銀魂 THE FINAL感想。やっちまったなぁ。普通でよかったのに「銀魂らしさ」の呪縛にガッチガチで身動きできなくなってるw【映画】
- 2021.01.12
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アニメ映画「銀魂 THE FINAL」を観た。
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「銀魂 THE FINAL」(2021年)
銀時、高杉、桂の3人は不老不死の化け物、虚の復活を止めるために走っていた。
彼らの師匠である吉田松陽は、虚が終わりなき生の中で気まぐれで作り出した別人格。地球滅亡のカウントダウンの中、3人はそれぞれに複雑な思いを抱えながらひた走る。
虚復活を目論む天導衆の残党が彼らの行く手を阻む中、真選組や吉原の住人ら、かつての戦友も銀時たちを力強くサポートする。
そして瓦礫とともに落下する銀時のピンチを救ったのは、万事屋銀ちゃんのメンバーである神楽と新八。さらに復活を果たした定春。
「いきましょう!! 最後のバカ騒ぎに!!」
2年間の空白を経て、ようやく万事屋の3人と1匹が勢揃いしたのである。
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「銀魂 THE FINAL」を観てきた。2年後の結末とやらが気になっていたので
2020年8月発売の単行本77巻をもって完全終了した「銀魂」。
「最終回近し!!」と宣言してから約3年もの間、ジャンプGIGAやスマホアプリへと場所を変えつつようやく完結した作品である。
そして今回、集大成として「銀魂 THE FINAL」が劇場公開されたわけだが。
ちなみに僕はというと、ラスボスの虚がアルタナの底に落ちていったところまでしか知らない。アニメも原作もそれ以降は未視聴で、「そのうち機会があればコミックスでも買うか」程度に考えていたところ。
ただ、姿を消した銀時が2年後に高杉とともにかぶき町に戻ったという話は聞いていたので、結末自体はそれなりに気になっていた。
そんな感じで、中途半端に止まっていたストーリーがどうなったかを知る意味も含めて劇場に足を運んでみた次第である。
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やっちまったなぁ。普通でよかったのに。あまりピンとこなかったけど、世間の評判はめちゃくちゃよくて驚いた
率直な感想としては「やっちまったなぁ」。
そして、「普通でよかったのに」。
表題の通りなのだが、今回の「銀魂 THE FINAL」は個人的にはあまりピンとこなかったのが正直なところ。
だが鑑賞後にレビューを漁ってみると、5点満点中4点や5点ばかりで高評価がめちゃくちゃ多い。 世間と自分との思った以上のギャップに狼狽しているww
まあ、それはともかく具体的な感想を。
まず思ったのが、「肩に力が入り過ぎ」ということ。
作画の微妙さに関しては各所で言われていたが、それ自体は仕方ないと思っている。
新型コロナウイルスの影響でスケジュールが立てにくかったことに加え、恐らく公開日も二転三転したと想像する。その状況の中で無事公開にこぎつけ、あれだけのクオリティに仕上げた製作陣にはリスペクトしかない。
それよりも気になったのは内容の方。全体的に入れ込み過ぎたせいで銀魂らしさが失われていたことが非常に残念だった。
というより、「銀魂らしさ」を出そうとし過ぎたことでかえって窮屈になったと言う方が正解か。
僕が思う銀魂のよさは、適度に肩の力が抜けたヒーロー感のなさや、時おりエスカレートして一線を超えてしまうギャグ路線。従来の週刊少年ジャンプの王道を踏襲しつつ、そこから少し逸脱したナンセンスさにある。
「一国傾城篇」で見廻組局長の佐々木異三郎が映画版ドラえもんののび太とジャイアンの関係性を生々しく語ったり、喫煙場所を求めて宇宙中を駆け回る土方十四郎が、行く先々でパロディとは呼べないレベルでドラゴンボールのキャラに扮したり。
るろうに剣心の技、牙突や九頭龍閃をアレンジなしでそのまま登場させてみたり。
「おいおいww」と思いつつもそれがギリギリ許されるダラけた空気感が銀魂の持ち味であり、この作品が長年愛される理由だと思っている。
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だが、今作「銀魂 THE FINAL」はその部分での前のめり感が尋常じゃない。
「銀魂らしさ」を出さなきゃアカン。
肩の力を抜いたユルを出さなきゃアカン。
「銀魂らしく」の呪縛に締め付けられて、逆に身動きが取れなくなっている印象。
入れ込み過ぎなんだよな。「これが銀魂だよ!!」とアピールしてやろうという思いが透けて見えるのが…
冒頭のあらすじ説明などもそう。
明らかに「最初からドラゴンボールのパロディで行くことを決めてたでしょ」というのが丸わかりの入れ込み具合。
ファンに「これが銀魂だよ!!」とアピールするためにパロディありきでスタートしたのが見え見えで、それが微妙に薄ら寒いww
いや、違うんだよ。
パロディをやるならもっと自然な流れでやらんと。
土方と銀さんの魂が入れ替わり、万事屋が規律正しい組織に生まれ変わったことで初めて新八の牙突は成立するし、アンサーとしての沖田総悟の九頭龍閃も許される。
“喫煙場所を探すために宇宙中を駆け巡る土方”というナンセンスな設定だからこそ、ドラゴンボールの丸パクリも笑えた。
だが、冒頭のつかみでいきなりアレをやるのはどうなのよ? と。
「銀魂ファンをニヤッとさせたい」思いが透けて見えるというか、前のめり具合が完全に空回りしているのである。
後半、たまが復活を果たした世界がマダオの理想郷と入れ替わっていたヤツもそうだし、唐突に放り込んできたエヴァンゲリオンもクッソ微妙。
原作を読んでいないのでこれらが原作通りなのか映画オリジナルなのかは知らないが、とにかく“普通”でよかったのにという部分がめちゃくちゃ目につく。
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僕が観たかったのはそういうのじゃない。王道をそのまま行ってくれれば十分だったんだよ
全体の構成もかなり微妙だった。
今作は第1部がドラゴンボールのパロディを全面に押し出したあらすじ説明、第2部が銀時、高杉、桂や万事屋メンバーと虚、天導衆の残党たちとのバトル。後半の第3部では虚討伐後のかぶき町の様子がたまの復活とともに描かれる。
そして、この3部の振り分けのバランスがすこぶる悪い。
本来であれば銀時たちと虚の最終決戦をメインに、あらすじ説明と後日談はほどほどにというのが王道の構成のはず。
ところが今作は第2部と第3部をあえて同等のボリュームにすることで、これまでのキャラクターをまんべんなく登場させている。
いや、いらんいらん。
恐らく「銀魂 THE FINAL」は“銀魂の集大成”という認識が他作品よりも強く、ラストの顔見せとして往年のファンのためにすべてのキャラクターを登場させたのだと想像する。
だが、僕が観たかったのはそういうのじゃない。
銀時たちが傷だらけになりながらも虚を撃破し、地球を救うとともに長年の因縁にケリをつける。で、どうにかターミナルから脱出してかぶき町に戻り、そのタイミングでたまが感動の復活を遂げての大団円。
虚とのバトルをガッツリやってくれればそれでよかったわけで、後日談にあそこまで時間を割く必要性はまったく感じない。
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オサレ感を出そうとしてダダ滑り。何度も言うけど「普通でよかった」
さらに言うと、虚とのバトルも残念な部分がかなり多い。
ターミナルを登る最中に中ボスらしきヤツらに行く手を阻まれ、そこで銀時、高杉、桂の3人にそれぞれ見せ場を作る。
で、かつてのキャラたちの助けを借りて虚の元にたどり着き、いよいよラストバトルスタート。
神楽、新八が完全にサポート役に回ってしまったのは残念だが、そこまでの流れはぼちぼちよかったのである。
ただ、最後の虚との一騎打ちが……。
高杉の中に入ったために実体を持ってしまった(間違ってたらすみません)虚と銀時が激しく斬り合う白熱のバトルなのだが、はっきり言ってイキり過ぎである。
銀時や高杉の回想シーンを細切れに差し込んでみたり、虚が見ていた幻覚と現実の映像が入れ替わったり。数分前と今起きている光景がひっくり返ったり。挙げ句の果てには、松陽先生に戻った虚が新八&神楽と合流したり。
臨場感とクライマックス感を意識しているのは理解できるのだが、いや待てと。
いくら何でもあそこまで時間軸を歪められたら、ごちゃごちゃし過ぎてさすがに意味がわからない。
「イケてる俺たち製作陣サイコー」的なオサレ感を出したかったのかは知らんが、逆にダダ滑りしていることに気づこうぜOK?
繰り返しになるが、僕が観たかったのはそういうのじゃない。
もっとこう、ベタでわかりやすいバトルの末にハッピーエンドを迎える王道の結末。
最初に申し上げたように、「普通でよかった」。
その割には定春の復活シーンはめちゃくちゃあっさりしてたしね。
あそこはもう少し引っ張ったり、凝った演出があってもよかったんちゃうの? とも思うのだが。
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まあ、ぶっちゃけ古くからの銀魂ファンにとってはアレでよかったのかもしれないが。
もともと銀魂は「終わるタイミングを逃した」典型的な作品で、虚がアルタナの中に落ちたところがギリギリ最終回のチャンスだったと言っても過言ではない。
それを無理やり引き伸ばした2年後の話は蛇足中の蛇足。本来、映画化などあり得なかったわけで。
だが、グダグダの原作に最後まで付き合ってくれたファンにけじめをつけるという意味では、あの流れが正解だったのかな? という気がしないでもない。
パロディのゴリ押しやキャラクター総出演のうっすうすな第3部も、熱烈なファンにとっては嬉しい展開なのかも。
逆に言うと、一見さんお断りの内容に振り切った清々しさというのは確実にある。
いきなりターミナルの階段を登るシーンからスタートしたことを含め、今作は原作を既読orアニメ全話(+dTVでの特別編「銀魂 THE SEMI-FINAL」)を視聴した人間にターゲットを絞ったものであることは明らか。
僕のようにラストの手前でストップしているニワカw などは、冒頭のシーンで置いてきぼりを食うことは間違いない。
つまり今作「銀魂 THE FINAL」は「最後までお付き合いいただきありがとうございました」という熱烈な銀魂ファンへのメッセージだったのだろうと。
いや、たぶん違うけど。
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