カマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントン、ジャスティン・ゲイジーvsマイケル・チャンドラー。UFC268感想。コヴィントンの追い上げに感動。チャンドラーは前半型過ぎて…

カマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントン、ジャスティン・ゲイジーvsマイケル・チャンドラー。UFC268感想。コヴィントンの追い上げに感動。チャンドラーは前半型過ぎて…

2021年11月6日(日本時間7日)、米・ニューヨーク州で行われたUFC268。
メインイベントでは現ウェルター級王者カマル・ウスマンとコルビー・コヴィントンが2019年12月以来1年10か月ぶりに再戦し、3-0(48-47、48-47、49-46)の判定でウスマンが勝利。5度目の防衛に成功している。
 
またメインカード第1試合ではライト級2位のジャスティン・ゲイジーと同級5位のマイケル・チャンドラーが対戦。スタンドで終始優位に進めたゲイジーが3-0(29-28、29-28、30-27)の判定で勝利した。
 
その他、セミファイナルでは女子ストロー級タイトルマッチ、ローズ・ナマユニスとジャン・ウェイリーが再戦し、2-1(47-48、48-47、49-46)の判定でナマユニスが勝利するなど盛りだくさんの内容となっている。
 
 
そして、今回はメインイベントのカマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントン戦、第1試合のジャスティン・ゲイジーvsマイケル・チャンドラー戦の感想を言っていくことにする。
 
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○ジャスティン・ゲイジーvsマイケル・チャンドラー×(判定3-0 ※48-47、48-47、49-46)

まずはこの試合。
 
マイケル・チャンドラーは2019年末のBellator JPANAで生観戦したこともあり、UFC移籍と聞いてめちゃくちゃテンションが上がった選手である。
 
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“Mr.ベラトール”と呼ばれた男がUFCでどこまでやれるのか。
年齢的にも最後の挑戦になるだろうし、できれば活躍してもらいたい。
 
で、迎えたUFC初戦、2021年1月のダン・フッカー戦でのTKO勝利に大いに盛り上がったわけだが……。
 
正直、今回の試合は「今のままではTOP5止まりなのかなぁ」と思わされる負け方だった。
 
 
まず、マイケル・チャンドラーという選手は完全に前半型。極端な話、1Rの半分までがもっとも強いと言っても過言ではない。
 
前回のチャールズ・オリベイラ戦でもそうだが、開始数分でいきなり効かせて一気に試合を動かすのはこの選手の必勝パターン。深く踏み込みすぎてカウンターをもらうこともあるが、とにかくファーストコンタクトから躊躇なく腕を振れるのが最大の強みである。
 
ただ、そこで仕留めきれない場合にグダってしまうのが辛い。
 
前回のオリベイラ戦ではケージ際で散々粘られ、2R開始早々に左フックを被弾してアディオス。
 
今回は1R2分40秒過ぎに右ストレートで盛大にグラつかせるも、カウンターでの反撃を許して仕留めきれず。逆に2R以降、徐々にカーフを効かされてダメージが蓄積→失速して押し切られてしまうという。
 
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恐らくこれまでよりも相手のレベルが上がったことで粘られるケースが増えているのだろうと。
 
ベラトールの舞台では1Rで終わっていたものが、オリベイラやゲイジーといったUFCのトップどころはそうもいかない。効かされた先の二番底というか、単純な耐久力以上にピンチのしのぎ方にも長けているのではないか。
 
また、スタンスを広めに重心を低く構えるチャンドラーのスタイルがカーフキックの的になりやすいというのもあると思っている。
実際、今回の試合もカーフを効かされまくったせいで後半足が動かなくなったし、1Rで勝負を決めたダン・フッカー戦でもフッカーのカーフキックをモロに被弾してバランスを崩すシーンが目に付いた。
 
・体力のあるうちに1発当てろ
・効かされる前に1発当てろ
・相手が慣れる前に1発当てろ
 
“とにかく先に当てろ”“1Rで倒せ”“防御より攻撃”のスタイルな分、そこで仕留められなかった場合はあっという間に厳しくなる。
 
オリベイラにはグランドで誤魔化され、ゲイジーにはスタンドでのカーフとカウンターを当てられまくって失速。
カウンターを食いやすいのもあり、どうしても劣勢を強いられるケースが増えてしまう。
 
 
もちろんトップレベルの1人には間違いないが、今のままだとトップ中のトップに比べて若干落ちることも確か。
と言いつつ、年齢的にもキャリア的にもここから何かを変えるなんてことが可能なの?
などなど。
 
僕自身、マイケル・チャンドラーのことは好きだし応援もしている。試合もおもしろいのでまた声もかかるとは思うが、近い将来ベルトに絡むか? と聞かれるとこれはちょっと厳しい気がしている。
 

○カマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントン×(判定3-0 ※48-47、48-47、49-46)

そしてメインイベント、カマル・ウスマンvsコルビー・コヴィントン戦について。
 
 
個人的にカマル・ウスマンはハビブ・ヌルマゴメドフが去った後のPFP筆頭だと思っている。
 
手足が長く遠い間合いからのジャブ、アングル調整も一級品。テイクダウンディフェンスに優れており、前に出てきた相手を上から潰すorカウンターで迎撃することでまともに近づけさせない。
 
絶対的なディフェンスとカウンター技術により、射程の一歩外側(自分の攻撃だけが当たる間合い)で勝負し続けられるウスマンには現状負ける要素が見つからない。
 
淡々と作業を遂行しているだけで勝手に勝つというか、負けないようにできているというか。
MMAの完成形と言ってもいいファイトスタイル。
 
 
コルビー・コヴィントンが打倒ウスマンの一番手なのは間違いないが、それでもウスマンに勝つのは相当難しいのではないか。
 
ボクシングにおける最強はデカくて動けるヤツだが、MMAでの最強(ウェルター級、ミドル級)は“長くて動けるヤツ”というのが現時点での僕の結論である。
 
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すごい試合だった。難攻不落のウスマンの揺らぎを始めて目撃した

実際の試合だが、はっきり言ってすごかった。
 
ウスマンの盤石さはもちろん、それ以上にコヴィントンの粘りが。
 
2Rに明確に効かされKO寸前まで追い詰められたところから立て直し、逆にウスマンをグラつかせる。
凄まじいまでのコヴィントンのファイティングスピリッツは感動的ですらあった。
 
もともと後半勝負を目論んでいたのか、流れの中でそうなってしまったのかはわからないが、とにかく難攻不落と思われたウスマンが揺らぐシーンを僕は始めて目の当たりにした。
 

3Rまでのウスマンは最強すぎる。この世で勝てるヤツがいるの? というくらい

まず申し上げておくと、前半3Rまでのウスマンは史上最強。この世で勝てるヤツなんかおるの? というくらいに強い。
 
自分のパンチは届くが相手のパンチは届かない距離をキープし、細かくアングルを変えながらジャブで削る。
 
相手が強引に出てくればバックステップしながらのカウンターで迎撃、タックルに来れば得意のテイクダウンディフェンスで上から押し潰す。
 
ほぼすべての時間を自分の間合いで対峙し、ひたすら安全圏からジャブでコントロール。チャンスがあれば流れの中で倒すスタイル。
繰り返しになるが、相手の射程の一歩外から自分のターンのみを押し付けるスタイルは盤石すぎるくらい盤石である。
 
 
つまり、ウスマンと対戦する際はとりあえず3Rまでのポイント3-0を受け入れる必要がある。
 
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4Rに勝負をかけたコヴィントン。ウスマン相手に「もしかして」と思わせたのは素晴らしい

そして、今回のコヴィントンは4Rから勝負をかけてみせた。
 
ウスマンの動き出しに合わせて同時打ちのタイミングで左を打ち込み、ウスマンが怯んだところにさらに追い打ちの連打を浴びせる。
 
左をまともに被弾したウスマンがガクッと腰を落とするシーンすらも。
 
 
これはコヴィントンの意地、粘り強さとともに1Rからの積み重ねでもあったと思う。
 
序盤から再三タックルに入り、ときにはタックルと見せかけてパンチとともに飛び込んだり。
 
思い切り踏み込まなければ届かない+完全にカウンターを狙っている相手の懐に飛び込むのは相当な勇気と体力を要すると思うが、この試合のコヴィントンはそれを何度も敢行してみせた。
 
と同時に劣勢を受け入れる代わりにウスマンの攻撃のタイミングを覚え、3R後半には動き出しにカウンターのミドルを合わせることに成功した。
 
 
ストップ寸前まで追い込まれるほどの劣勢を強いられながらも1~3Rをしのぎ切り、4Rに反撃開始。
 
もともとの作戦だったのか流れの中でのものだったかは不明だが、とにかくPFP筆頭のカマル・ウスマンを相手に「もしかしたら」を感じさせたコヴィントンは文句なしに素晴らしかった。
 

ウスマン攻略の糸口が見えた? でも、誰がそれをやれるの? という話ではある

なるほど。
ウスマン攻略にはこういうやり方もあるわけね。
 
ウスマンが元気な1~3Rまでの間はタックルと顔面への連打を使い分けつつ、テイクダウンできなかった場合はグランドでどうにか粘る。
また、遠間からのジャブに耐えながら攻撃のタイミングをインプットし、スタンドではなるべく深入りせずに体力を温存しておく。
 
タックルと打撃でウスマンの体力を削り、逆にウスマンの攻撃は見切りと根性でしのぎ切る。
 
そして、残りの2RでペースアップしKOを狙う流れ。
 
ウスマンの攻撃に耐えきるタフネス、タックルを切られた直後のグランドの攻防、その他。
前提条件もなかなか厳しいが、とにかく4、5Rのスタンド勝負にどれだけ力を残しておけるか、ウスマンをどこまで疲れさせるかが分かれ目になるのだろうと。
 
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で、それを誰がやれるの? という話。
結果的に今回のコヴィントンは健闘止まりだったわけだが、この選手以上のグランド技術と耐久力を兼ね備えたストライカーが果たして存在するのか。
 
正直、僕の乏しい知識ではまったく思いつかないのだが。
 
 
しかもアレなんですよね。
ウスマンって複数階級制覇とか、そっち側に色気を出さなそうなんですよね。
 
イズラエル・アデサニヤのようにまったく準備せずにライトヘビー級に挑戦して撃沈するとか、そういう無茶は回避する避けるクレバーさがありそう……。
 

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