投手大谷翔平の洗練されっぷりに驚いた。打者大谷翔平はよーわからん。コイツのせいで野球のルールを変えなアカン? やっぱりモノが違うってあるんやね

投手大谷翔平の洗練されっぷりに驚いた。打者大谷翔平はよーわからん。コイツのせいで野球のルールを変えなアカン? やっぱりモノが違うってあるんやね

松坂大輔の2021年シーズン限りでの引退発表に大いにショックを受けたというのは先日申し上げた通り。
 
松坂大輔引退表明…。多くのものを背負って腕を振り続けた旧世代の生き残り。圧倒的な躍動感、背中から漂う悲壮感と哀愁がたまらなくカッコよかった
 
発表から1日経った今でもどんよりとしたテンションが続いているのだが、そんな僕の思いとは裏腹に世界は回り続けている()
 
 
このままではイカンということで、少しでも気分を紛らわすためにMLBロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平のプレーを観てみることに。
 
現在81試合に出場して打率.279、ホームラン32本。投手としては13試合に先発して4勝1敗 防御率3.49の成績を残している大谷翔平。
 
特に打者大谷翔平の躍進は凄まじく、2004年に松井秀喜が記録した日本人最多本塁打31本をオールスター前に塗り替えてしまった。
 
 
ところがここ最近、僕はあまりMLBの試合を観ておらず。
大谷翔平の活躍は何度も耳にしていたが、4月の開幕以来ほとんどチェックしていなかった。
 
理由としては、2020年があまりにダメダメだったせいで大谷への興味が失せたというのが大きい。


ただ、松坂大輔の引退表明で沈みまくった気分を回復させるにはかなりの劇薬が必要になる。
 
これを打破できるのは大谷しかいないということで、2021年の(7月8日時点までの)大谷翔平の登板試合をすべて視聴した次第である(暇か
 

投手大谷翔平:一気に洗練されててビビった

では、まずは投手大谷翔平について。
 
上述の通りここまでの成績は13試合に先発して4勝1敗 防御率3.49。
2020年が2戦1敗 防御率37.80だったことを考えると、2018年10月のトミージョン手術から見事な復活を遂げたと言えそうである。
 
 
だが、開幕当初はいまいちピンとこなかったのも事実。
 
エンジンのデカさ、もって生まれたものは文句のつけようがないが、それに依存した脳筋ピッチングはいつまで経っても変わらない。
今年で27歳ということを考えると、「マンガの世界!!」などとチヤホヤされているうちにピークアウトする可能性すらあるのではないか。
 
などと上から目線で偉そうにほざいたわけだが……。
 
田中マー君日本復帰戦、崖っぷち? の筒香嘉智、二刀流復活の大谷翔平は結局どうなのよ?
 


ガラッと変わっててワロタww
 
久しぶりに観た投手大谷翔平、一段レベルが上がっておりました。
 
特に6月23日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦、7月6日のボストン・レッドソックス戦の2試合は素晴らしい。
冗談でも何でもなく、MLB移籍後で最高の出来と言ってもいいのではないか。
 
 
具体的にはスライダーを高速化してスラッター化したことが大きい。
 
今シーズン最初の登板、4月4日のシカゴ・ホワイトソックス戦では、
ストレート:約57% 平均約98マイル
スライダー:約23% 平均約82マイル
カーブ:約2% 平均約76マイル
スプリット:約17% 平均約90マイル
という投球配分となっている。
 
全体の6割をストレートが占め、球速も平均98マイル(約158km)と常に全力投球。
そこに82マイル(約132km)前後のスライダーと90マイル(約145km)前後のスプリットを織り交ぜ、時おりスローカーブを見せ球にするスタイル。
 
 
一方、直近のレッドソックス戦では、
ストレート:約53% 平均約96マイル
スライダー:約8% 平均約81マイル
カーブ:約6% 平均約71マイル
スラッター:約21% 平均約88マイル
スプリット:約12% 平均約88マイル
という配分。
 
ストレートの割合が目減りし球速も抑えられ(約154.5km)、その代わりに88マイル前後(約142km)のスラッターが21%ほど投じられている。
 
 
実際の映像を観るとわかるが、この日の大谷はストレートをカウント球にしてスラッターで凡打を打たせる流れを確立している。奪三振こそ4つだが、7回を投げて89球、被安打5、失点2という数字は文句のつけようがない。
 
4月4日の初登板では4回2/3で92球を費やしている(被安打2、奪三振7)ので、この日の大谷がいかに効率よく打者を打ち取っていたかがよくわかる。
 
 
別に常時100マイル近いスピードボールを投げる必要はない。
ランナーのいない場面ではある程度球速を抑えてストライクを先行させ、少ない球数で追い込んだところで88マイル前後(約142km)のスラッターを引っかけさせる。
98、99マイルを出すのはピンチの局面だけ。それ以外は極力省エネピッチングで“淡々と”アウトを積み重ねる。
 
ストレートとスプリットの2ピッチでごり押しするこれまでの脳筋ピッチングとはひと味違う、洗練された投球術というヤツ。
 
 
この日はむしろスプリットの落ちが悪く、今までであればストレートを狙われて失点を重ねるパターンに陥るところだった。
 
だが、80マイルのスライダーと95マイルのストレートに88マイル前後の中間球(スラッター)が加わったことでピッチングの幅が一気に広がった。
ピッチングをどれだけ“作業化できるか”という、一流どころのピッチャーがたどり着く境地に大谷も足を踏み入れたと言っていい。
 

5月19日のインディアンス戦が投手大谷翔平覚醒のきっかけになったっぽい

恐らくだが、投手大谷覚醒のきっかけとなったのは5月19日のインディアンス戦。
 
この試合では4回2/3を投げて72球、被安打5、失点2という内容で降板しているのだが、ストレートの平均球速が91マイル前後(約146.5km)と前回登板からガクッと低下したことでケガの再発が心配されていた。
 
ただ、改めて投球配分を見てみると、
ストレート:約40% 平均約91マイル
スライダー:約7% 平均約77マイル
スラッター:約32% 平均約83マイル
スプリット:約21% 平均約83マイル
と、スラッターとスプリット中心の組み立てがなされていることがわかる。
 
前回登板ではスライダーとスラッターの使い分けはできておらず、なおかつストレートの平均球速も96マイル以上。
 
つまり、この試合ではスライダーとストレートの間に中間球(スラッター)を加えることにより、ストレートの球速低下を補いながら試合を作っている(4回2/3で2失点)のである。
この経験がこれ以降の覚醒を生んだ要因と想像しているのだが、どうだろうか。
 
さらにストレートが走らなかったことで逆に適度な抜き方、8割前後の力感を掴んだ可能性もある。そのおかげで省エネピッチングを実現できたという。
 
 
あとはアレだ。
どこかの回で突然崩れる不安定ささえ解消されれば、いよいよカブスのダルビッシュ有と同レベルに到達する? かも?
 
筒香嘉智(30)さん、30試合.167、HR1、長打率.219、OPS.489、三振率.281、年俸約5億←ちょっと擁護する部分が見当たらんのだが
 
スライダー系を多投するとどうしてもフォームが横振りになるので、縦変化のスプリットにどれだけ影響を及ぼすか? という懸念もあるにはあるが。
 

打者大谷翔平:意味がわからん。モノが違うってガチであるんやね

続いて打者大谷翔平についてだが、こちらはガチで意味がわからない。
 
出場81試合で打率.279、ホームラン32本。2004年に松井秀喜が記録した31本塁打の日本人最多記録を(投手をやりながら)オールスター戦前に塗り替えてしまった。
 
確か週間MVPを獲得した6月後半~7月初旬にかけての成績が6試合で6本塁打、OPS1.543とかいう超絶異次元だった記憶があるが、どうやらコイツはその間に投手として4戦に先発して2勝を挙げているらしい。


6月の大谷の快進撃は嫌でも耳に入ってきたし、試合は観ずともホームランの映像だけはSNS等で何度も目にした。
 
諸々を踏まえた上で好調の要因をボンクラなりに分析すると、やはり球の見極めができているのが大きいのではないか。
エンゼルスのジョー・マドン監督もコメントしていたが、どんな局面でも打てる球だけを待つ姿勢が今の好循環につながったのだろうと。
 
とりあえず、以前「脳筋のままピークアウトするかも?」などとほざいた無能っぷりを全力で謝罪したいw
 
 
というか、仮に大谷がこのパフォーマンスを続けるのであれば、ルール自体が変更されるパティーンすらありそうな……。
たとえば二刀流登録の選手は登板した次の日は出場不可とか、登板前日は代打出場のみとか。
 
かつてNBAで活躍したシャキール・オニールもそのあまりの異次元なプレーによってバスケのルール自体が変更されたが、もしかしたらそれと同じことが大谷翔平にも起きる可能性も?
 
 
1人の超人の登場により、競技のルールが見直される。
 
モノが違い過ぎて参考にならない才能というのは爽快かつ残酷である。
 

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