ダルビッシュ投手の右肘内側側副靱帯損傷からトミー・ジョン手術の可能性を受けて、田中将大投手も含めて靭帯損傷多発の原因を考える

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アメリカMLBテキサス・レンジャーズに所属するダルビッシュ有投手が5日のオープン戦に登板。1回12球を投げたところで右腕の不調を訴えて降板した。
翌6日のMRI検査の結果右肘内側側副靱帯の損傷が明らかになり、有力視されていた開幕投手どころか手術の可能性も高まる事態となった。
もしトミー・ジョン手術(側副靱帯再建手術)となれば長期離脱は避けられず、復帰まで1年~1年半を要することになる。
去年の田中将大投手に続き日本人メジャーリーガーの相次ぐ肘の故障により、MLB関係者のみならず野球ファンの間にも大きなショックが広がっている。

これはホントにショックですね。
野球観戦は大好きなので、ダルビッシュ投手の故障離脱は個人的にも非常に残念です。ぜひとも完治して戻ってくれることを願います。

医学に精通してるわけでもなんでもないただの素人、投手の靱帯損傷の原因について考えてみる

はい。
表題の通りですが、医学に関してど素人の僕が「投手の靱帯損傷が多発する原因」について、おこがましくも考察しようという企画でございます。

あらかじめ申し上げておきますが、これはあくまで僕個人の意見でしかありません。ですので「僕は正しい」と主張する気もないですし、別の意見をお持ちの方を否定するつもりもまったくありません。
また、他のサイトや本などからの受け売りも多分にございますので、それほど独自性と説得力のある意見だという自信もないです。
もしご自分の考えと違う意見だったとしたら「ど素人が何かアホなこと言ってるわw」程度にとらえていただけると幸いです。

では、こんな感じで思いっきり自己防衛したところでスタートしたいと思います。

まず肘の靭帯を損傷する原因について。
これは諸説言われております。
「滑りやすいメジャー球」
「中四日の登板間隔」
「固いマウンド」
「スプリットの投げ過ぎ」
「そもそも人間の身体は160km投げるようにできてない」
「日本時代の投げ過ぎ」
「甲子園が悪い」
などなど。
どれも一理あるし、どれも決定打にはならない気もします。
もちろん僕も原因は1つに絞れるものではないと思いますし、いろいろなことが絡み合って故障に繋がっているんだと考えています。
ですが、その中で一番大きな要因が「投球フォーム」にあると見ています。
身体に負担のかかるフォームで反復動作をし続けた結果、肘の靭帯へのストレスがピークに達してしまったという考え方です。

ダルビッシュと田中将大のフォームを考える

まずダルビッシュも田中将大も、「プロ意識が高く、研究熱心」で「身体に負担の少ないきれいなフォームで投げている」と言われていました。
特にダルビッシュに関してはその知識の豊富さと向上心の高さで、野球界において絶対的な影響力を持つ存在でした。その二人が立て続けに肘の靭帯を損傷した事実には少なからずショックを受けた人も多いはずです。

ただ、実をいうと僕は前からこの二人のフォームはやばいんじゃないかと思っていて、そのうち肘を壊すんじゃないかと心配していました。
ちなみにそのことをちょろっと田中将大ファンに言ったところ、大変な剣幕で怒られてしまい、以降口を閉ざした次第でございます。

とりあえずダルビッシュと田中将大のフォームを見てみましょう。

ダルビッシュの登板試合2014/06/23
田中将大の登板試合2014/06/29

どちらのフォームもテイクバックに注目してください。
まずダルビッシュに関してです。
足を上げてテイクバックに入った際、肘が直角に下がってL字になるのがわかりますでしょうか。そこから左足を着くと同時に肘を支点にして腕を勢いよく振り上げて投球しています。
僕はこの動作が危ないのではないかと思っているんですね。腕を下げた状態から肘を支点に急激に振り上げることでストレスがかかってしまうのではないかと。
こんな感じですね↓
ダルビッシュフォーム01
肘を支点に腕を急激に振り上げるので↓
ダルビッシュフォーム01
肘に過度のストレスがかかる。
うまく伝わりますでしょうか。
イラストのクオリティに関しては申し訳ないです……。

続いて田中将大に関して。
田中将大は足を上げてテイクバックに入った際、右肩よりも右肘が高い位置にあります。いわゆるW字のフォームと呼ばれるものです。このフォームも先ほどのL字同様にテイクバックから右足を着地すると同時に肘を支点に強く腕を振り上げるため、肘に大きなストレスがかかってしまいます。
個人的にこのW字フォームはL字よりも肘にかかる負担は大きいのではないかと考えています。
実際このフォームで投げる投手は実はかなり多く、さらに肘の故障経験のある投手を見てみるとこのW字のフォームであることが多いことに気づくと思います。
田中将大のフォームもイラストで見てみましょう↓
田中将大フォーム01
無理な角度から肘を支点に急激に振り上げるので↓
田中将大フォーム02
肘に大きなストレスがかかってしまいます。

その他にW字で投げている投手といえば、シアトル・マリナーズの岩隈投手やオリックス・バファローズの金子投手が代表例でしょうか。

マリナーズ岩隈2014/09/27
オリックス金子日米野球

いずれも肩肘に故障歴がある投手です。

この動作を一試合に100〜120回、中四日〜中六日の間隔で継続的に繰り返すため、月日が経つほどに肘にかかるストレスは大きくなるものと予想します。

身体に負担の少ないフォーム、その投手たち

次は「身体に負担の少ないフォーム」について考えてみたいと思います。

まず、誰が身体に負担の少ないフォームで投げているかというと、今シーズン広島カープに復帰した黒田博樹投手が挙げられると思います。
黒田投手の投球動画がこちらです↓
ニューヨーク・ヤンキース黒田博樹2014/09/24

例によってテイクバックに注目してください。
自然に腕を下げて、そのまま無理なく振り上げているのがわかりますでしょうか。
必要以上にしならせず、無理な角度に曲げることもせず、自然にグルッと腕を回してそのまま腰の回転を使って投げています。ボールを離す瞬間に無駄な力みもなく、腕が肩を支点にして無理なく勝手に振り下ろされています。
このフォームだと肘に大きなストレスもなく、反復動作を繰り返しても故障する可能性は少ないのではないかと思います。

例によってイラストでございます。
自然な角度で下げた腕をそのまま振り上げています↓
黒田フォーム01
これだと肘にかかるストレスもごく小さなもので済みます↓
黒田フォーム02

その他にも「このフォームはいいんじゃないか」と思う投手を何人か挙げてみたいと思います。

マーク・バーリー(トロント・ブルージェイズ所属)
ダン・ハレン(前ドジャース、2015年マイアミ・マーリンズ所属)
アンディ・ペティット(元ニューヨーク・ヤンキース、現在引退)
ロジャー・クレメンス(元ニューヨーク・ヤンキース、現在引退)

いかがでしょうか。
どの投手もごく自然なテイクバックから、腕に必要以上の力を入れずに腰の回転を使って力まず投げているのがわかります。
まあ、もともと「いいフォームで投げている」と言われている投手ばかりで、すでに長持ちしてしまっているので結果論と言われればそれまでですが。

日本人の投手も挙げたかったんですが、動画が著作権的にグレーなものしか見つからずに断念しました。すみません。
敢えて名前を挙げるのであれば、日本ハムの矢貫投手がいいフォームで投げているように見えます。

【番外編】靭帯損傷には縁がないだろうと言われたけど、故障してしまった投手

最後に番外編としてニューヨーク・メッツのマット・ハービー投手のフォームを見てみたいと思います。

マット・ハービー(ニューヨーク・メッツ)

この投手のフォームは理想的と言われていて、2013年にトミー・ジョン手術を受けたことは大きな驚きを持って伝えられました。
確かに自然なテイクバックから身体の回転を使って無理なく腕を振っているように見えます。
ですが、動画を0:20あたりで一時停止してみていただけますでしょうか。
左足を突っ張ってつっかえ棒のように使っていることがわかりますでしょうか。恐らくこうすることで前に進む力との反発を生み、球の威力を増しているのではないかと思います。
イラストにするとこんな感じです↓
ハービーフォーム
これは非常に理にかなった方法だと思うのですが、僕はハービーの肘の靭帯損傷の原因はこのせいでははないかと予想しています。
ハービーの投げる球は平均で95マイルを超えています。これだけの球速を生み出す反発が瞬間的に起こることで、肘に相当のストレスを与えていたのではないでしょうか。

だいたい僕の考えは以上です。
もう一度申し上げますが、あくまで個人的な見解ですのでこれが絶対正しいとは思っていません。
結局のところ、ケガするヤツはするし、丈夫なヤツはいつまでも平気っていうのが正解なのかも知れません。
また、受け売りの部分も多いので「どっかで聞いたことあるぞ」という話も出てきている可能性もあります。
ただ、一つの考えとしてこういうのもあるんじゃないの? っていうお話でした。

とにかくもう少しで2015シーズンも開幕です。
今年も日米ともに、故障の少ない楽しい野球シーズンになることを期待します。

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