映画「ヤクザと家族 The Family」感想。脚本が「龍が如く」過ぎんだろ。オリジナル(?)の登場人物に魅力がなくて薄っぺらい作品だった…

映画「ヤクザと家族 The Family」感想。脚本が「龍が如く」過ぎんだろ。オリジナル(?)の登場人物に魅力がなくて薄っぺらい作品だった…

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映画「ヤクザと家族 The Family」を観た。
 
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「ヤクザと家族 The Family」(2021年)
 
覚せい剤が原因で父親を亡くし、天涯孤独の身となった山本賢治。若くして自暴自棄気味の彼は弟分の細野竜太、大原幸平とともに荒れた日々を送っていた。
 
そんなある日、3人は馴染みの食堂でヤクザの一行と居合わせる。
彼らは地元に根を張る柴咲組。組長の柴咲博は食堂を営む愛子の亡き夫の兄貴分だった男である。
 
 
本物のヤクザの迫力に気圧される細野、大原を尻目に彼らを無遠慮に睨みつける山本。
だが当の柴咲は気色ばむ舎弟たちを諌めつつ、落ち着いてビールを注文する。
 
すると、突如として武装したチンピラの集団が店になだれ込み、柴咲たちを取り囲む。
あっという間に修羅場と化した店内だが、ただ一人、山本だけは微動だにせず事の成り行きを見守る。
 
そしておもむろに立ち上がり、近くにあった鉄板をチンピラの頭に向けて振り下ろすのだった……!!
 
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期待外れだったなぁ。藤井道人監督とは根本的に合わないんだろうな

「ヤクザと家族 The Family」。
たまたま目にしたCMで興味を引かれ、先日映画館に足を運んできた次第である。
 
「あゝ、荒野」「新聞記者」などの話題作をプロデュースした河村光庸が企画を担当し、「新聞記者」の藤井道人が監督・脚本を務めた本作。
 
主演の綾野剛は2016年「日本で一番悪い奴ら」がめちゃくちゃよかったこともあり、今作もアウトロー役ということでかなり期待して観たところ……。
 
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いや、アカンわ。
アカンですねこれは。
 
思った以上に刺さらなかったというか、率直に申し上げて期待外れもいいところだった。
 
ああ、マジか。
これならわざわざ映画館に行く必要性はまったくなかったわ。
 
話題となった前作「新聞記者」はあらすじを読んだ瞬間に興味が失せたのだが、今回はそれなりに期待感を持って映画館に向かったはずが……。
 
要するに僕はこの藤井道人監督の作風とは根本的に合わないということか。
 

脚本がクソほどビミョい。だってアレじゃん。まんま「龍が如く」でしょ

表題の通りなのだが、僕が今作にハマらなかった一番の理由は「脚本がクッソビミョかった」こと。
まあビミョかったというより、「尋常じゃない既視感」と表現した方が適切か。
 
だってアレでしょ?
これってまんま「龍が如く」ですよね。
 
1995年、2005年、2019年の三世代を通して時代の移り変わりやヤクザ社会の変化を描くというのがこの作品のコンセプトらしいが、2019年の途中までは「龍が如く」をモロに再現しただけ。
 
山本賢治→桐生一馬
中村努→錦山彰
柴咲博→風間新太郎
澤村由美→工藤由香
 
殺人を犯した兄弟分のため、自ら進んで身代わりとなって服役。
10年(今作では14年)後にようやく出所を果たすものの、当時と一変した町の様子や組の勢力図を目の当たりにして愕然とする。
 
“男の道を極める”と誓い合った兄弟分も時代の流れに飲まれて卑屈になり、桐生(山本)を大いに失望させる。
実の親以上に慕っていた風間のおやっさん(柴咲)にもかつての勢いはなく、否が応でも月日の流れを痛感させられてしまう。
 
また、かつての恋人にはすでに子どもができており、その子がストーリーの鍵を握る存在となる。
 
 
パクりとまで言う気はないが、さすがにこれは類似点が多過ぎるというか。上映中、心の中で何度も「嘘だろオイw」「まんま龍が如くやんけ」と呟いてしまったことを報告しておく。
 
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しかも、そこからラストまでの展開が容易に読めてしまったのも……。
「龍が如く」は桐生が絶体絶命の状況からどう逆転するかが目玉となるわけだが、今作の場合は真逆。結末がバッドエンドにしかならないことは割と早い段階で予想できてしまう。
 
いわゆる“リアリティを追求した”結果なのだとは思うが、せっかくのフィクションなのだからもう少し起伏をつけてもよかったのではないか。
 
何だかんだで序盤の「山本賢治と侠葉会の追いかけっこ&バトルがピークでした」というのは何とも残念である。
 

登場人物に魅力がなさ過ぎた。「龍が如く」以外のオリジナルキャラが全部モブっぽい

そしてもう一つ。
僕が今作に乗れなかった理由として、登場人物に魅力がなさ過ぎたことがある。
 
今作は人気ゲーム「龍が如く」にガッツリインスパイアされている(と僕が思う)ことは申し上げた通り。
登場人物もそれに即したキャラが多数出てくるわけだが、「龍が如く」にはないオリジナル(と言うと語弊があるが)のキャラに絶望的に魅力がなかったことが何ともいただけない。
 
食堂の店主・木村愛子は山本とのつながりがほとんど語られないせいでモブキャラ感が抜けず、侠葉会の加藤雅敏はぶっちゃけ「新宿スワン」の社長にしか見えない。
 
昔から山本を知る刑事・大迫和彦は「龍が如く」で言うところの伊達真に当たる人物だが、物語が進むにつれてどんどん小物感満載のつまらないヤツと化していく。
 
弟分の細野竜太はピンポイントで出てくるだけのモブの割に、「最後の最後をお前が決めるんかい!」と突っ込みたくなるちぐはぐさ。
 
山本と由香の間に生まれた娘についてはもはや顔すら思い出せない。
 
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どっちつかずの木村翼。兄貴を慕う弟分なのか、やり手で嫌味な若手リーダーか。最後の最後まで判別がつかなかった

魅力のないキャラが勢が揃いの今作の中で、特に象徴的だったのが木村愛子の息子・木村翼。
 
ヤクザの汚れ仕事を肩代わりしつつ、“街の顔”として幅を利かせる若きカリスマ。複数の店を経営しながらバウンサーの役割も務める。
だが、もともとは実家の食堂に出入りしていた山本を心から尊敬する弟分キャラ。
 
正直、これだけのバックボーンがあるならもう少しやりようがあったと思うのだが。
 
 
動画配信を駆使してネット上で名を売り、リアルでは地下格闘技のスター。
ヤクザや警察の弱みを握ることで彼らとも対等に渡り合い、さらに経営店舗数を広げることを画策する。
 
字面だけではこのキャラがどっち側に位置するのかがいまいちわからないのだが、実際の映画を観ても最後まで判別がつかないのである。
 
散々策を弄したり動画や写真で弱みを握ったりと、駆け引きに長けたずる賢い部分をいちいち強調されるせいでまったく感情移入ができない。
その一方で山本を慕う気持ちは随所ににじみ出ている。
 
兄貴思いの弟分キャラでいくならもう少し“芯”が通っていてほしい。
逆に嫌味な悪役に振り切るのであれば、どこかの段階で山本を切り捨てる描写が必須。
 
結局最後の最後までどっちつかずのまま、「中華料理屋に殴り込み→先に乗り込んでいた山本とバッティング」という結末。
あそこのシーンも序盤の山本と中村のやり取りに対するアンサー的な演出だったのだと思うが、その割には中途半端としか言いようがない。
 
“令和のリアルな悪ガキ”像を表現したかったのは理解できるのだが、とにかくすべてが薄っぺらでちっとも乗れない。
せめてどういう経緯で翼がああなったのか、回想シーンによる説明でもあれば少しは違ったのかもしれないが。
 
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すべてが中途半端で薄っぺらい作品だった。兄貴分の中村をもう少しフィーチャーしてもよかったけどな

要は「すべてが中途半端で薄っぺらい」というのが、僕が今作に乗れなかった原因なのだと思う。
 
食堂の店主・愛子と柴咲組組長の絆、侠葉会の加藤雅敏と大迫和彦刑事の裏取り引きの経緯。さらに、素直だった木村翼がなぜあんなヤツになってしまったのか。などなど。
 
いろいろな要素を小出しにして、それを回収しないまま投げっぱなしで進んでいく。
しかもそれぞれに関わる人物に総じて魅力がない
 
エンタメとして観客を楽しませる気が感じられないというか、「俺のイケてる脚本/演出を見せてやんよ」という制作側の驕りや独りよがりが透けて見えるのが何とも痛々しい。
 
で、イキり倒した割には途中まではそのまんま「龍が如く」だしね。
 
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個人的には兄貴分の中村にもう少しスポットを当ててもよかったとは思うが。
 
身代わりで服役をさせたという引け目や、ことごとくいいとこ取りをされてしまう嫉妬心など。山本に対する複雑な感情を絡めつつ、シャブの取り引きに手を出すに至った部分を掘り下げれば。
 
出所した山本と中村の関係を中心に、柴咲組の復権に舵を切ればもう少しおもしろくできた気がしないでもない。
 
てか、シャブ中に堕ちる過程もワンカットで済ませちゃってるし、中村はいろいろと惜しいキャラだったなと。
 
 
繰り返しになるが、何から何まで中途半端で薄っぺらい作品だった。
 
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