やっぱりエストラーダとビーモンじゃ実力差があり過ぎたよな。相手を挑発したりおちょくったりはエストラーダには似合わんけどな【結果・感想】
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2019年8月24日(日本時間25日)、メキシコ・エルモシージョで行われたWBC世界S・フライ級タイトルマッチ。同級王者ファン・フランシスコ・エストラーダと同級14位ドウェイン・ビーモンの一戦は、9R51秒TKOでエストラーダが勝利。凱旋試合となった初防衛戦を制した試合である。
今年4月にシーサケット・ソー・ルンビサイとの再戦を制し、約3年半ぶりに王座戴冠を果たしたエストラーダ。メキシコでの凱旋試合となった初防衛戦は、戦績16勝1敗1分のドウェイン・ビーモンとの対戦。
試合は序盤から積極的に前に出るビーモンに対し、エストラーダはどっしり構えてカウンターを狙う。
挑戦者ビーモンは遠い位置からフルスイングの連打を浴びせていくが、王者エストラーダは落ち着いてこれを捌き的確なカウンターを返していく。
2Rに2度のダウンを奪うとそのままペースを支配。
5、6Rで露骨に相手を挑発するなど、余裕を見せながらも確実にポイントを奪取していく。
そして8Rに立て続けにカウンターをヒットしてビーモンをグラつかせると、9Rにラッシュを浴びせてレフェリーストップを呼び込む。終始挑戦者を圧倒し続けたエストラーダが文句なしのKO勝利を挙げた。
出来がいまいちなエストラーダが足の動かないクアドラスを11RTKO。メキシコシティはボクシングをやる場所じゃない
エストラーダにとってはイージーゲーム? ヤファイ戦を見据えた一戦だったかな?
エストラーダの凱旋試合となった今回。
相手のドウェイン・ビーモンは母国アメリカでチャンスに恵まれず、2017年から主戦場をメキシコに移した選手。2016年に日本の八重樫東のタイトルに挑戦したマルティン・テクアペトラとの2連戦を経て王座初挑戦にこぎつけている。
とはいえ、ビーモンとエストラーダでは実力差が大きい。予想記事でも申し上げたように、個人的にビーモンにとってはかなり厳しい試合になるのではないか。それこそ「試合になるのか? これ」というレベルのミスマッチの可能性も?
むしろエストラーダにとってはWBA王者カリド・ヤファイとの統一戦を見据えた調整試合の意味合いも強いのでは?
などなど。
ビーモンにはアレだが、相当一方的な試合になると思っていた。
「エストラーダvsビーモン予想。ってか、試合になるかなぁコレ。エストラーダ圧勝の予感が…。ビーモンがんがれ」
ビーモンにとってはめちゃくちゃ厳しい試合。でも、前に出て腕を振る作戦はよかった
そして、結果的にはマジでそのまんま。
ドウェイン・ビーモンは9Rまでよくがんばったが、残念ながら実力差は歴然。終始エストラーダが挑戦者を圧倒し続けた試合である。
まあ、予想外だったのはビーモンが序盤から前に出て腕を振ったことくらいか。
この選手の過去の試合を観ると、基本的には見切りとスピードを活かしたカウンター狙いのスタイル。どちらかと言えば「待ち」中心の選手と言える。
ところが相手の強度が上がるにつれて懐に入られるシーンが目立ち始め、自分の距離をキープすることが難しくなりつつある。もともと左ジャブの威力も足りず、ボディも強くない。
初黒星を喫した2018年8月のマルティン・テクアペトラ戦では、テクアペトラのプレスと連打を大いに持て余し、ロープ際で亀になる姿が悪い意味で印象に残っていた。
「井岡一翔vsシントロン予想。シントロンはそこそこよさげだけど、井岡の勝ち方が楽しみですね。パワーでねじ伏せたら最高かな」
・見切り+待ちのカウンター使い
・左ジャブの威力が足りない
・連打が出ない
・プレスを浴びるとまっすぐ下がって亀になる
正直、テクアペトラの連打をさばけないようではエストラーダに対抗するのは難しい。エストラーダのコンビネーションに手も足も出ずにボロボロにされるのがオチではないかと思っていたところ……。
なるほど。
これまでのスタイルを捨て、あえて自分から手を出す作戦ね。
確かに後退させられればビーモンの負けは濃厚。
バネを活かして遠い位置から襲いかかるというのは、勝機を見出す方法としては悪くない。
実際、1、2Rのエストラーダはそれなりに戸惑ってたしね。
2R後半にはエストラーダがビーモンの動きを見切る。特にインファイトの精度は段違いだった
ただ、申し上げたように両者の力の差は歴然。
最初は強引に前に出てきたビーモンに面食らっていたエストラーダだが、2Rの後半にはきっちりと対応。動き出しを狙って左を当て、勢いを殺してからカウンターを狙う。1度目のダウンはビーモンにとってはやや不運な面もあったが、2度目のダウンは間違いない。
「井上尚弥vsドネア予想。ドネアはぶん回しの1発を当てるしかなさそうだけど…。開催地なんて日本以外ないのに」
遠い位置から飛びかかるビーモンだが、モーションが大きくカウンターを狙われやすい。
エストラーダはビーモンの動き出しの瞬間にシャープな左で顔を跳ね上げ、小さくバックステップ。踏み込みに合わせて右フックを内側からカウンターで通し、そのまま身体を寄せて追撃の連打を封じる。
ビーモンは見切りとバネに優れてはいるが、インファイトではエストラーダにまったく歯が立たない。ロープ際で細かいパンチを被弾し、そのつどバランスを崩すように後退させられてしまう。
だよな。
エストラーダが落ち着いて対処すれば普通にこうなっちゃうんだよ。
大振りの右はカウンターを合わせやすく、近場のコンビネーション勝負では精度が段違い。2Rのダウン以降、ビーモンの動きはほぼエストラーダに見切られてしまった。
え? 何で遊んだ? さっさと倒しゃいいのに。エストラーダにはそういうのは似合わないと思うぞ
ところが中盤からエストラーダが無駄に遊び始める。
リング中央でわざと相手から目を切り、アリシャッフルもどきのステップ。
自分からコーナーを背負い、ノーガードでパンチをかわす。
右腕をロープに乗せ、気だるそうな仕草で挑発を繰り返す。
カウンターのタイミングであえて手を出さず、余裕を見せるパフォーマンスに終始。
いやいやいやいや。
それ、いります?
地元凱旋試合で観客を沸かせたいのはわかるが、エストラーダにはあまりそういうのは似合わないと思うのだが。
そんなことより、さっさと倒した方がよっぽど観客も喜ぶんじゃないの?
知らんけど。
そして7、8Rに入るとようやく本腰を入れて反撃開始。
ビーモンのフルスイングをバックステップでよけ、コンパクトな右をカウンターで顔面に。
さらにビーモンの動き出しに先回りしてジャブをヒットし、その流れで得意の連打を浴びせる。
ビーモンも懸命に前に出て腕を振るが、そのつどカウンターを被弾して後退。顔面を大きく腫らされ、踏み込みの鋭さも徐々に失われていく。
そうだよ。
それをさっさとやれってんだよ。
無駄にイキって長引かせる必要なんかねえんだよ。
「これが僕のコバレフ! ヤードに苦戦しつつも11RKO勝利で初防衛に成功。もうカッチョいい。最高にカッチョいいww」
この試合のエストラーダの流れとしては、
1、2R:ビーモンの先制攻撃に戸惑う
3、4R:自分の間合いとタイミングを把握
5、6R:ノーガードで遊ぶ
7、8R:カウンターとコンビネーションで圧倒
9R:とどめを刺す
こうして振り返ると、どう考えても5、6Rのパフォーマンスがいらない。あそこを真面目にやっていれば、もっと早い段階で仕留められたはずなのだが。
言っても仕方ないけど。
井岡一翔vsエストラーダよりも僕は田中恒成vsエストラーダが観たい。ついでにロマゴンも連れてこいや
なお、日本のファンの間では井岡一翔との統一戦が期待されるエストラーダだが、個人的には田中恒成に狙ってもらいたいと思っている。
先日のジョナサン・ゴンサレス戦後のインタビューで「やりたいことが見つからない」とコメントするなど、今後へのモチベーションが心配される田中恒成。だが、相手がエストラーダであればテンションが上がる動機は十分と言える。
恐らく井岡一翔に「興味がない」と言われたことが影響しているのだと思うが、この際だから井岡よりも先にエストラーダとやっちゃえよという話。
「新井田豊とかいう全盛期ロマゴンと真正面から打ち合った男。新井田豊vs高山勝成は歴代日本人対決のベストバウト」
Twitterのフォロワーさんもおっしゃっていた気がするが、田中恒成vsエストラーダなら盛りがること間違いなし。近年では井岡一翔vs八重樫東、八重樫東vsローマン・ゴンサレス、田中恒成vs木村翔を超えるビッグマッチになるのではないか。
そして、さらに勝手な妄想を申し上げるならエストラーダ戦の前にロマゴンでも連れてこいよと。「モイセス・フエンテスをボコった者同士、決着つけようぜ」とか言えば、案外簡単に来ちゃうんじゃないの? 暇そうだし。
2020年5月に田中恒成vsロマゴン、2020年8月に田中恒成vsエストラーダを実現すれば、文句を言うヤツなど1人もいなくなるでしょ(するとは言ってない)。
とまあ、しょーもない妄想はともかく、どちらにしてもエストラーダと日本人選手の絡みはそろそろ観たいと思っている。
そういえばアレだな。
今回の試合、会場の熱気がすごかったな。エストラーダの応援一色でドウェイン・ビーモンにはちょっとかわいそうだったけど。
田中恒成vsジョナサン・ゴンサレス戦の客入りが若干寂しかったことを考えると、本国でのエストラーダ人気って改めてすげえんだなと。
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