ユーリ阿久井政悟vs桑原拓、井上拓真vs石田匠。石田は残念だった。ユーリは勝ってよかった。メインと同じくらいのインパクト【2024.5.6感想】

ユーリ阿久井政悟vs桑原拓、井上拓真vs石田匠。石田は残念だった。ユーリは勝ってよかった。メインと同じくらいのインパクト【2024.5.6感想】

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2024年5月6日の東京ドーム興行を現地観戦した感想を述べているわけだが。
 
前々回がメイン、前回がセミファイナルと振り返ってきたが、今回は残りの2試合、
 
ユーリ阿久井政悟vs桑原拓(WBA世界フライ級タイトルマッチ)
井上拓真vs石田匠(WBA世界バンタム級タイトルマッチ)
 
についてである。
 
 
なおオープニングファイト? リザーブファイト? でTJ・ドヘニーが登場したが、それは割愛させていただく。
 
 
全編視聴は下記↓

 
西田凌佑がエマヌエル・ロドリゲスに勝利。ジャブで圧倒してロドリゲスに中間距離を諦めさせる。そういえば比嘉戦でも接近戦やってたわ
 

○井上拓真vs石田匠×(判定3-0 ※118-109、118-109、116-111)

まずはセミセミの井上拓真vs石田匠戦について。
 
結果は3-0の判定で井上拓真が勝利。
 
1Rに石田が得意のジャブでダウンを奪取するがそこから拓真が立て直す。
お互いにクリーンヒットを重ねる展開が続き、各ラウンドを明確に上回った拓真が大差判定で逃げ切った。
 
 
この試合は正直、石田が勝つのは難しい気がしていた。
 
指名挑戦権を持つ石田を待たせてジェルウィン・アンカハス戦を優先。
インターバル2か月で東京ドーム興行、兄弟世界戦に帳尻を合わせる。
 
試合決定までの経緯、井上陣営の駆け引きを見れば「アンカハス>>石田」と判断したのは明らかである。
 
「石田なら2か月あれば勝てる」
↑こんな舐め腐ったヤツらに負けんじゃねえと思ったものの、現実的にはどうなんだろう? と。
 
拓真は
・“待ち”のタイプが得意
・接近戦がうまい
・出入りのスピード
 
「ジャブはいいけど怖さが足りない」と言わる石田にとっては天敵のようなタイプで、相当な何かを起こさない限り厳しいのではないか。
 
応援するのは石田だが、勝敗予想は拓真の判定勝利、もしくは後半KOとさせていただいた。
 
石田匠がんばれ井上拓真に勝て石田匠がんばれ井上拓真に勝て…でもどうやって勝つの? “待ち”の相手が得意&接近戦がうまい拓真を攻略できる?
 

石田はよかったけど、拓真の出入りについていけず。爆発力が足りなかったかな

実際の試合は
「思ったよりも石田がよかった」
「でも拓真の出入り、接近戦のうまさを上回れなかった」
というのが率直な感想である。
 
申し上げたように石田はジャブがいい。
初回のダウンはびっくりしたし、このまま押し切れとも思った。
 
拓真は接近戦がうまいが石田のパンチもちゃんと当たる。
中でも拓真が腕を下げた瞬間に打ち出す右が有効っぽい。「この右がどこかで当たれば」と思いながら眺めていた次第である。


 
ただ、そこからの爆発力が足りない。
 
1発当ててから畳みかける前にスカされ、追いきれずに距離を取られる。もしくは反撃を食う。
逆に近距離でのアッパーで顔を揺らされたり、ジャブで寸断されたり。
 
「お!!」という場面を作るたびにやり直しを強いられていまいち乗り切れない。
 
リング中央から下がらない、被弾を重ねても効いた素振りを見せないなど、相当な覚悟でリングに上がっているのは伝わった。
 
だが、残念ながらあと一歩が足りなかった。


 
まあでも、一定以上の実力は見せたと思う。
 
得意のジャブは機能していた上に右も当たっていた。
拓真に歯が立たずに敗れた国内トップ勢(栗原慶太、和氣慎吾、古橋岳也)に比べればはるかに健闘したのではないか。
 
井上拓真vs古橋岳也、平岡アンディvs赤岩俊、石井渡士也vs福永輝、岩下千紘vs山名生竜。井上vsドネア2アンダーカード振り返り。あと、レイチェル・マーシャルさんがヨカタヨ
 
今後はどうするんでしょうね。
このまま引退しちゃうのはあまりにも残念。
 
と言いつつ、もう一度チャンスを待つとなると……。
再び順番が回ってくるまでコンディションを保てるかは何とも言えない。
 

○ユーリ阿久井政悟vs桑原拓×(判定3-0 ※118-110、117-111、117-111)

無敗の王者ダラキアンに勝利したユーリ阿久井政悟が3か月のインターバルで迎えた初防衛戦。
しかも相手は2021年7月に10RTKOで下した桑原拓。
 
石田を待たせてアンカハスを優先した井上拓真同様、プロモーションの政治力が透けて見えるマッチアップである。
 
 
セミファイナルのジェイソン・モロニーvs武居由樹戦もそうだが、大橋プロモーションの剛腕っぷりはマジで共感しにくい。
 
武居由樹がモロニーに勝利、キック出身選手で初の世界王者に。要は「ボクシングは甘くない」勢が他競技のトップ選手のポテンシャルを舐めてたんでしょ
 
その政治力、資金力をウェルター級の佐々木尽に使ってやれよと思うのだが。


さらにチケット販売の段階でゴタゴタしまくるという。
 
ユーリ陣営が手売りを進めていたところ、突如主催者側からストップを命じられてすべてがなかったことに。
 
で、SNS上で中傷を受けたユーリ陣営のマネージャー? 家族? が体調を崩したとか。
 
 
もはやこの時点でフェアな勝負とは言えない。
 
体調を崩したのは別の人間だから大丈夫などという理屈は通らない。
誰の責任だとか、東京ドーム興行での手売りは無理があったとかも別の話。
 
仮にユーリが負けたとしたら、試合決定の経緯を含めてあまりにやりきれない。
とにかくユーリには勝ってほしい、どんなことをしてでもベルトを防衛してもらいたい。
 
勝敗予想云々はどうでもいい。
何が何でも勝てユーリ。
 
 
 
ぶっちゃけ僕も手売りをドタキャンされた人間で、連絡の遅さや一連のグダグダっぷりには辟易させられた。
 
ただ、腹いせにSNSで中傷するのはダメだし相手が体調を崩すまで追い詰めるなどもってのほか(当たり前だろ)。
 
そんな感じで、このくらいで終わらせた次第である笑


 
カネロvsハイメ・ムンギアおもしろかった!! 試合巧者のベテランを勢いでねじ伏せるやり方はカネロvsゴロフキンVol.2を思い出した
 

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前回同様、ユーリに感動した。多彩な左で誘い出して右をぶち当てる

試合の感想だが、ユーリがすごかった。マジですごかった
 
前回のダラキアン戦は完勝と言える内容で、アウトボクサーのダラキアンをじっくり追い詰めていくファイトは胸を打つものがあった。
陣営の戦略やそれを遂行する本人の実力、すべてをひっくるめて「チームの勝利」だったなと。
 
ユーリ阿久井政悟がダラキアンを圧倒して初戴冠。準備、勝負どころの見極めに驚いた。こういうのを“チームの勝利”って呼ぶんじゃないの?
 
そして、それは今回も変わらず。
 
多彩な左ジャブで進行方向を左のみに限定、正面に誘い出したところに右を打ち込む。
アクションの大きさやスピードは桑原の方が上だが、ユーリはいつの間にか桑原を射程に捉えている。
 
防御面では桑原のスピーディな連打をガードとパリング、位置取りで芯を外す。
もともとの頑丈さもあり、12Rを通して動きが落ちることはなかった。
 
 
前回も思ったが、要するにユーリは足を使う相手を追いかける展開に慣れっこなのだろうと。
 
12R腕を上げ続ける忍耐、前に出続ける馬力、相手の逃げ道を奪う追い足。
所作の一つ一つから強烈な達人臭が漂うw
 
 
ダラキアン戦の前は右の1発ばかりに目が行っていたが、2試合連続でアウトボクサーを下した今は左の多彩さに「すげえな、おい」となっている笑
 
 
アウトボクサーをちんちんにするこの感じは誰に近いですかね。
 
「顔が勇利アルバチャコフに似ている」という理由でリングネームを“ユーリ”にしたとのことだが、実はファイトスタイルも勇利アルバチャコフに似ている気がする(顔はよくわからん)。
 

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桑原拓もがんばった。もっと脆い選手なのかと勝手に思ってましたw

敗れた桑原拓もめちゃくちゃがんばっていた。
 
2Rには早くも顔が紅潮し 、5、6Rあたりでボディ、顔面のダメージで動きが落ちる。
 
そこからペースをガッツリ持っていかれ、「もう1発当たれば終わる?」というピンチを何度も迎える。
 
ところがそこで毎回盛り返す。
 
左右への足と連打を駆使してギリギリ致命打を許さない。
それどころか終盤には反撃を受けたユーリの動きが一瞬止まるシーンすらも。
 
デビン・ヘイニーが体重超過のライアン・ガルシアに判定負け。ヘイニーの苦手意識もあったかも? 正直、ガルシアの奇行で興味をひかれたよ
 
正直、僕は桑原拓がここまで粘るとは思わず。
もっと脆い選手なのかと勝手に考えていたことを告白する(たぶん風貌に影響されてるw)。
 
再三のピンチで桑原が蘇るたびに「うおー!!」となり、いつの間にか「どっちもがんばれ」「両方負けんな」に変わっていった笑
 


 
堤聖也が井上拓真に勝利!! 「足を入れ替えるだけがスイッチじゃない」みたいなファイト。あの位置、タイミングで飛んでくるの? ってパンチが山ほどあった
 

パンチの精度に差があったかな。見栄えはいいけど効果は薄い桑原の連打。急所に刺さる凝縮されたユーリの1発

まあでも、両者のパンチの精度? には差がありましたよね。
 
桑原の連打はスピードもあって見栄えもいいが、“パシャパシャ”というイメージで1発1発の効果は高くない。
動き出しの溜めも大きく次の動作が読まれやすい。
 
井上尚弥vsルイス・ネリ現地観戦感想。序盤の鬼強タイムの井上をダウンさせた意義は大きい。S・バンタム級の井上を過度に神格化する必要はない
 
対するユーリは手数こそ少ないものの、モーションが小さくパンチが最短距離を通過する。
予測しにくさとモーションのコンパクトさ、パンチの威力を最適バランスで保つ。
 
凝縮された1発が相手の急所をピンポイントで捉える印象である。
 
 
そんな感じで、この日の4試合(アンダーを入れて5試合)の中ではメインと同じくらいのインパクトを残した(僕の中では)。
 
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