レイ・バルガスvsオシャキー・フォスター。フォスターは絶対に関わっちゃダメなヤツ。バルガスにとっては初めて遭遇するタイプ。三階級制覇を欲張ったせいで笑【結果・感想】
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2023年2月11日(日本時間12日)に米・テキサス州で行われたWBC世界S・フェザー級王座決定戦。ランキング1位オシャキー・フォスターと現WBC世界フェザー級王者レイ・バルガスが対戦し、3-0(119-109、117-111、116-112)の判定でフォスターが勝利。見事初戴冠を果たした一戦である。
昨年7月にマーク・マグサヨに勝利しWBC世界フェザー級王座を獲得、二階級制覇を達成したレイ・バルガス。
そのまま王座を防衛しつつビッグマッチを模索するのかと思っていたところ、WBC/WBO世S・フェザー級王者シャクール・スティーブンソンが体重超過を犯して王座を剥奪されたことを受けて階級アップに踏み切る。
調整試合もなしにいきなり王座決定戦に出場したものの、オシャキー・フォスターの技巧に翻弄されて判定負け。キャリア初の黒星を喫している。
ただ、フェザー級王座は保持したままなので無冠になったわけではない。今後は元の階級に戻して防衛路線をスタートするのか、もしくは継続してS・フェザー級でリングに上がるのか。初戴冠に成功したオシャキー・フォスターとともに動向に注目である。
シャクール・スティーブンソンvsアルテム・ハルチュニャン、オシャキー・フォスターvsロブソン・コンセイサンのTOPRANK興行。フォスターvsコンセイサンはいい対戦だね
昨年10月に対戦話が出たときから楽しみにしていた一戦。相変わらずの後追い視聴だけど笑
レイ・バルガスvsオシャキー・フォスター。
昨年10月に対戦が噂され、先日実現したこの試合。
僕も対戦話を耳にしたときから楽しみにしていたこともあってウキウキしながら視聴した次第である。
まあ、それでも相変わらずの後追い視聴、直近まで試合の存在自体を忘れていた上に観る前に結果を知ってしまったのだが。
いつものことながら毎回生中継をしっかり視聴するみなさんのマメさには尊敬しかない笑
睡眠時間を削るくらいなら後追いでいいやと思ってしまう僕のダメさ加減ががががw
レイ・バルガスが案外苦労しそう? 序盤4Rをどちらが取るかが見どころになる?
微妙に前置きが長くなりそうなのでさっそく試合の感想を。
まず、ざっくりと考えた展望は下記。
僕のレイ・バルガスがS・フェザー級王座決定戦に出場? オシャキー・フォスターとの交渉指令。王座がガラガラの間隙を縫っての大勝負。僕は日本一この試合を楽しみにしてる笑
・レイ・バルガスはシャクールの王座剥奪を受けて手っ取り早く三階級制覇を狙った
・シャクールに勝つのは難しいが、オシャキー・フォスターならいけると判断したっぽい
・フォスターは見切りとカウンターが得意なアウトボクサー
・クリス・コルバートの下位互換のイメージ
・意外とレイ・バルガスが苦労しそう
・インファイターとばかり対戦してきたレイ・バルガスにとっては初めてのタイプ
・連打と出入りがスカされての判定負けもあり得る?
・逆に前半でリードを奪えばいつもの当て逃げパターンに持ち込める?
・序盤4Rをどちらが取るかが見どころかな
だいたいこんなところである。
ほほう、なるほど。
正直、どんな展開をイメージしたかをすっかり忘れていたのだが、改めて振り返ると何となくそれっぽいことを言っているw
正式決定前だったので勝敗予想はしていないものの、当たらずとも遠からずというか。
てか、どちらが有利だと思ったんだっけなぁ。
何となく“レイ・バルガスを気に入っている”という理由からバルガス有利の予想に傾いていた気がするけど。
完全に封じられたレイ・バルガス。左の差し合いで圧倒され、右ストレートは軌道を読まれて攻撃の手を封じられる
具体的な感想だが、レイ・バルガスが完全に封じられたなぁと。
上述の通りオシャキー・フォスターは見切りとカウンターが得意なアウトボクサー。
腕を低く下げた構えで対峙し上体反らしで1発目を避け、そこにカウンターを被せる。もしくは鋭いステップインからの左で相手の顔面を揺らす。
お互いにL字気味の構え&スピードを活かしたアウトボクシングが持ち味だが、スペースのある位置での差し合いではことごとくフォスターが上回る。
中でもバルガスの出入りがまったく通用しなかったのは意外だった。
スピーディなジャブでスペースを確保し、上半身を目いっぱい伸ばして右を打ち込みすぐさま元の構えに戻る。
これで相手の出足を鈍らせて試合を優位に運ぶのがレイ・バルガスの勝ちパターンだが、今回はこれがほとんど機能しなかった。
遠間でじっくり待ち構えるフォスターに対してなかなかジャブを打ち込むことができず、むしろ動き出しを狙われて顔面を跳ね上げられてしまう。
また右ストレートは軌道がやや外旋回なために斜に構えるフォスターの背中付近に当たってしまう。
ボディを狙った右は腰や背中あたりで威力を殺され、顔面を狙うと上体反らしとショルダーロール? でスカされる。
で、攻め手がなくなったところでスルスルっと距離を詰められ連打の餌食に。
クリンチにいっても肘を使ったり上から押さえつけられたりとダーティなテクニックでねじ伏せられる。
「序盤4Rでリードした方が有利に試合を進めるのでは?」と申し上げたが、極論、最初の2Rでほぼ趨勢は決まっていた。
エマヌエル・ナバレッテがウィルソンに大逆転KO。これが世界王者の底力だよな。あの局面をひっくり返せる二番底。カウントは誤差の範疇かな
これまでずんぐり体型のファイターとばかり対戦してきたバルガス。何だかんだで判定勝利をもぎ取る姿がお気に入りだった笑
いや、キツい。
レイ・バルガスにとっては本当にキツい試合だった。
恐らく一番の敗因は経験不足。
・ロニー・リオス
・オスカル・ネグレテ
・アザト・ホバニシャン
・フランクリン・マンザニーヤ
・亀田和毅
・レオナルド・バエズ
この選手の過去の対戦相手を振り返ると、ガードを高く上げて前に出るタイプばかりなことがわかる。オシャキー・フォスターのようなアウトボクサーは1人もいない。
フェザー級王座戦で対戦したマーク・マグサヨはそこまでではないが、フォスターほど足を使うことはしない。
佐々木尽vs関根幸太朗、レイ・バルガスvsマーク・マグサヨ。大味なヤツらがゴリゴリ打ち合う激闘な週末。パワーでねじ伏せる佐々木尽と連打とクリンチで誤魔化すレイ・バルガス
ずんぐり体型のファイターのプレスに苦しみながらもサイズ差を活かしたアウトボクシングで逃げ切るのがこの選手の勝ちパターンだったわけだが、その反面自分から追いかける経験はほぼ皆無。
僕はこの選手の2015〜2016年頃からずーっと観ているが、毎回似たような展開ばかりで「こいつ、ホントに変わらねえなぁ」と常々思っていた。
ただ、それでも持ち前のスピードと激しい出入りで序盤をリード→中盤以降はピンチを迎えてもへこたれないメンタルでゼーハーゼーハー言いつつ逃げ切ってしまう。
何だかんだで判定勝利をもぎ取る姿はお気に入りでもあった笑
オシャキー・フォスターは絶対に関わっちゃダメなヤツだった。キャリア序盤にインファイトを諦めたならなおさら
ところが今回は見切りとカウンターが持ち味のオシャキー・フォスターが相手。
ジャブの差し合いで圧倒された上に頼みの右ストレートはあっさり軌道を読まれてしまう。
自分のもっとも得意とする距離で何もさせてもらえず、逆にカウンターをチラつかせながら圧力をかけるフォスターに後退を強いられる。
急な階級アップの影響もあったとは思うが、それ以上に中間距離でほとんど歯が立たなかったのが痛い。
要するにバルガスにとってオシャキー・フォスターは絶対に関わってはいけない相手だった。
キャリア序盤にインファイトを磨くことを諦め、当て逃げ上等の“ランニングマン”として生きていくと決めたのならなおさら。目の前にどんなチャンスが転がっていようが、ああいうL字のクネクネ野郎は徹底的に無視するべきだったのである笑
ルイス・ネリvsアザト・ホバニシャンは興味深い組み合わせ。連打型のホバニシャンはネリの苦手なタイプっぽい。でも、応援するのはネリかな?
S・フェザー級の王座が4団体中3団体が空位に→「よっしゃ、手っ取り早く三階級制覇するぜ」→「でも、一応保険としてフェザー級王座も保持しておこう」
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いろいろと欲張った結果、思いっきりタイミングと相手の実力を見誤った印象。
そもそも調整試合もなしにいきなりの王座決定戦は無謀すぎたんだよ。
フェザー級の時点でだいぶ怪しかったのに。
まあ、そういうところも嫌いじゃないんですけどね笑
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