ルイス・ネリ陥落。フィゲロアとの打ち合いに根負け&ボディを被弾で撃沈。いい試合だったけど何であんなに自信たっぷりだったんだろうな【結果・感想】

ルイス・ネリ陥落。フィゲロアとの打ち合いに根負け&ボディを被弾で撃沈。いい試合だったけど何であんなに自信たっぷりだったんだろうな【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2021年5月15日(日本時間16日)、米・カリフォルニア州で行われたWBC/WBA世界S・バンタム級王座統一戦。WBA同級レギュラー王者ブランドン・フィゲロアとWBC同級王者ルイス・ネリが対戦し、7R2分18秒でフィゲロアが勝利。王座統一を果たすとともにWBAスーパー王者に昇格、内定していたWBO同級王者スティーブン・フルトンとの3団体統一戦にコマを進めた一戦である。
 
 
階級をアップしたルイス・ネリが迎えた王座統一戦ということで注目を集めていた今回。
 
だが、僕自身はこの日はボクシング以外にもラグビー、MMA、野球といろいろなスポーツを観戦しており、なおかつすべての時間帯が微妙に被っていたせいで大忙しの1日を送る羽目になった次第である。
 
・ラグビー(サントリーvsクボタ)
クボタはSOバーナード・フォーリーの欠場が痛かった。
立川をSOで使えばいいという声もあったが、いや、そうじゃない。あの選手はあくまでCTBにいてこそ。LOとCTBにインパクトプレイヤーを配置し、SOがスペースを見つけてディフェンスを崩すことができて初めてクボタに勝ち筋が見える試合だった。
 
後半からそれに気づいてようやく立川をCTBに戻していたが、仮にあのままSOで使い続けた場合は僕の中のグレタ・トゥンベリさんが発動するところだった()
 
 
・MMA(UFC、マイケル・チャンドラーvsチャールズ・オリベイラ、トニー・ファーガソンvsベニール・ダリウシュ)
僕の好きなファーガソンとチャンドラーが両方負けてしまった……。
ファーガソンは前回のチャールズ・オリベイラ戦からダメージの蓄積が顕著で、ちょっと心配になるレベル。まだまだ引退はしないと思うが、今後はどういう方向でいくのか。
 
チャンドラーは負けるとすればああいう一発かなぁと思っていたが、マジでその通りになるとは。
 
てか、オリベイラの苦労人っぷりをやたらと強調する実況が気に入らんのですよ僕ぁ。
“Mr.ベラトール”のブランドを長年守り続けてきたチャンドラーも十分すごい選手ですからね。
 
 
・野球(ロッテvs西武)
ロッテの佐々木朗希の初先発試合。
5回107球、被安打6、5奪三振、2与四球、4失点(自責点2)で勝ち星つかずだったわけだが、はっきり言ってかなりよかったと思う。
エンジンのデカさ、ポテンシャルの高さはダルビッシュ有、大谷翔平、藤浪晋太郎にも引けを取らないし、同年齢時点での完成度は佐々木朗希の方が上。
 
しかも制球重視で投げているのに平均150km以上出しているのが……。
足を高く上げる分、ランナーには走られまくりだったが、これは冗談抜きでヤバい逸材だと思いますよ、ええ。
 
 
ついでにMLBタンパベイ・レイズをDFAになった筒香嘉智がLAドジャースと契約したというニュースが。
なおドジャースは数日前にLAエンジェルスからDFAになったアルバート・プホルス獲得を発表したばかり。
 
正直、これは何がしたいのかがいまいち理解できない。
アスリート能力ゼロの1塁or3塁専門鈍足マンを2人も囲うことにどこまで意味があるのか。
比較的筒香には好意的だった僕でさえ、今シーズンの体たらくっぷりには愛想を尽かしていたというのに。
 
 
などなど。
いろいろなことが同時進行していたせいで、結局どれにも集中できずにすべてが中途半端に終わるという笑


 
ルイス・ネリの成長と割り切り。無敗のカルロス・カストロからダウンを奪って背水の復帰戦で判定勝利。今回はなかなかよかったんじゃないですかね
 

ルイス・ネリの調子は悪くなかったが、アレじゃ勝てないんですよね。前半から圧倒するくらいじゃないと

前置きが長くなったがそろそろ本題に。
 
まず今回の試合、ルイス・ネリの調子は悪くなかったと思う。
前回のアーロン・アラメダ戦と違ってクリンチを強引に振りほどいたりといった思い切りのよさも戻っていたし、「ガードを上げてコンパクトなジャブを意識して〜」などという“らしくなさ”も消えていた。
エディ・レイノソのもとを離れて出直しを図ったことはマジで正解だったのではないか。
 
と同時に、体格的にS・バンタム級では少々キツいというのもはっきりした試合だった。
申し上げたようにこの試合のネリは普通に調子がよく本来の思い切りのよさも取り戻していた。好戦的な相手だったこともあり、持ち味の両腕をぶん回す連打もよく機能していた。
 
だが、それでも勝てる感じはまったくせず。
 
対戦相手のブランドン・フィゲロアは身長173cm、リーチ183cmという、この階級ではサイズのある選手。グイグイ前に出て距離を潰して近場で腕を振りまくるスタイルで、これまで21勝のうち16のKOを挙げている。
 
ルイス・ネリと同じ連打型ではあるが、射程自体はネリよりさらに近い。
大柄な身体を活かして覆いかぶさるように間合いを詰め、打ち下ろし気味の連打をまっすぐの軌道で浴びせまくる試合運びを得意とする。
 
前回の予想記事で「この試合は自分の間合いを作れた方が有利になる」「ルイス・ネリが勝つには前半からどんどん押し込む必要がある」と申し上げたが、多くの時間を自分の間合いで打ち合えていたのはフィゲロアの方。
 
ルイス・ネリがフィゲロアに勝つには? パワーで押し負けずに中盤までにKOすることかな。レイノソから離れたのは正解だったと思ふ
 
ネリもフィゲロアを突き放して何とか得意な距離をキープしようとしていたが、その都度フィゲロアの圧力を抑えきれずに後退させられてしまう。
ポイント自体は競っていたと思うが、時間が経つごとにネリの体力、精神が削られていく様子がはっきりと伝わってきた。
 
 
いや、あれじゃダメなんですよねルイス・ネリは。
「互角にやれている」とか「やや有利」とかでは全然間に合わない。
それこそ前半を6-0or5-1で圧倒するくらいじゃないと。
 
案の定5Rあたりで一気に失速したし、できもしないアウトボクシングを始めたりもしていた。
連打型の選手が腕を上げるのをダルそうにするなんて、絶対見せたらアカン姿でしょと。
 

いつも通りのフィゲロア。打ち合い上等、被弾上等の激闘型連打マン。打ち合いの中でも冷静さが垣間見える。嫌いだけど

一方のブランドン・フィゲロアだが、こちらはほぼいつも通り。
相変わらずの激闘型で、被弾をいっさい厭わないファイトは関心するとともに少々おっかなくもある。
 
 
恐らくだが、この選手は打たれることに慣れっこなのだと思う。
今回も初回にネリの剛腕をまともに浴びてガクッとくる場面があったが、それ以降もいっさい動きは変わらず。
ネリの連打を警戒するどころか「近場の方が安全だし!!」とでも言わんばかりにゴンゴン前に出て打ち合いを挑んでいくという。
 
激しい打ち合いの中でも要所でボディを突き刺したり、微妙に頭の位置を変えて芯を外したりと場慣れ感も尋常じゃない。
ネリにロープを背負わせて打ち合う際、頭を下げたフックでカウンターを狙う姿などは少しだけ長谷川穂積を彷彿とさせた。
 
大きな身体、長い腕に加えてあまり顔が腫れない体質。まさしく“打ち合い上等マン”と呼ぶにふさわしい選手である()
 
嫌いだけど。
 
 
だが、被弾前提の打ち合い上等なスタイルのせいか、ポイント勝負はあまり得意ではない。
この試合もポイント的には互角(むしろルイス・ネリがリード?)だったし、豪快な体重超過で試合に臨んだフリオ・セハ相手には引き分けてもいる。
 
要するに近場の連打で打ち負けない馬力、耐久力、正面衝突で押し負けないフィジカルがあり、それを12R続ける根気よさとスタミナを兼ね備えていれば打倒フィゲロアの可能性は見えるということになる。
 
そして、誰がそれをできるの?
 
この試合を観る限り、現状足を止めて打ち合うタイプ、前に出てプレッシャーをかけるタイプの選手がブランドン・フィゲロアを攻略するのは相当難しいと言えそうである。
 
嫌いだけど。
 
パッと思いつくところでは、ジェネシス・セルバニアに勝利した何たらカストロ(興味がなさすぎて名前が出てけえへんw)とか?
 
 
諸々を踏まえると、比較的戦術に幅のあるスティーブン・フルトンとの対戦は興味深かったりする。
 
パッキャオvsウガス戦他展望。スペンス離脱による代打ウガスどうよ? パッキャオは今回がラストファイトで大統領選に出馬するとか
 

ルイス・ネリはなぜこの試合に前のめりだったのか。コメントからも自信に満ち溢れていたし。どう見ても不利予想しかできなかったけど

以前にも申し上げた記憶があるが、なぜルイス・ネリはこの試合にあんなに前のめりだったのだろうか。
コメントの端々から自信に満ち溢れているのが伝わってきたし、アーロン・アラメダ戦の出来で躊躇なく統一戦に凸れたことが不思議で仕方ない。
 
この選手がやたらとWBCから優遇されるのは無敗ブランドがあってこそだと思っていたので、てっきり守りに入ってもおかしくないと思っていたのだが。
 
もしアレなら何戦か防衛戦を挟むなり、適当な理由をつけて階級への適応を優先してもよかった気も……。
 
 
僕自身、何度も連呼してきた通りこの試合で応援していたのはルイス・ネリの方。
正直どちらが勝ってもよかったのだが、ネリが勝ち残った方がおもしろくなりそう&ブランドン・フィゲロアのことが好きじゃないという理由からネリを応援していた次第である。
 
負けんなルイス・“パンテラ”・ネリ。ブランドン・フィゲロアとの統一戦に合意? お前が勝たないとつまらねえんだよw でもフルトンとかアリームの方が強そう…
 
だが、その僕でさえ()ルイス・ネリが勝つ姿を想像するのは難しかった。
ネリのことがお気に入りになるくらい過去の試合を観まくった上で、「いや、やっぱり勝てねえんじゃねえの?」と。
自分を客観視できない子なら、周りに静止する人はいなかったの? みたいな。
 
逆に今回のコンディションを維持したままバンダム級に落とせるのであれば相当いい線いきそうだが、今さらそれも難しいのだろうと。
 
 
マジな話、ルイス・ネリは今後どうするのか。
“無敗ブランドを失ったそこそこ強い元王者”にどれだけ商品価値が残っているのかは不明だが、いろいろな意味でルイス・ネリの動向は興味深い。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 




 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!