アニメ映画「ムタフカズ」感想。クッソ微妙だった。草彅剛の棒読みに30秒耐えられず。映像と音楽を含めた雰囲気イケメンを堪能しろってことなんだろうな
- 2020.06.30
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映画「ムタフカズ -MUTAFUKAZ-」を観た。
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「ムタフカズ -MUTAFUKAZ-」(2018年)
ここは犯罪と貧乏人の吹き溜まりDMC(ダーク・ミート・シティ)。
ある夜、乳児を抱えた若い女性が黒服の男たちに追われていた。
逃げ切れないと悟った彼女は乳児をごみ箱に残してその場を立ち去るが、その後すぐに黒服の男たちに囲まれ殺されてしまう。
それから十数年後。
ごみ箱に残された乳児は成長を遂げ、22歳の青年アンジェリーノ(通称:リノ)と名乗りDMCで生活している。
配達の仕事で生計を立てつつ、ガイコツ頭の親友ヴィンスとボロアパートで怠惰な毎日を送っていた。
そんなある日、配達中に偶然すれ違った若い女性(ルナ)に一目ぼれしたリノ。
バイクを運転しながら彼女に目を奪われていると、前から来たトラックと正面衝突の事故を起こしてしまう。
幸いケガはひどくなかったものの、直後からリノは謎の頭痛と妙な幻覚に苦しむようになる。
また突如としてSWATチームの襲撃を受け、ヴィンスと2人で逃げ回る羽目に。
いよいよ追い詰められたその瞬間、リノの隠された能力が解き放たれ……。
「鉄コン筋クリート」のSTUDIO 4℃制作、2018年公開の日仏合作のアニメーション映画である。
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期待を持って「ムタフカズ」をWOWOWで視聴したが、すみません。超ビミョーでした…
「鉄コン筋クリート」を制作したSTUDIO 4℃による日仏合作のアニメ「ムタフカズ」。
元SMAPの草彅剛が声優を務めたことが話題になったとのことで、たまたまWOWOWで見つけたものを観てみた次第である。
まず、この作品を観て感じたことは2つ。
映像や雰囲気込みで判断すべき作品であること。
間違いなく万人向けではないが、好きな人はとことん好きな部類であること。
確実に言えるのはこのくらいかなぁと。
そして、当の僕はあまりいいとは思わなかった。
視聴前にひと通りレビューサイトを漁ったところ、5点満点中4~4.5点前後と概ね高評価で、映像の斬新さやBGMのカッコよさを推す声が目立っていた印象。
しかも制作は「マインド・ゲーム」「鉄コン筋クリート」のSTUDIO 4℃。2019年には「海獣の子供」が話題にもなるなど、日本アニメ界ではそれなりに名の知れた会社と言える。
諸々の要因を鑑みるに、この「ムタフカズ」もかなり期待できるのではないか。もしかしたら「鉄コン筋クリート」に並ぶ(自分の中での)ヒット作になるかもしれない。
そんな感じで観始めたのだが、結果としてはビミョーだったなぁと。
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声優草彅剛がダメダメだった。あまりのド下手な棒読みに30秒も耐えられず
僕が今作を微妙に感じた要因として、主人公リノを演じた草彅剛がクソ過ぎたというのがある。
今作の宣伝記事や感想を読むと、どうやら草彅の声は「ムタフカズ」の作風にめちゃくちゃ合っているという評価らしい。抑揚が少なく淡々とした草彅の口調がリノのクールで達観した性格と見事にマッチしていたとか。
スピードワゴン小沢も絶賛。
草なぎ剛が日本語版の主人公の声優を務める「ムタフカズ」を映画通スピードワゴン小沢一敬が語る「世界観にピッタリ」【写真3枚】#ムタフカズ #スピードワゴン #小沢一敬 #ザテレビジョンシネマ部 @ozwspw @mutafukaz_ja @STUDIO4C https://t.co/ht5qTq3R6a
— ザテレビジョン (@thetvjp) March 13, 2020
だが、率直に申し上げて僕はダメダメだった。
若干鼻に抜ける喋りから“ネチョッ”とした粘着質の印象を受け、抑揚の少なさはクールというより単なる棒読みにしか聞こえない。冒頭から「え? これって普通にヘタクソじゃね?」と思ってしまったのが正直なところ。
僕は今作をWOWOWオンデマンドで視聴したのだが、リノが登場してからわずか30秒ほどで「吹き替え版」から「字幕版」に切り替えたことを報告しておく。
結果的にはこれが大正解だったわけだが、初っ端からあの声を聞かされたせいで出鼻を挫かれた感が尋常じゃない。
フランス語の声優が上手いか、日本語字幕が適切かどうかは定かではないが、少なくとも草彅の粘着質な声を延々と聞かされるよりははるかによかった。
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しかも、後半からはプロレスラーの桜庭和志や中村大介、男色ディーノ、格闘家の所英男なども声優として出演していたとのこと。
いや~、どうなんだそれは。
別に声優が本職ではない有名人を起用するなとは思わんが、脚本と同じくらい映像や音楽を重視するならそこはきっちりしておいた方がいいんジャマイカ?
視覚や聴覚で視聴者を引き付けたいシーンでド下手な声優に集中を削がれるパティーンは間違いなくあるので。
ちなみに視聴開始後すぐに「字幕版」に切り替えたので、ヴィンス役の柄本時生やウィリー役の満島真之介についてはいっさい存じ上げないっす。
唐突過ぎてわかりにくいストーリー。内容を追うだけで精いっぱい。雰囲気イケメンを味わえってことだろうな
お次は脚本について。
今作は主人公リノが交通事故をきっかけに宇宙人の力に目覚め、徐々に自らを制御できなくなるとともに自分が地球侵略を企む宇宙人と地球人の混血であることを知らされるという流れなのだが、とにかくいろいろなことが唐突過ぎてわかりにくい。
なぜこの女性は黒服のゴツい男に追われているのか。
なぜリノとヴィンスは突然武装集団に襲われるのか。
なぜプロレスラーと武装集団のバトルが始まったのか。
そもそもリノを襲ったこいつらって何者?
そして、何を目指しているの?
次々と物語が展開してそのつど画面がド派手に切り替わるのだが、それに対する説明がほとんどない。そのため、今何が起きてどういう状況なのかを理解するのにいちいち苦労するのである。
というより、最後まで観終わっても細部まで理解できたとは言い難い。
リノが頭痛と幻覚に苦しみ出したと思ったら、突然ごちゃごちゃっとした逃避行がスタートして力が覚醒する。
よくわからん場所に連れていかれ、「私たちの仲間になれ」「それを証明するために親友を殺せ」と命じられる。
いきなり画面がモノクロになり、現実なのかリノの精神世界なのかも判然としないうちに、これまたよくわからんプロレスラー軍団が乗り込んできて武装集団相手に無双し始める。徒手空拳で。
で、散々逃げ回った末にリノとマカベの一騎打ちがスタートするのだが、最後の最後に決着をつけたのは友だちでも何でもないチンピラ集団でしたと。
独特の世界を表現したという意味では素晴らしいのかもしれないが、これが成功と言えるのかは微妙なところ。
恐らく「地球環境に対するメッセージ」や「吹き溜まりで燻る若者のリアル」といったテーマがあったのだと思うが、残念ながらストーリーを追うだけでいっぱいいっぱいでそこまで頭が回らない。
他作品のオマージュ等も散りばめられていたらしいが、頭の回転の遅い僕にはそれをくみ取ることはできなかった。
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“スラム街の若者たち”というありがちなシチュエーションから、地球侵略を企む宇宙人という壮大な話に展開したことを含め、難解に感じる方は多いだろうなという印象。というか、僕自身がまさにそっち側の人間だったわけで。
とはいえ、説明を多くし過ぎると疾走感や作品全体の雰囲気が損なわれるというのも理解できる。
最初に申し上げたように、映像や雰囲気込みで判断すべき作品なのは間違いないだろうなと。
「ガタガタ言わずに雰囲気イケメンに騙されとけばええんやで?」みたいな。
1クールのアニメにした方がよかった? ダサいと思われたくない的な風潮もあるのかも…
もしかしたら、この作品は1クールのアニメとして制作した方がよかったのかもしれない。
これ系? のアニメでパッと思いつくのは井上三太のマンガをアニメ化した「TOKYO TRIBE 2」だが、あの作品のように全13回に分けて1つのエピソードをもう少し詳しく描いていれば……。
疾走感を損なわずにストーリーもうまく伝えられたのではないか。
そういう意味では「鉄コン筋クリート」は本当によくできていたと思う。
もともと全3巻(33話)の短い作品の一部を抜粋したというのもあるが、全編111分の中で松本大洋の気取った雰囲気を表現しきったのはお見事としか言いようがない。
まあでも、アレだ。
「ムタフカズ」のような作品を「わからない」と言うことがダサい的な風潮が今作の純粋な評価を邪魔している気がしないでもない。
「こういう作品からメッセージを感じ取れる俺って頭いい」
「わかってないヤツはこっちに来るなよ」
ゲージュツ()と呼ばれる分野には少なからず排他的な空気が蔓延していて、それが一般層との溝を広げるケースは非常に多い。
先鋭さを追求することで生まれるものは間違いなく存在するが、商業的な観点から見ればマイナスに働くことも……。
上記の「TOKYO TRIBE 2」の題材となったHIPHOP界隈にもその傾向が強いのだが、“排除する側”に回りたいがためにあえて「ムタフカズ」を絶賛している方もいたりするのかな? と思ったり。
アニメ「鉄コン筋クリート」感想。声優の素人臭いザラザラ感と作風が奇跡的に嚙み合った秀作。イタチの正体? 蛇の手下? いろいろ謎も多いけど
いや、それはさすがに考え過ぎか。
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