藤浪晋太郎、千賀滉大、前田健太。注目選手3人の初登板感想。いつも通りの藤浪、問題なく通用する千賀、本気で期待したくなるマエケン
2023年3月30日(日本時間31日)に開幕したMLB。
今シーズンも日本人選手が出場する試合を中心に観ていく予定なのだが、今回は僕が注目している選手について。
阪神からポスティングでアスレチックス入りした藤浪晋太郎、ソフトバンクからFAでメッツ入りした千賀滉大、トミージョン手術を経て2021年8月以来の復帰戦を迎えたツインズ前田健太の3人である。
結果は
藤浪:2回1/3を投げて55球、被安打5、奪三振4、四死球3、自責点8
千賀:5回1/3を投げて88球、被安打3、奪三振8、四死球0、自責点1
前田:5回0/3を投げて79球、被安打3、奪三振9、四死球0、自責点1
藤浪と前田は黒星、千賀は白星と三者三様の初登板となったわけだが、それぞれについて感想を言っていくことにする。
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藤浪晋太郎(2回1/3、自責点8、防御率30.86)
まずは4月2日のエンゼルス戦に先発した藤浪晋太郎である。
感想としては、思いっきりいつも通りだったなと。
オープン戦の際も申し上げたのだが、よくも悪くも藤浪晋太郎そのまんま。
舞台が変わっても内容はほぼ同じで、劣化もなければ前に進んでもいない等身大の藤浪晋太郎だった笑
藤浪晋太郎がオープン戦初登板。よくも悪くも藤浪晋太郎“そのまんま”だったな。投げてるボールはいい。回の頭から突然崩れるのもいつも通り
何度か言っているようにこの選手のポテンシャルはガチでとんでもない。
160kmに迫るまっすぐと150km超えのスピードで斜めに落ちるスプリット。
指にかかった球は「誰が打てるの?」と半笑いで訴えたくなるレベルである。
前回は“普通に先発ローテーションに入る”と言ったが、訂正させていただく。
絶好調時の藤浪はMLBでもトップクラス。
ピッチングに集中できる分、二刀流の大谷翔平よりも突き抜ける可能性すらあるのではないか。
1回1アウトからマイク・トラウトを三振に取ったスプリットはあまりのすごさに「うおっ!!」って声が出ましたからね。
右バッターの膝もとに150kmオーバーで落下していくスプリットなんて無理ゲーですよ、ええ。
この球を自在に操れればサイヤング賞なんてあっという間じゃないの?
ところがこのピッチャーはこれが続かない。ちっとも続かない。
日本時代から「先頭打者に四球を与える→ストライクが入らず一人相撲→フワッと置きに行った球を痛打される」パターンを何度見せられたか。
また、いったん崩れると立て直しが利かなくなるのもキツい。
ボールやマウンドの違いがあまり影響していないのは素晴らしいが、絶望的なまでの再現性の低さもそのまんま。
登板日どころか回ごとに“アタリ”と“ハズレ”が行き来する。
「今日の藤浪はいいぞ」と言った次の回に炎上して大恥をかかされたことも一度や二度じゃない笑
今回はそれが3回にきたわけだが、すべてをひっくるめて「藤浪が藤浪してた」と言わせていただく。
藤浪晋太郎がまたしても炎上。4登板中3登板で試合を壊す先発はちょっと…。好意的に見てた僕ですら厳しいと思っちゃった
千賀滉大(5回1/3、自責点1、防御率1.69)
続いてはソフトバンクからFA宣言→念願のMLBデビューを果たしたメッツの千賀滉大。
この選手に関しては、通用するかしないかで言えば間違いなく通用する。日本でのピッチングを再現できれば確実にローテーションの1、2番手。チームによってはエース格になれるのではないか。
ただ、怪我の多さと中四日への対応が未知数というのが僕の印象である。
そして、オープン戦の登板を観て「これはいけるな」と。
150km台のまっすぐに“お化けフォーク”と呼ばれる落差の大きいフォーク。そこに140km後半のカッターと130km半ばのスライダーを織り交ぜる。
日本時代とほとんど変わらない(スライダーをスイーパー化させたくらい?)投球スタイルで順調にアウトを重ねていく。
初登板となったこの日も同じ。
初回こそ制球が定まらずにバタついたが、2回以降はきっちり修正。藤浪晋太郎のスケール感には及ばないものの、再現性の高さ、安定感はさすがのひと言。日本で7年連続二けた勝利を挙げた実力通りの投球だった。
あとは申し上げたように中四日にどこまで対応できるか、怪我なくシーズンを完走できるかが重要になる。もともと肘の故障が多い選手なのでそこも注目かなと。
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てか、スライダーは無理にスイーパー化させるよりもう少し“キュッ”と曲げた方がいいかもしれませんね。
藤浪も千賀もどちらかと言えばドロンとした軌道で、ストレートの制球に苦しんでいる中で置きに行ったところを打たれていた。
両投手とも2ストライクまでいけば落ちる球(フォーク、スプリット)があるので、相手の狙いは当然その前のカウント球になる。
今回のようにストレートの制御が利かない場合、スピードが落ちるスイーパーは餌食になりやすいのかな? と思ったり。
前田健太(5回0/3、自責点1、防御率1.80)
ラストはツインズの前田健太。
トミージョン手術を経て2021年8月以来の復帰登板を迎えたわけだが。
はっきり言ってめちゃくちゃよかった。
藤浪晋太郎のように「投げてる球はいい」とかではない。
再現性の高さ、打者との駆け引き等、MLBでも上位に入る(と思う)ハイレベルさなピッチング。
それこそ故障離脱する前と何も変わらない。この調子を維持できれば相当活躍するんじゃないの? と思わせるパフォーマンスだった。
中でもよかったのがスライダー。
キャッチャーが外低めにミットを構えたところにドンピシャリで制球する。
ワンバウンドするかしないかのギリギリの高さで逃げていく球に右打者はクルックルである。
さらに決め球のスプリットチェンジも相変わらずいい落ち方をしている。これを左打者の外側だけでなく右打者の内側に投げ込めるのがすごい。
藤浪晋太郎がトラウトを三振させたスプリットに思わず声が出たと申し上げたが、軌道自体はアレと同じ。
藤浪の方がスピードも変化量も上だが、安定してあそこに投げられる分マエケンの方がはるかに実用的である。
トレバー・バウアーファームで初登板。やっぱりまっすぐが軸のピッチャーだよね。ホップ成分が高い“手元で伸びる”球。モーションの大きさはちょっと気になるかな
正直、純粋なフィジカルだけならマエケンは藤浪や千賀に劣る。
160km近いまっすぐもなければアホみたいに落ちるフォークもない。極論、千賀のカッターの方がマエケンのストレートより速いまである。
支配的な投球でサイヤング賞一直線!! みたいなタイプでないのは明らかである。
だが「外のスライダーを見せる→内角高めまっすぐで空振り」「ストレートと同じコースからクイッと落とす」といった感じで、左右の揺さぶりと高低差を目いっぱい使う投球術は安心感が凄まじいw
突然崩れることもない上に1球ごとに意図を感じられるピッチングは観ていて楽しいww
いや~、すげえなマエケン。
今回は6回にガクッと疲れがきたらしいが、そこまではほぼ完璧な内容と言っていい。
ブランクがどれだけ影響するかはわからないが、割と真剣に2020年と同程度の活躍を期待している。
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