井岡一翔がWBO王座を返上、ジョシュア・フランコと再戦へ。なるほどその手があったか。ハイリスクローリターンの中谷潤人ではなく最短でエストラーダ戦に向かう方法

井岡一翔がWBO王座を返上、ジョシュア・フランコと再戦へ。なるほどその手があったか。ハイリスクローリターンの中谷潤人ではなく最短でエストラーダ戦に向かう方法

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2023年2月18日、4階級制覇王者井岡一翔が保持していたWBO世界S・フライ級王座を返上した。


2022年大晦日にWBAスーパー王者ジョシュア・フランコとの統一戦に引き分け王座統一を逃した井岡一翔。
直後に指名挑戦者中谷潤人との対戦交渉を行うようWBOから指令が出たが、期限内に交渉がまとまらずに入札へ。
 
ところが井岡陣営は中谷との指名戦には応じず王座を返上、ジョシュア・フランコとの再戦に舵を切るとのこと。
 
これによって王座は空位となり、中谷はランキング2位のアンドリュー・モロニーとの王座決定戦に進むことが濃厚となっている。
 
井岡一翔が再戦でジョシュア・フランコに判定勝ち。どのモチベーションで現地観戦すればよかったの? 試合成立までのギャンブル性が高すぎるんだよw
 

井岡一翔がWBO王座を返上、ジョシュア・フランコとの再戦は確定っぽいね

井岡一翔が約3年半保持したWBO王座を返上した(まだ?)。
 
2022年大晦日にWBAスーパー王者ジョシュア・フランコとの統一戦に引き分け、動向に注目が集まっていた井岡一翔。
WBOからは指名挑戦権を持つ中谷潤人との交渉指令が出されたものの、期限である2月8日までに交渉がまとまらず。興行権の入札を行うとの発表がなされていた。
 
だが、そこで井岡陣営が選択したのはジョシュア・フランコとの再戦。
WBO王座を返上、WBAの挑戦者として6月をめどに日本開催で話を進めているとのこと。
また海外ではすでに両陣営が合意したとの報道も出ており、再戦はほぼ確定と言ってよさそうである。
 
井岡一翔のドーピング検査、大麻成分検出、JBCの対応をセレス小林パイセンが批判。要するに「履歴書に書けるか?」が境界線なんだろうな。法律云々ではなく
 

井岡には望む試合を実現してほしいと思ってたけど、大晦日のドロー防衛によって中谷潤人の挑戦を受けるしかないと思ってた

マジな話、これはちょっと驚いたというか、意表を突かれた感が強い。
「おお、なるほど。そっちできたか」と。
 
 
もともと僕は井岡には本人が望む試合をしてもらいたいと思っており、中谷潤人との指名戦にはずーっと反対だった(僕が決めるわけじゃないけど)。
 
だが昨年大晦日にジョシュア・フランコと引き分けた時点で「これは中谷と対戦せなアカンな」と思ったことも事実。


正式決定していたIBF王者ジェルウィン・アンカハスとの統一戦がコロナの影響で延期に→アンカハス陥落により消滅。
 
その1年後にWBAスーパー王者ジョシュア・フランコとの統一戦を実現。井岡との対戦を望むエストラーダが会場に姿を見せるなど、これに勝てばいよいよ最終目標に掲げる試合に進めるところまでこぎつけたのだが。
 
「あとは結果を出すのみ!!」の状況で勝つことができず。
 
ここまでお膳立てした上で結果を出せなかったのだから、中谷潤人との指名戦を受けるのも致し方ない。
分が悪かろうが関係ない。とにかくやるしかねえぞ井岡。
 
だいたいこんな感じである。
 

エストラーダは井岡が無冠でもOKなの? そういうことなら話は別。井岡陣営の腕の見せどころだね

ところがよくよく記事を読むと、エストラーダはフランコ戦の結果に関係なく引き続き井岡との対戦を望んでいるとのこと。
指名試合がネックになるなら王座を返上すればいいとまで言ったとか。
 
これを聞いて僕も「お、マジか」「そういうことなら話は違ってくるぞ」と。
 
井岡vsフランコ、カネロvsゴロフキンVol.1みたいな試合だった。井岡は負けなくてよかった。階級最強を証明するか思い出マッチにシフトするかで次戦が決まる?
 
さらに翌日の会見で井岡本人も「王座返上を含めて今後を模索したい」とコメント。
 
おお、マジか。
やりようによっては中谷との指名試合を回避できる&当初の予定通りエストラーダ戦に進める可能性も出てきたじゃねえか。
 
恐らく中谷をプロモートする帝拳ジムは井岡との指名戦をゴリ押ししてくる。
これは井岡陣営の腕の見せどころ、大手の意向に振り回されずに本人の望む方向に進めれば。
 
などと思っていた次第である。
 

無冠の井岡<<<WBO王座を6度防衛した安定王者。エストラーダはOKでもプロモーターがNGだったんだろうな

僕が勝手に考えていた井岡陣営の選択肢は下記
・指名戦を先延ばしにしてエストラーダとの統一戦へGO
・WBO王座を返上→無冠となってエストラーダに挑戦
・普通に中谷潤人の挑戦を受ける
 
理想は指名戦を先延ばし→王座を保持したままエストラーダとの統一戦だが、何となく井岡陣営には帝拳側の意向を覆すほどの政治力はなさそう。
 
それならエストラーダ本人が言っていたように「王座返上→WBC挑戦者として対戦」がいいのでは?
というより、期限までの30日間はそちらの方向で交渉していたのだと想像する。
 
ところが先日、井岡と中谷陣営の交渉がまとまらずに入札に移行すると発表された際に「エストラーダ側は無冠の井岡との対戦には応じない方針」との記事が。
 
何となくだが、本人はOKでもプロモーターがNGを出したのではないか。
 
エストラーダが所属するマッチルームはエルウィン・ソトや京口紘人、矢吹正道といった比較的派手な試合をする選手には声をかけたが、ソトに勝利したジョナサン・ゴンサレスやそれ以上の実績を持つ寺地拳四朗、井岡一翔はスルー。軽量級に関してはファイタータイプであることが条件なのかもしれない。
 
もしくは彼らと名勝負を繰り広げた経験があること。
エストラーダ、ロマゴン、シーサケット・ソー・ルンビサイ、カルロス・クアドラスの4人をぐるぐる回すだけで井岡を輪に加える気配がなかったのもそのせい? かも?
 
中谷潤人vsモロニー弟をようやく視聴。両選手に興味がないせいで食指が動かなかった。中谷潤人ホントにつええな。最後の左カウンターは井上尚弥を参考にした?
 
なので、エストラーダとの対戦でそれなりの報酬を用意するにはタイトル保持が大前提になる。
 
要するにエディ・ハーンの中では「4階級制覇王者だけど現在は無冠&試合も地味な井岡一翔<<<WBO王座を6回防衛中の安定王者」なのだろうと。

エディ・ハーン
「ロマゴンとの4度目の対決は最大の試合になるが、スーパーフライ級で4団体統一王者が見たい」
「井岡-WBA世界同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)による2団体王座統一戦の勝者との対戦が『エストラーダにとって理にかなっている』」


 

中谷潤人とは時期や報酬面で折り合わなかった? さすがに4月8日開催は4階級制覇王者を舐めすぎだよ

諸々を踏まえるとやはり3番目の「普通に中谷潤人の挑戦を受ける」が有力になる。選択肢としては最悪だが、とりあえず次に進むにはそれしかなさそう。
 
なので、交渉がまとまらずに入札に入ると発表された際も開催時期や報酬面で折り合いがついていないのだろうと思っていた。
 
 
4月8日に開催される「Prime Video Presents Live Boxing」第4弾、那須川天心のデビューイベントに井岡vs中谷戦が入るのでは? という噂が唐突に流れてきたが、さすがにそれは井岡にとって不利すぎる。
 
選手としての立場、実績はもちろん、何で格下の都合に合わせて過去一短いスパンで試合をせなアカンねんと。


「大手の意向に抗うほどの政治力は井岡陣営にはなさそう」と申し上げたものの、大晦日に試合をした井岡にこのスケジュールを強いるのはいくらなんでも舐めすぎである。
 
那須川天心vs与那覇勇気はバチクソ熱い。南出仁戦でアウトボクシングされたのを受けて選んだかな。5戦目でOPBF王座を獲得した武居由樹を意識してる? かも?
 
あとはアレだ。
最低入札額が約1320万円と聞いた瞬間は目眩がしたよね。
 
帝拳側がどんな条件を提示したのかは不明(4月8日開催で声をかけていたとしたら)だが、とりあえず1320万はあり得ない。
 
それこそ井岡9:1中谷の取り分でも全然足りないくらい。
こんなはした金で過去一短いスパン、キャリアにとどめを刺されるかもしれないリスクを負うなどお話にならない。
 
逃げたもクソもあるか。
井岡の実績があればもっとずーっと値打ちをこいても全然いいだろ。
 
どんな条件でも対戦を受けるのが王者の矜持だ?
4階級制覇王者をバカにすんなよ、お?
 
そんな感じで、中谷との指名戦は仕切り直しになったのだと想像していた。
 
「だれバト vol.6〜NEW STREAM〜」現地観戦感想。え? これ“だれでもバトル”じゃなくないすか笑 ボクシングイベントで初めて知り合いを誘ってもいいかな? ってオモタ
 

王座を返上してジョシュア・フランコとの再戦へ。なるほど、その手があったか。ギリギリの道をよく見つけたな

そして、その直後に「井岡一翔、WBO王座を返上してジョシュア・フランコとの再戦の意向」の報道が。
 
おおおおお……。
なるほど。
 
その手があったか。
 
中谷潤人との指名戦を回避しつつエストラーダ戦の条件である王座を手にする。
大晦日で絶対に勝たなければいけない試合でトチってしまった井岡にとって、最終目標にたどり着くにはもっとも可能性が高そうな道である。
 
ジョシュア・フランコ側も日本での試合は軽量級が軽視される母国よりも条件がいいはず。前回の来日で日本を大いに気に入ったようだし、再戦のオファーを断る理由はない。
 
弟のジェシー・ロドリゲスに唾をつけていた帝拳ジムが兄貴をスルーしていたことがここで幸いしたというか。
 
 
ただ、井岡の中では相当な葛藤があったはず。
 
長身サウスポーで上り調子の中谷潤人と、一度の対戦である程度実力を把握しているジョシュア・フランコ。
勝つ確率が高いのはフランコだが、それをやってしまうと心ないファンから「逃げた」と罵声を浴びせられるのは目に見えている。
 
しかも1度の失敗を経て戴冠、6度の防衛を重ねた王座にはそれなりに愛着もあったはず。手放すにはかなりの覚悟を要したのではないか。
 
 
僕は今回の戦略を“逃げ”などとは思わないし、上述の通り前々から井岡には望む試合を実現してもらいたいと思っていた。
 
なので、この決断は普通に支持している。
 
大手のプロモーターに抗う政治力もなく指名戦をズラすほどの交渉力もない。最終目標に進むには王座保持が絶対条件の中、ギリギリの道をよく見つけたなぁと。
 
 
だが、案の定「井岡が王座を返上する」旨の報道が出た際は各所で「逃げた」祭りがががが。
 
与那覇勇気の会見がめちゃくちゃイケてた件。「ボクシングからの果たし状」の言葉で外敵感を強調する那須川天心への「俺は甘くないよ」には心底震えたね笑
 

今回の井岡の決断を「逃げた」というならいろいろなヤツがそこら中で逃げてる。現実的にフランコとの再戦は簡単じゃないと思うぞ

いや、もうホントに「逃げた」が好きだよな。
 
今回の井岡が逃げたというのであれば、
・寺地拳四朗:ヘッキー・ブドラーから逃げた
・ファン・フランシスコ・エストラーダ:フランコから逃げた
・スティーブン・フルトン:階級上のフィゲロアから逃げた
・ジェイソン・モロニー:ノニト・ドネアから逃げた
からね。
 
こじつけでいいなら
・井上尚弥:王座を返上してランキング上位陣から逃げた
・カネロ:「お手痛い」言うてベルトを抱えたまま逃げ回る
・チャーロ弟:「怪我した〜」言うてティム・チューから逃げた
・エロール・スペンスJr.とテレンス・クロフォードはお互いに逃げた
まで成り立ってしまう。
 
当たり前だがそれぞれに事情がある。
望む試合が決まらなかったことは残念だし、ボクシングはあまりにそれが多いが、だからといって誹謗中傷は違う。
 
寺地拳四朗vs京口紘人戦再視聴。京口が思った以上にがんばってた。でも、改めて拳四朗の強さがドン引きするレベル。「そこからまだ上があるのかよ」って思ったよね笑
 
というより井岡にとってジョシュア・フランコとの再戦はそこまで簡単ではない。
 
前回は引き分けといっても限りなく負けに近い試合。ジャッジに救われた部分は大いにある。
さらに再戦では若い方が勝利するケースが多く(統計を取っていないので実際には不明)、むしろ井岡に不利な試合とも言える。
 
どちらに進んでも茨の道しかない中、ギリギリの選択をした井岡を僕はめちゃくちゃ応援させていただく。
 
 
まあ、試合前の会見で「王者は挑戦を受けて立つもの」などと口走って付け入る隙を与えてしまうところが井岡らしいが笑
 
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