おおお…ハードがララに勝ちやがった! いい試合だったな。両方がんばった。ちょっとロマvsリゴ戦ぽくもあったかな【結果・感想】

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2018年4月7日(日本時間8日)、米・ラスベガスで行われたS・ウェルター級王座統一戦。WBAスーパー王者エリスランディ・ララとIBF王者ジャレット・ハードが対戦し、ハードが2-1(114-113、114-113、113-114)の判定で勝利。王座統一に成功した試合である。
 
 
いつも通り前傾姿勢でカウンターを狙うララに対し、ハードは軽くガードを上げて強引に近づく。逃げ場を塞ぐようにララの前に立ちはだかり、躊躇なく両フックを打ち込んでく。
 
距離をとってスペースを確保したいララだが、ハードの強いプレスに何度もロープを背負わされる。
ガードの間から鋭いカウンターを打ち込むものの、ハードはまったく動じずに前に出続ける。
 
中盤以降、さらにハードがプレッシャーを強めると、ララも意を決してインファイトで勝負に出る。
両者が頭をつけて至近距離で打ち合い、一進一退の消耗戦が続く。
 
「やっべえw 巨人ムンギアがアリを爆撃。ムンギアなんだコイツ。プロレスラーみたいだな。は? これでもハードの方がデカいの?」
 
そして最終回。
ペースを上げたハードが、スペースができた一瞬に左をヒット。
ララからこの日最初のダウンを奪う。
 
ララもすぐに立ち上がって反撃に転じ、乱打戦のまま終了のゴング。
結果的にこのダウンが決め手となり、2-1の判定でハードの勝利。見事に王座統一を果たした。
 
「田中恒成ええじゃないですか! バルドナドを9RTKOで下し、フライ級初戦を飾る。木村翔戦は…全然わからん」
 

ジャレット・ハードが勝っちゃったよww そして、ビッグマッチがどんどん決まる激戦不人気階級にもっと注目を…

やべえww
ジャレット・ハードが勝ちやがったww
 
以前の記事で、
「ララに勝てるとしたらハード」
「でも、ララが勝ちそう」
「応援するのはハードだけど」
などと申し上げてララの判定勝利予想をしたのだが、思いっきりハズレ。
 
しかも、ララがこれだけ攻略されて負けたのは初めてじゃない? というくらいお見事な勝利だった。
 
「ララvsハードが決定しただと……?! さすがS・ウェルター級だなオイ。こんなビッグマッチがサラッと決まっちゃう激戦階級」
 
これでWBC王者ジャーメル・チャーロとの統一戦に進むのだと思うが、ここまでビッグマッチがポンポン決まるのもまたすごい。ウェルター級とミドル級に挟まれているせいで不人気階級ではあるが、そのおかげで統一戦がどんどん決まってしまうという皮肉。
 
個人的には、化け物揃いのL ・ヘビー級に次ぐ激アツ階級である(ここ最近はS・ライト級も熱いかな?)。
 

エリスランディ・ララに勝てるとすればジャレット・ハードかな? とは思っていたけど、本当に勝つとはね

今回の試合、僕はハードがララとの距離を詰められるかどうかがすべてだと思っていた。
 
何度も申し上げているように、エリスランディ・ララという選手はリゴンドーと同様、待ちのスペシャリスト。
 
カウンターと抜群の見切りをチラつかせて自分のテリトリーを確保し、「この線を踏み越えたら命はないぞ」という無言の圧力で相手の出足を封じる。
 
そして得意な距離をキープし、安全圏からタッチゲームを展開する。
勝利のための最短距離というか、相手を塩漬けにして勝つ効率的なスタイルを突き詰めまくった選手である。
 
「すっげえ…! ウィリアムスがハードに勝利。Mr.まあまあの人が怪物王者を攻略。クリンチの少ないクリーンなボクシングって?」
 
対するジャレット・ハードだが、この選手の持ち味は強靭なフィジカルとカウンター。
 
L字気味の構えと上半身の動きで相手の攻撃をいなし、反動をつけてカウンターを返す。
だが、特別見切りがいいわけではなく被弾も多い。
それを打たれ強さでカバーし、どんどん前に出て腕を振り下ろす。
 
僕はハードのことを勝手に「不器用なカネロ」と呼んでいるのだが、この選手のフィジカルならもしかしたらララの塩漬けカウンターボクシングを踏み越えられるかも? とも思っていた(可能性は低いけど)。
 
「ラッセルとかいう年1の風物詩。今回はジョセフ・ディアスとのお戯れですかww フェザー級最強の試合枯れマン」
 

身体の正面を晒して無遠慮に近づき、インファイトでララの技巧を無効化する。ここまで丸裸にしますかハード

そして、結果的にマジでララを攻略しやがったからすごい。
 
腕を下げて大股で蛇行しながら前進し、無遠慮に距離を詰める。
ある程度の位置まで近づいたらガードを上げ、身体の中心を守る。
 
リーチの差を活かして左を振り下ろし、そのまま体重を預けるように身体を密着させる。
そして左の肘でスペースを作り、小さい右のアッパーをねじ込む。
さらに、わずかにララが後退した瞬間を狙って左フック。
 
ララに「ここから入ってくんなよ」と宣言する暇も与えず、大きな歩幅で近づく。
身体の大きさと歩幅の広さを活かして圧力をかけ、中間距離でララと正対する。
ララが苦し紛れのクリンチに来れば、腕力で強引に振りほどく。
これでララは左右への逃げ場を失い、やむなくコーナーを背負わされるという地獄。
 
身体の正面を晒す分被弾は増えるが、そこは打たれ強さでカバー。急所だけはガードで守り、理不尽なまでのフィジカルですべてをチャラにしてしまう。
 
「ロドリゲスvsバトラー!! この試合に注目しないとは何たることぞw 激闘必至の好カードちゃいます?」
 
待ちのスペシャリストが自分のテリトリーに立ち入られた際の脆さというか、この手のタイプが負ける王道の展開というか。
スタイリッシュさなどは皆無だが、どことなく2017年12月のロマチェンコvsリゴンドー戦を思い出した。
 

ララもめちゃくちゃがんばった。あそこまでスタイルを崩された上で、インファイトに切り替える勇気。アレはリゴンドーにはないものww

対するエリスランディ・ララについてだが、「まあ、これはしゃーないかな」という感じか。
というより、あれだけ自分のスタイルを崩された中でよくがんばったと思う。
 
7Rから圧力を強めたハードに対し、意を決してインファイトに応じたのもよかったし、そのインファイトでもハード相手に十分やれていた。
僕はリゴンドー同様、この選手はインファイトで脆さがあると思っていたので、あのがんばりにはちょっとだけ「おお!!」となってしまった。
 
「この試合をわからないヤツはニワカだ!! エリスランディ・ララvsガウシャのハイレベルな駆け引きの末に生まれた芸術的ボクシング」
 
7Rにハードがペースを上げ、それにララが呼応する。
何から何まですばらしい試合だったとしか言いようがない。
 
これまで塩漬け退屈マンとして嫌ってきたが(?)、ジャレット・ハードのしつこい前進を12R耐えきったのは普通に称賛されていい。
少なくとも、自分の距離を潰された時点で試合を投げ出したリゴンドーとは一味違う。
どちらがいいか悪いかの話ではなく。
 
というか、こんな大試合がほとんど話題になっていないなど、本来あってはならないww
むしろWOWOWが生中継するべき試合と言っても過言ではない。
 
まあ、本当に生中継しやがったら目ん玉が飛び出るほどビックリするわけですがww
「え? WOWOWトチ狂ったの? 破産するの?」みたいな。
 
「ジョシュアがパーカーを子ども扱い。パーカーはがんばったけどやっぱり2m無双。結局こうなっちゃうんだよな」
 

やっぱりエリスランディ・ララって運動量が多くないよね。この年齢まで劣化もなくできるのはこの省エネスタイルのおかげか。長谷川穂積にもこのメンタルがあれば…

なお今回の試合で一つ思ったのは、ララもリゴンドーも運動量は少ないよねということ。
 
危険地帯に踏み込まれた際、バックステップやサイドステップで距離をとるのだが、案外すぐに追いつかれる。
 
むしろオースティン・トラウト戦の方が、ハードは捕まえるのに苦労していたくらい。
前後左右に激しく動きつつ、カウンターで対抗。その分ハードの出足が鈍り、ポイント的にもリードを許していた気がする。
 
なので、やっぱりあの無言のプレッシャーの効果は絶大だったなぁと。
「この線を踏み越えたら命はないぞ」と恫喝し、遠い位置から数発ヒットして「はい、このラウンドは俺のもの」とのたまう。相手が出てこない分、省エネでのポイント奪取が可能になる。
リゴンドーやララが30代半ば〜後半までこのクオリティを保てるのも、MAXパワーを出す場面を極力少なくしたおかげなのは明白である。
 
「ジャーメル・チャーロがトラウトに完勝。野性味満載の1発狙いで2度のダウンを奪うも倒しきれず。ハード戦はよ」
 
同時に、それを攻略された際の脆さも露呈したわけだが。
 
以前にもちょろっと申し上げたが、僕は長谷川穂積は才能だけならリゴンドーにも匹敵したと思っている。あの選手に少しでもララのようなボクシング脳があれば、もっと別のキャリアがあったかもしれない? などなど。
 
まあ、仮に長谷川穂積がリゴンドーのようなスタイルを突き詰めていたら、日本のファンにこれだけ受け入れられたとは思えないが。
むしろ井岡一翔のように、理不尽なdisを受ける可能性すらあったかもしれないわけで。
 
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