「山中慎介バンタム級トーナメント(仮)」開催決定。結構大変そうな大会だけど、優勝賞金100万円か…
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2019年4月12日、元WBC世界バンタム級王者山中慎介が都内で会見を開き、バンタム級のA級ボクサー8人を集めたトーナメント「山中慎介 バンタム級トーナメント(仮)」を開催することを発表した。
「山中慎介氏の冠トーナメント開催!「世界を取る登竜門になれば」若手台頭に期待」
7月23日に予選(6R)、10月31日に準決勝(8R)、2020年1月に決勝(8R)の予定で行われ、優勝者には賞金100万円が贈られるとのこと。
また出場条件は特に設けず、OPBF王者や日本王者等のタイトル保持者でも可。仮に条件が合えば、タイトルマッチとして開催(ラウンド数はタイトルに合わせる)したいとしている。
このトーナメントをきっかけにボクシング人気の回復を促し、優勝者には世界ランカーへの挑戦機会を作るなど、世界への登竜門になることも目指すという。
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バンタム級トーナメント開催!! って、賞金100万円は渋い?
東京・後楽園ホールを舞台に、バンタム級のA級ボクサー8人によるトーナメントの開催が発表された。元WBC王者山中慎介をアンバサダーに迎え、2019年7月から約半年の期間で8選手の中から優勝者を決めるとのこと。
なるほど。
いわゆるA級トーナメント(最強後楽園?)の系譜というか、開催中のWBSSも参考にしている感じか。
いきなり全階級とは言わず、まずは比較的層の厚い階級で試すというのも理にかなっている。
毎年、話題に上がる甲子園・高校野球の酷使問題。
新潟県高校野球連盟が春季大会限定で1試合100球制限を設けている。
「100球制限の是非は? 新潟県高野連が投じた一石」
こういう風にいきなり本戦でやらず、小さい規模で試験的に導入するのはいいよね。
ただ、トーナメント開催の記事を読んで僕が思ったのが、
「賞金が安い……」
A級ボクサー8人でのトーナメント。
出場資格は特に設けず、タイトルホルダーにも門出を開く。タイミングが合えばラウンド数を合わせてタイトルマッチとして開催することも……。
この条件で優勝した選手には賞金100万円(+世界ランカーへの挑戦)。
パッと見、相当キツいトーナメントに思えるのだが、それに対する見返りが少ないような気がしないでもない。
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いや、企画自体は文句なしにすばらしいし、批判や否定をするつもりはまったくない。むしろ組み合わせによっては現地観戦を考えるレベル。
それを踏まえた上で、ハードルの高さに比べて賞金が安いなぁという印象。
ラウンド数が試合によって乱高下するのってキツくないんだろうか。それを3カ月スパンで調整するのも…
具体的に僕が気になったのが、
「タイトルホルダーも出場可」
「保持タイトルの規定ラウンドに合わせてタイトルマッチとする」
という部分。
タイトルホルダーの出場自体は構わないのだが、ラウンド数がそのつど増減するのはどうなの? という。
要は、初戦で6Rを戦った選手の次戦が12Rになることもあり得るわけで。
これまで8Rを主戦場としていた選手が6R用の練習に切り替え、次は12R仕様のコンディションを作る。これを3ヶ月スパンでやるのは相当キツくないか? ってこと。
A級の8Rからトーナメント予選に向けた6Rに切り替えるのもアレだが、そこから10、12Rというのは……。
短距離の選手がいきなり長距離の大会に出るようなもので、それを3ヶ月スパンで調整してきなさいというのはかなり厳しい気がする。
それに対し、タイトルホルダー側はこれまでと同じ調整方法でリングに上がることが可能。
正直、この条件でタイトルホルダー以外が優勝するのは相当難しいのではないか。もちろん挑戦者だから仕方ないのかもしれないが、その見返りが100万円というのも……。
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C級→B級→A級でルールが変わっていくのも実は大変だよね。必然的に長距離型への仕様変更を強いられる
そもそも論として、C級→B級→A級と進むたびにルールが変わるのもどうなの? という気がしないでもない。
デビュー直後の選手が短いラウンドで経験を積むというのは理解できるのだが、タイトルを取るためには短距離選手→長距離選手へのモデルチェンジが必然的となる。
恐らくだが、選手個々で得意分野は違うはず。
短いラウンドをフルスロットルで飛ばすのが得意な選手もいれば、12Rをトータルでペース配分するのが得意な選手もいる。
もしかしたら10、12Rではパッとしないけど、6R制なら世界最強という選手もいるかもしれない。オリンピックの金メダリストがプロで世界王者になれないケースも普通にある。
なお、僕が典型的な長距離型だと踏んでいるのが現WBA世界S・バンタム級王者ダニエル・ローマン。
日本の久保隼や松本亮に完勝した選手で、12Rを通してほぼペースを変えずに走りきれるスタミナとクレバーさの持ち主である。
「再戦でエストラーダがシーサケットに勝利。この2人は噛み合いすぎるよな。DAZNの対応の悪さ? 村田諒太の責任だろうな」
このローマン、戦績を見ると四回戦時代に1敗1分を喫している。そのうち1人は日本人選手が相手なのだが、いずれも初回からフルスロットルでリードを奪われ、そのまま逃げ切られたのではないかと想像する。
ルールや道具、環境の影響はめちゃくちゃ大きい。ラウンド数が変わるだけでKO率、KO数にも如実に違いが出る
以前にもちょろっと申し上げたが、世界タイトルマッチが15R制→12R制になったことで、KOの発生率が高いラウンドにも変化が見られた。また、15R時代は試合の中で山場が3度訪れていたが、12R制では2度。ラウンド数が減ったことにより、勝負をかけるチャンスも少なくなっている。
その他、ボクシングに詳しいTwitterのフォロワーさんや元プロの方がおっしゃるには、IBFのKO率が低いのは当日計量の影響が大きい、今より昔の方がKO率が高い理由はグローブが固くて小さかったことが影響しているとのこと。
「スタッツをほじくり返してボクシングの都市伝説を検証する。12Rはみんながんばるから11Rにがんばるべき? 初回は身体が硬い?」
つまり、どんな競技においてもルールや道具、環境の影響はめちゃくちゃ大きい。
水泳でも新型の水着の開発によって勢力図がガラッと変わったし、陸上のトラックはどんどん高速化している。それだけに、ルールの変更や道具の規定にはより慎重になるべき。
2016年大みそかに田中恒成に敗れたモイセス・フェンテスが「会場が寒くて力が出せなかった」とクレームをつけていたが、仮に田中陣営がそれを意図的にやったとすれば相当な策士である。
極端な話、日本王座を複数回防衛した選手に対し「世界への準備が整った」「会長がGOサインを出した」的なニュースを見かけることがあるが、あれも実はちょっとおかしい。
日本タイトルマッチは10R制で、世界タイトルマッチは12R制。
仮に日本王座を5度防衛したとすれば、1年半〜2年近く10R仕様の練習をしていたことになる。
そこまでルーティンが出来上がってからのプラス2R。準備が整ったもクソもないというか、間違いなくそれ仕様に向けて仕切り直す必要があると思うのだが。
「ヒルベルト・ラミレスvsカーペンシー感想。ラミレスはこの階級でも活躍できる?」
思い切ってタイトルの新設もアリ? 6R制最強の選手がいてもいいじゃない
何が言いたいかというと、要するにトーナメントを開催するなら短いラウンドでのタイトル新設もアリちゃうか? ってことっす。
今回のバンタム級トーナメントの概要を見ると、世界への登竜門というより短距離選手養成機関に見える(気がする)。
短いスパンで6、8、8Rを勝ち抜くコンディション作り、柔軟性が要求され、なおかつタイトルホルダーに勝利するのは困難を極める。
それならいっその事、6R制最強決定トーナメントでもええんちゃうか? と。10、12Rが得意な長距離選手だけではなく、短距離が得意な選手にも光を当てるという意味でも。
「タイトルの数が多過ぎてベルトの価値が下がる」といった不満はよく耳にするが、これに関してはちょっと違う。新たな価値の創出()というヤツである。
ラウンド数が減れば試合はよりエキサイティングになるし、観客も飽きがこない。ライト層を取り込むには悪くない試みだと思うのだが。
「15R時代との比較。12Rに短縮されたことでボクシングは変わったの? 日本にはホームアドバンテージがあるの?」
繰り返しになるが、今回の「山中慎介 バンタム級トーナメント(仮)」開催は文句なしにすばらしい。ここを否定する気はまったくないので念のため。
ただ、過酷さの割に見返りが少ないような気がするよねと思った次第でございます。
ちなみにだが、先日後楽園ホールに行って思ったのだが、選手の控え室からリングに向かう通路? あそこって寒くないの?
あの日はたまたま通路近くの席に座ったのだが、底冷えする冷気が漂ってきた。
「高橋悠斗選手の試合をようやく生観戦した話。中川祐vs有馬啓祐、高橋悠斗vs中山祐太、赤穂亮vs藤岡飛雄馬in後楽園ホール」
次の試合に出場する選手がウォーミングアップをする音がバシバシ聞こえてきたが、実際あんな寒いところでトランクス一枚? で待機するのもどうなんすかね。不満の声などは上がらないのだろうか。
いや、問題ないなら全然いいんですが。
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