マエケンのメジャー成績予想。前田健太(ドジャース)はMLB1年目でどこまでできるのか?
2016年シーズンから米大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースでプレーするマエケンこと前田健太投手。
先発ローテーションの3番手でスタートすることが決まり、順調にいけば4月6日(日本時間7日)のサンディエゴ・パドレス戦で初先発のマウンドに立つことになる。
広島カープに在籍した8年間で通算97勝を挙げ、侍ジャパンでも活躍するなど名実ともに日本を代表する投手であるマエケン。
ドジャースブルーのユニフォームに身を包み、世界最高峰のメジャーリーグの舞台でどれだけの活躍を見せることができるか。広島ファンを始め、野球ファン全体の期待を背負っての2016年シーズンがいよいよスタートする。
マエケンのメジャー1年目がスタート。日本のエースの力を見せつけろ
マエケンのメジャー1年目のスタートである。
事前のメディカルチェックで異常が見つかったり、年俸を極力抑えて出来高に比重を置いた異例の契約を結ばされたりとそれなりに紆余曲折があったが、それも過去の話。
メジャーリーグという世界最高峰の舞台で日本のエースの実力をお披露目するときが数日後に迫ってきた。
僕も何だかんだでマエケンの動向には注目していたし、この手のタイプがどれだけメジャーでやれるかということにも大いに興味がある。
そこで今回は「マエケンのメジャー成績予想。前田健太(ドジャース)はMLB1年目でどこまでできるのか?」と題して、MLB初年度の前田健太が2016年シーズンにどのくらいの成績を残すかを考えてみたいと思う。
正直自信はあまりないのだが、マエケンを応援する気持ちも強いのであえて特攻することにした。
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メジャーでのマエケンはフライボーラーになる? 被本塁打は増えるだろうな
まず最初にオープン戦を見て思ったのが、恐らくメジャーでのマエケンはフライボールピッチャーになるということである。
見ているとわかるとおり、マエケンの球にはかなり角度がある。高い位置でボールを離すフォームなので、角度のついたストレートを投げ込むことができるのである。身長は182cmとも185cmとも言われているが、打者にとってはそれ以上に上から投げ降ろしてくるイメージなのではないだろうか。
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そして、この角度のあるストレートがアッパー系のスイングの多いMLBの打者とちょうど合うように思えるのである。
NPB最終年となった2015年シーズンのマエケンは、GO/AO(ゴロアウトとフライアウトの比率を見る指標)において1.44という数字を記録している。これは完全にグラウンドボーラーとしてのスタイルを確立したことの証明である。
だが、この指標の要因は恐らく日本の野球界でアッパースイングが悪とされていることが大きく影響していると思われる。
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「ボールを上から叩け」
「叩きつけるようにゴロを打て」
「打ち上げるな」
こういった「上から叩くことこそ正義」という固定観念が定着しているために、ダウンスイングで打つ打者の数が圧倒的に多くなるのである。
結果的に、マエケンのようにキレのいい変化球を低めに集めるスタイルの投手はゴロ率が高くなるというわけである。
だが現在のメジャーはツーシームやカットボールなど、スピードボールを手元で小さく変化させるピッチングが全盛である。打者もそれに対応するために必然的に低めをすくい上げるスイングが多くなる。
要するにメジャーの舞台ではアッパー系のスイングの打者と対戦する機会が激増するということなのだが、これがマエケンのピッチングスタイルと合ってしまうのではないかと思うのだ。
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とはいえ、それでもシーズン序盤は恐らく球威で押し切ることができるだろう。
だが、問題はストレートの球威が落ちてきたとき。中四日の登板などで疲れが溜まり、本来の力を発揮できなくなった際にどうなるかである。これまでは外野フライだった打球がスタンドまで届く。そんなケースが増えるのではないだろうか。
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ちなみにニューヨーク・ヤンキースの田中マー君のNPB最終年はGO/AOが1.62となっている。実はマエケンよりもかなり高い数値を記録しているのだが、個人的にこれはあまり参考にならないのではないかと思っている。
理由はウイニングショットの違いだ。
スプリットという決め球を持っている田中マー君はメジャーの舞台でも比較的容易に空振りやゴロアウトをとることができる。だが、落ちる球に田中ほどの精度がないマエケンは、その部分で苦労するはずである。
恐らく日本時代と比べて空振り率は低下する。1人の打者への球数がこれまでよりも増加し、アウトをとるのにもたつくことが多くなるだろう。
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やっぱり左打者への対応がカギになる。強打のアッパースイングに要注意
そして再三言われている左打者への対応である。
オープン戦のピッチングを見ていると、右打者相手には伝家の宝刀スライダーが効果的な球になっている。この球を外角に落として空振り、もしくは引っ掛けさせての内野ゴロというパターンは間違いなく多くなるだろう。
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だが、左打者相手には頼れる球がやや不足している。カウント球、勝負球。基本はスライダーと外のツーシーム、ストレートのコンビネーションになるのだろうが、そのいずれも絶対的な信頼を置くまでの球ではない。
左打者を並べられると1人の打者への投球数が増えて、中盤6回くらいで疲れが出てきたところにドカン。この流れが増えるのではないだろうか。
ときおり緩急をつけるためのカーブも投げているが、これはあくまでアクセントの一つという位置づけである。配球を読まれれば完全に打ちごろの球になってしまうので、あまり多投すると大けがをする可能性は高い。今のところは打者に打ち気がないときの初球にスッとストライクをとるなど、裏をかいた使い方ができているが。
つまり、マエケンが最も注意すべきはアッパースイング系の左打者。
日本時代のように三振を多くとることは難しくなる。なので、アッパー系の左の強打者との対戦をいかに省エネで切り抜けるかが活躍のポイントになるだろう。
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高めのストレートをうまく使えれば活路が拓けるぞ
一つ勘違いしてほしくないのは、僕は決してマエケンがメジャーで活躍できないとは言っていないということである。
むしろその逆で、持っている能力を発揮できれば間違いなくマエケンはメジャーでも通用する。
オープン戦の投球を見る限り、ボールやマウンドへの対応はまったく問題ない。変化球のキレやストレートも大丈夫だ。あれこれ言ってはいるが、マエケンの実力はメジャーでもトップのレベルにある。
ただ、日本時代のような年間200イニング、180奪三振、防御率2点台前半、15勝といった圧倒的な数字は期待しない方がいい。そう申し上げているだけである。
繰り返しになるが、マエケンがメジャーでどれだけ活躍できるかは中四日、中五日の登板間隔にいかに対応するか。結局はそこにかかっていると言っていい。
先述のとおり、恐らくストレートの球威が落ちるとホームランを打たれるケースが激増する。それを防ぐためには、いかに高めのストレートを効果的に使うかがキーになるのではないかと思う。
低めに球を集めるのが基本のスタイルの投手ではあるが、どうしてもそれだけでは難しい。ウィニングショットのスライダーをより効果的に見せるために、高めのストレートで高低差を意識させること。また、そのストレートを投げきれるだけの球威をどこまで維持できるか。
つまり、これまでの投球パターンにプラスアルファを加えることができるか。そして、どれだけタフネスさが持ち堪えられるか、である。
一つ懸念材料を挙げるとすれば、マエケンがダルビッシュや田中マー君のように一段上のギアを持っていないことだろうか。
正確には、持っていないというより馬力の差。絶対的な馬力がダルビッシュや田中に比べて小さいので、全力で抑えにいっても相手を圧倒するほどの出力が望めないと言った方が正解である。
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もしかしたら、ランナーを背負った状況で長打を打たれて走者一掃というシーンも多くなるのかもしれない。投手有利のドジャースタジアムを本拠地にできる利点もあって単純に比較はできないのだが。
成績予想は12勝9敗、防御率3.40。故障さえしなければ
以上のことを踏まえた上で2016年のマエケンの成績を予想すると、
12勝9敗 3.40 175回2/3
こんな感じになるのではないだろうか。無難といえば無難だが。
もちろん1年間ケガなくローテーションを守ったと仮定して、である。
ちなみに2015年の広島カープでの成績は、
15勝8敗 2.09 206回1/3
となっている。
日本時代に比べて被本塁打が激増すると考えて防御率は1点以上上昇。登板数が増えるものの、同時に1試合の球数も増えると仮定して投球回はそこまで延びず。
勝敗は何とも言えないが、ドジャースのリリーフ陣がかなり怪しいので試合を作っても勝敗がつかない試合が多くなると考えて12勝9敗とした。
エース級とは言えないが、ローテーション2、3番手としては必要十分な成績。
様々な予想サイトや識者の予想を読んだが、だいたいそれと同じようなところに収束した感じである。
まあ、とにかく一番の心配は何といっても故障だ。
日本人投手はケガをしなければ活躍できる。だが、ケガをする確率が異常に高い。
中四日への対応と1年通して離脱しないタフさ。日本人投手の課題は結局この部分に行き着いてしまう。
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マエケンがローテーション3番手? さすがにちょっと舐め過ぎじゃないか?
最初に申し上げたとおり、ドジャースのローテーションでのマエケンは3番手の立ち位置とのことである。
これはどうなのだろう。僕個人としては、はっきり言ってマエケン舐めんなよという思いなのだが。
ローテーション2番手のスコット・カズミアーは2014年に15勝を挙げるなど実績のあるベテランである。
だが、正直に申し上げてこのピッチャーはダメだ。ストレートは遅いし、変化球のキレはない。あんなバッティングピッチャーのような球でごまかそうとしても、さすがにそこまで甘くはないだろうという話である。恐らく開幕して3巡目が終わるころにはマエケンと順番が入れ替わっているはずだ。
そして4番手のアレックス・ウッドだが、このピッチャーは当初マエケンと4、5番手争いをすると言われていた投手である。
申し訳ないが、これを本気で言っているのだとしたらマジで舐め過ぎである。
あんな元楽天有銘の上位互換の6回4失点マンごときに日本のエースが後れをとるはずがない。そもそも論として、このピッチャーとマエケンをローテーション争いをさせようと考える時点で正気の沙汰ではない。
そして5番手は2016年シーズンが実質メジャーデビューとなるザック・リー。この投手も悪い選手ではないが、経験値や投球のクオリティを見てもマエケンと比べられるようなレベルにはない。
メジャーNo.1ピッチャーであるクレイトン・カーショウは別格として、どれだけ厳しめに見てもドジャースの先発陣の中ではマエケンは2番手だ。
それも、
カーショウ>>>マエケン>>>>ウッド>>ザック・リー>>カズミアー
5人の実力を比較すると、恐らくこのくらいの序列になる。
そう考えると、割と冗談抜きでカーショウとマエケンの2大エース状態になる可能性は高いと思う。それくらい2016年のドジャースの先発陣は怪しい。
それもこれもマエケンがケガなく1年を乗り切ることが前提ではあるが。
何度も言うが、いかにケガをしないか。
結局の着地地点はそこである。