ビクトル・ポストルvsアントワン・ラッセル…。何かもう、アレだ。ポストルがんがれ。ラッセル三男のためのマッチメークだと思うけど、それでもアレだ【予想・展望】
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2022年2月26日、米・ネバダ州で行われるPBC興行。セミファイナル? では元WBC王者ビクトル・ポストルとラッセル兄弟の三男、ゲイリー・アントワン・ラッセルがS・ライト級10回戦で対戦する。
この日のメインには元WBA正規王者クリス・コルバートが登場するわけだが、僕はどちらかと言えばアンダーの2試合、ビクトル・ポストルvsアントワン・ラッセル戦、ジェルウィン・アンカハスvsフェルナンド・マルティネス戦の方に興味がある。
特にビクトル・ポストルは以前から好きな選手で、2020年8月以来約1年半ぶりの復帰戦ということでかなり楽しみ。
立ち位置的にはアントワンの踏み台だとは思うが、何とか一矢報いてもらえればと思う。
というか、ウクライナ出身のポストルに対しては言葉にならないというか、今の状況でリングに上がる心中は僕などには想像もつかない。
つい数日前にアンカハスvsマルティネス戦の展望を考えた際には「激渋の興行ウェーイ」などとほざいたが、とてもじゃないが今はそんな気にはなれない。
ラッセルvsポストル感想。伊藤雅雪vs三代大訓戦みたいだった。伊藤は三代にさばき切られたけど、ラッセルはスピードと馬力でポストルをねじ伏せた
“ウクライナ出身”という一点のみでもポストルを応援する理由としては十分である。
というわけで、今回はこのビクトル・ポストルvsアントワン・ラッセル戦の展望を適当に考えていきたいと思う。
“中量級のクリチコ”ビクトル・ポストル。クロフォードにも肉薄した実力者だけど、フィジカル面の脆弱さが…
ビクトル・ポストルはかつて“中量級のクリチコ”とも呼ばれた選手で、身長180cm、リーチ187cmのサイズ+背筋を伸ばした構えからの打ち下ろしを得意とする。
前手の左を高く掲げてリズムを取り、バックステップとジャブを駆使しながら相手を遠間に釘付けにする。チャンスがあれば長い右を打ち込みダメージを与えるスタイル。
相手の動き出しを察知する能力にも長けており、2015年10月のルーカス・マティセ戦ではマティセの突進を左リードでことごとく寸断してみせた。
また現在PFPトップ3にランクインされるテレンス・クロフォード相手にも中盤まで優勢に試合を進めるなど、能力の高さは文句なしと言える。
その反面、フィジカル面の脆弱さが目に付くのもこの選手の特徴。
2018年6月のジョシュ・テイラー戦、2020年8月のホセ・カルロス・ラミレス戦ではいずれも序盤は健闘を見せたが、中盤以降のペースアップについていけず。前手の差し合いを拒否して強引に前に来られるとタジタジになる傾向が強い。
・前手の左リードの使い方がうまい
・サウスポーをまったく苦にしない
・相手の動き出しを察知する能力が高い
・中盤からやや失速気味
・フィジカル面での脆弱さ
特にホセ・ラミレス戦などを観ると、年齢的なものもあってか失速するまでの時間が短くなっているような……。
突貫系のファイターにガツガツこられた際にどこまで粘れるは今回も注目である。
僕のポストル…。ホセ・カルロス・ラミレスは強化版ルーカス・マティセだったな。統一戦が実現しないならvsパッキャオが観たい
ラッセル三男は長男アレン・ラッセルのデカいバージョン。ロマチェンコに負ける前のアレンをさらにアグレッシブにした印象
一方のアントワン・ラッセルだが、こちらはもう完全に長男ラッセルのデカいバージョン。
一瞬で間合いをゼロにする踏み込み+相手が反応できないくらいのスピーディな連打。
先日マーク・マグサヨに敗れて王座から陥落したアレン・ラッセルだが、全盛期のハンドスピードは全階級でNo.1と言っても過言ではないほどだった。
ゲイリー・ラッセルが右肩ベコンでマグサヨに判定負け。思った以上にショックがデカいw 年一キングは勝ってこそのネタキャラなのに
そして、三男のアントワンもマジでそんな感じ。
高いガードからの右リード、稲妻のような踏み込みとともに打ち込むワンツー、近場での連打。
きびきびとした前後のステップや上体のフェイント、下がりながらのカウンターその他。
力みまくったスピード重視のファイトスタイルは長男ラッセルにそっくりである。
戦績も14戦全勝14KOとパーフェクトレコードを継続中で、積極的に倒しにいくという点では長男ラッセルよりもさらにアグレッシブ。
いわゆるロマチェンコに負ける前の長男ラッセルというか、アレン・ラッセルをもう一段荒々しく直線的にしたイメージかなと。
恐らくだが、ラッセル三男の実力は現時点でも王者クラスに匹敵する。
前回のジョバンニ・サンティアゴ戦のパフォーマンスを観ると、すでにタイトルマッチ以外にやることはないんじゃないの? と思わせるほど。
いまいちピンとこない次男のアントニオ・ラッセルとは一味違う。
亀田和毅vs三宅寛典の放送事故級の謎試合。クソ微妙なモズリーJr.がクイグリーと大接戦、アントワンがサンティアゴ相手にラッセルしてた
所属の問題を抜きで言うなら、この試合をクリアしたあとは最優先でジョシュ・テイラーに挑戦してほしい。
勝敗予想はラッセルの9RKO。ポストルのサイドへの動きよりもラッセルの踏み込みの方が先に到達しそう
今回の勝敗予想だが、ラッセルの9RKO勝利でいきたい。
申し上げたように応援するのは断然ポストル。
だが、どちらが勝つかと言われればやはりラッセルが有利なのではないか。
試合の見どころとしては、ラッセルの踏み込みと連打にポストルがどこまで対応できるかかなと。
中に入って勝負したいラッセルとそれを防ぎたいポストル。左リードとバックステップ、サイドへの動きでポストルがラッセルの突進を迎撃する流れになると思うが、要するにどちらが自分の得意な位置で勝負できるかという話。
身長180cm、リーチ187cmのポストルに対し、身長178cm、リーチ175cmのアントワン・ラッセル。ラッセルはこのリーチ差を埋めるために近場で勝負する必要がある。
逆にポストルはバックステップやサイドへのフットワークを駆使して正面を外しつつ、得意の左リードでペースを掴みたい。
真正面からまっすぐ踏み込み連打を浴びせるラッセルと、サイドへ動いて左を狙うポストル。
正直、これはラッセルの踏み込みの方が速く到達するように思える。
しかもポストルの弱点はフィジカル面の物足りなさ。
いったん懐に入られるとあっという間に押し込まれてしまう傾向が強く、ジョシュ・テイラーにもホセ・ラミレスにもそのパターンでねじ伏せられている。
ラッセルの突進力はこの2人よりも間違いなく上なので、中盤からの失速が定番のポストルにはちょっとキツそうな……。
露骨にグラつくアミール・カーンの姿にキャリアの終焉を感じた。でも、やっぱりカーンの試合はおもしれえ。ケル・ブルックの作戦がどハマり
ポストルが勝つなら左リードを駆使しての判定狙いだけど、相性的にもラッセル有利かな?
逆にポストルが勝機を見出すなら打ち下ろしのワンツーで遠間に釘付けにするしかない。
早い段階でラッセルの動き出しのタイミングを覚え、得意の左リードで迎撃。出足を鈍らせたところで正面を外しつつ前半を大量リードで折り返す。
理想は体力のある序盤にダメージを与えて倒し切ることだが、恐らくそれは難しい。キャリア31勝のうちKOは12、しかも最後のKO勝利が2015年10月のルーカス・マティセ戦である。1発で勝負を決める爆発力がないことを考えると、このレベルの相手をKOするのは困難を極める。やはり狙いは判定勝ちしかないだろうと。
ラッセルが勝つとすればスピード差と連打の回転力で圧倒してのKO、もしくは判定。
ポストルが勝つとすればアングルを変えながら左リードで削りまくっての判定。
確率的にも相性的にもラッセルの後半KOか判定が妥当だと思うのだが、どうだろうか。
ただ、繰り返しになるが今回ばかりはポストルを応援する。
ポストルがんがれ。
どんな手を使ってでも勝て。
僕に大恥をかかせてくれ()
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