ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?【結果・感想】

ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。ライアン・ガルシアの強者のメンタル? 相手をリスペクトし過ぎて卑屈になるな。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭かも?【結果・感想】

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2022年7月16日に米・カリフォルニア州で行われたS・ライト級12回戦。元WBC世界ライト級暫定王者ライアン・ガルシアvs元2階級制覇王者ハビエル・フォルトゥナの一戦は6R27秒KOでライアン・ガルシアが勝利。通算戦績を23戦全勝19KOとした試合である。
 
 
今年4月に約1年3か月ぶりの復帰を果たしたライアン・ガルシア。復帰2戦目の今回は元2階級制覇王者ハビエル・フォルトゥナと前戦と同じS・ライト級契約での対戦となる。
 
試合は序盤から鋭い左リードと右ストレートを駆使してプレッシャーをかけるガルシアに対し、フォルトゥナは左右に動きながら打ち終わりにカウンターを狙う。
だがガルシアのハンドスピード、1発の威力に追いつけずになかなか有効打を奪えない。
 
そして迎えた4R。
これまで顔面中心に攻めていたガルシアがラウンド中盤に意表をついた左ボディでこの日最初のダウンを奪う。
マウスピースを吐き出し苦しそうな表情を見せるフォルトゥナだったが、何とか立ち上がり試合再開に応じる。
 
これで完全にペースを掴んだガルシアは5Rには左フックで本日2度目のダウンを奪い、続く6Rには開始早々に連打を浴びせてフォルトゥナに三たび膝をつかせる。
結局フォルトゥナはこのダウンから立ち上がることができずに10カウントを聞いて試合終了。
 
ベテラン実力者のフォルトゥナを寄せ付けずに勝利したライアン・ガルシアは次戦以降のタイトルマッチ実現が期待される。
 
ライアン・ガルシアがジャーボンティ・デービスに勝つには? 序盤でデービスをビビらせるしかないんじゃない? 後半までいったらどこかで大の字になりそうな
 

すごい試合だった。これまでのライアン・ガルシアにはない地に足のついた勝利。打倒ジャーボンティ・デービス筆頭に躍り出た?

ライアン・ガルシアvsハビエル・フォルトゥナ。
 
飛ぶ鳥を落とす勢いで連勝を重ね、2021年1月にルーク・キャンベルに勝利し暫定王座戴冠を果たしたライアン・ガルシア。いよいよライト級戦線の中心選手となるか? と思われた途端に健康上の理由で残念ながら長期休養へ。
 
今年4月に復帰し、今回のハビエル・フォルトゥナ戦を迎えたわけだが……。
 
いや、すごい試合だった
キャリア初期の勢い任せのオラオラファイトとはひと味違う、地に足のついた試合運びというか。
結果だけ見れば3度ダウンを奪ってのKO勝ちというド派手なものだが、内容自体は成熟度が大きく増した印象。個人的にこれまでのライアン・ガルシアの試合で一番好きかもしれない。
 
ライアン・ガルシアの馬力と多彩な左。ルーク・キャンベルもやることやってたけど、スペック差が激しかったな。ホントに数年前とは別人
 
さらに言うと、常時このパフォーマンスが出せるのであれば期待感は高い。打倒ジャーボンティ・デービスの筆頭に躍り出たと言ってもいいかもしれない。
 
ライト級で王座を狙うなら4団体統一王者のデビン・ヘイニーへの挑戦が本筋だが、どちらかと言えば僕はWBAレギュラー王座を保持するデービス戦に進んでもらいたい。
以前からウザ絡みを繰り返してきた相手だし、今回の勝利で堂々と挑戦できる立場に上り詰めたのではないか。
 
デービスもメイウェザープロモーションを離脱するという話だしね。
オスカー・デラホーヤとメイウェザー の仲の悪さがマッチメークに影響することもなくなるんじゃないの?
 
知らんけど。
 

ライアン・ガルシアの右がよく機能していた。左リードを内外から通す→ガードの間から右を打ち込む

具体的な試合の感想だが、今回はライアン・ガルシアの右がよく機能していたなぁと。
 
いつも通りナチュラルに腕を下げてジリジリと距離を詰め、内側から鋭い左リードを打ち込む。
ある程度距離が詰まればいきなりの右ストレートで顔面を揺らし、すぐさまガードを戻す。
さらに時おり外側に足を踏み出し得意の左フックをガードの外側からねじ込んでいく。
 
これまでよりも連打を抑え気味に、1発の威力よりも腕を戻すスピードを意識した試合運び。
1Rの序盤こそ慎重に距離をキープしていたが、時間が経つにつれて徐々にプレッシャーも大胆になっていく。
 
フォルトゥナがルーク・キャンベルに比べて身体能力が高く左のカウンターが強烈なのもあるとは思うが、ここまで落ち着いて相手を観察するどっしり感は今までのライアン・ガルシアにはなかったもの。
メンタル面の安定によって一段レベルが上がったと言えるのかもしれない。
 

フォルトゥナも調子はよかった。でも、ガルシアのハンドスピードについていけず

対するハビエル・フォルトゥナだが、こちらも調子自体はよかったと思う。
2021年7月のジョジョ・ディアス戦では相手がサウスポーということもあってやや窮屈そうにしていたが、今回はまったく問題なし。
この階級では相手が自分より大きいのにも慣れっこだし、2018年1月のロバート・イースターJr.戦のようにうまくアウトボクシングできれば勝機はあると考えていたのではないか。
 
天海ツナミvsエストラーダ、ジョセフ・ディアスvsフォルトゥナ、ラミレスvsスリバン・バレラ振り返り。どの試合も見応えがあったね
 
ところがライアン・ガルシアのハンドスピードはロバート・イースターとはケタ違い。
打ち終わりに得意の左カウンターを狙うもジャブのスピードについていけず。再三ガードの間からヒットを許し、徐々に真正面で対峙しきれなくなる。
 
2Rからはサイドへの動きを織り交ぜながら中に入る機会をうかがうものの、ガルシアの前手の左に阻まれ距離感を掴めない。
 
 
前手の差し合いで上を行かれ、内と外、両方から飛んでくるジャブによってガードが手一杯に。
仕方なくガードを上げて前に出ようと試みるが、次は右ストレートが真ん中を突き抜けてくる。
で、今度は頭を振りながらサイドへの動きを入れつつ隙をうかがうのだが、ガルシアはまったく動じず左リードの鋭さも落ちない。
 

ライアン・ガルシアはルーク・キャンベル戦でvsサウスポーでの戦い方を見つけた気がするよ

もともとハビエル・フォルトゥナという選手はカウンターが得意な身体能力系サウスポーで、ハンドスピードのある連打型の選手をやや苦手とする。
 
ただ、キャリア初期のライアン・ガルシアは左リードの連打→右ストレートで相手を怯ませ、強引に出てきたところに下がりながらの左フックをぶち当てる。これが基本の勝ちパターンとなっていた。
なので左の自由が利かなくなる身体能力系サウスポーはあまり得意ではないと思っていたのだが、今ではまったくそんなことはなく。
 
左の連打は最小限に抑えて多彩さを重視し、攻撃の軸はあくまで右ストレート。
恐らく2021年1月のルーク・キャンベル戦で右の効果的な使い方を掴んだのだと思うが、今回はそれがさらに進化していた(気がする)。
 
 
この試合でライアン・ガルシアが打倒ジャーボンティ・デービスの筆頭に躍り出たのでは? と思った理由がまさにコレ。
比較的手数が少ないサウスポーのカウンター使いとライアン・ガルシアのハンドスピードはすこぶる相性がよさそう。そこにあれだけどっしり構えて攻めるメンタルが伴えば、割とガチで期待していいかもしれない。
 
 
まあ、デービスの1発のタイミング、当て勘はルーク・キャンベルやハビエル・フォルトゥナとは比べものにならないのだが。
 
ジャーボンティ・デービスvsローランド・ロメロ。デービスの動きがちょっと悪かった? ロメロの作戦がハマったけど、タイミングを覚えられてからが…
 

“強者のメンタル”に近づいたライアン・ガルシア。デービス戦前にこの勝ち方ができたのは大きい(やるとは言ってない)

しかし、今回のライアン・ガルシアは本当にお見事だった。
正直ルーク・キャンベル戦のあとに長期休暇に入った時点で第一線から脱落したと思っていたのだが、むしろ一段成長して戻ってきたという。
 
上述の通りフィジカル的な向上というよりメンタル面の充実が大きいのだと思う。
 
インスタグラムからそのまま出てきたようなオラつきファイトから脱却し、適度に相手を警戒しながら自分の勝ちパターンにハメていく。しかも勝負どころでの圧力、連打の迫力はこれまで通り。下がりながらの左フックカウンターも健在で、力任せにねじ伏せる強引さとは別物のバランスのよさを感じさせた。
 
 
相手を舐め腐るとロクな目に合わない。
だが、リスペクトし過ぎて卑屈になるな。
 
自分の意思で動け。
相手に動かされるな。
逆に相手を自分の意思通りに動かせ。
 
 
適度に相手を見下ろす尊大さと万が一に備える警戒心が絶妙なバランスで同居しているというか。
いわゆる強豪王者が兼ね備える“強者のメンタル”に近づいた一戦となったのではないか。
 
ライアン・ガルシアvsオスカー・ドゥアルテ。接近戦でモタつく以前のガルシアに戻った? 背中を向け過ぎてドゥアルテが右をまったく使えない笑
 
ジャーボンティ・デービスとの大一番の前にこの勝ち方ができたのはマジで大きい(やるとは言ってない)。
 
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