落ちたなパッキャオ…。ウガスに3-0の判定負け。仮に現役続行するなら王座を狙うよりも“生き様を見せる”方向にシフトしていけば【結果・感想】

落ちたなパッキャオ…。ウガスに3-0の判定負け。仮に現役続行するなら王座を狙うよりも“生き様を見せる”方向にシフトしていけば【結果・感想】

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2021年8月21日(日本時間22日)に米・ネバダ州ラスベガスで行われたWBA世界ウェルター級タイトルマッチ。同級スーパー王者ヨルデニス・ウガスと休養王者マニー・パッキャオが対戦し、3-0(115-113、116-112、116-112)の判定でウガスが勝利。初防衛に成功した一戦である。
 
 
開始のゴングとともに上体を小刻みに振りながら踏み込みのタイミングを探すパッキャオ。対する王者ウガスは高いガード+前傾姿勢の構えで迎えうつ。
 
手数こそ少ないウガスだが、鋭い左リードでガードの間から再三パッキャオの顔面を跳ね上げる。
パッキャオも得意の出入りと連打で対抗するが、ウガスの硬いガードをなかなか崩せない。逆に打ち終わりにカウンターを狙われ、そのつどガードの上から身体ごと揺らされるなどいまいち流れが掴めない時間帯が続く。
 
中盤以降もウガスの地道な左リードとカウンターにパッキャオは手を焼く。
時おりギアを上げて連打を浴びせるものの、ウガスをたじろがせるまでには至らない。
 
 
そして試合は両者ともに決定機を作れないまま12R終了のゴングが鳴り、結果は判定3-0でウガスが勝利。終始的確なパンチをヒットし続けたウガスが僅差ながらも英雄パッキャオを下し、初防衛に成功した。
 
エロール・スペンスがウガスを撃破で3団体統一。キラー・インスティンクト(笑)が違ったな。チャンスで自重したウガスと攻撃に振り切ることでピンチを脱したスペンス
 

判定結果に文句はない。ラスト2Rが勝負かなと思ったけど、そんな感じだったね

マニー・パッキャオvsヨルデニス・ウガス。
 
まず申し上げておくと、今回の判定結果にはまったく文句はない。
115-113が1人、116-112が2人とのことで、確かにそんな感じだったなと。
 
僕は採点しながら観ていたわけではないのだが、体感としては10Rを終えた時点でウガスが若干リードしていた印象。
パッキャオにとってはラスト2Rが勝負かなと思っていたのだが、公式ジャッジを見てもその通りだったようである。


仮に11、12Rを両方パッキャオが取っていれば、結果は115-113、114-114、113-115で1-1のドローになる。
要するにパッキャオが終盤にもう一段ギアを上げれば引き分けには持ち込めたということ。
 
まあ、それでも引き分けではタイトルの移動は起こらない。
どちらにしても、パッキャオがラストマッチ(かどうかは不明)を華々しく飾る結果にはならなかったというわけか。
 
オスカル・バルデスvsロブソン・コンセイサン感想。コンセイサンの作戦とピーキングの勝利()バルデスはベルチェルト戦をうまく参考にされたかな
 

ウガスは本来パッキャオが得意としてきたタイプ。身体が大きくパワフルだがスピードはない

試合内容についてだが、「パッキャオが落ちたなぁ」というのが率直な感想である。
 
前回の記事で申し上げたように、僕の勝敗予想はパッキャオの判定勝利。
パッキャオが出入りと連打でウガスを翻弄した末にギリギリポイントアウトするのでは? というのが何となくの展望だった。
 
パッキャオvsウガス戦他展望。スペンス離脱による代打ウガスどうよ? パッキャオは今回がラストファイトで大統領選に出馬するとか
 
ただ、勝利の条件はパッキャオが前回のキース・サーマン戦並みのコンディションでリングに上がること。これが必須だとも思っていた。
 
過去の戦績を振り返ると、パッキャオは“大柄でパワフルだがスピードのない”タイプをめちゃくちゃ得意とする。ジェシー・バルガスやルーカス・マティセ、ブランドン・リオスといった、自分よりも身体が大きいがそこまでスピードはない相手を出入りと連打で翻弄してきた実績がある。
 
そして、今回のヨルデニス・ウガスもまさにそのタイプ。
高いガードと大きな体躯、パワフルな前進を持ち味とするが、手数とスピードはパッキャオの方がはるかに上。いわゆるこれまでパッキャオが散々カモにしてきたタイプである。
 

パッキャオの動きが思った以上に悪かった。1R終盤のつんのめるような空振りは足腰の衰えが顕著だった

だが、この日のパッキャオは思った以上に動きが悪かった。
 
前回のキース・サーマン戦よりもシューズ半足ほど間合いが近く上体の動きも少ない。そのせいでガードの間から再三ウガスのジャブを被弾し、そのつど前進を止められてしまう。
得意の出入りや連打もなかなか回転が上がらず、打ち終わりに飛んでくるウガスのカウンターを避けきれない。
 
時おりフルスロットルで襲いかかるも、いまいち長続きせずに失速。逆にウガスのカウンターで身体ごと吹っ飛ばされてしまう流れ。
 
黄昏時のサーマンが若き王者パッキャオ(40)に2-1で敗れる。肘も痛いし足も動かない。だから僕はサーマンに感動したんです
 
今回の試合、僕がパッキャオの動きの悪さをはっきり感じたのは1Rの終盤。
 
ラスト40秒あたりで鋭い踏み込みから連打につなぐシーンがあったのだが、その瞬間にスルッとバックステップして距離をとったウガスにパッキャオはまったくついていけない。しかも自分の拳に振り回され、そのままつんのめるように何もない空間に手打ちのパンチを出すという。
 
明らかに踏ん張りが利いていないというか、パッキャオのああいう姿をみたのは2017年7月のジェフ・ホーン戦以来。
もともと激しい出入りと連打、ストップ&ゴーで相手を置き去りにするスタイルを持ち味としていたパッキャオだけに、コンディションの悪さが如実に表れた場面だった。
 
 
マジな話、この日のパッキャオは全盛期の2/3の力すらあったかどうか。
今回の試合でのフルスロットルが2016年11月のジェシー・バルガス戦の平常時くらいと言っても過言ではない(気がする)。
 

ウガスは間違いなくいい選手だった。長い左と妙なタイミングのカウンターに加え、あっさりパッキャオを吹っ飛ばす強フィジカル

もちろんヨルデニス・ウガスが強かったというのもある。
 
高いガードに前傾姿勢の構え。そこから打ち出すジャブは思った以上に長く、パッキャオのバックステップ、ガードを楽々と超えて顔面を揺らす。
外旋回のフックや打ち終わりのカウンターなど、これまでパッキャオが遭遇したことのないようなタイミングと妙な当て勘も感じられた。
 
さらに言うと、両者のフィジカル差は見た目以上に大きかった気がする。パッキャオのパンチを被弾してもケロっとしているウガスに対し、パッキャオはガードの上からもらっただけで身体の軸を揺らされてしまう。
 
1Rの中盤あたりにウガスの右でパッキャオがロープまで吹っ飛ばされるシーンがあったと思うが、ああいうのを見せられると今までのパッキャオがいかにアジリティ面で優位性を作り出していたかがよくわかる。
 
ガードの上からのパンチでパッキャオがロープまで吹っ飛ばされたシーンに加え、上述のつんのめるように連打を空振りしたシーン。これらを目の当たりにしたことにより、今回のパッキャオは相当厳しいのでは? と思った次第である。


 
井岡は実質負けかな…。ロドリゲスの踏み込みと圧力に大苦戦。勝ちはしたけど衰えも見えたような。判定に物議を醸した時点でアウト
 

パッキャオは現役続行するなら“生き様を見せる”方向にシフトするのがいいんじゃない? ロイ・ジョーンズとかモズリーみたいに

なお報道によると、パッキャオはこの試合を最後にリングを離れて2022年のフィリピン大統領選に出馬する公算とのことだが、実際にはどうなるのか。
 
仮に現役を続けるにしても、今回の内容では再びトップ戦線に絡むのは難しい気もする……。
 
 
そして、僕はそれでも構わないと思っている。
 
もしパッキャオが現役続行するのであれば、ここから先は“生き様を見せる”フェーズにシフトするのがベスト。
 
エロール・スペンスJr.やテレンス・クロフォード、バージル・オルティスJr.といったトップどころではなく、それよりも少し格が落ちる相手とのサバイバルマッチというか。
 
かつてPFP No.1に君臨したロイ・ジョーンズJr.が2005年10月にアントニオ・ターバーに敗れてトップ戦線から脱落し、そこから2018年2月まで約12年半にわたって現役を続けたことは記憶に新しい。
 
オールタイム・ベストの幕引き。元PFPロイ・ジョーンズ引退。スコット・シグモンに3-0の判定で有終の美を飾る
 
バーナード・ホプキンスやフェリックス・トリニダード、ジョー・カルザゲといった“全盛期に対決が実現しなかった”(ホプキンスとは再戦)試合を消化しつつ、“そこそこの相手”とマイナータイトルを争うキャリア。
 
全盛期の動きにはほど遠いが、もともとの才能と膨大な経験値を総動員して残された力を振り絞る。
かつての名選手の衰えた姿は見たくないという意見も理解できるが、僕はああいう哀愁とインテリジェンスが同居したファイトもまったく嫌いではない。
 
もちろん健康であることが大前提だが、パッキャオもかつてのロイ・ジョーンズのように“生き様を見せる”方向で現役を続けるというのもアリなのではないか。
 
 
ちなみにロイ・ジョーンズ以外で長年現役にこだわった名選手といえば、バーナード・ホプキンスやシェーン・モズリー、ザブ・ジュダーが思いつく。
日本人選手で挙げるなら、ボクサーではないがMMAの青木真也がその枠に足を踏み入れているのなと。
 
 
てか、そもそも大統領が他国でプロボクシングの試合なんてできるもんなんでしょうか。
一国のトップが公務以外で国を留守にして、おおっぴらに他国でプロスポーツ活動に励むという状況はなかなかな気が……。
 

解説者としてのジョー小泉がいよいよ限界に。番組が前に進むにはアップデートは必要ですよ

そして、聞くところによるとWOWOWエキサイトマッチのジョー小泉がまたしてもやらかしたとか。
 
僕はジョー小泉のことが大嫌いなので今回も音を消して視聴していたのだが、どうやらウガス勝利の結果に不満タラタラだったらしい。


以前から申し上げているが、僕はジョー小泉はライブスポーツの解説者としてはとうの昔に限界がきていると思っている。
 
呂律が怪しい上に瞬発力の低下によって言葉が出てこないこともしょっちゅう。
動体視力が落ちて判断力が鈍っているのもあると思うが、年齢を重ねて頑固になったことも影響しているように思える。
 
2020年10月のテオフィモ・ロペスvsワシル・ロマチェンコ戦でも似たようなことが起きていた記憶があるが、要するにこの人は完全に旬を過ぎているのだろうと。
 
 
で、それについては2019年4月? 3月? にエキサイトマッチの解説に復帰した際にも申し上げた通り。
 
ロマチェンコがクローラに圧勝! って、さすがにそうなるでしょとしか…。今さらジョー小泉復活とか古すぎる。時間止まってんのか
ヒルベルト・ラミレスvsカーペンシー感想。ラミレスはこの階級でも活躍できる? 僕がジョー小泉が古いと思う理由
 
番組がスタートしてから30年弱。ようやく解説陣も亀海喜寛や西岡利晃、飯田覚士といった陣容で若返りを図っていたところなのに。
今さら70歳オーバーのロートルを復帰させてどうする。
 
現役選手や現場のコーチが常に入れ替わるように、スポーツにおける新陳代謝は必要不可欠なもの。
もちろんそれはスポーツ番組も例外ではない。
いつまでも同じ解説陣、キャスター陣では進歩がないし、番組が前に進むための血の入れ替えは避けては通れない。
 
「いつまでも変わらないよさ」「常にそこにある安心感」というのも理解できるが、スポーツ番組に関してはその範疇ではない。
 
 
そもそも論として、理由が謎のまま消える直前からだいぶ兆候は出てたでしょ。


一応言っておくと、これはあくまで僕の意見であり、ジョー小泉のことを好きな人を否定しているわけではない。
 
・僕の金で契約した番組を
・僕の時間を使って視聴し
・僕の意見を言っているだけ
 
などなど。
結構前からジョー小泉限界説を唱えてきたわけだが、ようやくそれが表面化しているようである。
 
 
てか、番組自体は公式Twitterを開設したりYouTubeで座談会を開いたりと工夫が見られるのに、肝心の解説者がロートル過ぎるって、まあまあ問題だと思いますけどね。
 
 
 
そういえば以前、「エキサイトマッチにジョー小泉はいらん」と申し上げた際にヒステリックに突っかかってきた老害がいたっけな。
「僕の意見を言っているだけでジョー小泉を歓迎している人を否定しているわけではない」と言ったら、「ネット上の反対意見に対抗しなくちゃいけないから」とかいう超絶謎理論をぶち上げなさってた覚えが……。
 
あの老害、元気してるかな。
今回の試合後にSNS上でジョー小泉に対する否定的な意見を結構見かけたけど、1人ずつ突っかかっていくのって大変だろうな。
 
ま、がんばって。
心から応援してる。
 
でもこっちには突っかかってくんなよ。
うぜえから。
 
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