サントリーの堅守にクボタ散る。アップセットが起きるとすればこの試合だと思ったけど。日本人SOってホントに育ってないんだな【2021.5.16ラグビー感想】

サントリーの堅守にクボタ散る。アップセットが起きるとすればこの試合だと思ったけど。日本人SOってホントに育ってないんだな【2021.5.16ラグビー感想】

2021年5月16日、大阪・花園ラグビー場ラグビートップリーグ、プレーオフトーナメント第2試合、サントリーサンゴリアスvsクボタスピーアズ戦が行われ、26-9でサントリーが勝利。5月23日に東京・秩父宮ラグビー場で開催される決勝戦でパナソニックと対戦することが決定した。
 
 
前日の第1戦、パナソニックワイルドナイツvsトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦に続き、サントリーとクボタによる第2戦が行われた花園ラグビー場。
僕もこの試合を以前から楽しみにしていて、当日は地上波生中継で視聴した次第である。
 
なお僕の試合前予想はサントリーの勝利。スコアはだいたい35〜30対20前後に収束するのでは? と申し上げている。
 
パナソニックvsトヨタ、サントリーvsクボタ予想。パナつええなぁ。クボタはワンチャンあると思ったけど…
 
結果は予想よりもロースコアとなったわけだが、今回も前回に引き続きそれを踏まえて感想を言っていこうと思う。
 

クボタの出来はよくなかった。最初に立て続けにラインアウトをミスったのが尾を引いたかな

まず全体的な感想だが、今回のクボタはあまり出来がよくなかった。
 
前週の神戸製鋼戦が激闘だったことに加え、サントリーvsリコー戦が中止になったことでスケジュール的なハンディもあったが、それを加味してもちょっとミスが多かったなと。
個人的にアップセットが起きるとすればこの試合だと思っていたので、この日のクボタのパフォーマンスは少々残念なものだった。
 
特に前半立て続けにラインアウトをミスしたのが本当に痛かった。
 
前週の激闘、蒸し暑さ、強風その他。
うまくいかない理由をあれこれ並べることは簡単だが、少なくとも9割以上の成功率を計算していたセットプレーでいきなりコケたのはいただけない。
 
その後もボールハンドリングのミスやペナルティ等、前回の神戸製鋼戦では見られなかった細かいほころびが多数発生し、最終的にサントリーにPG6本、DG1本を献上してしまう結果に。
・神戸製鋼戦ペナルティ:前半6、後半0
・サントリー戦ペナルティ:前半7、後半7
 
恐らくポゼッションの部分でもかなりの差がついていたと思うが、何だかんだで立ち上がりのラインアウトでモタモタしたことが最後まで尾を引いた気がする。
 

SOバーナード・フォーリーの出場停止は最大の敗因。勝ち筋があるとすればフォーリーが支配力を発揮することだと思っていたのに

さらに、前戦の反則によってSOのバーナード・フォーリーが出場停止を食らったのも痛かった。
というより、クボタの最大の敗因はバーナード・フォーリーの不在だとすら思っている。
 
僕が観たところ、クボタスピアーズはパワフルな突進力と流れるような連続攻撃、密集でのラフなファイトが持ち味のチーム。
 
LOルアン・ボタを中心としたゴリゴリのFW、縦突進が得意なCTB立川が接点で優位を確保し素早くボールを供給。SOバーナード・フォーリーが外に展開したり裏にキックを蹴ったり、そのまま縦に走り込んだり。開いたスペースを見つけ、瞬時に効果的なプレーを選択して流れを作り出す。
 
3本の槍というか、FW、CTB、SOに走れる&突破力のあるメンツを配置することでモールやラックの威力をより増大させるスタイル。
 
時にラフプレーが行き過ぎることもあるが、諸々の荒っぽさは格上相手にひと泡吹かせるには最適の方法と言えるのではないか。
 
特にサントリーは得点も多いが失点も多いチーム。
リーグ戦で26-33と肉薄、後半に激しいファイトから3トライを挙げていることを考えれば、流れさえ掴めばガチで可能性はある。
 
バーナード・フォーリーがどれだけ支配力を発揮できるかがキモだが、とにかくアップセットへの期待感は高かった。
 
と思っていたら、まさかの出場停止処分という。
相手ディフェンスを切り裂くFW、CTB、SOのうち、もっとも重要な司令塔を欠いてしまう事態に。
 
 
結局この日は立川が代役SOを務めたわけだが、案の定なかなか攻め手を見つけられず。
チャンスでミスが重なったこともそうだが、それ以上に立川の引き出しの少なさ、バリエーションの乏しさが際立っていた気がする。
 
また後半の途中で立川をCTBに戻して反撃を試みたものの、代わりに入った岸岡智樹は残念ながらさらに微妙。完全に“あっちが立てばこっちが立たず”の状態に陥ってしまった。
 
パナソニックがトヨタに苦戦しつつも後半に突き放す。続々退団が発表されてるけど、もう少しまともなシーズンで観たかった
 

無難に“仕事をこなした”サントリー。こちらも出来はよくなかったが、FWの堅実さとボーデン・バレットのPGで確実に加点しての勝利

一方のサントリーだが、こちらは無難に“仕事をこなした”印象が強い。
クボタ同様、出来自体はそこまでいいとは思わなかったが、それでも攻撃力の高いクボタのオフェンスをPG3本のみに抑えたことは賞賛されていい。
 
前回も申し上げたが、このチームの特徴はFWの堅実さにある。
トライ数だけを見ればBKを走らせる攻撃重視のスタイルに思えるが実はそうではない。むしろ密集での強さこそがサントリーの最大の持ち味と言える(気がする)。
 
試合を観るとわかるが、このチームはとにかくマイボールを渡さない。
接点での強さはもちろん、サポートメンバーの規律が高く、多少時間がかかっても確実にボールを出す流れができている。
 
常にマイボールをキープするおかげで相手のペナルティが増え、必然的にPGのチャンスが訪れる。
前回「サントリーは相手の格が上がるとオフェンスがなかなか機能しなくなるチーム」だと申し上げたが、堅実なFWとボーデン・バレットのPGがそれをうまく補っている。
 
 
要のバーナード・フォーリーを欠いたクボタに対し、ボーデン・バレットがPG6本、DG1本(計21点)を決めたサントリー。
タイトなスケジュールによる疲労度の違いはもちろん、両チームのSOの差がそのまま勝敗につながったと言えるのではないか。
 
パナソニックがサントリーを下す。無敗対決を制して6度目の優勝。FB野口竜司のプレーの軽さが流れを変えたよな
 

日本人のSOが育ってないよね。負担の大きいポジションを助っ人に丸投げするせいで日本人選手が居場所を奪われ、結果的に国際大会で人材不足に悩まされる

マジな話、トップリーグの試合を観ていると日本人のSOがあまり育っていない印象を受ける。
 
何年か前に日本代表SOの田村優が「トップリーグの各チームがSOに助っ人選手を起用するせいで日本人SOが居場所を奪われている」と言っていた記憶があるが、まさにその通り。
 
これは僕もひしひしと感じることで、現状レギュラーを張っている日本人SOがとにかく少ない。
どの試合を観ても各国の代表クラスのSOが勢揃いする反面、彼らと遜色のないパフォーマンスを見せているのは上述の田村優(キヤノン)とパナソニックの松田力也くらい。
 
高い技術を要するポジション、消耗の激しいポジションを助っ人選手に丸投げするのはチームスポーツにおける常識だが、ラグビーではそれがSOやFB、FW第3列、LOに相当する。
 
・野球で言えばクローザーや長距離砲
・サッカーで言えばFW
・バスケで言えばセンター
 
そして、いざ国際大会になると高い技術や強靭なフィジカルを必要とするポジションの人材不足に悩まされるという流れ。
中でもSOはラグビーにおいてチームの根幹をなすポジション。今後日本ラグビーがもう一段上にいくには、優秀なSOの育成が急務になるのかもしれない。
 
 
てか、アレなんですよね。
次に何をしたいか、どのコースにパスを出すかがだいたい読めてしまうのが……。
 
今回の試合でもサントリーのディフェンスはクボタの攻撃を落ち着いて止めていたし、実際これまですべての試合で20点以上挙げてきたチームがノートライに抑えられているわけで。
 
バーナード・フォーリーやサントリーのボーデン・バレットは「おお、そうくるか」というプレーが多いのだが、それに比べると立川や岸岡は見劣りすると言わざるを得ない。
 
恐らくキワの部分での差が大きいのだと思うが、僕の乏しい語彙力ではうまく言語化できないのが何とももどかしい。
 

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