ジョー・スミスがフォンファラにアップセット!! 1RでのTKO勝利でトップ戦線殴り込み? 群雄割拠のL・ヘビー級たまりませんな【結果・感想】

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シカゴの町イメージ
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2016年6月18日(日本時間19日)に米・イリノイ州シカゴで行われたL・ヘビー級10回戦。WBC同級2位のアンドルー・フォンファラvsジョー・スミス・ジュニアの一戦はジョー・スミスの1R2分32秒TKO勝ち。
格上のフォンファラがジョー・スミスにまさかのKO負けを喫する波乱の結末である。

「ホプキンス引退!! ジョー・スミスにリングアウト負けで伝説に終止符。出がらし状態の51歳がラストマッチで豪快に散る」

WBCを始め、各団体でランキング上位につけるフォンファラにとって大きな痛手となった敗戦。対するジョー・スミスはこれまでのローカルヒーローの立場から一躍トップ戦線に躍り出る大チャンスをものにした形となり、今後のL・ヘビー級がますます混沌とし始めている。

なお、今回はWBCインターナショナル・L・ヘビー級タイトルのかかった試合として行われた。

「ウォーレンがパヤノに雪辱!! マジいい試合!! 階級屈指のテクニシャンがバンタム級最強ファイターとのダイレクトリマッチを制す」

注目度の低い試合だが、観て大正解!! ジョー・スミスが実力者フォンファラにKO勝利

ジョー・スミス・ジュニアのアップセット!!

実力者アンドルー・フォンファラを相手にまさかの1RKO勝利である。

いや、しかし。
この試合はちょっとビックリした。

先日の記事で、
「L・ヘビー級のレベルが高い」
「フォンファラvsジョー・スミス戦は期待できる」
と申し上げたばかりだが、まさかこんなタイムリーなタイミングでアップセットが起きるとは。

「俺的PFPのNo.1コバレフ登場!! ところでL・ヘビー級ってレベル高くね?」

確かにここ最近のL・ヘビー級(この前観始めたばかり)は戦力がかなり拮抗しているので、まさかの逆転はあり得るのではないかと思っていた。
しかも打ち合い上等のフォンファラである。アップセットは十分に考えられると思っていたが、実際に起きてみるとやっぱり驚いてしまう。

一歩間違えれば奈落の底に落ちる危険性を孕んだ真の群雄割拠。誰がトップ戦線を脅かしてもおかしくない。それが現在のL・ヘビー級の状況である。

決して日本での注目度が高い試合ではないのでスルーしてもよかったのだが、L・ヘビー級大好き人間(ファン歴5日)としては見逃すわけにはいかない試合の1つであり、結果的には大正解であった。

「え、コイツと? アンドレ・ウォードがアレクサンデル・ブランドと激突」

フォンファラの悪い癖を徹底的に研究し、それを実行したジョー・スミスの作戦勝ち

ジョー・スミス・ジュニアの過去の試合を観た僕の印象をひと言で申し上げると、「パンチ力があって堅実な選手」。

ガードを高く上げてプレッシャ―をかけながら左右のフック、ストレートを打ち込んでいく。やや攻防分離の傾向も見られるが、相手の攻撃をしっかり受け止める防御技術にパンチ力を兼ね備えた選手。そんな感じであった。

今回の試合で注目していたのはジョー・スミスのフィジカル面である。
間違いなくいい選手ではあるが、果たしてトップ級を相手にしても前進し続けるだけのフィジカルがあるか。トップ戦線に絡むために、ファイタータイプの相手に当たり負けしないだけの身体の強さを持っているか。
そういう意味で、今回のフォンファラとの試合はジョー・スミスの力を測るいいマッチメークだと思っていた。

「ウィリー・モンロー・ジュニアやっぱりいい選手!! トンプソンに判定勝利で健在ぶりをアピール」

試合を観ての率直な感想を言うと、ちょっと厳しいかな?
これが僕の結論である。

もちろんフォンファラに勝ったことは素晴らしい。この大チャンスを見事ものにしたジョー・スミスには「ナイスファイト」という言葉しか見当たらない。
 
「L・ヘビー級アツ過ぎもっと盛り上がって(^○^) バレラがスミスに大差判定勝利。神々の階級」
 
だが、勝因はあくまで作戦勝ち。
しかもダウン寸前まで追い込まれた状態からの一発大逆転勝利である。

恐らくジョー・スミスは今回の試合に向けて、フォンファラを相当研究してきたのだと思う。
 
「スティーブンソンがフォンファラを2RKO!! 顔面かち上げたろか? と言わんばかりの自慢の左が炸裂」
 
相手にグイグイ来られるとムキになって押し返してくるところ。
背筋を伸ばした構えでガードが低いこと。
そのため、打ち合いの最中に顔面がガラ空きになりやすいこと。
面長の顔面がカウンターで狙いやすいこと

試合開始とともにどんどん前に出て、頭を押し付けるようにフックを振り回す。絶対にガードは下げずにアゴを引いて致命打を避ける。
レフェリーのブレイク指示で引きはがされても、すぐに頭を振りながら身体を密着させる。
そして、対抗意識を燃やしたフォンファラの攻撃が雑になったところに相打ち覚悟のカウンターをドカン。

「サンタクルスとフランプトン予想!! 身長と体格のサンタクルスに高速コンビネーションのフランプトンか?」

つまりジョー・スミスはフォンファラの悪い癖を徹底的に研究し、その癖を引き出す方法を捨て身で実践したのである。

実際、あのカウンターが当たるまでのジョー・スミスはフォンファラにダウン寸前まで追い込まれていた。頭が当たるほど前に出て打ち合ってはいたものの、残念ながらパワーやボクシングのテクニックではフォンファラに劣っていた。
ジョー・スミスの突進に対し、サイドへ小さく身体を入れ替えてスペースを作り、ショートアッパーで的確にダメージを与えるフォンファラ。
ガードは高いが、下からの攻撃に弱いことにフォンファラは気づいていたのだろう。そのフォンファラの攻撃にジョー・スミスは突進力を失い、足下がおぼつかない状況に陥っていたのである。
 
「バドゥ・ジャックはすげえだろ? クレバリーを問題にせず圧勝。驚いたかオイ? 俺は驚いたぞww」
 
そして残り1分強。
フォンファラが猛攻に転じてガードが雑になった瞬間、相打ち覚悟のジョー・スミスが放ったオーバーハンドの右がドンピシャでヒットしたという流れである。

「ヘビー級No.1候補ジョシュアがデカイだけの人ブリージールを屠って勝利!! そりゃそうだろ」

すばらしい勝利だったが、ジョー・スミスのピークはここまでかなぁ……

格上の選手を相手に徹底的に研究を重ね、相打ちをも覚悟して前に出たジョー・スミスの勇気と実行力はすばらしい。今回の勝利は間違いなく賞賛されるべきものであり、自らの拳で道を切り開いたジョー・スミスは最高だった。

だが、ラウンド後半のあの攻められ方を見ると、この選手にトップ戦線を勝ち抜けるほどのフィジカルがあるとは正直思えなかった。
たとえばコバレフの対抗王者であるアルツール・ベテルビエフのように、ガードがしっかりした強打の理詰めタイプには何もさせてもらえず倒されてしまうのではないだろうか。
あのくらいのフィジカルでは、ベテルビエフにゴリゴリプレッシャ―をかけられてコーナーでラッシュを浴びておしまいというのが濃厚ではないかと思える。

まあ、王者クラスとどうこう言うのは気が早い話だが。

「アンドレ・ウォード降臨!! サリバン・バレラを大差判定で下す」

ただ、ハイレベルなL・ヘビー級で頭角を表すにはちょっと力不足。今回の勝利は文句なしにすばらしいが、ここからセンセーションを巻き起こす可能性は低い。
今回の試合で名前が売れたことを利用して、次戦で有力どころの相手に指名される。そのくらいがたどり着ける限界というのが僕の結論なのだが、どうだろうか。

もちろん、この試合で自信をつけて一気に覚醒する可能性も否定できないので、あまりうかつなことは言えないのだが。

「ロマチェンコがゴロフキン化? マルティネスに手も足も出させず完勝!!」

アルツール・ベテルビエフもマジでいい選手。何でこの階級をスルーしてたんだろww

しかしベテルビエフもめちゃくちゃいい選手ですね。
マジでなんなの? この階級。

思いきって三団体の王者+アンドレ・ウォードでトーナメントでもやってもらえないだろうか。

セルゲイ・コバレフvsアンドレ・ウォード
アルツール・ベテルビエフvsアドニス・スティーブンソン
この試合の勝者同士で決勝戦とか、そんな感じで。

「“カネロ”アルバレスがリアム・スミス挑戦にファン失望?」

個人的に「本物」だの「ベルトの重み」だのと言う主張が大嫌いな人間なのだが、この階級はマジで本物揃いである。団体やテレビ局の垣根を越えたところでの対抗戦がぜひとも見てみたい。

そして、これまでこの階級を適当に流して観ていた自分の無能さを思いっきり恥じたいww
やっぱり見た目の派手さやネームバリューだけに惑わされちゃいかんよね。

※「現地に行く人間>テレビ観戦する人」←この考えも反吐が出るくらい嫌いですけどね。僕が会場で生観戦したくない理由のトップがこれ。こういう人間と同じ空気を吸いたくないから

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