3150FIGHT vol.3感想完結編。力石政法、但馬ミツロ、皇治vsヒロキング戦、などなど。あの頭突きを肯定する気はないけど気持ちはわからんでもない笑【結果・感想】

3150FIGHT vol.3感想完結編。力石政法、但馬ミツロ、皇治vsヒロキング戦、などなど。あの頭突きを肯定する気はないけど気持ちはわからんでもない笑【結果・感想】

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2022年8月14日にエディオンアリーナ大阪第1競技場で開催された「3150FIGHT vol.3」。
前回は福永宇宙vs山下賢哉戦、宮崎亮vsアサエル・ビリャル戦、大沢宏晋vsジョー・サンティシマ戦の3試合の感想だったが、今回はその完結編。メインやセミファイナル、エキシビジョンについて適当に言っていくことにする。
 
3150FIGHT vol.3感想。いい試合ばっかりでしたね。出場選手すら知らなかったけど。皇治vsヒロキングとJBCのゴタゴタで全容をまったく把握してなかった
 
なおイベント全体の感想は現地観戦していない&試合ごとに観ているだけなのでよくわからない。
実際に会場に行かれた人によると観客目線の細かい気配りが各所で見られたとのこと。亀田興毅氏本人がSNSで宣言していたリアルタイム解説も概ね好評のようで、マジで試合を垂れ流すだけのこれまでのボクシング興行とは一線を画すものだったっぽい。
 
そして僕の希望としては前回も申し上げた通り。
エキシビジョン等の余興がゴテゴテしすぎているせいで(努力しないと)出場選手の情報にたどり着かないのが厳しい。今後はこの部分を改善すればより取っつきやすいイベントになるのかな? と思った次第である。
 

◯力石政法vsトムジュン・マングバット×(4R2分45秒TKO)

東洋王者力石政法については亀田興毅がプロモートするようになってから初めて目にしたのだが、正直まだよくわかっていない。
 
上背がありリーチも長い(ように見える)。踏み込みの鋭さやバックステップといった前後の動きに加え、チャンスでの爆発力も兼ね備える。
運動神経自体がよさそうだし1発の威力も相当なものだと思う。
 
そして、それ以上でもそれ以下でもない。
すべてのパラメーターが平均以上だが、基本はそれだけというか。
 
恐らくパワフルに攻めるよりもカウンターを狙う方が得意なのだと思うが、「おお、こりゃすげえ!!」と思うほどの鮮やかさを感じたことはない。
尖った特徴が見当たらない、いまいちピンときていないのが本音だったりする。
 
 
今回の試合もそんな感じで、トムジュン・マングバットのパワフルな前進&フルスイングに下がらされるシーンが目に付いた。
 
腕が伸びる中間距離では強さを発揮するが、強引に距離を詰められるとモタつく。
パワフルな連打、前に出る圧力には長けているが、打ち終わりに顔面ががら空きになりそこで被弾する瞬間がある。
 
長身サウスポーのカウンター使いはバックステップ→リターンをどれだけスピーディにできるかがキモだと思っているのだが、力石に関してはあまりそういう雰囲気はなく。
これはS・バンタム級の和氣慎吾にも共通するのだが、バックステップしたまま戻ってこないせいで距離を詰められやすい、危険な間合いに入られやすいのが特徴。相手のレベルが一段上がるとあっという間に厳しくなりそうな気もする……。
和氣慎吾もジョナサン・グスマンの圧力と連打でけちょんけちょんにされたしね。
 
井上拓真は打倒井上尚弥筆頭? 和氣慎吾戦での圧勝がお見事すぎた。その他、ムンギアvsロサド、キコマルvsガラハド振り返り
 
いい選手には違いないと思うが、現状S・フェザー級のトップクラスと比較すると若干見劣りするかなぁと思った次第である。
 
いや、本人が「絶対に世界を取る」と公言しているので。
 
 
でも相手のトムジュン・マングバットもちゃんと強かったですよね。
15勝3敗1分12KOの戦績だけでなく長身サウスポーの力石を追いかけ回す根気と馬力、前手のジャブの鋭さ、などなど。
中に入る際もそのつど変化をつけていたし、試合後の悔しそうな表情からも真剣に勝ちにきていたことは明らかである。
 
先日、中谷正義と対戦したハルモニート・デラ・トーレを“タイトルマッチ以外で日本に呼べる最高クラスの選手”と申し上げたが、このトムジュン・マングバットもそれに近い実力者だったのではないか。
宮崎亮をKOしたアサエル・ビリャル、大沢宏晋をKOしたジョー・サンティシマと合わせて計3人。どれだけヤバい選手を呼べば気が済むのよ? とツッコミを入れたくなるほどのガチ感である笑
 
中谷正義が復帰戦でハルモニート・デラ・トーレを1RKO。左ジャブ→右打ち下ろし→左ボディでフィニッシュ。短い時間で持ち味が全部出た完璧な勝利っすね
 

◯サトシ・イシイvs高山秀峰×(判定3-0 ※40-36、40-36、39-37)

石井慧のボクシングがおもしろくなるわけねえじゃん笑
 
K-1の試合でだいたい想像ついたろ。
蹴りありルールであれだけ動きが少ないんだから、手だけのボクシングじゃああなりますよ、ええ。
 
 
見た目の清潔感ゼロな人たち3選
・クロアチア国籍のサトシ・イシイ
・レッドソックス所属の澤村拓一
・勇者ヨシヒコ後半の山田孝之
 

◯但馬ミツロvsイ・ソンミン×(1R1分9秒TKO)

そしてメインイベント、但馬ミツロとイ・ソンミンによる日本王座&韓国王座戦(王座の扱いはよくわかってないです)について。
 
開始直後にイ・ソンミンの押し出すようなジャブをさらっと受け流した但馬ミツロ。
追撃の左をダッキングで避け、中に入ると同時に左で顔面を跳ね上げる。
で、間髪入れずに下からアッパー、側頭部に右フックをヒット。この連打でイ・ソンミンが棒立ちになったところでレフェリーが割って入り試合終了。
わずか1分ちょいでの決着にコーナーでドヤりまくるミツロの表情が印象的だった。
 
要するにアレだ。
この体格であのハンドスピード、上下のスムーズな打ち分けができるというのはそれだけで大きなアドバンテージになるのだろうと。
 
今後もアジア圏の選手をぶつけていくのだと思うが、今回の感じだとある程度機動力がある相手を調達しないと似たような結果にしかならなそうな……。
 
 
ただ、試合がおもしろいというのは文句なしに高ポイントだと思う。
 
藤本京太郎はヘビー級離れしたフットワークとカウンターが持ち味の選手。どちらかと言えば極力コンタクトを減らして遠間で“さばく”タイプだった。
一方、但馬ミツロは足を使うというよりハンドスピード重視のスタイルなので、必然的に中間距離での打ち合いが発生する。
この部分における熱量の高さは人気が出る要素の一つなのではないか。
 
正直、ヘビー級に関しては魔境すぎて何とも言えないのだが、亀田興毅にはどうにかプロモートをがんばってもらって道を切り開いていただければと思う。
 
重岡銀次朗vsペドロ・タドゥラン。回転力の違い、vsサウスポーのキャリア、上半身の硬さ。3150fightが今回で消滅だって
 

△皇治vsヒロキング△(エキシビジョンのため勝敗はなし)

ラストは皇治とヒロキングによるエキシビジョン。
JBCの横やりによって公式戦とは別イベントとして行われたわけだが、ヒロキングのバッティングが頻発するまさかの事態に。
後日、亀田興毅氏が自身のSNSでヒロキングに厳重注意を与えたことを報告している。
 
 
この試合に関しては先日ちょろっと申し上げた通り。
純粋なボクシングで歯が立たなかったヒロキングがテンパったのだと想像する。


改めて観直すと、ヒロキングは頭突きの前まではあの手この手で皇治のディフェンスを崩そうとしていることがわかる。
最初は普通に距離を詰めて打ち合おうとするが、皇治のフットワークについていけず。その後は遠間から飛び込んだり、連打を出しながら近づいてみたり。2Rからは挑発を交えながら足を使って打ってこさせようとしたり。要所で頭を下げて向かっていく仕草もあったが、最初のうちは頭突きをする意図はなかったと思う。
 
ただ、何をしても皇治が乗ってこない、それだけでなく純粋にボクシングで翻弄された。中間距離でのジャブ、近場でのボディから顔面へのコンビネーション、ポジショニング等、自分の土俵であるボクシングで逆に力量差を見せつけられてしまった。
 
恐らくエキシビジョンで爪痕を残さなければいけないという使命感に加え、キックボクサーにボクシングで負けている状況に焦りが募ったのだろうと。で、何かデカいことをしなければとひねり出した結果の頭突き。
 
「アカン、全然当たらへん。どうしよう」
「そういえば皇治もバッティングで散々批判されとったな」
「じゃあ、逆にそれをこっちがやったらウケるんちゃうか?」
みたいな。
 
要するにプロ2戦の選手がK-1やRIZINで長年キャリアを積んだキックボクサーを相手にするには少々荷が重かった。実力的にも経験的にも役不足だったというのが僕の中でのファイナルアンサーである。
 
花田歩夢vsアサエル・ビリャル、力石政法vs木村吉光。すごい試合が2つ出ました。花田はよく勝ったな。力石は相変わらず長かった
 
そして、その状況を打破しようと足掻いたヒロキングの心情は理解できなくもない。
行為自体を肯定する気はまったくないが、いっぱいいっぱいになった状態(たぶん自意識過剰)でのやらかしに対しては「そこまで責めてやんなよ」とも思っている。
 
青木真也が何やらエキシビジョンの難しさについて語っていたが、それこそキャリア2戦の選手にどれだけのものを求めてんのよ? という話。


ゴール地点の共有が大事と言うが、仮にそれを示したところで今のヒロキングにやれんのか? と。
 
繰り返しになるが、大舞台を何度も経験したトップレベルのキックボクサーを相手にするにはあらゆる面でキャリアが足りなすぎた。
 
極論、内山高志と皇治のエキシビジョンが最適解だったという噂も?
 
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