僕の知る限りポール・バトラーのベストバウトじゃないっすか? ジョナス・スルタンをアウトボクシングでさばききって退散判定、暫定王座獲得【結果・感想】

僕の知る限りポール・バトラーのベストバウトじゃないっすか? ジョナス・スルタンをアウトボクシングでさばききって退散判定、暫定王座獲得【結果・感想】

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2022年4月22日(日本時間23日)に英・リバプールで行われたWBO世界バンタム級暫定王座決定戦。同級1位ポール・バトラーと4位ジョナス・スルタンの一戦は3-0(118-110、117-111、116-112)の判定でバトラーが勝利。暫定王座戴冠に成功した試合である。
 
 
当初WBO王者ジョン・リエル・カシメロと同級1位バトラーの対戦が予定されていた今回。
ところが数日前にカシメロが英国で禁止されているサウナを使用(減量目的)していたことが発覚。急遽代役としてジョナス・スルタンが抜擢されている。
 
ただ、僕自身は結構前にカシメロに対する興味を失っていたこともあり、バトラーの相手がスルタンに変更になったと聞いて俄然視聴意欲が湧いた
 
ジョナス・スルタンはカシメロと同タイプの選手で、バトラーとしてもカシメロ対策がそのまま流用できる。しかもスルタンにはカシメロほどのパワー、踏み込みスピードもない。そう考えるとバトラーにも十分勝機があるのではないか。
 
バトラーvsカシメロはカシメロの勝利を予想していたが、バトラーvsスルタンは正直よくわからない。どちらかと言えばバトラー有利な気もするが、スルタンがバトラーのガードを破壊してねじ伏せるパターンもあるんじゃないの?
などなど。
 
カシメロのやらかしによって逆に僕のテンションは爆上がりだったことをお伝えしておく。
 
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見どころはバトラーがスルタンの圧力をさばけるか、スルタンがバトラーのガードを突き破れるか。バトラー有利な気がするけど、よくわからん

まず今回の僕の展望は下記の通り(半分くらいカシメロのネタだけどw)
 
カシメロ「俺のバンタムを捨てるわけにはいかねえんだよ!!」(ガイドライン違反)。ポール・バトラーvsジョナス・スルタンは難しいっすね
 
ポール・バトラーは距離とアングル調整に長けた選手で、正面を外しながらのカウンター、近場での左ボディを得意とする。
 
その反面、フィジカル面はやや心もとない。中間距離での差し合いではうまさを発揮するが、強引に前に出て腕を振る相手にはタジタジにされることが多い。
前戦のウィリバルド・ガルシア戦でもガルシアの躊躇のないスイングにロープ際で亀になるシーンが目についた。
 
対するジョナス・スルタンは上述の通りジョン・リエル・カシメロと似たタイプの選手。
遠い間合いでタイミングを測って踏み込み右をフルスイング→そのまま連打を浴びせてパッと離れる。
基本的な攻撃パターンはこれだけである。
 
ガードは低く左リードも少ない。
決して幅のあるスタイルではないが、身体能力の高さと強力な右がすべての欠点をカバーする。
力量差がある相手であれば、全力の右をガードの上から叩きつけるだけでダメージを与えることすら可能になる。
 
 
つまり、この試合はバトラーの足とスルタンの右1発の勝負になる可能性が高い。
左右に動きながらカウンターを合わせるバトラーがスルタンの突進、圧力をさばききるか。
もしくはスルタンがどこかでバトラーを捕まえて連打を浴びせ、決定的な1発をねじ込むか。
 
カシメロのパワーならバトラーのガードを破壊してKOしそうに思えるが、スペック的にやや劣るスルタンに果たしてそれができるか? という話。
 
どちらかと言えばバトラー有利な気がするが、はっきり言ってよくわからない。
 
これが僕の何となくの展望である。
 
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バトラーの圧勝だった。序盤こそややスルタンの圧力を持て余したが、中盤からは完全に対応。僕の知る限りポール・バトラーのベストバウト

試合の感想だが、ポール・バトラーの圧勝だったなと。
 
申し上げたように今回はバトラーがスルタンの圧力をさばききるか、逆にスルタンがバトラーのガードをぶっ壊すかが見どころになると思っていたが、結果的にはバトラーがスルタンを完全にコントロールしての勝利。序盤こそスルタンが攻める局面もあったものの、全体を通して見ればバトラーのワンサイドゲームと言っていい。
 
絶えずサイドに動きながらスルタンに踏み込みのタイミングを作らせず、前手のジャブで軽く顔を跳ね上げながら牽制。
スルタンの初弾に同時打ちのタイミングでカウンターをかぶせ、出足を寸断しつつ追撃の1発をヒットしていく。
 
さらにスルタンの攻撃パターンを把握した中盤以降は足を止めて自ら打ち合いに出ることも。
 
しかもスルタンの1発目にことごとくカウンターを合わせるという。
個人的にここまでうまさと力強さを兼ね備えたバトラーを観たのは初めてだったし、押し引きの妙もベテランならではのもの。
 
前回、ドバイでのタイトルマッチが中止になった際に「これまでで最高と言ってもいいくらいの準備ができていたのに」とコメントしていた覚えがあるが、マジでそんな感じ。
試合中に見せた気合いの入った表情など、まさに絶好調だったと言っていい。
 
表題の通りなのだが、僕の知る限り今回はポール・バトラーのベストバウト
それこそこのパフォーマンスなら相手がカシメロでも勝てたのでは? というくらい。
 
本人は試合後に「36時間でスルタン戦の準備をしなければならなかった」旨の恨み節を口にしていたようだが、実際にはそんなことはない。カシメロ対策を少し修正するだけでよかった分、スルタンはやりやすい相手だったと想像する。
 
エマヌエル・ロドリゲスvsアントニオ・ラッセル。ロドリゲスうますぎた。ラッセルの高速ジャブを攻略。改めてルイス・ネリvsロドリゲス戦がポシャったのが…
 

バトラーってやっぱりいい選手ですよね。カシメロ戦が決まったときはやたら酷評されてたけど。第2グループの先頭くらいにはいるでしょ

いや、ポール・バトラー本当によかったですよね。
 
カシメロvsバトラー戦が発表された際は「ポール・バトラーごときが〜」的な感じでだいぶ酷評されていたが、僕はそこまで悪いマッチメークとも思えなかったわけで。
 
え? ポール・バトラーって普通にいい選手でしょ?
井上尚弥どうこうはともかく、以前も言ったようにバンタム級の中では第2グループの先頭くらいにはいるでしょ。
 
シェイファーがカシメロを拾った? バトラー戦がドネアvsガバリョ戦と同じ興行で組まれるとか? 実は一番コケる可能性がありそうなのがアイツ…
 
井上尚弥とドネアの下にカシメロ、エマヌエル・ロドリゲス、ジェイソン・モロニーあたりがいて、その5人が第1グループだとするとポール・バトラーは次点あたり。
 
たとえばラウシー・ウォーレンvsポール・バトラーとかおもしろいと思いますけどね。
絶対に組まれるわけがないし試合自体は絶望的につまらなそうだけど笑
 
 
今回は少々相性が悪そうなジョナス・スルタンが相手&似たようなタイプのウィリバルド・ガルシアに苦戦していたこともあって危ないかな? とも思ったが。
 

単調な攻めをバトラーに攻略されたスルタン。ロープ際でもう1発が出れば…。フィリピン出身のオーソドックスにはこれ系が多いよね

一方敗れたジョナス・スルタンだが、今回は「ああ、そうなっちゃいますか……」というのが率直な感想。
 
低いガードに右1発に頼りっきりの単調な戦術。
バトラーの徹底したアウトボクシングについていけず、ジャブの差し合いでも歯が立たない。
序盤こそ何度かロープ際に追い詰めたが、そこから追撃の1発が出ずにスルッと逃げられてしまう。
 
最後まで諦めずに前に出続けたのはいいが、それだけ。
逆転劇が起きる気配はまったく感じられなかった。
 
うん、ロープ際やコーナーでもう1発を出せていればね。
特に序盤はたびたびチャンスがあったのだが。
 
ここで追撃を!! という局面であと1発が出なかったことが敗因というか、正確には逆転の可能性を見出せなかった要因と言えるのではないか。
 
正直、この選手にカシメロのような意味不明な当て勘や「何をしてくるかわからない」不気味さはいっさいなかった。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 
ちょろっと申し上げたが、今回の試合は2020年12月のWBC世界バンタム級暫定王座決定戦、エマヌエル・ロドリゲスvsレイマート・ガバリョ戦とそっくりだった。


ガバリョはスルタンやカシメロほどジャブが少なくはないが、基本は遠い位置〜中間距離でのぶん回しでねじ伏せるタイプ。
自身のスケール感で飲み込めるうちはいいが、相手の実力が一定以上になるとあっという間に頭打ちになる。
 
カシメロvs赤穂亮戦決定。韓国のパラダイスシティホテルで12月開催。赤穂にも可能性はあると思うんだよね。応援するのはカシメロだけど。理由は…
 
フィリピン出身のオーソドックスにはこの手のタイプが多いが、スルタンもその1人。彼らの中ではカシメロのスケール感が際立っているわけだが、どちらにしても長所と短所がはっきりした極端な選手が多い印象である。
 
なお、日本人選手で言えば佐々木尽がそのパターンですかね。


 
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