RIZIN35三大タイトルマッチ感想。伊澤星花vs浜崎朱加、牛久絢太郎vs斎藤裕、サトシ・ソウザvsジョニー・ケース。謎リベンジマッチの伊澤と牛久が勝ってよかった
先日申し上げた通り2022年4月17日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行われたRIZIN35を現地観戦してきたわけだが、今回はその感想第2弾。
メインの三大タイトルマッチについてでございます。
RIZIN vs Bellator全面対抗戦でRIZIN勢が全敗。クレベルと武田の試合でRIZINの現在地がわかった気がしたよ。スーチョルもサトシも惜しかった。扇久保は…
ちなみにこの日は全10試合のほかに5月のランドマーク大会開催が発表され、出場を予定しているクレベル・コイケ、萩原京平、三浦孝太の3選手が登場した。
タイトルマッチを熱望するクレベル・コイケは前哨戦として萩原京平とのワンマッチがセットされ、三浦孝太の相手には昨年大晦日に対戦予定だった(コロナにより入国が困難に)フェリペ・“キングハンター”・マソーニの再抜擢が決定している。
○伊澤星花vs浜崎朱加×(判定3-0)
まずはこの試合、王者浜崎朱加と伊澤星花による女子スーパーアトム級タイトルマッチ。
両者は昨年大晦日のノンタイトル戦で戦い伊澤が2RTKO勝利を収めており、浜崎にとってはリベンジマッチとなる。
そして、僕が応援していたのは断然伊澤星花。
大半が浜崎応援だった会場の雰囲気とは真逆をいかせていただいた。
理由は藤井恵のことが大嫌いだから。
僕が藤井恵を嫌いな理由は前回たっぷりと申し上げたが、そのせいでこれまで何とも思っていなかった浜崎朱加のことも嫌いになり始めている笑
おかげで前回の伊澤星花勝利は凄まじい爽快感だったことをお伝えしておく。
予想外だらけのRIZIN33。八百長? あり、純粋なMMAあり、最強幻想あり、ベラトール表明あり。シバター、天心、パク・シウ、サトシ、カズJr.その他感想
今回も開始のゴングとともにセコンドについた藤井恵の声が聞こえてきてイラっとした次第であるww
と同時に、あれだけ明確に勝負がついたのになぜダイレクトリマッチ? という思いもあったりなかったり。
煽りVTRで浜崎が「ケリをつける試合」などとほざいていたが、いや、ちゃんとケリはついてるでしょと。
試合についてだが、相変わらず伊澤星花はすげえというのが率直な感想。
申し上げたように前回は伊澤の完勝、文句のつけようのない勝利だったと思っているが、ある程度情報が出揃った今回も序列は変わらず。
浜崎朱加は女子MMA屈指のオールラウンダーだが、起点となるのはやはりスタンドでの打撃。ここである程度のアドバンテージを確保してグランドに移行→有利なポジションで試合を進める流れを得意する(と思う)。
ところが伊澤との打撃勝負では思ったほどリードを奪えず、逆にタイミングよくタックルに入られ上のポジションをキープされてしまう。
で、前回同様うまく動きを封じられ、頭に膝をもらいまくる展開。
2R以降は浜崎が盛り返すシーンもあったが、そこでの伊澤の対応がまた素晴らしかった。
背中をつけた状態から浜崎の膝めがけて関節蹴りを繰り出し、浜崎に次のアクションを起こさせない。
顔面への躊躇のない膝やグランドでの関節蹴り、その他。
単純なテクニシャンっぷりだけでなく、要所要所で見せるえぐみもこの選手の持ち味と言えるのではないか。
1、2Rと浜崎のほぼ何もさせなかったことが判定勝利につながったわけだが、これで前回のKO勝ちがまぐれではなかったと証明された。
てか、アレっすよね。
以前もちょろっと申し上げた覚えがあるのだが、女子MMAに関してはまだまだ日本の選手もトップ戦線に食い込めそうな余地を感じる。
伊澤星花vsフォントーラ、RENAvsアナスタシア、パク・シウvs浅倉カンナ、浜崎朱加vsジェシカ・アギラー。メインの仕事をした伊澤とカッコいいパク・シウ。やや低調だったRENA
伊澤星花は2020年デビュー&MMA通算6戦目の選手だが、柔道、レスリング、相撲をバックボーンに見事にMMAに適応している。
他にも山本美憂、村田夏南子、渡辺華奈といったMMAに応用しやすい下地を持つ面々が数年で日本のトップに上り詰めている。
渡辺華奈に関してはかねてから打撃が課題と言われながらもベラトールで2勝1敗。現時点でもランカーレベルの実力者であることを証明した。
正直、UFCのジャン・ウェイリーvsローズ・ナマユナス戦などを観るとトップ中のトップとは差を感じざるを得ないが、それでも。
日本がレスリング大国、柔道大国なことも大きいとは思うが、北米基準に大きく水を開けられてしまった男子に比べてはるかに可能性があると思うのだが、どうだろうか。
渡辺華奈の再起戦の相手、デニス・キーホルツはこれまた強そうですけどね。
さすがに前回のような秒殺KO負けはないと思うけど。
○牛久絢太郎vs斎藤裕×(判定3-0)
続いてセミファイナルの牛久絢太郎vs斎藤裕戦について。
だが、この試合も実はあまり納得いっていなかったりする。
RIZINでの斎藤裕の戦績は6戦3勝3敗、そのうち3戦がタイトルマッチ。
しかも今回は連敗中にもかかわらず当たり前のように牛久絢太郎とのリマッチが組まれるという。
正直、斎藤裕がこれだけ優遇される理由が僕にはよくわからない。
雰囲気や性格等で好意的に見られる選手ではあるが、それでも少々優遇し過ぎな気も……。
何だかんだ言われながらもやるべき相手と対戦して結果も出している朝倉未来(RIZIN通算10勝2敗)がいまだにタイトルマッチは1回のみ、2020年12月のRIZIN参戦以降5戦全勝のクレベル・コイケも前哨戦に駆り出されてばかりというのを考えると……。
なので、今回牛久絢太郎が勝ってくれたことは本当によかった。
クレベルが強過ぎてドン引き。牛久絢太郎撃沈。スタンドでのヌルさが付け入る隙とか言われてたのに。打倒クレベルに金原を推してたけど厳しいかもしれんね
試合についての感想だが、牛久絢太郎がなかなかいい選手だった。
この選手の試合を観たのは初めてだったのだが、ああ、なるほど。これは結構好きかもしれませんね。
相手の動きを読んで瞬時にタイミングや角度を変えることができる印象で、2Rにフェイントから左ハイキックをヒットしたシーンなどは思わず「おおっ!!」となってしまった。
何というか、いわゆる塩試合マシーンなんでしょうね。
フッと気が抜けた瞬間を狙うのがうまく、なおかつ攻撃を芯で受けない防御技術も兼ね備える。アングルと距離の調整に長けているタイプで、ジャブ代わりに出すサイドキックで膝を狙いつつハイキックにつなぐチャンスを探すスタイル。
決して派手ではないが、相手の攻撃をよく見て同時打ちのカウンターを合わせるのが得意なのだろうと。
また、下になってもフィニッシュまでは持っていかせない粘り、いつの間にか上のポジションを取り返しているドロドロ感もさすが。
わかりやすく人気が出る選手ではないものの、とにかく誰とやっても“負けにくい”のだと思う。
○ホベルト・サトシ・ソウザvsジョニー・ケース×(1R3分32秒タップアウト)
ラストはメインイベントのホベルト・サトシ・ソウザvsジョニー・ケース戦について。
結果は1R3分32秒でサトシ・ソウザが勝利。
アームバーによるタップアウトでサトシ・ソウザがジョニー・ケースにリベンジを果たしたわけだが……。
多くの方がおっしゃる通り、サトシ・ソウザの強さがいよいよ極まってきた印象。
以前はスタンドでの打撃に若干稚拙さが見られたが、今ではまったくそんなことはなく。この試合などはむしろ自分から打ち合いを挑んでいたほど。得意の柔術へのつなぎとしてもめちゃくちゃ機能していた。
グランドマスターが打撃技術を身につければ最強というのはMMAにおける一つの答えだと思うが、今のサトシ・ソウザはまさにその状態。日本一のコンプリートファイターと言える位置まで上り詰めた気がする。
サトシ・ソウザがムサエフに速攻一本勝ち。ムサエフが「ヤッパリUFCダヨ! RIZINクソダヨ」にならないといいけど…
ただ、ジョニー・ケースの動きも普通によかった。
開始直後にサトシのタックルを切っていたのはさすがだったし、ラウンド中盤からは打撃への対応も見られた。それこそ2Rに入れば勝負はわからなかったのではないか。
何より攻防の一つ一つが異次元というか、セミの牛久絢太郎vs斎藤裕戦と比べてスピード&パワーの出力値が一桁上がっていたのが……。
ケースが言っていたようにマジで“世界基準”の試合だったのだろうと。
そして、今のサトシ・ソウザ相手に勝機を見出すには一つのミスも許されない。
何度目かのコンタクトののちにバックを取られたケースだったが、そこからトライアングルチョークに入られ気づいたらアームバーが極まっていたとのこと。
本来、あの局面からトライアングルチョークに移行するなど考えられない。どちらにしろバックを取られたことがよくなかったとコメントしているように、わずかなミスが命取りになってしまった。
逆にサトシは打撃技術の向上によりスタンドで致命的な1発をもらう危険性はほぼなくなった。
常に自分のタイミングでタックルを仕掛けることができる上に防がれたとしてもチャンスはいくらでも作れる。「打撃はあくまでつなぎ」「何とかグランドに移行しなければ」という状態から脱却したことによって一気に覚醒したと言えそう。
短い時間ではあったが、緊張感満載の素晴らしい一戦。個人的な満足度はかなり高かった。
あと、ジョニー・ケースはまた日本に来いよな。
変わらず応援すっから(今回もケース応援だった)。
僕の大嫌いな北岡悟をフルボッコにした試合は爽快だったからな()
クレベル・コイケvs萩原京平はさすがの僕も厳しいなとオモタ。打倒クレベルの可能性が一番ありそうなのって実は…
浜崎、斎藤方式でいけば2年以上試合をしていないケースにいきなりタイトルショットが回ってくるのもおかしな話なのだが、そこは好き嫌いということで笑
いつの時代も世の中は不平等なのである。