デビン・ヘイニーほど毎回ファイトスタイルを変えてくる選手も珍しいよな。プログレイスを圧倒、フルマークで2階級制覇【結果・感想】

デビン・ヘイニーほど毎回ファイトスタイルを変えてくる選手も珍しいよな。プログレイスを圧倒、フルマークで2階級制覇【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2023年12月9日(日本時間10日)に米・カリフォルニア州で行われたWBC世界S・ライト級タイトルマッチ。同級王者レジス・プログレイスと元ライト級4団体王者デビン・ヘイニーが対戦し、3-0(120-107、120-107、120-107)の判定でヘイニーが勝利。2階級制覇に成功した試合である。
 
 
最近、微妙に忙しい(結構前から言ってる笑)こともあってボクシングにいまいちワクワクしていない。
直近で僕の琴線に触れたのは10月末のフランシス・ガヌーvsタイソン・フューリー戦なのだが、それも当初はあまり注目していなかった。
 
フューリーがガヌーにダウンを奪われ辛勝。競技のトップがポッと出のMMA選手に大苦戦って。自分の土俵に立たせた時点で言い訳はできないんだよ
 
その中で楽しみにしていた数少ない試合がコレ。
WBC世界S・ライト級タイトルマッチ、元ライト級4団体統一王者デビン・ヘイニーが階級アップ初戦でWBSS準優勝者のレジス・プログレイスと対戦する一戦である。
 
ヘイニーは前回のワシル・ロマチェンコ戦での微妙な判定で過剰なバッシングを浴びた経緯がある。個人的に応援している選手でもあるので何とかがんばってもらいたい。
 
対する王者プログレイスも一時期の化け物的な強さはかなりのインパクトだったことを覚えている。
敗れはしたが、2019年10月のジョシュ・テイラー戦での打ち合いは心を動かされるものがあった。
 
 
そんなこんなで久しぶりにリアルタイム視聴した次第である。
 
ロベイシ・ラミレスまさか? の陥落。長身のラファエル・エスピノサが新王者に。アンディ・クルスの化け物感はロマチェンコvsローマン・マルティネス戦を思い出した
 

勝敗予想はヘイニーの判定勝利。でも階級アップ初戦を踏まえるとプログレイスにも勝ち筋が?

まず試合前の僕の展望は下記。
 
デビン・ヘイニーvsレジス・プログレイスが待ち遠しいw ヘイニー判定勝利が濃厚と言われてるけどプログレイスにも勝ち筋はある?
 
・プログレイスはvsサウスポーが得意なカウンター使い
・ルイス・ネリやジョジョ・ディアスと少し似ている
・相手の初弾にカウンターを合わせるスタイルだが追い足はない
・ジャブが得意で懐の深いヘイニーは恐らく天敵タイプ
・普通に考えればヘイニーの勝利は固い
・ただ、階級アップ初戦+後半の失速癖を考えるとプログレイスにもチャンスが?
・勝敗予想はヘイニーの判定勝利だけど
 
プログレイスはルイス・ネリやジョジョ・ディアスと同様、vsサウスポーが得意なカウンター使い。
相手に先に手を出させてカウンターを被せる→追撃の連打を打ち込む流れでペースを掴む。
 
だが、基本は“待ち”なので追い足はそこまでではない。
 
そう考えるとスピーディなジャブ、深い懐、左右への動きが持ち味のデビン・ヘイニーは天敵タイプ。
前手のジャブを被弾しまくり、どれだけ追いかけてもスルスル空転させられるのではないか。
 
 
プログレイスに勝ち筋があるとすれば、ヘイニーが階級アップ初戦なことと後半の失速癖だろうか。
 
ヘイニーはこれまでも試合後半にグダるパターンが多く、2021年5月のホルヘ・リナレス戦、前回のロマチェンコ戦といずれもダウン寸前まで追い込まれている。
 
また階級アップ初戦でフィジカル強者のプログレイス相手に上手く立ち回れるかも疑問。馬力の違いで押し込まれるようならちょっとおかしなことになる。
 
 
どちらが有利か? と聞かれれば断然ヘイニーだが、懸念材料がないこともない。
 
だいたいこんな感じである。
 
デビン・ヘイニーvsライアン・ガルシア。アマチュア時代3勝3敗だって。ガルシアが勝つなら後半勝負かな。ホルヘ・リナレスのパターンで
 

カウンター使いがヘイニーを攻略するには初弾のジャブにカウンターが間に合うかどうか。結果は…

試合の感想だが、ヘイニーが絶好調だったのと思った以上にプログレイスに戦術の幅がなかったなぁと。
 
展開としては、
・ヘイニーがプログレイスの射程外から得意のジャブを打ち込む
・プログレイスは打ち終わりにカウンターを狙うが、まったく間に合わない
・打ったら離れるを徹底するヘイニーについていけない
・自分から手を出すと打ち終わりにカウンターで迎撃される
・で、ジャブを警戒していたところにいきなりの右をもらってダウン
・徐々にダメージが蓄積していき…
・以下無限ループ
 
両者の射程、前手の差し合い、スピードには大きな差があり、プログレイスは中間距離でまったく歯が立たない。
 
2022年10月のジョージ・カンボソスもそうだが、この人たちは基本“待ち”のカウンター使い。コレ系の選手がヘイニーを捕まえるには初弾のジャブにカウンターが間に合うかどうかが分かれ目になる。
 
ヘイニーがPFP1位で異論ないよな? “あの”カンボソスを塩漬けにしたんだぞ。井上尚弥、カネロがはるか彼方にふっ飛ぶ偉業。ジャブ、ダッキング、クリンチが最強。以上!!
 
ヘイニーが左を引っ込める前にカウンターをぶち当てればOK。
それができない場合は中間距離ではまともに勝負すらできなくなる。
 
そして、今回のプログレイスも後者。
カンボソス同様、ジャブで顔を跳ね上げられ、出足を止められまくってあっさり流れを持っていかれた。
 

Advertisement

 

ヘイニーの力強さ、後半のスタミナが大幅に改善。階級アップがいい方に出たパターンだな

しかもこの日のヘイニーは以前よりも力強さが増していた。
 
ジャブやワンツーには体重が乗り、回避の際も足取りがしっかりしている。
後半になるにつれてフワフワしてくるいつもの? アレも解消されていた。
 
序盤の飛ばし方を見て「これは後半バテるんじゃねえか?」と思ったが、失速も最小限にとどめることができた。
 
要するに階級アップが功を奏したパターンというヤツ。
 
 
一方、プログレイスは何をやっても通用しない。
 
中間距離でのカウンターは間に合わない。
自分から攻めても打ち終わりを狙われる。
そもそも追い足がないため正面に立つことすら難しい。
 
極論、ノーマスでもよかったのでは? というくらいの絶望感だった。


 

Advertisement

 

プログレイスの幅のなさに逆に驚いた。ジョジョ・ディアスはもう少し工夫があったのに

またプログレイスの幅のなさにも逆の意味で驚かされた。
 
上述の展望記事で「2021年12月のジョセフ・ディアス戦ではヘイニーがタジタジにされるシーンが目についた」「プログレイスの馬力があればさらに追い込めるのでは?」と申し上げたが、まったくそんなことはなく。
 
ディアスはヘイニーのジャブを右で叩き落とす、腕を前に出して急所を遠ざける等、随所に工夫が見られた。
 
ところがプログレイスは顔面丸出しでクネクネするだけ。
サウスポーを苦にしないヘイニーにとってはあまりに狙いやすい的だった。
 
ジョー小泉を避けることをズミヨケと呼ぶことにする。フィゲロアvsフルトン、ヘイニーvsディアス、アリーム、モンタナ・ラブ振り返り
 
中間距離で打ち合う相手には強さを発揮する反面、距離が遠く左右へのフットワークとジャブを両立できる相手はめちゃくちゃ苦手。
 
前回のダニエリート・ゾリラ戦で露呈した弱点がそのまま出た印象である。
 
 
正直言っていいっすか?
ジャメル・ヘリングは展望を一番聞いちゃいけないお方でしょ笑


だってサウスポーじゃん。
プログレイスが得意なタイプじゃん。
 

ヘイニーほど相手によってスタイルをガラッと変える選手も珍しい。ヘイニー攻略には接近戦なのは明らかだよね

表題の通りだが、デビン・ヘイニーほど相手によってファイトスタイルをガラッと変えてくる選手も珍しい(と思う)。
 
 
ガードを上げてにじり寄るザウル・アブドゥラエフ(2019年3月)はジャブとワンツーを駆使して遠間で蹂躙。

 
カウンターが得意な“待ち”のタイプ(ジョジョ・ディアス、カンボソス、プログレイス)はジャブと左右の動きで完封。

 

今回はプログレイスがあまりに無策だったせいでヘイニーがやりたい放題だったが、大雑把に言えばディアスやカンボソスと似た展開である。
 
 
ホルヘ・リナレスやワシル・ロマチェンコのように自分から攻めてくるタイプには自ら前に出て近場で迎撃。相手が勢いに乗る前に右の打ち下ろしとクリンチでペースを渡さないことを徹底する。

 

 
もっと言うと、2022年10月のカンボソスVol.2ではカンボソスが出てくることを予期していち早く“前”で潰してみせた。

 
こうして振り返ると、ヘイニー攻略には接近戦が有効なのは明らかである。
 
ロマチェンコのように連打とフットワークを両立できるタイプが懐でガツガツ暴れる、もしくはリナレスのようにダッシュ力のある選手が距離を詰めて近場で連打を浴びせる。
とにかくジャブと足を使わせない、遠い位置で自由にやらせないことが大事。
 
その点、今回のプログレイスは追い足もなければ連打も続かない。一足飛びで中に入るダッシュ力もない。
ヘイニーとの相性があまりに悪すぎた。
 
田中恒成vsエドゥアルド・バカセグア、阿部麗也vsルイス・アルベルト・ロペス。田中の相手、これでいいの? 見間違いじゃなくて? 阿部麗也はホントにがんばってもらいたい
 

Advertisement

 

ヘイニーウォッチ? 何だそのクソつまらねえ自称。ちゃんと観てればそんな感想が出るわけねえから

試合がつまらないだの塩分濃度が高いだのと弄られるヘイニーだが、上述の通り毎試合立ち回りをガラッと変えている。
相手によってここまで工夫しているのは普通にすごいと思うのだが。
 
SNSで「ヘイニーウォッチ」? とかいうクソつまらない自称をいくつか見かけたが、どう考えてもまともに観てねえだろと笑
ちゃんと観てさえいれば「ヘイニーは毎回塩」などという感想が出るわけがない笑
 
 
なぜならヘイニーは不動のPFP No.1だから。
 
4団体統一王者デビン・ヘイニーがロマチェンコの追い上げを振り切り僅差判定勝利。またしても不動のPFP No.1っぷりを証明したな
 
“プエルトリコの至宝”と目されたフェリックス・ベルデホを激闘の末にKOした東洋で敵なしの中谷正義に手も足も出させず完勝した元P4P No.1のワシル・ロマチェンコを終盤までスピード&パワーで圧倒して判定勝ちを収めた“テイクオーバー”テオフィモ・ロペスから初回にダウンを奪いド根性で大金星を掴んだジョージ・カンボソスをアウェイの舞台で左手1本で完封し4団体統一を果たし、約4か月後の再戦でも追いすがるカンボソスを退け次戦で元P4P No.1のワシル・ロマチェンコに僅差判定勝ちした勢いで階級アップ、レジス・プログレイスをフルマークで退け2階級制覇を達成したデビン・ヘイニー。
 
 
まあ、カンボソスとの初戦が悪い意味でインパクトが強すぎたよな。
 
でも作戦としては正解だから。
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!