アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミーとかいうPBC丸出しの激シブマッチ。トラメイン・ウィリアムズvsパブスタン、ファーマーvsミッキー・ベイも楽しみだぞ【予想・展望】

アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミーとかいうPBC丸出しの激シブマッチ。トラメイン・ウィリアムズvsパブスタン、ファーマーvsミッキー・ベイも楽しみだぞ【予想・展望】

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フィリピンの英雄マニー・パッキャオと韓国のYouTuberのエキシビジョンが発表されたり、フロイド・メイウェザーとコナー・マクレガーの再戦が契約間近と報道されたりと近年のボクシング界はバブリーな話題に事欠かない。
 
だがビッグマッチと呼べるような試合は意外と少なく、個人的には9月のサウル・“カネロ”・アルバレスvsゲンナジー・ゴロフキンVol.3まで「おお、これは!!」と思う試合が見当たらない。
 
カネロvsゴロフキン3展望。ゴロフキンが案外がんばると思うねんな。技巧満載の初戦、両者の意地がぶつかり合った2戦目を受けてどんな試合展開になるかが楽しみっす
 
8月20日にサウジアラビアでアンソニー・ジョシュアvsオレクサンドル・ウシクVol.2が予定されているが、こちらは僕がウシクに興味がない&アンディ・ルイスに負けてからのアンソニー・ジョシュアに魅力を感じないせいでちっともテンションが上がらない。
 
そんな中で表題の件。
スケジュールをボーっと眺めていたところ、激シブな試合がいくつか目に入ってきた次第である。
 
具体的には、
・ゲイリー・アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミー(7月30日)
・トラメイン・ウィリアムズvsジェトロ・パブスタン(8月12日)
・テビン・ファーマーvsミッキー・ベイ(8月12日)
の3試合。
 
テビン・ファーマーvsミッキー・ベイ戦とトラメイン・ウィリアムズvsジェトロ・パブスタン戦は同じ興行、ゲイリー・アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミー戦はメインのダニー・ガルシアvsホセ・ベナビデスJr.戦のアンダーカードとして行われる。
 
一瞬で「PBC系列だろ」と断言できそうな顔ぶれなのだが、今回は上記3試合についてあれこれ言っていくことにする。
 

ゲイリー・アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミー(2022年7月30日、米・ニューヨーク州)

まずはこの試合。
ラッセル兄弟の三男? のアントワン・ラッセルと元2階級制覇王者ランセス・バルテレミーによるS・ライト級10回戦。
 
アントワン・ラッセルは現在15戦全勝15KOのパーフェクトレコードを継続中で、今年2月に元王者のビクトル・ポストルを10RTKOで下している。
 
ラッセルvsポストル感想。伊藤雅雪vs三代大訓戦みたいだった。伊藤は三代にさばき切られたけど、ラッセルはスピードと馬力でポストルをねじ伏せた
 
対戦相手のランセス・バルテレミーは元王者とはいえすでに36歳のベテラン。基本はアントワン・ラッセルの連続KO記録に注目が集まる試合なのだと思うが、いや、待てよと。
この選手はポストル以上にやりにくいタイプで、もしかしたらアントワン・ラッセルがスカされたままポイントアウトされる可能性もあるのではないか。
 
というより僕はバルテレミーのことが結構気に入っていて、今回もこっそりバルテレミーを応援している。
 
マジな話、S・フェザー級時代のバルテレミーはかなりの万能感だったことを覚えている。
この選手が王座戴冠を果たした2014年はちょうど内山高志や三浦隆司が王者に君臨していた時期と被るのだが、WOWOWエキサイトマッチでたまたまバルテレミーの試合を観て「あ、コイツには絶対関わっちゃダメだ」と。
 
2015~2016年あたりに来日の可能性があったらしいが、仮にS・フェザー級時代のバルテレミーが日本に来ていれば(僕の中では)2014年12月のギジェルモ・リゴンドー並の衝撃を残していたかもしれない。
 
だがS・ライト級に階級を上げて以降は若干やりにくさが薄れたというか、あの何とも言えない魔境っぷりが目減りした印象。
身長178cm、リーチ184cmのサイズはこの階級ではそこまでアドバンテージにはならず、アップライトの構えから打ち下ろすジャブも相手の突進を寸断するほどの威力はない。
逆に連打を浴びて後退→ロープ際で亀になって耐えるなど、相対的なエンジンの小ささが目に付く。
 
ケイレブ・プラントはカネロが2013年の恨みを晴らす相手? バルテレミって34歳なの?! 当時は内山も三浦もオワタと思ったのに
 
 
対するアントワン・ラッセルだが、こちらは要するに元フェザー級王者ゲイリー・ラッセルJr.のデカいバージョン
 
持ち前のスピードを活かした連打と激しい出入りで反撃の隙を与えず、1発効かせた直後に畳みかける爆発力も兼ね備える。
 
一瞬で距離をゼロにする踏み込みとハンドスピード、打ち終わりを狙うカウンター。
カロリー高めのファイトでねじ伏せる試合運びを持ち味とする。
 
だが長男ラッセル同様、動きがやや直線的で読まれやすく、前回のポストル戦ではポストルの懐の深さやバックステップを大いに持て余した。最終10Rにどうにかねじ伏せたものの、前手のジャブやバックステップからのリターンで再三顔を跳ね上げられている。
 
 
バルテレミーはポストルほどのバックステップはなくどちらかと言えば“前に出てナンボ”の選手。
ラッセルの連打と出入りがバルテレミーの防御をどこまで突き抜けられるか、ロープ際で亀になるシーンをどれだけ作れるかが見どころになりそう。
 
さらに言うと、ラッセルのvsサウスポーでの対応力にも注目しておく。
バルテレミーは絶えず繰り返すスイッチが特徴の選手で、左右どちらの構えでもクオリティを落とすことなく戦える。
しかも直近2試合の相手はいずれもサウスポーである。
 
逆にアントワン・ラッセルはこれまで有力なサウスポーとの対戦がない。
そう考えると、もしかしたらバルテレミーのスイッチに翻弄されるパティーンもある? かも?
 
まあ、長男ラッセルも次男ラッセルもサウスポーなのでサウスポーが苦手なはずはないとは思うが……。
 
なので、勝敗予想は一応アントワン・ラッセルの判定勝利にしておく。
応援するのはバルテレミーだけど。
 
ラッセルvsバルテレミー、こりゃブチ切れるわw 「早すぎるストップは存在しない(キリッ」じゃねえんだよ笑 消耗戦の末に6RTKOでラッセルが勝利
 

トラメイン・ウィリアムズvsジェトロ・パブスタン(2022年8月12日、米・アリゾナ州)

続いては現地時間8月12日に米・アリゾナ州で行われるS・バンタム級10回戦、トラメイン・ウィリアムズvsジェトロ・パブスタン戦について。
 
トラメイン・ウィリアムズも上述のバルテレミー同様、僕が以前から気に入っている選手。2020年8月にアンジェロ・レオとのタイトルマッチに敗れて以来約2年ぶりの復帰戦となる。
 
アンジェロ・レオがトラメイン・ウイリアムズを攻略して勝利。アンジェロ・レオは田中恒成っぽかったな。いい試合でした
 
一方のジェトロ・パブスタンは「どこかで聞いた名前だなぁ」と思って調べてみたところ、2017年7月に日本の勅使河原弘晶と対戦している。
ただその試合を含む直近7戦の戦績は2勝5敗、5敗のうち3つがKO負けという。現OPBF王者のピート・アポリナルにも敗れている。
そう考えると、ウィリアムズとしてはサクッとクリアしておきたい相手である。
 
 
この試合はもう、トラメイン・ウィリアムズがどれだけ自分の距離をキープできるかがすべてだと思っている。
 
右リードが少なく防御は基本的に距離と見切りに依存するスタイルのウィリアムズ。
前回はアンジェロ・レオのプレスに距離を潰され得意の空間支配が機能せずに最後までオタオタさせられたが、今回はどうなるか。
 
ジェトロ・パブスタンがアンジェロ・レオと同じ作戦を遂行できればパブスタンに勝ち筋が見えるが、ウィリアムズのカウンターが機能すれば断然ウィリアムズ有利。終盤KOすらもあり得るのではないか。
 
パブスタンは「ガードを上げて~、プレッシャーをかけて~」といったタイプではなく、どちらかと言えば単発で勝負するスタイル。遠間から「せーの!」で飛び込み左右フックをぶん回す流れを得意とする。
身体能力と爆発力は高いが接近戦での連打、勝負どころでの詰めが甘い、いわゆるフィリピン選手に多いタイプである。
 
また、決してスピードがある方ではなくそれを埋めるほどの重厚なプレスもない。持ち前の馬力を発揮するには相手のスピードについていけることが大前提になる。
 
僕の知る限りポール・バトラーのベストバウトじゃないっすか? ジョナス・スルタンをアウトボクシングでさばききって退散判定、暫定王座獲得
 
そう考えると、やはり有利なのはトラメイン・ウィリアムズだろうと。
 
前半はウィリアムズがスピード差を発揮してポイントを重ねるものの、徐々に動きに慣れたパブスタンが反撃を開始。だが接近戦での稚拙さにより流れを引き寄せるまでには至らない。
 
中盤あたりから「遠間からパブスタンが飛び込む→ウィリアムズが真正面から受け止めてもみ合いが発生→レフェリーが両者を分ける」の繰り返しになるのではないか。
で、前半の貯金とパンチの精度でウィリアムズが逃げ切るとか、そんな感じ。
 
クリンチだらけの退屈な10Rの末にトラメイン・ウィリアムズが判定で勝利すると予想しておく。
 

テビン・ファーマーvsミッキー・ベイ(2022年8月12日、米・アリゾナ州)

上述のトラメイン・ウィリアムズvsジェトロ・パブスタン戦と同興行、メインカード? として行われるのがテビン・ファーマーとミッキー・ベイによる元王者対決である。
 
この両者はどちらも久しぶりの登場で、テビン・ファーマーは2020年1月のジョセフ・ディアス戦以来約2年半ぶり、ミッキー・ベイは2019年12月のジョージ・カンボソス戦以来約2年7か月ぶりの復帰戦となる。
 
 
正直、この試合はまったくわからない。
 
どちらの選手も現在のコンディションが不明&どちらにとっても初めて遭遇するタイプ。
 
上体の柔軟性と見切り、カウンターが得意なサウスポーのテビン・ファーマーと、同じくL字のカウンター使いだがオーソドックスで鋭いジャブが持ち味のミッキー・ベイ。
 
アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミー戦もかなり難解だが、僕の中ではそれ以上に難しい(気がする)。
 
過去、テビン・ファーマーが敗れた相手は尾川堅一(試合後に尾川から禁止薬物が検出され無効試合に)、ジョセフ・ディアス。
それに対してミッキー・ベイはジョン・モリナJr.、ランセス・バルテレミー、ジョージ・カンボソスに敗れている 。
 
尾川堅一がジョー・コーディナの狙いすました右で撃沈。距離の遠さとタイミングに慣れる前にもらったな。フラグになるから勝敗予想をしなかったのに笑
 
こうして振り返ると、どちらも射程が長い(尾川堅一、ジョン・モリナJr.)タイプかカウンターが得意なタイプ(ジョセフ・ディアス、ランセス・バルテレミー、ジョージ・カンボソス )に負けていることがわかる。
 
 
ミッキー・ベイはファーマーのようなクネクネサウスポー相手にも得意のジャブを機能させられるか。
逆にファーマーは前手のリードでうまく距離を取りつつカウンターを当てられるか。
 
どちらかと言えばミッキー・ベイが追いかけてファーマーが受けて立つ展開になりそうだが、いや〜、本当にわっかんないっすねぇ……。
 
スピードはファーマー、前手の差し合いも恐らくファーマーが有利。
だが1発の威力やフィジカル面はミッキー・ベイに軍配が上がる。
ミッキー・ベイの右ストレートが当たればファーマーがピヨるパターンも普通にありそう。
 
天海ツナミvsエストラーダ、ジョセフ・ディアスvsフォルトゥナ、ラミレスvsスリバン・バレラ振り返り。どの試合も見応えがあったね
 
普通に考えればテビン・ファーマーが有利だとは思うが、困ったことに僕はこの選手のことがあまり好きじゃないのが……。過去の対戦相手のレベルもミッキー・ベイの方が上っぽいしね。
 
 
というわけで勝敗予想はテビン・ファーマーの判定勝利
でも、応援するのは断然ミッキー・ベイでございます。
 
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