ベテルビエフvsアンソニー・ヤードは僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合。素で人間辞めてるヤツらが技術まで実につけちゃったw【結果・感想】

ベテルビエフvsアンソニー・ヤードは僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合。素で人間辞めてるヤツらが技術まで実につけちゃったw【結果・感想】

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2023年1月28日(日本時間29日)、英・ウェンブリーで行われたWBC/WBO/IBF世界L・ヘビー級タイトルマッチ。同級統一王者アルツール・ベテルビエフとWBO1位アンソニー・ヤードの対戦は8R2分1秒TKOでベテルビエフが勝利。2017年11月に戴冠したIBF王座の7度目の防衛に成功するとともに通算戦績を19勝19KOとした試合である。
 
 
2013年6月のデビュー以来、全試合全KO勝利中のアルツール・ベテルビエフにアンソニー・ヤードが挑んだこの試合。
怪物同士の一騎打ちは期待通りの大激戦の末にベテルビエフが8RTKO勝利を挙げたわけだが……。
 
例によって僕は午前中から外出していたためリアルタイム視聴はしていない。
 
出がけにちょろっと中継を観たところ、5Rの後半でちょうどヤードがベテルビエフをコーナーに追い詰めていた。
「お、アンソニー・ヤードががんばってんのか」と思いつつ外出→帰宅後に「ベテルビエフが8RTKO勝利」のニュースを目にして愕然とするという笑
 
おおう……。
やっぱりいつものヤツか。
アンソニー・ヤードでもダメだったか。
結構頼みの綱だったんだけど。
 
てか、2018、2019年あたりから「衰えがきている」と言われ続けているベテルビエフさん、結局全試合全KOですけどどーなってるんでしょうかww
 
アンソニー・ヤードのがんばりに期待していた&5Rの動きがよかった分、KO負けのニュースを見た瞬間はなかなかのガッカリだったことをお伝えしておく。
 
現代版石の拳・ベテルビエフさんがカラム・スミスをKO。一方的って聞いたけどカラム・スミスが意外とがんばってた。ベテルビエフvsビボルは絶対にやれよな笑
 

僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合。2019年10月のベテルビエフvsグヴォジク戦もすごかった

表題の通りなのだが、今回は僕がL・ヘビー級が好きな理由が全部詰まった試合だった。
 
もともと僕は最強っぷりを見せつけていた2013~2015年あたりのセルゲイ・コバレフがお気に入りで、その流れでL・ヘビー級自体が好きになった人間。
その直後にアルツール・ベテルビエフ、ディミトリー・ビボル、アレクサンドル・グヴォジクのロシア3人組が台頭、彼らのぶっ飛び方はコバレフに勝るとも劣らないほどのインパクトだった。
 
セルゲイ・コバレフベストバウト3選。やっぱりコバレフ超カッコいい。圧倒的な“クラッシャー”っぷりと人間味溢れるコバレフが大好きですww
 
中でも2019年10月のアルツール・ベテルビエフvsアレクサンドル・グヴォジク戦はとんでもない。
アウトボクシングでポイントを稼ぐグヴォジクがベテルビエフの剛腕にだんだんと疲弊させられ、10Rについに決壊。判定まで持ち込めばグヴォジクの勝利か? という流れの中、力感のないベテルビエフのパンチを受けるたびにグラつくグヴォジクの姿には気持ち悪さすら覚えた。
 

アンソニー・ヤードなら打倒ベテルビエフの可能性があるかも? ジョー・スミスJr.よりも一段上の挑戦者だったね

そして、今回のベテルビエフvsヤード戦もそれに匹敵する熱戦。
 
開始直後からいつも通り距離を詰めるベテルビエフに対し、サイドに動きながらカウンターを狙うヤード。
 
常に正面を外し続けてベテルビエフのパンチが届かない位置で対峙。打ち終わりにカウンターを打ち込む。
 
ベテルビエフが剛腕を発揮するにはあと1歩近づかなくてはならないのだが、ヤードがカウンターをチラつかせてくるせいでギリギリのところで寸断させられる。
 
そうそう。
僕がアンソニー・ヤードに期待していたのはコレなんですよね。
 
この選手は基本、L字気味の構えで対峙するカウンター使い。相手の初弾に同時打ちで合わせるカウンターで試合を組み立てる。
 
2019年8月のセルゲイ・コバレフ戦ではコバレフのジャブを抑えきれずにTKO負けを喫したが、今回のベテルビエフはコバレフほどジャブを多用するタイプではない。
なのでガードの低さはそこまで影響しない、ベテルビエフにカウンターを警戒させることができれば可能性はあるのではないか。
 
どちらが勝つか? と聞かれればベテルビエフ有利と答えるが、ヤードにもチャンスはありそう。
 
 
実際、ヤードのパフォーマンスは素晴らしかったし7Rまでポイントではリードしていた。それこそマーカス・ブラウンにやってほしいと思った動きをそのまま踏襲した印象である。
 
ベテルビエフ怖えよ笑 顔面流血の冷血漢。マーカス・ブラウンをボロ雑巾に。お前の血も赤かったんだな…。ひょっとしたら危ないんじゃないか? とか言ってスマンw
 
ベテルビエフは人間を辞めてしまったレベルの化け物だが、アンソニー・ヤードも間違いなく化け物。前回のジョー・スミスJr.と比べても一段上の挑戦者だった(と思う)。
 

4Rから自ら打ち合いで勝負したのもすげえ。“素で人間辞めてるヤツら”の激突、もともとの強さと技術のバランスが絶妙だよね

さらに4R以降、自ら打ち合いを挑んでいったのも……。
 
3R後半~4Rにかけて徐々に距離をキープできなくなり、後手に回るシーンが目立ち始めるヤード。
距離が詰まったことで力を込めて腕を振らざるを得なくなり、必然的に足が動きが止まり真正面から対峙させられる。
 
で、それを見たベテルビエフは逆にどんどんプレッシャーを強めていく。
 
これは大雑把に言えば上述のマーカス・ブラウンと同じパターン。序盤こそアウトボクシングが機能するが、だんだんと馬力に飲まれて劣勢に→最終的に手詰まりになってKO負けを喫する。
 
恐らく全身が鋼鉄でできた()ベテルビエフと向き合っているだけで心身を削られていくのだろうと。
 
 
ところが今回のアンソニー・ヤードはあえて打ち合いを挑むことで強引にペースを引き戻してみせた。
 
自ら前に出てスペースを潰し、ベテルビエフのスイングに絶妙のタイミングでカウンターを合わせていく。
この辺も最初から真っ向勝負を挑んで撃沈したジョー・スミスJr.とは少し違う。
 
いや、すげえなマジで。
最初の作戦が崩れた際のプランBに加え、ベテルビエフ相手に劣勢を跳ね返す二番底。改めてL・ヘビー級のてっぺんのヤバさ、化け物同士の潰し合いに鳥肌が止まらない笑
 
アルツール・ベテルビエフvsディミトリー・ビボル。金の力は偉大やでw コバレフ、グヴォジク、ベテルビエフ、ビボルのL・ヘビー級4強時代のラストファイト
 
この“素で人間辞めてるヤツら”の激突はホントにたまらないですよね。
 
軽量級のテクニカルさもいいし、持って生まれた素の強さがそのまま出るヘビー級のわかりやすさもいい。
 
だが、L・ヘビー級はその部分の比重があまりに絶妙。
素材としての強さと後天的に身につけた技術のバランスが僕は最高に好きである笑
 
ベテルビエフが凍てつくようなKOでジョー・スミスを“終わらせる”。ウソみたいだろ。3団体統一戦なんだぜ、それで…。衰えたと言われつつKO街道驀進中のベテルビエフ
 

ベテルビエフさん、さすがっす。下降線に入ってるとは思うけど、あの理不尽なフィジカルが健在な限りKOを継続する?

8Rのフィニッシュに関しては「すげえっす」「さすがベテルビエフさんっす」としか言いようがないw
 
自ら前に出る作戦で流れを引き戻したヤードだが、決定機を作るまでにはいたらない。
ベテルビエフを何度となくコーナーに追い詰めるも、そのつどスルッと身体を入れ替えられてしまう。で、離れ際にガードの間から被弾を許し逆にピンチを迎えるという。
 
動き出しを狙った右アッパーも疲労のせいかラウンドを追うごとにモーションが大きくなり、最後の最後にカウンターを合わせられてジ・エンド。
一番重要な局面で理不尽大王の理不尽さ()にねじ伏せられてしまった。
 
マーカス・ブラウンのようなカウンター狙いでもダメ。
ジョー・スミスJr.のように距離を詰めて打ち合ってもダメ。
アンソニー・ヤードのように局面ごとの押し引きで勝負してもダメ。
 
理不尽大王のくせにファイトスタイルは寺地拳四朗や井上拓真を彷彿とさせる。
 
これはどう考えてもおかしい。
何かが狂っている笑
 
復帰戦のリゴンドー。地球上でもっとも不愉快なアイツが戻ってくる。3連敗阻止に向けてヘスス・マルティネスと対戦。バネの低下がオフェンスに影響してる気ががが
 
正直、ベテルビエフは数年前に比べて反応スピード? 動体視力? 自体は落ちていると思う。
もともと上体が固く芯でパンチを食うと効かされるタイプではあったが、それが徐々に増えているというか。
 
ただ、あの理不尽なフィジカルと意味不明なパンチ力、当て勘がすべてをチャラにしてしまう。
 
この試合でも相打ちにもかかわらずヤードがすっ飛ばされるシーンが何度かあったが、運動能力が危険水域を下回らない限り今回のような理不尽なKOは続いていくのかもしれない。
 
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