr.戦に比べればはるかに見どころの多い一戦である。
 
アリムハヌリやっぱりいい。ロブ・ブラントを削りまくってTKO勝利。村田諒太とは絶対に絡まないタイプだしアンドラーデvsアリムハヌリは笑うw
 
ちなみに村田諒太vsロブ・ブラントVol.3は新型コロナウイルスの影響もあってか、知らぬ間にうやむやになっちゃったんですかね。
 

11戦11KOのリンドルフォ・デルガド。ドネアばりの左フックのカウンター。マン振り野郎なトッププロスペクト

続いてはこの選手。
11戦全勝11KOのパーフェクトレコードを継続中のリンドルフォ・デルガド。
 
2021年6月19日の井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス戦のアンダーカードでサルバドール・ブリセノとのS・ライト級8回戦が予定されている。
 
この選手もジャニベク・アリムハヌリと同じリオ五輪出場組で、今回はトップランクとの契約後初めての試合となる(前戦まではPBC興行に出場していた)。
 
 
僕がリンドルフォ・デルガドを気に入った理由としては、左リードと左のカウンターが鋭いこと。
 
ハの字型のガード+べた足気味で距離を詰め、ハンマーのような左リードで相手を怯ませる。
若干真ん中を広げた構えで攻撃を誘いつつ、相手が出てきた瞬間にバックステップ→ドネアばりの左フックのぶん回しで一気にペースを掴む。
 
しかもドネアほど身体能力まかせのファイトではなく、じっくり相手を削る慎重さを持ち合わせる。さらにフィジカル面の強靭さもあり、これはなかなか期待できるのではないかと。
 
頭の位置があまり動かないせいでど真ん中から顔面を跳ね上げられたりと、今はまだディフェンスのヌルさが端々に見られる。だが、直後に怒りのラッシュであっさり倒す爆発力はこの選手の大きな魅力。
 
ドネアvsウーバーリ感想。ドネアのクソかっこいい主人公属性と往生際の悪さ。もうお前、サウスポー得意じゃねえかw 最高だったぞ
 
今回の相手であるサルバドーレ・ブリセノは高身長、長リーチのアウトボクサータイプのようだが、左リードの鋭さもなくそこまで足が速いわけでもない。打ち下ろし気味の右には要注意だが、デルガドが本来の圧力、馬力を発揮すれば十中八九大丈夫だと思われる。
 
というわけで、リンドルフォ・デルガドの豪快なKOに期待しておく。
 

オマール・ロサリオ。プエルトリコの若手だけど、エマヌエル・ロドリゲスっぽさがあって嫌いじゃない

そしてラストはこの選手。
ウィルフレド・マリアーノとS・ライト級契約4回戦で対戦するオマール・ロサリオ。
 
上述のリンドルフォ・デルガド同様、井上尚弥vsマイケル・ダスマリナス戦のアンダーカードでの出場が予定されている。
 
 
オマール・ロサリオを知ったきっかけは完全にたまたま。3戦全勝同士の4回戦が組まれていたのでちょろっと観てみたところ、「お、嫌いじゃないぞコレ」となった次第である。
 
表題の通りなのだが、この選手は元バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲスと少し似ている。
前傾気味の構えに鋭い左リード。近場でのコンビネーションが多彩で、中でも左ボディは的確に相手の急所を打ち抜く印象。
 
ロドリゲスほどのカウンターがあるかどうかは不明だが、痩身でフィジカル面がやや心もとない部分も含めて共通点は多いように思える。
 
さすがにこの試合がWOWOWのO.A.に入るとは思えないが、今回も問題なく勝利してくれることを期待している。
 
まあでも、相手のウィルフレド・マリアーノなる選手も1発の怖さはありそうなので、逆の結果になる可能性も少しはある? のかな?
 
ドネアvsカシメロだと…?! リゴンドーの見えない君扱いががが。ドグボエ、リンドルフォ・デルガド、オマール・ロサリオ。井上尚弥アンダーカード振り返り
 

1人の偉大な選手が後に続く選手に影響を与える。プエルトリコに関してはいまだにあの選手?

以前にも申し上げたが、1人の偉大な選手が後に続く選手に影響を与えるというのは多分にあると思っている。
 
カルロス・ゴンゴラめちゃくちゃいいw アムナットとかホプキンス的な巧さ。相手の嫌がることをやるって楽しいだろ? 不変のテクニシャンがピアーソンをKO
 
ウズベキスタンやカザフスタンなど、旧ソ連からの独立国出身の選手は主にゲンナジー・ゴロフキンとワシル・ロマチェンコの系譜を感じさせる。
上述のジャニベク・アリムハヌリのように、ゴロフキン風味が強めながらもわずかにロマチェンコ色が混じる選手もいたりする。
 
マニー・パッキャオが破竹の快進撃を続けていた2010年以降、フィリピン出身の好戦的な軽量級サウスポーがランキングを賑わしていた。
 
北米では身体能力の高い黒人選手が多数輩出され、その中から何人もの“ネクストメイウェザー”が現れては消えていっている。
 
・ゲンナジー・ゴロフキン
・ワシル・ロマチェンコ
・マニー・パッキャオ
・フロイド・メイウェザー
 
今後も世代を代表するような選手が出現した場合、後に続く若手に好影響を与えることは間違いなさそうである。
 
 
そしてオマール・ロサリオやエマヌエル・ロドリゲスを観る限り、プエルトリコに関してはその対象がいまだにフェリックス・トリニダードなのかなと思う。
 
2017年5月に田中恒成に挑戦したアンヘル・アコスタや“国の至宝”から重犯罪者へと転身を遂げたフェリックス・ベルデホ受刑者(27)もそう。
 
アダム・ロペスにKO負けを食らったフェザー級のファン・カルロス・リベラなども似た系統かな?
 
シャープかつ目の覚めるような鮮やかさを発揮する反面、動きはやや直線的。どの選手も面長で顎が尖っており、全体的に痩躯で脆い印象を受ける。
 
フェリックス・トリニダードvsフェルナンド・バルガスってすげえ試合だったよね。WOWOWエキサイトマッチでO.A.されるってよ
 
ジェスレル・コラレスに勝利したアルベルト・マチャドも、アンドリュー・カンシオに2度KOされて以降、しっかりと“顎弱族”の仲間入りを果たしたっぽい。
 
オマール・ロサリオに関してはまだ明確なダメージを負ったことはないようだが、写真で見る限りは“顎弱族”の純血種な気がする。
 
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