ベナビデスがプラントに判定勝利。ベナビデスを超人認定します。“凡人の最高峰”カレブ・プラントの技巧を攻略【結果・感想】

ベナビデスがプラントに判定勝利。ベナビデスを超人認定します。“凡人の最高峰”カレブ・プラントの技巧を攻略【結果・感想】

「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 
2023年3月25日(日本時間26日)に米・ネバダ州で行われたWBC世界S・ミドル級暫定王座戦。同級暫定王者デビッド・ベナビデスがランキング1位カレブ・プラントと対戦し、3-0(117-111、116-112、115-113)の判定勝利。初防衛に成功した試合である。
 
 
昨年5月にデビッド・レミューに勝利し王座戴冠を果たしたベナビデス。
約10ヶ月ぶりのリングとなった今回は元王者で昨年10月にアンソニー・ディレルとの挑戦者決戦を制したカレブ・プラントとの対戦になる。
 
 
序盤からプラントのジャブとフットワークに翻弄されたベナビデスだが、4、5Rあたりから徐々に圧力を強め、これまでよりも半歩中に入り強打を振るっていく。
 
得意のジャブと見切り、クリンチを駆使して粘るプラントだが、終盤はベナビデスの馬力を抑えきれずに防戦を強いられる。10、11Rとダウン寸前まで追い詰められるも、クリンチとカウンターでどうにか踏みとどまり終了のゴングを聞く。
 
結果は3-0の判定でベナビデスが勝利。
だが最後までダウンを拒否し、攻撃を続けたプラントの健闘も光る一戦となった。
 
デビッド・ベナビデスは“自分は絶対に正しい”と思ってる人間だよね。デメトリアス・アンドラーデを6RTKOで初防衛に成功。これはカネロも危ないかもしれん
 

降って湧いたようなベナビデスvsプラント戦。おいおい、いつの間にそんなおもしろそうな試合を組んでたんだよw

3月8日〜21日まで開催されていたWBC(←野球の方ね)のおかげでここ最近の僕はボクシングを観る機会がすっかり減っている。
 
WBCの余韻がすげえw 「日本野球が世界最強」ってドヤるための大会。課題が山積みなのはわかってるし収益構造の歪さなんて10年以上前から承知してんだよ笑
 
(情報を追っていないせいで)突然井上尚弥vsスティーブン・フルトン戦が延期になったり、寺地拳四朗vsジョナサン・ゴンサレス戦の中止が決定したり。
また締結間近だと言われていたタイソン・フューリーvsオレクサンドル・ウシク戦が何らかの(笑)事情で決裂したり。
 
続けざまにあれこれ起きて戸惑っているわけだが、今回のデビッド・ベナビデスvsカレブ・プラント戦もその一つ。
僕の知らない間に対戦が組まれ、いつの間にかWOWOWエキサイトマッチでの中継が発表されていた。
 
おいおい。
何だよそのどっちが勝つかわからない組み合わせ。
誰に断ってそんな試合を組んでやがんだよ(知るか)。
 
降って湧いたようなというか、僕にとっては完全に青天の霹靂。
そんな感じで、めちゃくちゃ久しぶりにWOWOWの中継をリアルタイム視聴した次第である。
 
 
てか、振り返ってみると日曜日のこの時間に家にいること自体が超久々。
 
やっぱり忙しいってのはよくないですよね。精神的にも肉体的にも。
“暇こそ正義”を標榜する僕としては、できることなら人生の9割5分を自宅で過ごしたい()
 

“凡人の最高峰”カレブ・プラント。メイウェザーを彷彿とさせる実力者だが、ガチの超人には一歩及ばない印象

まず挑戦者カレブ・プラントについてだが、この選手に対する僕の印象は“凡人の最高峰”
 
L字の構えや鞭のようなジャブ、前後左右に動き回るフットワーク、肩で顎を隠すようなディフェンス、その他。
 
フロイド・メイウェザーを彷彿とさせるファイトはスタイリッシュで捉えにくい。
対戦相手にとっては一定の距離をキープされると非常に厄介で、射程の外から飛んでくるジャブやカウンターはタイミングによっては1発で試合が終わる危険性をはらむ。
 
2021年11月にカネロにTKO負けを喫するまで無敗を継続していたのもなるほどと思わせる実力者である。
 
 
ただ、そこから一歩突き抜けたものがないというか、カネロのようなスペシャルな選手に比べると「コイツはヤベえな」という怖さがない。
PFPファイターやそれに追随する選手が見せる「そこからもう一段上があるの?」という二番底、ここぞの局面での意味不明な勝負強さが足りない(気がする)。
 
いわゆる「凡人がたどり着けるMAXの場所にいる」人。
間違いなく高い実力を兼ね備えているが、ガチの超人にはわずかに及ばない。最後の最後で競り負ける脆さがある選手だなぁと。
 
カネロvsプラント、モグラ叩きみたいな試合。あっちを隠せばこっちを打たれ、こっちを隠せばあっちを打たれ。プラントもがんばったけど最後に決壊してアディオス
 

プラントがどこまで粘るか、ベナビデスは超人かどうか? が見どころかな

なので、今回の一戦も“最強の凡人”プラントがどこまで粘るか、ベナビデスは果たして超人かどうか? が見どころになる。
 
展開としては「ベナビデスがプラントのアウトボクシングを攻略できるか」に尽きる。
 
早い段階でベナビデスがプラントに追いつけばベナビデス有利。
逆にプラントとしては自分の距離で対峙するなるべく時間を長くしたい。
 
だが、申し上げたようにカレブ・プラントはスペシャルな選手からは一段落ちる。カネロ戦のように初回からフルスロットルで動き回れば確実に中盤失速する。
 
つまり、ベナビデスがカネロ同様のスペシャルな選手であればプラントを捕まえることが可能。逆にそうでない場合は……。
 
だいたいの展望としてはそんな感じである(前の日に大急ぎで考えたw)。
 

プラントはがんばった。序盤の動きはもちろん、フラフラになりながらも立ち続けたことも

試合の感想だが、ベナビデスがすごかった。
 
もちろん最後までダウンを拒否し続け、手を出し続けたプラントもすごい。
だが、最終的には凡人と超人の差が出た試合だったのかなぁと。
 
 
序盤はカレブ・プラントがフットワークとジャブを駆使してベナビデスを翻弄するも、徐々に圧力を強めたベナビデスが中盤にプラントを捕まえる。
 
で、8、9R以降プラントが打ち合いに巻き込まれるシーンが増え、クリンチ際でのフック等でダメージを蓄積させていく。
10、11Rのプラントはフラフラになりながらもどうにか立っている状態。
 
正直、僕はプラントが劣勢になってからはベナビデスがどこでフィニッシュするかに注目していたのだが、結局そうはならず。試合終了のゴングまで立ち続けたプラントは本当にすごかった。
 
ティム・チューがトニー・ハリソンのジャブとクネクネディフェンスを打ち破って暫定王座戴冠。流れが見える僕好みの試合だったw でも、チャーロ弟に勝てるかは…
 

立ち上がりはベナビデスヤバいか? と思ったけど。プラントの飛ばし方はちょっと気になった

そして、それ以上にベナビデスの怪物っぷりが……。
 
この選手の体力、馬力、パンチ力はやはりとんでもない。中でもあのデカい図体であのペースを12R継続する体力には驚かされた。
 
1Rを観る限り試合は完全にプラントのペース。
このままだと完封されるかも? とすら思わせる立ち上がりだった。
 
だが、2Rからわずかに距離が詰まり「おや?」と。
ところが3、4Rは引き続きプラントがベナビデスを圧倒し、「これはマズいか?」という流れに。
 
僕もこの時点でプラントのペースだと思ったし、ベナビデスはどこかで何かを変えないとこのままズルズルいきそうな印象を受けた。
 
 
ただ、プラントの飛ばし方が気になったことも確か。
カネロ戦でもそうだが、この選手は序盤からフルスロットルで飛ばしまくる→中盤あたりで落ちる傾向がある。
 
恐らく一定以上の相手にはそうせざるを得ないのだと思うが、1R目からすべての引き出しを開けてギリギリリードを保っているイメージ。
 
要するに相手がさらに一段上の力を見せるとあっという間に手に負えなくなる。
序盤のフルスロットルで絶対的なリードを奪えなかった場合、俄然苦しくなる。
 
 
あと、ファイトスタイルの割に血の気が多すぎるのがね笑


今回も試合前から挑発合戦を繰り返していたみたいだし、基本的に瞬間湯沸かし器タイプなんでしょうね。
 

デビッド・ベナビデスを超人認定させていただく。プラントでも逃げきれないならこの階級でさばき切れる選手はいないんじゃない?

で、結果的にプラントはベナビデスの追い上げを抑えきれなかったわけだが。
 
 
いや、すごかったですねベナビデス。
序盤はプラントのジャブとフットワークに空転させられまくって「この選手は距離を詰めるネタがなさすぎる」と思っているうちに……。
 
5Rあたりからジャブが当たり始め、無理やりプラントに打ち合いを強いる流れに。
 
ベナビデスもジャブをかなり食っていたとは思うが、落ちる気配はまったくない。
上述の通りあのペースを12R継続できるスタミナ、被弾もお構いなしで前に出続けるタフさはちょっととんでもない。
 
マジな話、カレブ・プラントでも逃げきれないのであればこの階級でベナビデスの圧力をさばき切れる選手はいないのではないか。
 
今さらだが、僕はデビッド・ベナビデスを“超人”として認定させていただく。
 
井上尚弥がポール・バトラーをKOして4団体統一。“持たざる凡人”が超人攻略を目指した。これをもっと高次元でできればと思わせるバトラーの動き
 

12Rの醍醐味を堪能できた一戦。気が早いけど、カネロvsベナビデス戦は絶対実現しろよ

プラントがジャブとフットワークで圧倒した序盤。
ベナビデスが徐々にプレッシャーを強めて無理やりペースを引き寄せた中盤。
そして終盤はベナビデスの猛攻にフラフラだったプラントが必死にダウンを拒否、最後まで抵抗を続けた。
 
ベナビデスの怪物っぷりに驚かされるとともに、12Rの醍醐味を山ほど堪能できた試合だった。
 
 
 
ちなみにカネロvsベナビデスはよくわからんです。
復帰戦でのカネロのパフォーマンスにもよるが、それ以上にプラントとカネロは別人すぎるので。
 
カネロvsベナビデス戦が実現すれば恐らく今回とは違って中間距離での打ち合いがメインになる。
連打やディフェンスの精度は断然カネロだと思うが、ベナビデスの馬力、スタミナを12R抑え切れるか? という話。
 
今の段階であれこれ言っても仕方ないが、今回の勝利でベナビデスはvsカネロの第一候補に挙がったことは間違いなさそう。
 
カネロが戻ってくる。WBO暫定王者ジョン・ライダーとの復帰戦。打ち合いになりそうだけど、僕はカネロを応援する。でもジョン・ライダーもいい選手っぽい
 
カネロのビッグマッチ大好き人間としてもこの試合はぜひとも実現してほしいと思っている。
 
てか、カネロに関しては「すんなり決まるだろう」っていう安心感があるのよね笑
 
「ボクシング記事一覧リンク集」へ戻る
 

Advertisement

 


 

 
【個人出版支援のFrentopia オンライン書店】送料無料で絶賛営業中!!