堀川謙一すげええぇぇ…。無敗の冨田大樹を圧倒TKOで東洋太平洋L・フライ級王座戴冠。ちょっとラベルが違いましたねラベルが【結果・感想】
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2020年7月25日、神戸市中央体育館で行われた東洋太平洋L・フライ級王座決定戦。同級8位堀川謙一vs同級1位冨田大樹の一戦は、堀川が10R1分47秒TKO勝利。見事王座を戴冠するとともに日本王座を含めて自身4本目のベルト獲得に成功した。
序盤から得意の左リードを打ち込む冨田に対し、打ち終わりを狙ってカウンターを返す堀川。
堀川の的確な左を被弾し、冨田は徐々に手数を減らしていく。
中盤以降、距離感を掴んだ堀川が前後のステップで翻弄。体格で上回る冨田を圧倒する。
冨田も後半から前に出て腕を振るが、堀川は冨田が勢いに乗る前に距離を詰めて連打を浴びせ、逆に冨田を後退させる展開に。
そして10R。
ダメージが蓄積した冨田を堀川がロープに追い詰め、さらに連打の回転を上げる。最後は強烈な右のクロスでレフェリーストップを呼び込み試合終了。
10R1分47秒、14戦無敗の冨田大樹を終始圧倒した堀川謙一がOPBF王座の初戴冠を果たした。
ゴロフキンの左リードのすごさを考える。“意識の外から飛んでくるパンチ”が無造作過ぎて準備がちっとも間に合わない
堀川謙一待ってたぞww 去年の10月に初めて観てファンになったのであります
神戸市中央体育館で行われた無観客+YouTube生配信の東洋太平洋L・フライ級王座決定戦。
無敗のランキング1位冨田大樹と元日本王者堀川謙一による一戦だったわけだが。
元王者堀川謙一については、2019年10月に東京・後楽園ホールで行われた日本タイトルマッチで観たのが初めて。
前日本王者の高橋悠斗に大接戦の末に敗れて王座から陥落してしまったのだが、その際のファイトにめちゃくちゃ感動した記憶がある。
年齢的にも大ベテランなので「この試合で引退か?」などと言われていたが、いやいや、待て待てと。
あれだけ動ける選手がこの試合で引退なんてもったいなさ過ぎる。
部外者の好き勝手な意見だが、ぜひとも現役続行してもらいたい。
だって、すげえ雰囲気あるんすよこの選手。
そんな感じであれ以来動向を気にしていたのだが、今回OPBFタイトルに挑むとのことで「うおおお!! キタコレ!!」と。テンションが爆上がりした次第である。
すげえわ堀川謙一。ラベルが違ったよねラベルが
試合の率直な感想としては、
「堀川謙一すげえ」
「ちょっとラベルが違ったっすね、ラベルが」
相手の冨田大樹という選手を観たのは今回が初めてだったのだが、パッと見では左ジャブが強く一瞬のスピードもありそうなイメージ。
堀川と対峙すると身体もひと回り大きくリーチも長い。単純なスペックだけなら堀川よりもかなり上なのではないか。
だが、通算60戦に迫るキャリアを誇る堀川にはそんなことは関係ない。
開始直後からガードを上げて前進し、冨田の左リードを弾きながらプレッシャーをかけていく。
冨田の左をパリングで弾き、小さなヘッドスリップで芯を外す。
打ち終わりにわずかに距離を詰めて左を当て、さらに相手の左に合わせて外側から右クロスをねじ込む。
相手の得意のジャブを絶妙のタイミングで外し、そのつど打ち終わりにカウンターを返す。
恐らく冨田は遠い位置で堀川を釘付けにしたかったのだと思うが、むしろ自分がサイドに回りながら下がらされる展開に。
カウンターをチラつかせながら前に出る堀川。
プレッシャーを感じて後退しつつ、突破口を探る冨田。
最初の数ラウンドを終え、試合の主導権を握ったのは完全に堀川の方。
圧勝としか言いようがないTKOでした。7R終盤から10RTKOまでの流れが素晴らし過ぎて
それ以降、試合は堀川の一方的な展開が続く。
冨田の左をわずかなスウェーでかわし、左をダブルでヒット。
相手が動きを止めた一瞬を狙ってスルスルっと距離を詰めて左右のショートフック。
相手が強引に出てくれば、距離をとってサイドに回り込む。
そして、身体を寄せて動きを封じてボディ、顔面へ連打。
相手が反撃姿勢に入った瞬間にはスルッとポジションを変える。
冨田が嫌がって距離をとれば、すぐさま追いかけてど真ん中からボディを突き刺す。
勝負のラウンドでは自ら前に出て腕を振り、相手の勢いを寸断。
接近戦でのもみ合いではうまく肘を使い、ギリギリ自分の腕を強振できるスペースを作り出す。
絶対に得意な間合いを崩さず、やや離れた位置で対峙したい冨田に自分の距離を作らせない。
そして、7Rの終盤に明確なダメージを与えて10RTKO勝利になだれ込むわけだが、もう素晴らし過ぎてヤヴァイww
僕の観た限り、初回から一度もペースを渡すことなく倒しきった試合。“圧勝”という言葉がぴったりの計10Rだった。
今こそ拳四朗vs京口紘人の統一戦実現を。井岡一翔vs田中恒成はいまいち乗れないけど、こっちの統一戦は大歓迎っス。村田諒太も停滞してるしね
スペックだけなら冨田の方が上だったと思う。でも、そういうことじゃないんだろうな
申し上げたように両者の戦力を比較すると、単純なスペックだけなら冨田大樹は堀川謙一をかなり上回っていたと思う。
踏み込みのスピードやパンチの迫力、身体の大きさ等、身体能力の面で劣っている部分は見当たらない(気がする)。
だが、動き出しに一瞬の硬直がある冨田に対し、堀川の動きはめちゃくちゃスムーズ。予備動作と呼べるものはほぼ感じられず、力感なく“静”から“動”へ滑らかに移行することができる。
しかも冨田はラウンドが進むごとに一発狙いで肩に力が入り、その分堀川に動き出しと打ち終わりを狙われてしまう。
特に8R終了間際の左は凄まじいタイミングの一撃だった。
冨田の動き出しを狙って右を打つと見せかけ、冨田が左を出そうとした瞬間に鋭く踏み込んでの左。
この試合はあの1発で決まったと言っても過言ではないほどお見事な右である。
他にも僕などには理解できない駆け引きが山ほど行われているのだと思うが、とにかく堀川謙一がすごかったとしか言いようがない。
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中間距離で堀川謙一に勝つのは至難の技。序盤から強引に接近戦を挑んだ高橋悠斗はうまかったよね
恐らくだが、堀川謙一という選手に中間距離の差し合いで勝つのは至難の技なのだと思う。
相手の動きを感じ取るセンサーがあまりに高く、間合いの奪い合いが芸術的に長けている。冨田の左リードがほとんど通用しなかったことからも、あの距離で堀川とまともに勝負してはダメなのだろうと。
そう考えると、試合開始とともに身体ごと前に出て接近戦を挑んでいった高橋悠斗はかなりうまかった。
スロースターター気味の堀川のエンジンがかかる前にガードを上げてグイグイ距離を詰め、低い姿勢でボディを連打して強引にペースを引き寄せる。
初っ端からハイペースで飛ばしたせいで中盤からかなり反撃にあっていたが、そこから先は精神力の勝負。
微妙に角度を変えながら芯を外し、どうにかこうにかスタミナと手数で逃げ切る。
堀川に中間距離での駆け引きをさせず、自分のペースを無理やり引っ張り出した高橋悠斗の作戦勝ちというヤツ。
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それに対し、今回の試合では自分の土俵に立った堀川のすごさが山ほど証明された。
下馬評では冨田大樹の有利予想が多かったらしいが、見事にそれを跳ね返した試合運びは感動的ですらある。
うん、マジでナイスファイトでしたね堀川謙一。
さすがは僕が一目でファンになっただけはある(違
あとはまあ、こういう試合があると、早く平時に戻ってもらいたいと改めて思わされますよね。
withコロナでもafterコロナでも何でもいいけどさ。
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