ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義【結果・感想】

ロマチェンコvsテオフィモ・ロペス感想。115-113ロペスかな。ロペスの対策が素晴らしかったしやっぱりスピード&パワー大正義【結果・感想】

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2020年10月17日(日本時間18日)、米・ネバダ州で行われた世界ライト級王座統一戦。WBO/WBAスーパー/WBCフランチャイズ世界同級王者ワシル・ロマチェンコvsIBF世界同級王者テオフィモ・ロペスの一戦は、3-0(119-109、117-111、116-112)の判定でテオフィモ・ロペスが勝利。王座統一に成功するとともにPFP No.1の座に君臨する“ハイテク”ロマチェンコに約5年半ぶりに黒星をつけた一戦である。
 
 
最強王者ワシル・ロマチェンコに無敗のIBF王者テオフィモ・ロペスが挑んだ今回。
試合は序盤から前に出て強烈な左、カウンター気味の右を放つロペスに対し、ロマチェンコは距離をとって左右に動きながら中に入るタイミングをうかがう。
 
ところが予想以上にロペスの攻撃力を感じたのか、ロマチェンコはなかなか自分の距離に入れず。前半はロペスのペースで試合が進む。
 
後半に入るとロマチェンコが徐々にペースアップ。間合いとタイミングを掴み、ロープ際でロペスの顔面を跳ね上げるなど劣勢を挽回するラッシュを見せる。
 
終盤2Rはロペスも盛り返し、クロスゲームのまま試合終了。
だが結果は3-0でロペスの勝利。ロマチェンコは怒涛の追い上げも及ばず王座陥落するとともに約5年半ぶりの黒星を喫した。
 
中谷正義がロマチェンコにTKO負け…。「悔しい」しか感想が出てこない理由? 中谷正義が負けて悔しいからですよ。完全に攻略されてたな
 

久しぶりのビッグマッチにワクワクしたよね。僕の採点は115-113or116-112でロペスかな。さすがに119-109は笑うけどw

新型コロナウイルスの影響で全世界で興行がストップしていたボクシング界。
いわゆる“ビッグマッチ”と呼べる試合は2020年2月のデオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリーVol.2以来ということで、本当に久しぶりの注目試合だったわけだが……。
 
結果はまさかのロマチェンコ陥落。
多くの方が前半KOならテオフィモ・ロペス、判定ならロマチェンコ、どちらかといえばロマチェンコ有利と予想(僕も)していたと思うが、結果はまさかのロペス判定勝利。もっとも可能性が低いとされていた結果に割と驚いている次第である。
 
ロマチェンコvsテオフィモ・ロペスか。一応ロペスにもチャンスはありそうだよな。ロマチェンコ圧倒的有利だと思うけど
 
なお、判定結果についてはそこまで異論はない。
僕のガバガバ採点では115-113、もしくは116-112でロペス。ロマチェンコが勝っていたという声が多いようだが、むしろ僕にはロペスが前半の貯金を守り切った試合に思えた。
 
と言っても、119-109はさすがに笑うけどねw
5億歩譲って117-111はなくはないかも? という気もするが、まさかのロマチェンコが1Rしか取っていないと?
 
僕はこの試合をWOWOWエキサイトマッチで観戦していたのだが、試合後のパツキン西岡利晃解説員の憮然とした表情にじわじわきたことは内緒であるw
 
 
あと、相変わらずジョー小泉は邪魔でした。
 
119-109ロペス! 118-110カネロ!←これってホントに陰謀なの? あからさま過ぎる気が…。採点方法を変えるなら加点方式だろうな
 

ロペスのロマチェンコ対策が素晴らしかった。極力正面を外さず近場では渾身のパワーで打ち返す

試合の感想だが、今回はテオフィモ・ロペスのロマチェンコ対策が素晴らしかったのと、スピード&パワーはやはり大正義だなと思わされる試合だった。
 
この試合、ロペスはとにかくロマチェンコの外側から攻めることを強く意識していたように思う。
 
普段のL字気味の構えをやや緩く、いつも以上に左を自由に動かせるように。
ロマチェンコの右側から鋭角に距離を詰め、若干外旋回のジャブで逃走経路を塞ぐように前進。鋭い左リードをロマチェンコの右にぶつけて連打の発動を事前に防ぐ。
 
時おり身体を伸ばしてボディに右を突き刺し、とにかくロマチェンコに自分の距離を作らせない。
 
また、ロマチェンコが近づいてくればその分バックステップで距離を保ち、近場では必ず連打で応戦する。
中でも斜め下からの軌道で打ち込むアッパー気味の右は効果的。八の字のガードのちょうど真下から突き上げるイメージで、ロマチェンコの連打をそのつど寸断していたのはなるほどという感じだった。
 
僕はもう少しロペスが置いてきぼりを食うかなぁと思っていたのだが、予想以上にロマチェンコの動きを捉えていたことに驚いた次第である。
 
テオフィモを観てると筋トレしたくなる。リチャード・コミーを2RTKOに下して初戴冠。やっぱり中谷正義引退は惜しいよね
 
てか、やっぱりものすげえ身体能力なんだよなこの人。
打ち終わりにほとんどタイムラグなくバックステップに移行できるというか、ストップ&ゴーの際にまったくバランスを崩さず切り返せる。
 
ロマチェンコがロペスの攻撃力を警戒していたのもあるとは思うが、背中側に回られる前にグルっと方向転換して正面をキープし続けたのはちょっとすごかった。
 
何となくだが、かつてニコラス・ウォータースがやろうとしていたことを今回のテオフィモ・ロペスが具現化してくれた気がする。
 

スピード&パワーの大正義。ロペスの火力が強くてまともに近づけず。クリンチを振りほどけないのも初めてだった

一方、敗れたロマチェンコだが、こちらは完全にスピード&パワーの前に屈した感が強い。
もちろんロペスが予想以上にうまかったこと、対策をバッチリ遂行したことは大きいが、それと同じくらいロマチェンコのパワー負けもあったと思う。
 
開始直後から距離をとってリングを旋回するばかりで、なかなか自分の射程に入れず。
近づいてパンチを放っても、ロペスのカウンターを警戒するあまり攻撃が単発かつ1発1発に威力が足りない。
 
本来はそこからパパパッと連打を浴びせ、相手がガードを固めたのを見計らってサイドに回り込んで〜という流れになるはずが、ロペスの火力に圧されてまともに正対できない時間が続く。
 
ホルヘ・リナレス戦やホセ・ペドラサ戦ではサイドに回り込むまでにはいかないにしろ、中間距離での差し合いで常に上回ることで試合をコントロールして見せた。
 
だが、今回はロペスのプレスに後退させられ、進行方向を限定された上でボディで身体を丸めるシーンばかりが目につく。以前「ライト級のロマチェンコに絶対的な強さは感じない」と申し上げたことがあるが、まったく怖がることなく前に出るロペスを観ると、マジでそういうことなのだろうと。
 
ライアン・ガルシアの馬力と多彩な左。ルーク・キャンベルもやることやってたけど、スペック差が激しかったな。ホントに数年前とは別人
 
ボディで身体を浮かされたり、ガードの上からのパンチでロープまで飛ばされたり。
2Rの前半にロペスの右でガードごとすっ飛ばされたのはかなりの衝撃だったし、あの1発で一気に警戒心を高めた印象。
 
8Rの中盤にロペスがクリンチにいくシーンがあったが、あの局面でロマチェンコが相手を振りほどけなかったのを観たのも初めて。1発1発に力を込めるせいで連打がここまで続かないのを観るのも初めて。
とにかくロマチェンコが相手とのフィジカル差を埋められずにねじ伏せられたという事実に僕は結構驚いている。
 
かつてのPFP No.1ファイター、ローマン・ゴンサレスも階級をアップするごとに滑らかさが失われていったが、今回のロマチェンコもそれと同じ流れに乗った感じか。
 
 
ちなみにだが、ギジェルモ・リゴンドーがロマチェンコに勝つには今回のロペス並みに脅威を感じさせる必要があったんやで。
 
クロフォードvsブルック、案外いい勝負になると思うねんな。ブルックのピーキング次第、前半勝負だけどクロフォードの苦戦もあり得る?
 

再戦はする? のかな? ロマチェンコにライト級は負担が大き過ぎるし、ロペスは階級アップしてどれだけやれるかに興味がある

なお今回の判定結果を受けて再戦か? という話があるようだが、いや〜、それはどうなんだろうか。
 
正直、今回の試合でライト級のロマチェンコが絶対王者ではないことははっきりしたし、本人もS・フェザー級に戻りたがっているとのこと。
 
何よりライト級は両者にとって負担が大き過ぎる。
ただでさえ減量苦な上にこれからどんどん身体が大きくなるロペスに対し、ロマチェンコは自分よりも一回り大きな相手を技巧で抑えきれなくなってきている(勝てないとは言ってないです。念のため)。
今回も後半からペースアップして怒涛の追い上げを見せたが、ロペス相手にアレを1試合通して続けるのはさすがに厳しいのではないか。
 
ベテランの域に入ってここからの上がり目が期待できない以上、適正階級で無双していた方が幸せになれる気もするのだが。
 
逆にテオフィモ・ロペスは階級をアップしてどこまでやれるかにはめちゃくちゃ興味がある。
現在のS・ライト級は地味強でハイレベルな選手が多く、中でもホセ・カルロス・ラミレスなどはウェルター級でも十分通用するほど身体が大きい。それこそレジス・プログレイス vsテオフィモ・ロペスとか、僕としてはかな〜りワクワクするのだが。
 
久しぶりのエロール・スペンスJr.がダニー・ガルシア相手の防衛戦。ダニガルさんも結構がんばると思うけど、スペンスのコンディション次第ですかね
 
でも、そうするとアレか。
平岡アンディの目指す場所がさらに高い頂になってしまうのか……。


 
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