重岡銀次朗vsペドロ・タドゥラン。回転力の違い、vsサウスポーのキャリア、上半身の硬さ。3150fightが今回で消滅だって【結果・感想】

重岡銀次朗vsペドロ・タドゥラン。回転力の違い、vsサウスポーのキャリア、上半身の硬さ。3150fightが今回で消滅だって【結果・感想】

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2024年7月28日に滋賀県で開催された「3150Fight Vol.9」。メインイベントのIBF世界ミニマム級タイトルマッチで王者重岡銀次朗が同級1位ペドロ・タドゥランと対戦、9R2分50秒TKOでタドゥランが勝利した試合である。
 
 
先週末はプロレス観戦やら外出やらでボクシングを追えず。
ようやく落ち着いたので3150Fight Vol.9のメインカードを(見逃し配信で)視聴した次第である。
 
WWE日本公演現地観戦。中邑真輔、AJスタイルズ、コーディ・ローデスの三大スター揃い踏み。でもスポーツイベントとしては微妙。過剰な交通規制の意味あった?
 
結果はまさかの重岡銀次朗陥落。今年3月に兄の重岡優大が負けたことは知っていたが、弟までも……。
 
 
しかも今回で3150fightそのものが消滅するとのこと。


2021年12月のスタートからファイトマネー増額や専属契約等、ボクシングの慣習を変えようとがんばってきたが、ここでいったん終了→今後は別の形態でリスタートするらしい。
 
これに関してはちょっとびっくりだったが、諸々を含めて感想を言っていくことにする。
 
平岡アンディvsイスマエル・バロッソ、佐々木尽vsカミル・バラが楽しみ。大橋プロモーションのイベントでは久々に納得感がある笑
 

ペドロ・タドゥランは好きな選手。日本での試合が始めてなのが意外だった

まず挑戦者ペドロ・タドゥランは個人的にかなり好きな選手。
2018年8月に当時無敗のワンヘン・ミナヨーティンと対戦、判定負けながらもいいパフォーマンスを見せた選手である。
 
特にワンヘンの連打に負けないテンポのよさは目を引いた。
 
その後寺地拳四朗の練習パートナーを務めたりとちょくちょく名前を聞いていたのだが、意外にも日本で試合をするのは今回が初めてとのこと。
 
前のめり過ぎる拳四朗。粘りと誤魔化しのカニサレス。長谷川穂積っぽさがさらに増した気が…。京口戦が一番バランスがよかった
 
重岡に挑戦すると聞いた際は「お、タドゥラン久しぶり」「今度こそ勝てればいいね」などとテキトーなノリで受け止めたことをお伝えする笑
 

連打型のタドゥランに重岡はついていけず。vsサウスポーの経験値にも差があった

実際の試合だが、重岡銀次朗はタドゥランのテンポについていけなかったなぁと。
 
申し上げたようにタドゥランはワンヘンと真正面から打ち合ってもスピード負けしない連打型。
ガードが高く前手の右が多彩、1発当てた後はどんどん回転力を増していく。
こういうタイプはサウスポー同士の対戦を得意とする印象である。
 
井上尚弥と対戦したルイス・ネリもそうだし、タドゥランと似たスタイルのマーロン・タパレスも前手の右を駆使してムロジョン・アフマダリエフに勝利している。
 
今回も回転力に加えてサウスポーが得意という属性が発揮された試合だった。
 
 
逆に重岡銀次朗はサウスポー同士の対戦に慣れていなかった(と思う)。
 
もともとこの選手は前に掲げた右腕を揺らして侵入を防ぐスタイル。
相手が入ってきた瞬間に一歩下がる→右フックをカウンターで合わせるパターンを得意とするが、サウスポー同士ではこの右がいまいち機能しない(角度的に)。
 
しかも両者の立ち位置はタドゥランの右がちょうど当たる場所。
外旋回気味の重岡の右は間に合わず、タドゥランの右はガードの内側を通過する。
 
さらに重岡は上半身が硬くパンチを芯でもらいやすい。
高いガード+絶えず上体を動かすタドゥランとは1発の精度にも差があった。
 
井上尚弥vsマーロン・タパレス雑感。先人の残した情報を総動員して大健闘したタパレスがすげえ。井上の相変らずのヤンキーマインドにも安心した笑
 
キャリアを振り返っても両者の経験値は明らかである。
これまでサウスポー対決を4、5戦経験しているタドゥランに対して重岡は2019年12月の1戦のみ。
兄の優大と練習してきたとは思うが、正直タドゥランと優大ではまったくタイプが違う。
 
 
テンポの違い、相性、慣れ、などなど。
重岡銀次朗にとってタドゥランは絶対に関わってはダメな相手だった(気がする)。
 

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早い段階で右目がふさがった重岡はやむを得ず接近戦に。完敗でしたね

2Rに早くも右目がふさがった重岡はやむを得ず接近戦に応じる。
 
恐らく重岡が得意なのはもう少し離れた位置。
2023年10月のダニエル・バラダレスVol.2ではバラダレスを中間距離でしっかり削ってからボディで沈めている。
 
だが、タドゥランの連打についていけない&片目がふさがった状態ではいつもの距離で対峙するのは不可能。
近い位置で勝負せざるを得ず、なおさらタドゥランに回転力を発揮されてしまう。
 
 
タドゥランも序盤は右ジャブから組み立てていたが、5、6Rあたりになると1発目から左のビッグパンチを振るうようになる。この辺は重岡の右目がふさがった&ジャブに脅威を感じなくなったからだろうと。
 
7Rに疲れが見えたタドゥランだが、重岡にはそこから盛り返す力は残っておらず。
9R後半にロープ際で連打を浴びたところでレフェリーが試合をストップ。直後の朦朧とした表情を含めて完敗中の完敗だった。
 
アンソニー・オラスクアガvs加納陸。ちょっと力の差があったかな。加納陸は下がったらアカンと思ってたけど。オラスクアガはアッパーがよかった
 

3150fightが今回で消滅。去年あたりから「視聴数」「継続」のお願いツイートが目立ってたけど…

そして表題の件。
 
今回で3150fightがいったん区切りとのこと。
これにはちょっと驚かされた次第である。
 
 
ただ、ファイトマネーの遅延(の噂)や突然の対戦カード消滅等、少し前から「これはマズいんじゃねえか?」という雰囲気があったことも確か。
 
去年あたりから亀田興毅の「視聴数」「継続」等のお願いツイートを見かけるようになったが、AbemaTVからもキツい突き上げがあったのかもしれない。


そこにレラト・ドラミニのドタキャン、マッチルームとのコラボイベントの中止と冗談のようなトラブル? が重なり……。
 
看板ファイターの力石政法が離脱、ヘビー級の但馬ミツロは3月の敗戦以降音沙汰なしとにっちもさっちもいかなくなったのだろうと。
 
亀田和毅がレラト・ドラミニに判定負け。でもめちゃくちゃ見ごたえがあった。ドラミニの予想以上の強さと想像と真逆の展開
 

3150fight Vol.7の悪評が大きかったと思うんだよね。僕も「2度と行かねえ」ってなったし

個人的に3150fightの失速は2023年10月の「3150fight Vol.7」(東京・大田区総合体育館)が大きいと思っている。
 
この日は僕も現地観戦したのだが、あまりの進行の遅さに「もう2度と行かねえ」となった。
 
3150FIGHT Vol.7現地観戦。尋常じゃないテンポの悪さ。「演出がんばってるでしょ?」の押し付けがヒドい。試合は見ごたえ十分なのに
 
第1部と第2部の間に1時間以上の空白。
その間観客はほったらかしで、いつ再開するかのお知らせもない。
 
いや、ウソだろ?
いくら何でもこれはスポーツイベントとして常軌を逸してねえか?
 
演出を派手にするのは結構だが、それよりも先に解決するべき問題があるだろと。
 
暇を持て余し過ぎて空を撮りにいったほどである笑


 
亀田興毅によるといろいろと想定外の問題が起きていたらしいが、いや、知らんがな笑


後日調べてみたところ、あのイベントについては多くの方が(進行の悪さ+メインの塩試合っぷりに)辛辣な言葉を並べていた。
 
それ以降、東京開催がなくなったことを踏まえると、やはりVol.7がとどめを刺した可能性は高い気がする。
 
亀田和毅vsドラミニ、健文トーレスvsKJ・カタラジャ。人をぶん殴る才能しかないガチクズの天才が一発逆転を狙えるのがボクシングの醍醐味だよね
 

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すべてにおいて間が悪かった印象。観客数を伸ばすために策を講じてさらに間延びが発生する悪循環

今回もそうだが、3150fightは対戦カード自体はいい。
選手側に立った施策、観客を楽しませる演出等の方針も素晴らしかった(と思う)。
 
花田歩夢vsアサエル・ビリャル、力石政法vs木村吉光。すごい試合が2つ出ました。花田はよく勝ったな。力石は相変わらず長かった
 
ただ、すべてにおいて手際が悪いというか、間が悪いというか。
 
派手な余興も結構だが、いくら何でも全体で6、7時間は長すぎる。
現地観戦するにもAbemaTVで視聴するにも。
 
要は進行の遅さが影響して観客数(視聴数)が伸びず、それを取り戻すために策を講じる→さらに間延びが発生する悪循環に陥っていたのではないか。
 
完全な素人意見だが、もう少しイベントをコンパクトにするだけでまったく違う結果になっていたかもしれない。
 
 
ちなみに総合格闘技イベント「RIZIN」も似たような長さだが、こちらは3150fightほどの間延び感はない。
試合数や1試合の短さもあると思うが、この辺はプロの仕事なのだろうと。
 
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