パナソニックがサントリーを下す。無敗対決を制して6度目の優勝。FB野口竜司のプレーの軽さが流れを変えたよな【2021.5.23ラグビー感想】

パナソニックがサントリーを下す。無敗対決を制して6度目の優勝。FB野口竜司のプレーの軽さが流れを変えたよな【2021.5.23ラグビー感想】

2021年5月23日、東京・秩父宮ラグビー場で行われたトップリーグ2021プレーオフトーナメント決勝戦。パナソニックワイルドナイツvsサントリーサンゴリアスの一戦は31-26でパナソニックが勝利。トップリーグとしてのラストシーズンで通算6度目の優勝を飾った試合である。
 
なお今シーズン限りでの引退を表明しているパナソニックのWTB福岡堅樹はこの試合でもトライを決め、24日に開催された年間表彰式でベスト15とMVPをダブル受賞している。
 
また、同じくトップ15に選出されたサントリーのSOボーデン・バレットは来シーズンからブルーズと2年契約を結び、母国NZでプレーしながら23年のフランスW杯を目指すことを表明した。
 

実力伯仲同士のおもしろい試合だった。各国のスター選手が多数来日した今シーズンは楽しかったぞ

リーグ戦無敗同士の一騎討ちとなったトップリーグ2021シーズン、プレーオフトーナメント決勝戦。
当初から戦力的には頭一つ抜けていると言われた2チームが順当に勝ち上がってこの日を迎えたわけだが……。
 
もうめちゃくちゃおもしろい試合だった
実力伯仲、コンディションも互角、天候もバッチリという中、最後までどちらが勝つかがわからない試合展開にテンションが上がりっ放しだった次第である。
 
 
またサントリーのボーデン・バレットやNTTドコモのTJ・ペレナラを始め、各国から有名選手が多数トップリーグに所属した今シーズン。新型コロナウイルスの影響で満足なリーグ戦が開催できない中、それでもスーパースターたちのプレーを堪能できたことは本当に素晴らしかった。
 
マピンピ加入のNTTドコモに注目。でも、チームスタイル的にNTTドコモじゃマピンピを生かしきれないような…
 
来年以降新リーグがどうなるのかは不明だが、今後も日本ラグビー界のさらなる発展を願っている。
 

予想外の展開が多かったな。サントリーが4トライも取るとはね

具体的な感想だが、今回はいろいろと予想外の展開が多い試合だった。
 
前回記事で述べた僕の予想は、
・勝利予想はパナソニック
・得点は20〜25点-10〜15点。だいたい10点差くらいじゃない?
・パナソニックは2トライ前後、サントリーは1トライ取れるかどうか
・サントリーが勝つには25点以上ほしい
だいたいこんな感じである。
 
パナソニックvsサントリー予想。サントリーが勝つには25点以上必要になる? でもパナソニック有利だと思うな。FB野口竜司に期待
 
両チームの特徴、パナソニックのペナルティの少なさを踏まえると、サントリーがPG合戦に持ち込むのは難しい。
 
勝利するにはトライを奪う必要があるが、パナソニックのディフェンスとサントリーの攻撃力を比較するとあまり多く取れる気はしない。
 
取れたとしてもせいぜい1本、うまくいけば2本。GKを両方決めて、なおかつPGを4本成功させれば計26点。
目標? の25点をギリギリ達成するわけだが、果たしてそんなにうまくいくか。
 
 
だが実際にはパナソニックのトライ3本に対し、サントリーが奪ったトライは4本。
しかも不利だと思っていた後半に3本を返して怒涛の追い上げを見せるという。
 
正直、前半を23-7で終えた時点ではサントリーにここまでの底力が残っているとは思わなかった。
 

前半はだいたい予想通りの展開だったよね。サントリーが攻めあぐね、パナソニックがPGで確実に加点する

一応申し上げておくと、前半は「なるほど」という流れだったと思う。
 
パナソニックの堅守を崩すにはSOのラン、中央付近での強い当たり、密集サイドの細かいつなぎが有効。
特にディフェンスの詰めが早い分、細かくアングルを変えながらの波状攻撃はめちゃくちゃ効果がある。
SOのボーデン・バレットが自らスペースに走り込むなど、対パナソニックの戦術としては悪くなかった。
 
だが、それでトライが量産できるかと言えばそうでもない。
サントリーのオフェンスはFWの突進を起点とするスタイルで、どちらかと言えばじっくり攻める方が得意。準々決勝のキヤノンや準決勝のクボタが見せたようなスピーディなランニングラグビーとは少し違う。
 
サントリーの堅守にクボタ散る。アップセットが起きるとすればこの試合だと思ったけど。日本人SOってホントに育ってないんだな
 
要するに球出しに時間をかける分、パナソニックがディフェンスを整える時間ができることになる。これがサントリーがあまりトライを量産できないと思っていた大きな要因である。
 
で、案の定、前半は終了間際の中村の1トライのみ。
再三惜しいシーンは作ったものの、そのつどパナソニックのディフェンスに阻まれるパターン。
 
開始直後にサントリーが左隅で大チャンスを作ったり、逆にパナソニックのディラン・ライリーがインターセプトで独走トライを挙げたり。
立ち上がりこそ「これは点の取り合いになるか?」と思わせたものの、そこからはSO松田がPGを決めつつチャンスでWTB福岡が外側へ走り込むという、いつものパナソニックのラグビーが展開されていた。
 

後半のサントリーの底力。FB野口のキックミスから一気に流れが変わった

ところが、後半に入るとサントリーが底力を発揮する。
 
開始2分でいきなり連続攻撃からトライを奪うと、30分にはパナソニックFG野口のキックミスからボールを獲得、そのままパスをつないで3本目のトライ。GKも決まり、9点差まで詰め寄る。
 
その後38分に再びトライを挙げて5点差まで追いすがるも、惜しくもタイムアップ。
 
だが、後半に強さを発揮するパナソニック相手にあそこまで食い下がったことは文句なしに素晴らしい。
やはりこれまでのチームと比べてサントリーは一段上だと思わせる粘りだった。
 
パナソニックがトヨタに苦戦しつつも後半に突き放す。続々退団が発表されてるけど、もう少しまともなシーズンで観たかった
 
まず大きかったのが、後半開始早々に1トライを返したこと
サントリーのSH流のハイパントをパナソニックのFB野口が前に落としたところから怒涛のカウンターを仕掛けてのトライ。パナソニック攻略に有効だと申し上げた連続攻撃で一気にゴールラインを割って見せた。
 
前半終了間際に松田のPGによって流れを止められたあとだっただけに、あの1本はかなり効果的だった。
 
これまでのチームがガタガタと落ちていったところを寸前で食い止めたという意味でもさすがだと思わせたし、パナソニックに対してこのまま引き離される気はないという意思表示にもなった。
 
そして後半30分の齋藤直人のトライ。これで完全に流れがサントリーに傾いたなと。
 
申し上げたようにFB野口のキックミスに乗じてサントリーが一気にトライを奪ったわけだが、正直この試合の野口竜司はあまり出来がよくなかった。
簡単にボールを離して相手に渡してしまうシーンが目立つなど、全体的にプレーが軽かった気がする。
前回のトヨタ自動車戦で絶好調だったので期待していたのだが、残念ながら今回はそれが裏目に出てしまった印象である。
 

松田力也の負傷交代とボーデン・バレットのFB配置のタイミングが見事に合致。本当にすごい追い上げだった

また、パナソニックはSO松田力也の負傷も痛かった。
直前のGKでつまづいて足をおかしくしたようだが、SOが山沢に交代して以降、攻めが若干単調になったような……。
 
恐らく山沢はボールを動かすのが得意なSOなのだと思う。
ランナーを裏に走らせたりFWをライン参加させたり。
多彩なパスで味方をコントロールすることに長けたタイプで、キック中心のパナソニックのスタイルとは若干噛み合わせが悪い(気がする)。
 
正確なキックと力強いランでスペースをこじ開ける松田力也はパナソニックの標榜するキッキングラグビーにめちゃくちゃフィットするが、味方を動かしたい山沢は対サントリーとしては少しだけ乖離がある(気がする)。
 
 
・後半開始直後のトライ
・SO松田力也の負傷交代
・FB野口竜司の不調
に加え、一時的にボーデン・バレットをFBに置いたことも効果的だったのではないか
 
後半20分過ぎで16点差。
ここから先は攻めるしかない状況の中、サントリーはランニングスキルの高いバレットを広いスペースで走らせる作戦に。
しかもパナソニックはSO松田力也が負傷交代するという最悪のタイミング。
パナソニックに与えた精神的なプレッシャーは小さくなかったと想像する。
 
NTTドコモレッドハリケーンズがトヨタ自動車に敗れてシーズン終了。トヨタのスピード感がすごかった。TJ・ペレナラ、マピンピ退団
 
結果的に一歩及ばず敗れはしたが、後半のサントリーの追い上げは本当にすごかった。
逆転を許さなかったパナソニックの粘りを含め、間違いなく日本の頂点を決める一戦だったと断言できる。
 
 
でもアレっすね。
パナソニックはFL福井翔大とHO堀江翔太がナイスプレーでしたね。
ここぞの場面で「これは!!」というプレーが出るのも強いチームの証明なのかもしれません。
 

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