僕のセルゲイ・コバレフの帰還。テレベル・プーレフに判定勝利。クルーザー級の耐久力とサイズに戸惑ってたな。相変わらずの前半型だし被弾するたびに動きが止まるのも…【結果・感想】
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2022年5月14日(日本時間15日)、米・カリフォルニア州で行われたクルーザー級10回戦。元L・ヘビー級統一王者セルゲイ・コバレフがテレベル・プーレフと対戦し、3-0(98-92、98-92、97-93)の判定で勝利。2019年11月のサウル・“カネロ”・アルバレス戦以来の復帰戦を飾った。
今回で第5段となるTriller興行。
テオフィモ・ロペスvsジョージ・カンボソス戦を高額落札→延期に次ぐ延期の末に権利放棄して以来、すっかり信用も信頼もなくしたTrillerだったが、何だかんだで今回で5回目を迎える。
しかもメインイベントは僕の大好きなセルゲイ・コバレフの復帰戦ということで、急遽PPVを購入してみた。
まあ、赤を基調とした照明やラウンド終了ごとにピカッと光るリングなど相変わらずのチャラさには安心感すら漂うのだが笑
とにかくコバレフのクルーザー級初戦をめちゃくちゃ楽しみにしていた次第である。
コバレフの復帰戦勝利に期待。でも、もしかしたら…
まず試合の展望というか、クルーザー級初戦を迎えるコバレフに対する僕の印象は下記。
コバレフが戻ってくる。コバレフが戻ってくる(大事なことなので2回言った)。違法配信おもしろおじさんがTriller興行のメインでプーレフと対戦
・約2年半ぶりの復帰&39歳になったコバレフの調子はまったく不明
・SNSにアップされた動画を観るとだいぶ身体が重そう
・対戦相手のプーレフは案外強い
・スピードと左リード、逆ワンツーが機能すればまあ大丈夫
・ただ、ブランクや年齢が影響すると苦戦もあり得る?
要するによくわからない。
恐らくテレベル・プーレフの強さはクルーザー級の中では中の上くらい。普通にやればコバレフに分があると思うが、クルーザー級初戦&約2年半のブランクを考えると何とも言えないところ。
そもそも胡散臭さ満点のTriller興行はちゃんと成立するんか?
まさかテオフィモvsカンボソス戦の二の舞なんてことにはならんだろうな? あ?
コバレフの復活を期待しつつ、“ひょっとしたら”の可能性もあるのでは? などと思っていた。
ベテルビエフvsアンソニー・ヤードは僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合。素で人間辞めてるヤツらが技術まで実につけちゃったw
コバレフはクルーザー級でもそこそこやれそう。これまでと相手の耐久力、サイズの違いは明らかだったね
試合を観た感想としては「ああ、なるほど。コバレフはクルーザー級でもそこそこやれそう」というのが第一印象である。
ただ、王者クラス相手にどこまでできるかは不明。
今のままだとどこかで馬力とサイズを兼ね備えた相手に粉砕されそうな危うさもある。
まず申し上げたようにコバレフはこの階級でも普通に通用する。
・鋭い踏み込み
・得意のジャブ
・逆ワンツー
・前後の出入り
L・ヘビー級時代からの持ち味は変わらず発揮できていたし、スピードに限って言えば相対的にアドバンテージが取れる。
だが相手のパワー、サイズは確実に一段上がっている。
身長183cmのコバレフに対し、プーレフは187cm。上背だけでなくリーチや身体の厚みもコバレフとは差がある。
ジャブを何発もらおうともケロッとして打ち返してくるし、逆にコバレフは見切りが間に合わずにプーレフの左を顔面に被弾してしまう。
これまではコバレフのワンツーがまともに当たればだいたいの相手は倒れていたのに。
プーレフよりもさらに大きい(身長192cm)ビャチェスラフ・シャブランスキーなどはコバレフに2RでKOされたが、今回のプーレフはダウンする気配がまったくなかった。
それどころか1発1発のパンチが重く被弾のたびにコバレフは一瞬動きを止める。
プーレフのパンチを警戒するせいで踏み込みが甘くなったというのは確実にありそうである。
セルゲイ・コバレフベストバウト3選。やっぱりコバレフ超カッコいい。圧倒的な“クラッシャー”っぷりと人間味溢れるコバレフが大好きですww
判定結果、コバレフの勝利に文句はない。
コバレフの力はクルーザー級でも通用することも証明された。
だがその反面、相手の大きさ、パワーへの戸惑いも感じられる。
少なくとも今のままだと王者クラス相手にはかなり厳しい戦いを強いられるのではないか。
前半型なのも相変わらず。プーレフが勝負どころでペースアップできなかったのが…
また、前半型なのもこれまで通り。
中間距離での強さはさすがのコバレフ。
KOできる気配はなかったものの、序盤4Rまでは持ち前のジャブと前後の出入り、時おり出す逆ワンツーで階級上のプーレフを圧倒してみせた。
ところがラウンドが進むごとに目に見えて疲れが……。
プーレフのパンチをまともにもらうシーンも目立ち始め、5R後半にはロープ際で右、左とモロに被弾して軽く腰が落ちる場面も。
攻めているときはノリノリだが、流れが変わると急に切なそうな表情を浮かべるのも今までと同じ。こう言っちゃ何だが、プーレフごときに気弱な一面を見せてしまったのはちょっと残念だった。
激シブだけど超オススメ試合3選。決して有名ではないし派手でもないけど感動的で内容も濃かった3試合を挙げてあれこれ言っていくぞ
だが、そのチャンスでもプーレフのペースは思ったよりも上がらず。
陣営もコバレフの疲労には気づいていたとは思うが、どうやらプーレフ本人が同じくらい疲れていたっぽい。
エレイダー・アルバレスやアンソニー・ヤードなどのトップ選手ならあそこは絶対に勝負をかける局面なのだが。
実際、アルバレスやアンドレ・ウォード、カネロがぶち込んだ右が入りそうなタイミング、角度も何度かあった。
そう考えると、この辺りがトップレベルとそうでない選手の差なのかもしれない。
クルーザー級の現王者vsコバレフの印象。勝機がありそうなのは…
なおクルーザー級の現王者を一通り眺めてみた(これまでほとんど知らなかった)ところ、
・アルセン・グラミリアン(WBAスーパー)
結構強そう。コバレフ厳しいんじゃないか?
でも1年半近く試合をしてないんですね。
・リヤド・メルウィー(WBAレギュラー)
スピードはないがとにかくゴツい。
ジャブと出入りで翻弄できれば……。12R逃げ切れれば勝機はありそう。
・イルンガ・マカブ(WBC)
ヘビー級のルイス・オルティスっぽさのある技巧派サウスポー。
恐らくコバレフのスピードにもついてくる。
・マイリス・ブリエディス(IBF)
WBSSトーナメントでウシクに肉薄した人。ベタ足でめちゃくちゃ根気強い。
一見スピードはなさそうだが、ウシクにもついてくハンドスピードを兼ね備える。
・ローレンス・オコリー(WBO)
英国期待のクルーザー級らしい。身長196cm、リーチ210cmととんでもないデカさ。
ただ、そこまでピンとこないというか……。
コバレフが勝てるかは知らん。
こうして見るとコバレフに勝機がありそうなのはWBAレギュラー王者のリヤド・メルウィーと、相性的にもしかしたらIBF王者のマイリス・ブリエディスとか、そんな感じだろうか(それでも厳しそうだけど)。
粗削りなローレンス・オコリーはうまくやれば何とかなりそうな気もするが、サイズ的に歯が立たないという噂も?
長期ブランク中のアルセン・グラミリアンはよーわからん。
今後の路線や各所属などの知識がまったくないのだが、とにかくコバレフがクルーザー級を制するにはよほどのタイミングと運に恵まれなければ難しい(気がする)。
ベテルビエフが凍てつくようなKOでジョー・スミスを“終わらせる”。ウソみたいだろ。3団体統一戦なんだぜ、それで…。衰えたと言われつつKO街道驀進中のベテルビエフ
でも、僕は最後までコバレフを応援するけどね笑
飲酒運転DV慰謝料ドーピング違法配信おもしろおじさんと化した今でもクラッシャーはクラッシャーなので()
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