ベテルビエフが凍てつくようなKOでジョー・スミスを“終わらせる”。ウソみたいだろ。3団体統一戦なんだぜ、それで…。衰えたと言われつつKO街道驀進中のベテルビエフ【結果・感想】

ベテルビエフが凍てつくようなKOでジョー・スミスを“終わらせる”。ウソみたいだろ。3団体統一戦なんだぜ、それで…。衰えたと言われつつKO街道驀進中のベテルビエフ【結果・感想】

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2022年6月18日(日本時間19日)、米・ニューヨーク州で行われた世界L・ヘビー級3団体統一戦。IBF/WBC同級王者アルツール・ベテルビエフとWBO同級王者ジョー・スミスJr.が対戦し、2R2分19秒TKOでベテルビエフが勝利。3団体統一に成功した一戦である。
 
 
1R序盤からガードを上げて前進、長いリーチを活かしたフックを振り回すジョー・スミス。
対するベテルビエフは前後左右に動きながら左ジャブ、右カウンターを合わせていく。
 
スミスの躊躇のないフルスイングにヒヤっとするシーンもあったベテルビエフだが、ラウンド中盤にはうまく対応しヒットを許さない。
 
そしてコーナーで得意の右をカウンターで当ててスミスをグラつかせると、直後にガードの上から連打を浴びせて強引に押し倒す。
これはスリップと判断されたものの、スミスのダメージは明らか。
上を意識させたところでボディに左を伸ばすなど、それ以降もベテルビエフの的確なパンチがスミスを捉え続ける。
 
スミスも持ち前の馬力で抵抗するが、そのつどベテルビエフのカウンターの餌食に。
計4度のダウンを奪う圧倒的な強さで2RTKOで勝利。見事3団体統一を果たしている。
 
僕のセルゲイ・コバレフの帰還。テレベル・プーレフに判定勝利。クルーザー級の耐久力とサイズに戸惑ってたな。相変わらずの前半型だし被弾するたびに動きが止まるのも…
 

ベテルビエフとジョー・スミスって、それは9割方ベテルビエフじゃないの? てか、3団体統一戦だったの!?

アルツール・ベテルビエフとジョー・スミスJr.によるL・ヘビー級3団体統一戦。
 
この日はキックボクシングの頂上決戦、那須川天心vs武尊戦が行われていたこともあってなかなかボクシングまで手が回らず。
試合があることは知っていたが、結局数日遅れでの視聴となってしまった。
 
那須川天心vs武尊感想。衝撃的に強かった天心。この日の天心には誰も勝てないんじゃない? 武尊もあきらめずにがんばった感動的な試合
 
また僕はジョー・スミスJr.のことをあまりいいと思ったことがなく、ベテルビエフに勝つのは相当難しい気がしていた。
というよりこの選手がWBO王者であることを初めて知ったほど。
ジェシー・ハート、エイレイダー・アルバレスに勝ったことは何となく覚えていたが、まさか王座戴冠を果たしていたとは。
 
そんな感じで、
「ベテルビエフvsジョー・スミス?」
「そらあなた、9割方ベテルビエフでしょ」
「え? 3団体統一戦なの!?」
「ウッソでしょ?」
などと意味不明な驚きとともに視聴をスタートした次第である。
 

ジョー・スミスが勝つには体力のある序盤勝負しかない。でも結果は…

まずジョー・スミスJr.に対する僕の印象は“馬力はあるけどやや単調な人”
 
身長183cm、リーチ193cmと上背に比べて腕が長く、ガードを上げて首をすくめると急所がすっぽり隠れる。
この構えのままジャブを出しながら前進、ある程度距離が詰まったところで左右フックをぶん回すスタイル。
 
若干遅れ気味に飛んでくるフックはタイミングが取りにくく、これまでもガードの外側からこのフックをヒットして相手をダウンさせるシーンを何度か観ている。
 
だが申し上げたように攻撃がやや単調で、基本的なパターンはガードを上げて前進→フックをブンッ!! のみ。
序盤こそおかしなタイミング&躊躇のないフルスイングに相手が戸惑うものの、中盤からはしっかり対応されてモタつく流れが目につく。
 
なので、今回もスミスが勝機を見出すとすれば前半。
ベテルビエフにタイミングを覚えられる前&体力があるうちに得意のフックをヒットする。
正直、これ以外にスミスの勝ち筋はないと思っていた。
 
 
そして結果は上述の通り、2R2分19秒TKOでベテルビエフの勝利。
ジョー・スミスがもっとも強さを発揮する(はずの)時間帯に計4度のダウンを奪っての圧勝である。
 
対応される前もクソもない、スミスの打ち終わりに得意の右カウンターを合わせ、あっさりと3団体統一を決めてしまった。
 
 
いや、すげえなベテルビエフ。
毎回「衰えが見える」「今回は危ないかもしれない」と言われつつ(僕も言ったことがある)、結局終わってみればいつも通りの撲殺でしたの繰り返し。
先日WBA王者のディミトリー・ビボルが不利の下馬評を覆してカネロに勝利したが、今回もL・ヘビー級の魔境っぷりを山ほど見せつけられた2Rだった。
 
アフマダリエフが右だけでロニー・リオスを封じる。岩佐亮佑戦でも思ったけどホントに右が多彩だよねこの人。フルトンとの統一戦? その前にタパレスとの指名戦?
 

ベテルビエフは単なる剛腕ではない。無造作に出したパンチがめちゃくちゃ効く柔剛一体の超人

この試合で改めて思ったのが、ベテルビエフは単なる剛腕ではないということ。
 
18戦全勝18KOのレコードからゴリゴリの倒し屋に見られがち(実際ゴリゴリの倒し屋だけど)だが、それだけじゃない。
うまくアングルを変えつつカウンターをヒットする緻密さを持ち合わせる技巧派でもある。
 
ジャブを距離で回避しながら打ち終わりを狙う→ロープを背負った状態で右カウンターをズドンの流れはこの選手の勝ちパターンの一つ。
 
ちょろっと申し上げたが、先日日本王者の古橋岳也と対戦した井上拓真を彷彿とさせた。


もちろんベテルビエフの決定力は拓真の比ではない。
 
それこそ「あの打ち方でなんでこんなに効くの?」という効きっぷり。
ジョー・スミスもガードの外側から1、2発ポコポコっと当てられただけで足をバタつかせていたし、あの光景には毎回驚かされる。
 
井上拓真vs古橋岳也、平岡アンディvs赤岩俊、石井渡士也vs福永輝、岩下千紘vs山名生竜。井上vsドネア2アンダーカード振り返り。あと、レイチェル・マーシャルさんがヨカタヨ
 
無造作にスッと出したパンチで相手が盛大にグラつく。
このギャップは何度観ても慣れるもんじゃない笑
 
WOWOWエキサイトマッチの解説は「スミスががんばっている」と言っていたが、実際には1R中盤の時点でだいぶギリギリだったと思う。
 
“柔よく剛を制す”でもなければ“剛よく柔を断つ”でもない。
まさに柔剛一体の超人というヤツ。
 
 
ロープを背負った状態での右カウンターがマジでヤバいんですよねこの人。
腹をくくって打ち合いを挑んできたカラム・ジョンソンを流れの中で右ショート一閃。

本人の落ち着き払った無表情さと相まって戦慄が走ったことを覚えている。
 
一応言っておくとカラム・ジョンソンってちゃんと強いですからね。
この試合でも序盤にベテルビエフをからダウンを奪っているし、現在3連勝中だし。
 
てか、この頃から「ベテルビエフに衰えが見られる」などと言われ始めた(僕も言った)んですよね確か。
 
それから約3年8か月。
超人ベテルビエフさんはいまだに全試合KOを継続中である笑
 
ジェシー・ロドリゲスがシーサケットを翻弄して8RTKO勝利。ロマチェンコみたいだったね。機動力の差を見せつけて蜂の巣に
 

残すは人生をかけたビッグマッチのみ。候補はビボルorカネロ。グウォジク戦は歴史に残る名勝負でしたね

先日の井上尚弥vsノニト・ドネア戦戦と同様、3団体統一戦とは思えないほどの一方的な内容で勝利したベテルビエフ。相手を無慈悲に撲殺するファイトスタイルは井上vsドネア戦の熱量とは真逆というか、背筋が凍るような凄みを感じさせる。
 
井上尚弥のリアル鷹村守化完了。さすがのドネアもこの日の井上には勝つのは難しい。悔しすぎてインタビューも聞かずに会場を出ちゃったけど
 
だが、この選手も何だかんだで37歳。
そろそろ人生をかけたビッグマッチが欲しいところである。
 
パッと思いつくところではWBA王者のディミトリー・ビボル、もしくはS・ミドル級王者のサウル・“カネロ”・アルバレスが候補だが、実際にはどうなるか。
純粋な頂上決戦ならビボル、ファイトマネーを優先するならカネロになると思うが、僕としてはどちらでもいい。なぜならどちらもおもしろそうなので。
 
てか、よくよく振り返るとオレクサンドル・グウォジクとの2団体統一戦からすでに3年近く経っているこわけで。
 
あの試合も凄まじい一戦でしたね。
両者が自分の持ち味を目いっぱい発揮した上でベテルビエフが鼻差で勝利した試合。
 
ベテルビエフvsグヴォジク何やコイツら気持ち悪っw フィジカルの暴力と超絶カウンター。あの打ち方であの効き方!?
 

L・ヘビー級史に残る名勝負の一つだと思っております。
 
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