ゲイリー・ラッセルさんの復帰を諦めない。そろそろマグサヨ戦から約束()の2年が経つけど? ジョニゴンをボロ雑巾のように屠った試合は衝撃的だった
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僕は以前からゲイリー・ラッセルJr.が好きで、今でもちょくちょく試合を眺めている。
中でも2014年6月のvsワシル・ロマチェンコ戦のインパクトはとんでもない。
当時はメインのロバート・ゲレロvs亀海善寛戦の方に注目が集まっていたが、その後のロマチェンコの無双によって「実はラッセルってすごかったんだな」と評価を改められた印象。
ところが2015年3月のジョニゴン戦で王座戴冠を果たして以降はやたらと不活発に。
防衛戦は年一がデフォルト、ビッグマッチの話が出てもまったく進展しない。
そして2020年2月のツグスソグ・ニヤンバヤル戦で年一ペースが崩れ、約2年後の2022年1月のマーク・マグサヨ戦でついに敗北。7年間保持したWBC王座を明け渡してしまう。
7年間王者のラッセル陥落 マグサヨ2-0判定勝ちでWBCフェザー級王座戴冠https://t.co/XHhG7nLNQF
— ボクシングビート (@beat_macc) January 23, 2022
試合後は負傷した肩(試合中に脱臼)の治療を優先するとして復帰の時期は明言せず。
ここ最近では弟のアントワン・ラッセル、アントニオ・ラッセルのサポートをしつつ、有名選手へのコメント等で名前を見かける程度にとどまっている。
ラッセルvsバルテレミー、こりゃブチ切れるわw 「早すぎるストップは存在しない(キリッ」じゃねえんだよ笑 消耗戦の末に6RTKOでラッセルが勝利
ただ僕としては引退には早い、まだまだラッセルの試合を観たいと思っている。
そんな感じで、今回はゲイリー・ラッセルJr.の好きな試合を振り返りつつあれこれ言っていくことにする。
デビン・ヘイニーほど毎回ファイトスタイルを変えてくる選手も珍しいよな。プログレイスを圧倒、フルマークで2階級制覇
ラッセル長男の復帰を気長に待っている。「井上尚弥とやってもいい」とか言ってたっけ?
申し上げたように僕はラッセル長男のことが好きで、今も気長に復帰を待っている。
だが、残念ながら具体的な話はまったく聞こえてこない。
井上尚弥vsスティーブン・フルトン戦後に「適切な報酬が支払われるなら井上と対戦してもいい」的なコメントを発して日本のファンをイラつかせていた覚えがあるが、それが唯一復帰を匂わせる言葉だったか。
翻訳記事を読んだだけなのでどんなニュアンスだったのかは不明だが。
フルトンのトレーナーのインタビューが興味深い件。フルトンの動きは悪かったのか。井上尚弥攻略にはポール・バトラーの作戦の進化版ってのはその通りだったんじゃないの?
またマグサヨに負けた直後にラッセルの再戦希望を聞いたプロモーターのショーン・ギボンズ氏が
「再戦は問題ない」
「でも、ラッセルのことだからいつになるかわからない」
「ひょっとして2年後かい?笑」
などと冗談っぽく言っていた気がするが、そろそろガチで2年経ちそうなんですがそれは……。
ちなみに下記は2022年7月のもの。
「弟が井上尚弥に勝つために必要なこと」 元世界フェザー級王者ラッセルJr.を直撃(杉浦大介)#Yahooニュースhttps://t.co/smQQmFX0Up #boxing #boxingjp
— Daisuke Sugiura 杉浦大介 (@daisukesugiura) July 29, 2022
三男アントワン・ラッセルとランセス・バルテレミー戦の直前に行われたインタビューである。
内容を読むと、一応マグサヨとの再戦を含めて復帰の意思は感じられるが……。
なおインタビュアーが「井上尚弥」の名前で興味をひこうとしているが、この頃のラッセル長男は井上のことをほとんど知らないっぽいw
2015年のジョニゴン戦は衝撃的だった。滑らかな動きで長谷川穂積をKOしたジョニゴンを寄せ付けず
前置きが長くなったが本題に。
僕がラッセルの試合でもっとも好きなのは断然ロマチェンコ戦。
両者の試合が決まったと聞いた際は「地球が割れるんじゃねえかw」と喚き散らした記憶がある。
ロマチェンコvsゲイリー・ラッセルJr.の異次元っぷり。どうにもならないけど諦めないラッセルさん。この日のメインが亀海vsロバート・ゲレロだった事実
ただ、その試合については何度も言っているので今回は別のヤツを。
そうなるとやはり2015年3月のジョニー・ゴンサレス戦かなぁと。
2015年3月に米・ネバダ州で行われたWBC世界フェザー級タイトルマッチ。同級王者ジョニー・ゴンサレスにラッセルが4RTKOで勝利し初戴冠を果たした試合である。
改めて観返してみると、ラッセルがめちゃくちゃいい。
この選手の持ち味は全階級No.1では? というくらいのハンドスピード。ダッシュ力とカウンター、速射砲のようなジャブで相手を煽りまくるファイトを得意とする。
またロマチェンコ戦まではやや直線的だった動きにサイドへのステップが加わり、戦術に広がりを見せたのもこの試合だった(と思う)。
しかもこの頃のラッセルは柔らかさ? スムーズさもあるんですよね。
2020年2月のツグスソグ・ニヤンバヤル戦と比べて力感がないというか。
最近(と言っても2年経つけど)のラッセルは1発1発の溜めがはっきりしていて、スピードはあっても割と予測はしやすい。
特にジャブは肩回りの力みが顕著。動き出しの硬直と腕を引く動作の連動が利かなくなっている。
一方、ジョニゴン戦ではすべての動きが滑らかで攻防のつなぎに引っかかりがない。
ヌルヌルと滑るような動きでジャブをどんどんヒットしていく。
ロマチェンコと比較するとさすがにカクカク感はあるが、ラッセルも十分スペシャルな選手である。
ゲイリー・ラッセルが右肩ベコンでマグサヨに判定負け。思った以上にショックがデカいw 年一キングは勝ってこそのネタキャラなのに
2度目の全盛期を迎えていたジョニゴン。長谷川戦では「これがガチの世界か」と思ったよね
対するジョニゴンは2011年4月に長谷川穂積からWBCフェザー級王座を奪取。翌年のダニエル・ポンセデ・レオン戦で陥落するも、2013年8月のアブネル・マレス戦で再び同王座を取り戻す。いわゆる2度目の全盛期を迎えていた(と思う)。
長谷川穂積戦ではラウンドが進むにつれて少しずつ距離を詰め、4Rに長いリーチを活かしたオーバーハンドの右で勝負を決めた。
僕もあの試合は「ああ、やばい、長谷川やばい」とハラハラしながら観ていて、衝撃的な結末にも「うわあ……、やっぱりか」と納得した記憶がある。
何と言うか、全然違うんですよね。
テレビ画面に映った際の空気感、強者のオーラ? みたいなものは普段日本に来る挑戦者とは明らかに一線を画す。それこそフェルナンド・モンティエル以上と言っても過言ではなかった。
ジョニゴンの立ち姿を観て「これがガチの世界か」と驚愕したことをお伝えする。
長谷川穂積のことは好きじゃないけど“世界”を見せてくれた選手だった。興味がなくてあまり観てなかったけど
もう一度言う。僕はラッセルの復帰を諦めない笑
そのジョニゴンをラッセルはまったく問題にせず。
ジャブで煽りまくり、サイドに回り込んで顔面をバシバシ揺らす。
ジョニゴンが射程に入ってくれば得意の連打であっさり追い出してしまう。
そして4R開始早々の3連打でジョニゴンをグラつかせると一気にペースアップ。
片方だけ早送りしているのか? と思うくらいのスピード差であっという間にダウンを奪う。
側頭部にパンチをもらったジョニゴンが空中を殴りながら崩れ落ちるシーンはなかなかのインパクト。
長谷川穂積を一蹴した“あの”ジョニゴンがボロ雑巾のように屠られる光景はガチでとんでもなかった。
いや、どうすかねコレは。
たとえばこの時期のラッセルとスティーブン・フルトン、どちらが上だろうか。
タイプが全然違うので比較しにくいが、割とおもしろい対戦になりそう。
そもそもこの人はギジェルモ・リゴンドーとの不人気対決をやっておけばよかったんだよな。
シャクール・スティーブンソンvsロス・サントス前代未聞の手数の少なさ。でも僕はおもしろかったw 突進力のある連打型のサウスポーに可能性を感じたよ
自分を高く売ろうとしすぎたせいでチャンスを逸した両者。もし実現すればラッセルにとってもロマチェンコ戦に並ぶキャリアを代表する試合になった気がする。
繰り返しになるが、僕はまだゲイリー・ラッセルJr.の復帰を諦めていない笑
前回のマーク・マグサヨ戦から約1年9ヶ月。
そろそろ約束の2年ですよラッセルさん()
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