宮崎辰也vs重田裕紀戦感想。宮崎選手惜しかった!! 剛腕ぶん回しでチャンスを演出するもTKO負け【2021.6.11 A-signBee28】
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2021年6月11日に東京・後楽園ホールで開催された「A-signBee 28」を現地観戦してきました。
新型コロナウイルスの影響もあり、ボクシングを現地観戦するのは2020年12月以来約5ヶ月ぶり。後楽園ホールに至っては最後に行ったのが2020年8月なので、約9ヶ月ぶりの参戦となります。
別に嬉しくも何ともないけど。
土屋修平vs橘ジョージ、和氣慎吾vs川島翔平。はじめの一歩フェザー級トーナメント決勝行ってきた。人数制限の後楽園ホールアリやなw
この日のお目当ては第3試合の遠藤勝則vs鯉淵健戦と第4試合の宮崎辰也vs重田裕紀戦。
宮崎選手は今年7月に定年を迎えるとのことで、勝てばランキング入り→定年延長、負ければ引退決定という崖っぷちの試合になります。
なお当初は去年の12月に現地観戦した野口将志選手の試合も組まれていたのですが、対戦相手の負傷により中止に。
というわけで、今回は第4試合の宮崎辰也vs重田裕紀戦を中心に感想を言っていきたいと思います。
一応言っておくと、僕が応援していたのは宮崎辰也選手でございます。
村田零士vs牛島龍吾戦感想。村田選手の試合をやっと現地観戦できた。リング外TKOなんて初めて観たわ【2021.7.17八王子市富士森体育館】
結果は5R2分59秒TKOで重田裕紀選手勝利。でも宮崎辰也選手にも勝機はあると思ったよね(後出し)
まず結果から申し上げておくと、今回は5R2分59秒TKOで重田裕紀選手の勝利。
ですが、僕は試合前から宮崎崎辰也選手にも十分勝機があると思っていました。
めちゃくちゃ後出しっぽくてアレですが、宮崎選手の対戦相手が重田選手だと聞いて「お、これはワンチャンあるんじゃねえか?」と。
重田選手の試合は2020年8月の坂井祥紀戦をYouTubeで観戦したのですが、長身のサウスポーという以外に突出したものは感じなかった記憶があります。
坂井祥紀、重田裕紀、佐々木尽、富岡浩介、牛島龍吾、谷口彪賀他。いい選手が多くておもしろかったですね
右リードの鋭さ、カウンターの的確さもぶっ飛ぶほどではなく1発のKOパンチもない上にそこまで足が速いわけでもない。
坂井祥紀選手はガードを上げてじっくり攻めて後半捕まえましたが、宮崎選手に関してはそんなことをする必要はない。それより1発勝負で吹き飛ばす方がいいように思える。
「ジャブの差し合いから〜、距離を測って〜」などの工程を省いて、一足飛びで全力のぶん回しをぶち当てれば……。
vs近藤明広、vsデスティノ・ジャパン、vs佐々木尽とキツい相手が続いたものの、今回はちょっと雰囲気が違う。ガチで宮崎選手が勝つ可能性もあると思った次第です。
試合前の勝敗予想もこんな感じ(「ボクシングモバイル」から引用)。
個人的には宮崎選手のKO予想がもう少し多くてもいいんじゃないの? というくらい、ワクワクしていたことを報告しておきます。
序盤から宮崎選手の左フックのぶん回しが炸裂する。あんな躊躇のないスイングされたらおっかないんだろうなぁ
で、実際の試合も思った通りの大接戦に。
1R開始40秒あたりで重田選手の左ストレートが宮崎選手のガードを揺らすと、2分過ぎに今度は宮崎選手のフックが重田選手のテンプルにクリーンヒット!!
この1発で重田選手が腰をガクッと落とし、スルスルッとコーナーまで後退していきます。
それを見た宮崎選手が一気にペースアップ。
ボディ、顔面にパワフルな連打を浴びせます。
重田選手もガードを固めつつ、要所でカウンターを返して身体を入れ替えコーナーから脱出。
打ち下ろし気味の左右フックで逆に宮崎選手にコーナーを背負わせます。
そして、重田選手が遠い位置から右フックを振るうと……。
これに宮崎選手が鋭く反応。
ダッキングからの左フックをカウンターでドカン。
再び重田選手の腰がガクッと落ち、たたらを踏むようにリング中央まで後退します。
おおおおお!!
すげえええぇぇぇ……!!
そうそう、それそれ。
いきなりの大砲ぶん回しでふっ飛ばすパティーン。
絶対いけると思ったんですよボカァ(後出し)。
マジな話、あれだけ躊躇のないスイングで向かってこられる重田選手は相当な恐怖を感じていたと想像します。
外から観ている分には「足を使ってサイドに逃げればいいじゃねえか」などと好き勝手なことを言いたくなるのですが、当事者としてはたまったもんじゃないのだろうと。
パワーを貯めて、
ドウオリャァァァ……!!!
ズゴーン!!
絶対怖いよねこんなのww
井上尚弥vsアラン・ディパエン戦現地観戦。正直タルいイベントだった。久しぶりの5時間の長丁場+まさかの写真撮影禁止、絶妙に眠気を誘う進行
ペースを掴もうとする重田選手の攻撃を宮崎選手が1発でチャラにする。3Rから右ストレート中心に切り替える
それ以降も右リード、左ストレートを中心にペースを掴みにいく重田選手に対し、宮崎選手はいきなりの左フック、近場でのボディのぶん回しですべてをチャラにしていきます。
ところが2R終盤に左フックのタイミングを読まれ、やや劣勢を強いられてしまいます。
それを受けて3Rからは右ストレートと同時に踏み込む作戦に切り替える宮崎選手。
4Rに入ると、この右ストレートのタイミングが合い始めます。
ズンズン歩いて距離を詰め、適度な距離に入ったところで右ストレート。重田選手の動きが止まった瞬間に左フックをブン!!
ラウンド終盤にやや疲れが見えたものの、ペース自体は宮崎選手に傾いていた印象です。
4R終了間際のこのラッシュはめちゃくちゃテンション上がったよね。
宮崎選手に疲れが見え始めた5R。重田選手の左カウンターでグラつかされ、ラッシュを浴びて無念のレフェリーストップ…
5Rも初弾の右がいきなりヒットするなど、引き続き宮崎選手のペースで進みますが、同時に前のラウンドから見えていた疲れも表面化します。
踏み込みが鈍り、パンチを出す上半身に下半身がついてこない。
足を使って左右に動く重田選手に置いていかれるシーンが目立ち始めます。
ロープに詰めても右のショートを被弾して逃げられるなど、なかなか得意のパターンに入れません。
で、残り40秒あたりで重田選手の左ショートフックをカウンターでもらった宮崎選手の動きが止まります。
そのままガードを上げて後退しつつ、クリンチで体重を預けて時間を稼ぐ流れに。
残り10秒、ロープを背負わされた状態でラッシュを浴びる宮崎選手。
何とかダウンを拒否しますが、頭が下がったところに左をもらって後ろに大きくよろける。
これを見たレフェリーが割って入り、無念の試合終了。
5R2分59秒、重田裕紀選手のTKO勝利が決定しました。
レフェリーとセコンドに状態を確認される宮崎選手。
その後、重田選手が勝ち名乗りを受けます。
アカン。
いや、これはアカンわ。
こういう写真を載せることが正しいのかはわかりませんが、ちょっと言葉にならない光景でした。
でもアレなんですよね。
キツい相手とばかり対戦してきたせいで負けが先行している宮崎選手ですが、今回のようにランカーに匹敵する実力はあるんですよね。
作戦がうまくハマった部分もありますが、いかに濃いキャリアを送ってきたかがよくわかる一戦だったなと。
宮崎辰也vs佐々木尽感想。宮崎選手は数少ない思入れのある選手。A-SIGN BOXING in新宿FACEを現地観戦してきたぞ
ストップの瞬間に思ったのは「嘘だろ、早えよ!!」。「ボクシングにおいて早すぎるレフェリーストップは存在しない」なんてクソ喰らえだね
ちなみにですが、試合がストップされた瞬間に僕が思ったのは「嘘だろ、早えよ!!」です。
重田選手の左カウンターで盛大にグラつかされたものの、残りは40秒弱。
「インターバルでどの程度回復できるかだろうなぁ」と思っていたところでのストップだったせいでかなりの唐突感がありました。
しかも、残り1秒ですからね。
次のラウンドで少しでもグラついたら止めるくらいの様子見があってもよかったんじゃないの?
だって、定年引退がかかった試合だぜ?
などなど。
正直、かなり残念な終わり方だったというのが僕の感想です。
これを言うと「勝手なことを言うな」「レフェリーが正しいに決まっている」と怒られるのかもしれませんが、知ったこっちゃない。
応援している選手の試合、しかも最後になるかも知れない試合で。大ピンチを迎えた局面で“冷静で的確な意見”とか、絶対にいらんでしょ。
「ボクシングにおいて早すぎるレフェリーストップは存在しない」だっけ?
クソ食らえだね。
一瞬の高ぶりによって湧き上がる感情、思わず口から出た言葉まで否定されるのであれば、ライブスポーツ観戦の何が楽しいの?
心が動かされる瞬間や感情が理性を超える瞬間よりも“安全”を最優先しろ、その場にいる観客もそれを共有しろってんなら格闘技なんて止めちまえよ。
だってつまんねえだろ。そんなノリでしか観戦しちゃダメなんて。
「おもしろい」から観てるんだよボクシング。
などと僕なんかは思うんですけどね。
栗原慶太vs小國以載、木村天汰郎vs高橋竜平現地観戦。MVPは文句なしに木村天汰郎。急遽のスパーリングも結構ヨカタ笑
もちろんあとで映像を観直してみれば、あのストップが妥当だったことは僕にも理解できます。
序盤からちょくちょく被弾を重ねていた上にあれほど盛大にグラつかされれば止められるのも仕方ない。もしかしたら、ここ最近KO負けが続いていたことも考慮されたのかもしれません。
ただ、それでも瞬間的に湧き上がった感情まで否定されるのは違うよねという話。
「引退後の人生の方が長い」「選手を無事に家族の元に返すことが最優先」などの正論は重々承知しておりますが、現地の高揚感、ライブスポーツにおける感情の高ぶりまで許容されないってのは違うんじゃないの?
非日常を味わうための格闘技観戦なのに、そういった醍醐味を奪われた上で“冷静で的確な判断力”を求められるのはどうなのよ? と思ったり。
ここ最近、レフェリーの早めのストップに対して否定的な意見を言ってはいけない空気が漂っている気がしたので。
なお、あの雰囲気の中できっちり勝ち切った重田選手は文句なしにナイスファイトでした。
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