田中恒成vs石田匠。田中の勝ちか〜。石田が逃げ切った感じもしたけどな。両者の差は勝負どころでの凄みかな【結果・感想】

田中恒成vs石田匠。田中の勝ちか〜。石田が逃げ切った感じもしたけどな。両者の差は勝負どころでの凄みかな【結果・感想】

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2021年12月11日、名古屋国際会議場で行われた52.5kg契約10回戦。元3階級制覇王者田中恒成とIBF世界S・フライ級5位石田匠が対戦し、2-1(96-94、96-95、94-95)の判定で田中が勝利。約1年ぶりの再起戦を飾った一戦である。
 
 
2020年大晦日の井岡一翔戦での初黒星以来、約1年ぶりにリングに上がった田中恒成。
 
対戦相手の石田匠は2017年10月に当時のWBA王者カリド・ヤファイに敵地で挑戦するなど、長年国内トップ戦線でしのぎを削っている選手。
直近の試合では現バンタム級ユース王者石井渡士也と8回戦で対戦し、3-0の判定勝利を挙げている。
 
 
僕がこの対戦を聞いた際に思ったのが「まったく予想がつかん」
 
 
石田匠は井岡一翔の元同僚で、そのせいもあってかジャブが得意なアウトボクサータイプ。173cmという長身を活かして中間距離からやや遠い位置でのファイトを得意とする。
 
また前回の石井渡士也戦でのあまりに素晴らしいパフォーマンスに、後追いでのYouTube視聴ながらもめちゃくちゃ感動した経緯がある。
 
鋭いジャブをピンポイントで当てまくる正確性、1試合を通してそれを継続できる勤勉さに何度も「おお、すげえ……」と呟いた次第である。
 
特に石井渡士也のように身体能力全開で向かってくるタイプにあのジャブはかなり有効。田中恒成も身体能力に頼ったスピード&パワー偏重なスタイルであることを考えると、今回も大いに期待できるのではないか。
 
 
ただ、石田には1発で試合を終わらせるパンチがないこと、至近距離で連打を浴びると亀になって後退してしまうことなど懸念材料も多い。
井岡一翔は近場でのボディとカウンターで突進を受け止めたが、石田匠に田中の警戒心を煽るほどの怖さを出せるかどうか。
 
福永亮次が井岡に勝つには? 先行逃げ切りしかないんじゃないか? 今回は福永のジャイキリに期待。井岡が前回の不調を引きずっていれば…
 
しかも今回の契約ウェイトは52.5kg。
減量苦によって階級を上げざるを得なくなった石田にとってこれはどうなのよ?
立場的に田中に合わせなくてはならなかったのだとは思うが、できればバンタム級の方がよかったでしょ。
 
などなど。
堂々巡りを繰り返した末に「ちっともわからないから考えるのやーめた」と笑
 
で、余計な脳みそを使わずフレッシュな? 状態で当日を迎えたわけである。
 

石田匠が逃げ切ったかと思ったけど…。ジャブの精度よりも田中の近場でのコンビネーションが評価されたか

まず採点についてだが、申し上げたように結果は2-1(96-94、96-95、94-95)の判定で田中恒成の勝利。3人のジャッジが全員2ポイント差以内という超僅差の試合だったわけだが。
 
いや〜、そうか〜。
田中の勝ちか〜。
 
僕は採点しながら観ていたわけではないが、どちらかと言えば石田が逃げ切ったように思えたのだが……。
 
 
立ち上がりにペースをつかんだのは石田。
だが、割と早い段階で田中が距離感を掌握して反撃開始。中盤までに主導権を奪う。
と思っていると、後半から再び石田が盛り返して一進一退の展開に。
で、ラスト2R? で流れを取り戻した石田がギリギリ逃げ切った? かな?
 
ざっくりとした流れはだいたいこんな感じである。
 
 
ただ、石田が逃げ切った(と思った)と言っても明確なラウンドは少なく、何を評価するかによって判断が分かれる試合だった(気がする)。
 
石田のジャブは再三田中の顔を跳ね上げていたが、果たしてアレがどこまでポイントにつながっていたか。
 
先日の寺地拳四朗vs矢吹正道戦でも序盤のジャブがポイントにならなかったことで拳四朗陣営のプランが大きく狂ったようだし、ジャブが有効打と見なされるにはそれなりに高いハードルがあるのかもしれない。
 
むしろ多少強引にでも距離を詰め、近場でのコンビネーションを機能させた田中にポイントが流れたと言えそう。
 
僕は何となく石田を応援していたこともあって石田が勝ったと思ったが、この結果も十分アリなのだろうと。
 
デービスvsクルス感想。デービスは4Rくらいに左手をおかしくしてたっぽいな。自分より小さい相手に苦戦。そろそろビッグマッチを…
 

田中のボクシングには勝負どころでの凄みを感じるよ。石田には「ここから先はヤバい」という怖さがない

表題の通りだが、個人的に田中恒成にあって石田匠にないのは「勝負どころでの凄み」だと思っている。
 
石田匠という選手は長身と鋭いジャブの精度を持ち味とするアウトボクサータイプ。直近の石井渡士也戦では石井の馬力をこの左1本で封じたと言っても過言ではない。
 
だが、上述の通り強引に距離を詰められたり近場で連打を浴びるとタジタジになる傾向が強い。
長身痩躯のためか、フィジカル面にもやや心許なさが残る。
 
 
またそれ以上に「ここから先に踏み込むとヤバい」という怖さがないのが……。
この試合でも最後まで田中の前進は止まらなかったし、顔面に何発被弾しても警戒心を強める様子もなかった。
 
7R中盤あたりで石田の右カウンターをまともにもらった田中が腰をガクッと落とすシーンがあったが、その直後も何事もなかったかのように前に出て腕を振り続けていた。
 
 
一方、田中恒成の勝負どころでのラッシュ、ペースの上げ方はやはり素晴らしい。
序盤2Rは石田との距離の違いに苦労していたが、そこからの盛り返しもさすがは3階級制覇王者。
 
ピンチに陥ってからの逆襲というか、相手の流れになった局面から力づくでペースを奪い返すタフネスさ、二番底のようなものが田中のボクシングには感じられる。
 
これは長谷川穂積や八重樫東にも共通するのだが、彼らにはどれだけ叩かれて凹まされてもそこから高く跳ねる生命力がある(気がする)。
 
試合の中で劣勢を跳ね返すタフネスはもちろん、一度の負けをバネにもう一度頂点に戻るタフネスさ、強靭な生命力。
 
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ピンチの局面をひっくり返す“凄み”を感じる田中と、いったん劣勢に立たされると善戦で終わってしまいそうな石田。
これが“世界の壁”というヤツなのか、数々の修羅場をくぐってきた経験値の違いなのかは何とも言えないが、そういうちょっとした差が今回の結果につながったと言えるのではないか。
 
 
ちなみに劣勢を跳ね返すタフネスさ、生命力の強さをもっとも感じさせる選手は断然ノニト・ドネアでございます。
 
 
てか、石田には7Rの右みたいなカウンターもあるんだよな。ジャブ中心のボクシングにああいう思い切りのよさが加われば一気にハネそうな気もするんですけどね。
 

田中恒成は井岡戦からの変化はそこまで感じなかったな。まだ階級にフィットしていないというか。ジェイビエール・シトロンには負けちゃいそうな…

また勝利した田中恒成についてだが、正直こちらは前回の井岡一翔戦から大きな変化は感じられなかった。
 
相変わらずのディフェンスのヌルさ、それを攻撃力でカバーするボクシング。
近場での手数とスピード&パワーで圧倒する試合運びはエキサイティングであり、同じくらいハラハラもさせられる。
 
そして、S・フライ級としてはまだ身体が出来上がっていない印象が強い。
長身の石田とのキャッチウェイト戦だったこともあるが、フライ級時代に比べて馬力で圧倒できないシーンが目に付く。
 
この日は石田のジャブに対応するためにガードの位置を意識していたようだが、それによって自慢の攻撃力が目減りしていた気も……。
しかもガードを高く上げた割に被弾自体はそこまで減っていないという。
 
マジな話、田中本来の接近戦の激闘でねじ伏せるスタイル、“打たれながら打つ”試合運びが今のところあまり機能していないように思える。
 
フライ級王者としての最終試合、2019年末のウラン・トロハツ戦などは本当にすごかったのだが。
 
 
実際、この試合が52.5kg契約ではなく正規のバンタム級なら勝っていたのは石田匠だったという噂も?
もっと言うと、現時点の田中では井岡に挑戦したジェイビーエル・シントロンに勝つのも難しいのではないか。
 
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本人的には今からフライ級に戻す気もないだろうし、フィジカル差を技術の高さでカバーした井岡一翔ほどのインテリジェンスも感じられない。
 
いろいろな意味で田中恒成の今後には注目しておこうと思う。
 
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