エスネス・ドミンゴが富岡浩介を1発KO。ドミンゴすげえな。前回の飯村戦も素晴らしかったし。富岡は完全に勝ち試合だったけどな。ちょっと富岡樹コースに乗った感が…【結果・感想】

エスネス・ドミンゴが富岡浩介を1発KO。ドミンゴすげえな。前回の飯村戦も素晴らしかったし。富岡は完全に勝ち試合だったけどな。ちょっと富岡樹コースに乗った感が…【結果・感想】

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2022年12月26日に東京・後楽園ホールで開催された「PXB PHOENIX BATTLE 95」。
第2試合のフライ級8回戦では富岡浩介とフィリピン出身のエスネス・ドミンゴが対戦、4R2分21秒TKOでドミンゴが勝利している。
 
 
「最近、ボクシングの観戦熱が冷めている」と連呼しつつ興味をひかれる試合はちょいちょいあるのだが、今回もその一つ。
メインを含む他の試合にはいっさい食指が動かないものの、第2試合の富岡浩介vsエスネス・ドミンゴ戦だけは対戦が発表されたときから「おお!!」と思っていた。
 
エスネス・ドミンゴは今年10月の飯村樹輝弥戦をたまたま現地観戦した選手で、元トップアマの飯村から3度のダウンを奪った末のTKO勝利。これはかなりのインパクトだった。
 
さらに勝利後に陣営と喜びを爆発させる姿に「お~、よかったな」「またがんばれよ~」と謎の親心が芽生えるという笑
リング下で応援していた奥さん? らしき女性の豪快っぷりを含めて僕の琴線にガシガシ触れたことを覚えている。
 
 
そのドミンゴが再び日本のリングに上がる。
しかも相手は同じくトップアマ出身の富岡浩介。
 
17勝2敗9KOのキャリア&前戦であれだけ素晴らしい勝ち方をした選手の扱いが雑すぎねえか? という思いもあるが、とにかく試合自体は楽しみ。
 
そんな感じで、第2試合のみを張りきって視聴した次第である。
 
2022年僕のベストバウトTOP5。「あの試合がない」「これが入るの?」ってなるかもしれないけど“僕のベストバウト”だから許してね。1位はどう考えてもアレしかないでしょ
 

エスネス・ドミンゴは小型のジョー・サンティシマのイメージ

まずエスネス・ドミンゴについてだが、前回初めて試合を観た印象としては
・左右どちらのパンチも強烈
・足運びはいまいち
・防御が甘く被弾は多い
・打たれながら近づいてフックをぶん回す
選手だなと。
 
防御がヌルく被弾も多いが、それを1発でチャラにするパンチ力がある。
ラウンドを重ねるごとにダメージが蓄積して動きが鈍るものの、近場のフックで一気に局面をひっくり返してしまう。
 
何となくだが、同じフィリピン出身のジョー・サンティシマを一回り小さくしたイメージだなぁと。
 

前回の飯村樹輝弥はドミンゴのよさが山ほど出たけど、サウスポーの富岡浩介は…

前回は中間距離~近い位置での打ち合いが得意な飯村樹輝弥との対戦ということでドミンゴのよさがモロに出た。
細かいパンチの精度、前後左右のフットワークは飯村の方が上だが、申し上げたようにドミンゴにはそれらを1発でチャラにするフックがある。
 
低いガードのままにじり寄り、飯村の攻撃が止んだ瞬間を狙ってブンッ!!
これで計3度のダウンを奪い見事TKO勝利を呼び込んでみせた。
 
 
だが、今回の富岡浩介はスピードとカウンターが得意なサウスポー。恐らく飯村戦のようなやり方では攻略は難しい。
大沢宏晋との打ち合いを制したジョー・サンティシマが長身サウスポーの下町俊貴に翻弄されたことを考えると、ドミンゴも厳しい展開を強いられる可能性もあるのではないか。
 
下町俊貴がジョー・サンティシマを危なげなく完封。危なかったのは接近戦に巻き込まれた5Rだけかな。もしかしたら下町はホームで力を発揮するタイプ?
 
とは言え、この選手は1発の威力に加えて被弾に耐えながら前に出続ける根気よさも兼ね備える。
 
しかも富岡がキャリアで喫した2敗は両方KO負け。いずれも顎が上がったところに被弾して豪快に倒されている。
などなど。
 
いつの間にか僕はエスネス・ドミンゴ側の人間になっていたことをお伝えしておく笑
 

富岡にとっては完全に勝ち試合だったけどな。あそこで“行ってしまう”のがよさでもあるんだろう

実際の試合だが、すごかった。マジですごかった。
 
ドミンゴにとってサウスポーの富岡は攻略が難しそう。
ただ、この選手の1発には大いに期待が持てる。
と申し上げたが、まさかそのままの展開になるとは笑
 
正直、富岡からすれば今回は完全な勝ち試合。
3Rに右のカウンターでグラつかせたところで無理に倒しにいかなければいずれドミンゴは力尽きていた(はず)。
前のラウンドまでに左のタイミングも合っていたし、序盤は顔をかすめていたドミンゴのフックにも余裕で対応していた。
 
チャンスでの力みまくったラッシュやカウンター狙い等、色気を出さなければそのまま完封できたと思うのだが……。
 
まあ、あそこで“行ってしまう”のが富岡浩介のいいところなのかもしれないが。
 

手詰まりの局面から逆転したドミンゴ。年間ベストバウト出たかもしれん。喜びを爆発させる姿にテンションが上がるw

逆にエスネス・ドミンゴはあれだけ効かされた状態からよく逆転した。
 
この試合ではガードを上げて前に出るファイトを意識していたようだが、相変わらず防御は甘く前手のジャブでは打ち負ける。
さらにスピードでも上を行かれ、近場の打ち合いではワンテンポずつ後れを取ってしまう。
 
序盤こそ右が当たりそうな雰囲気もあったが、それも徐々に読まれて打ち終わりを狙われる流れに。
正直、3Rにダメージを負った時点でだいぶ手詰まりになっていた気がする。
 
 
ところがダウン直後のラッシュの合間を縫って出した右で富岡のマウスピースを飛ばし(よく飛ぶよねこの人)、再開後にフェイントからの右を顔面にズドン。富岡が左カウンターを合わせにきたところに内側から右をねじ込み1発で決めてしまった。
 
 
で、レフェリーが試合を止めた瞬間のドミンゴの喜びようねww
コーナーに登って両腕を高く掲げ、お次はリングの真ん中でセコンドに抱え上げられて「うおー!!」。
前回同様、まるで世界タイトルマッチに勝利したかのような大歓喜に観ているこちらもテンションが上がる笑
 
いや、ホントによかったなお前。
今回はちょっと厳しいかも? などと思っててスマン。
 
割と冗談抜きで、僕の中での年間ベストバウトが誕生したかもしれない。
 
田中恒成vsヤンガ・シッキボ。田中は4階級制覇の準備完了かな。シッキボは“惜しい”選手だった。アムナットになれそうなポテンシャルなのに素直過ぎた
 

ここ最近のフィリピン出身選手の扱いの雑さ。エスネス・ドミンゴはもちろん、ジョー・サンティシマもペテ・アポリナルも過酷過ぎる

僕がエスネス・ドミンゴを応援していた理由の一つに、ここ最近フィリピン選手の扱いが雑すぎるというのがある。
 
下記でもちょろっと申し上げたのだが、かませのタイ人を呼びにくくなった代わりにフィリピン出身選手が当て馬に使われる機会がめちゃくちゃ増えた(気がする)。
 
井上尚弥vsポール・バトラー、井岡一翔vsジョシュア・フランコ、武居由樹vsブルーノ・タリモ、堤駿斗vsペテ・アポリナル。年末の目ぼしい試合を予想してみる
 
その中にはそこそこ戦績がよく、もう少しで何かのタイトルに絡みそうな実力者も含まれる。
 
今回のエスネス・ドミンゴもそうだし、上述したジョー・サンティシマもそう。
 
申し上げたようにドミンゴは飯村樹輝弥をKOした直後の試合がサウスポーの富岡浩介。
 
ジョー・サンティシマに至っては、ジョエト・ゴンサレス→大沢宏晋→下町俊貴と意味不明な過酷さである。
せっかく世界戦経験者の大沢にKO勝ちしたのに、次戦ではチャンスどころか無敗の長身サウスポーとのノンタイトル戦を強いられる。これはさすがにもう少し何とかならなかったの? みたいな。
 
いや、試合はおもしろかったけど。
 
 
中でもキツいと思ったのが、先日武居由樹と対戦したペテ・アポリナルが今度は堤駿斗と組まれていること。
はっきり言って、戦績16勝3敗の元OPBF王者がプロキャリア1戦の元トップアマと対戦するメリットが僕には見当たらない。それなりにファイトマネーを積んだのだとは思うが、王座陥落からの再起戦としてはどうなのよ? と。
 
武居由樹がペテ・アポリナルを“片付ける”。もはや国内を飛び越えてPBC系のクネクネサウスポー相手にどうなるか? のレベルかもな。井上バトラーのアンダーで防衛戦やろう
 
もちろんマッチメーク自体はおもしろいのだが、こういう扱いばかりしているとフィリピン側にそっぽを向かれるパティーンもあるんじゃないの?
知らんけど。


 

富岡浩介は富岡樹コースに乗ったか? キャリア初期の不相応なガチ路線()によって早すぎる挫折が…

また敗れた富岡浩介については、親戚の富岡樹コースに乗ってしまった感が……。
 
スピードと見切りを活かしたセンス抜群のボクシングでデビュー4連勝を飾った富岡だが、東日本新人王決勝戦で久保春平に逆転TKO負けを喫して連勝がストップ。
で、再起戦でもサウスポーの高山涼深に1RKO負けで悪夢の2連敗となる。
 
そこから2連勝を挙げて浮上しかけたものの、今回のエスネス・ドミンゴ戦でのTKO負けで3敗目。
デビュー当時の鮮烈さを考えるとやや物足りない戦績となっている。
 
これは親戚の富岡樹のキャリアと少し似ていて、特に負けた直後に同格の相手をぶつけるやり方はめちゃくちゃそっくり。
富岡樹も湯場海樹戦でのドロー、中谷正義戦でのKO負けの直後に正木脩也をぶつけられて敗戦。吉野修一郎にKO負けした直後に岡田博喜に当てられ、これまた連敗を喫している。
 
そしてジム移籍後も連敗が続き、現在7勝6敗1分。富岡浩介同様、キャリア初期のインパクトを考えれば「嘘でしょ?」と思うような戦績である。
 
富岡樹vs藤田裕崇戦、大激戦にテンション上がりまくり。富岡選手は残念だったけどナイスファイト。藤田選手の今後に期待
 
マジな話、早い段階からこういうガチ路線()を強いるのはあまりよくない気がする。
特に10代後半~20代前半は脳筋ファイトでもいいから白星を重ねて自信をつけさせる時期。富岡樹も富岡浩介もその時期に不相応なマッチメークで躓いた感が強い。
 
挫折から這い上がる経験が大事なのはもちろんだが、さじ加減を間違えると逆効果になる。
同じジムの石井渡士也もプロ4戦目で世界戦経験者の石田匠に翻弄されたが、要するにそういうこと。
 
石井はそこから3連勝と這い上がったが、誰もがそれをできるわけではない。富岡樹、富岡浩介(他にもいる?)とせっかくいい選手なのに、同じことを繰り返すのはどうなのよ? と思った次第である。
 
てか、キャリア2つの負けが両方KO負けの富岡浩介に1発の威力が持ち味のエスネス・ドミンゴをぶつけるって……。
 
理不尽なスパルタに耐えたヤツの中から才能がある選手を引っ張り上げるやり方は少子化の現代では通用しないっすよ。
 
 
まあ、観る側としてはガチ路線()のカードは楽しいし、陣営にもいろいろな事情があると思うのであまりごちゃごちゃ言うのもアレですが(だいぶ言ったけど笑)。
 
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