アマチュアボクシングのよさを初見の僕が考えてみた。要するにウンコに行く余裕があるかどうかが大きいんだろうな【2021年世界ユース選手権感想】

アマチュアボクシングのよさを初見の僕が考えてみた。要するにウンコに行く余裕があるかどうかが大きいんだろうな【2021年世界ユース選手権感想】

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2021年4月にポーランドのキエルツェで行われたボクシングの世界ユース選手権。男子ライト級に出場した堤麗斗が決勝戦でカザフスタンのスユンベイ・イエノアに4-1の判定で勝利し優勝。
本大会での日本勢の優勝は2016年の男子フライ級を制した堤駿斗(堤麗斗の兄)以来2人目で、兄弟でユース世界一という快挙を達成している。
 
 
前回申し上げたように僕は普段アマチュアボクシングをまったく観ないのだが、日本人選手の快進撃は嫌でも耳に入ってきていた。
 
せっかくなのでたまには観てみるかということで、ライト級の堤麗斗を中心にちょこちょこと視聴した次第である。
 
で、最終日(?)に行われた決勝戦のスユンベイ・イエノア(読み方合ってる?)戦も後追いながらも視聴を終え、堤麗斗のすごさに戦慄したという。

 
アマチュアボクシングをざっと観た感想だが、はっきり言っておもしろかった
これまで食わず嫌いに近い形で敬遠してきたものの、これならぼちぼち観てもいいかな? とすら思い始めている。
 
特に強い日本人選手が出場するのであればなおさら。
今後も少しずつアンテナを張っていこうかななどと思ったりもしている。
 
 
というわけで本題。
今回はアマチュアボクシングにまったく詳しくない(ほとんど知らない)僕が思う、アマチュアボクシングのよさについて述べてみたい。
 
申し上げたようにアマチュアボクシングはほぼ初見ながらも非常に楽しめたので、なぜよかったのか、テンションが上がったのかを考えてみることにする。
 

アマチュアボクシングのいいところ:その1

「短い」
 
まずもっとも大きいのが、試合時間が「短い」こと。
1R3分×3R+インターバル1分×2。
上記の動画でもわかるように入場と選手紹介、結果発表すべてを合わせても計16分の尺で収まる。
 
これがプロボクシングの10R、12R(タイトルマッチ)であれば、選手がリング上で戦っている時間だけでも30分or36分間。仮に試合が退屈だった場合は地獄の時間を過ごすことになる。
現地観戦ともなれば、地獄絵図にはさらに拍車がかかる(トリプル世界戦で3試合中2試合が判定だった日はガチでしんどかった)。
 
それに比べてアマチュアの3Rは非常にすっきりしている。
たとえ試合がつまらなくても3R我慢すれば勝手に終わるし、同じ顔を12R観続けるよりも絶えず選手が入れ替わる方が退屈しないで済む。
 
先日キックボクシングイベント「RISE」を現地観戦した際にも思ったのだが、長い試合を数試合観るより短い試合を数多く観る方がストレスは少ない。
イベント自体のテンポのよさがいかに重要かを感じた次第である。
 
RISE ELDORADO 2021現地観戦。那須川天心が苦戦。原口健飛クッソ強い。相内誠ががが。格闘技ハァンやっぱりすげえw
 
もちろん3R>>12Rなどと言っているわけではない。
12Rには12Rのよさがあるし、どちらが上とか下とかではなく。即効性やとっつきやすさを考えるなら、アマチュアの3Rはめちゃくちゃいいよねという話。
 

アマチュアボクシングのいいところ:その2

「アクションが多い」
 
これは上記の「短い」にも通じるのだが、アマチュアボクシングは10R、12Rのプロボクシングと比べて動きが多く激しさがあるのがいい。
申し上げたようにプロボクシング10R、12Rの試合時間は30分or36分。それに対し、アマチュアボクシングはわずか9分間。
 
ラウンド数が多いプロボクシングのように「初回は様子見で〜、ジャブから距離を測って〜」などとやっている暇はアマチュアボクシングにはない。早めの勝負、思い切りのよさがより重要になり、必然的に試合展開も激しさを増す。
 
そして、これがめちゃくちゃおもしろい
 
ただでさえトップアマのパフォーマンスは人間離れしている上に、その人外どもがリング上を全力で動き回るのだからつまらないわけがない。
 
特に今大会で優勝を果たした堤麗斗などはプロ向きのスタイルであり、今のままプロ入りしても王者クラスの力がありそうにも思える。
 
・才能に溢れた選手が短いラウンドを全力で走り抜ける
・つまらない試合でも3R耐えれば終わる
 
ハイレベルでアクションが多い格闘技というのは、手っ取り早く結果を欲しがる現代社会にとっての理想とすら言えるのではないか。
 

アマチュアボクシングのいいところ:その3

「すぐに結果が出る」
 
また「すぐに結果が出る」こともアマチュアボクシングのいい部分である。
 
アマチュアボクシングはジャッジ5人によるオープンスコアリングシステムを採用していて、各ラウンドごとに5人のジャッジが10-9(ダウンがあれば10-8)のスコアをつける。そして、それがインターバルごとに公開される流れとなっている。
 
で、各ジャッジの合計ポイント数(「A選手10-9B選手×3R」なら30-27でA選手の勝ち)で勝敗が決まるわけだが、各ラウンドごとにスコアが公開されるおかげで判定が読まれる前にどちらが勝ったかがだいたいわかるのである。
 
正確には最終3Rのポイントは判定結果と同時に公開されるのだが、1、2Rの結果を踏まえた上で聞くので適度なワクワク感が味わえる。
 
 
またラウンドごとにポイントが公開される分、陰謀論的なものが浮上しにくい気もする。
その場の空気や選手間の流れを視聴者(会場にいればなおさら)側も共有できるので、たとえジャッジによってブレがあっても「そういうもんかな?」と思えてくる(気がする)。
 
これがプロのようにあとからスコアシートを見てあーだこーだと言える状況であれば、買収やらホームタウンデシジョン等の陰謀論は恐らくもっと加熱しているはず。
 
以前、現場の空気感や流れはバカにできないと申し上げたことがあるが、不毛な争いを避ける意味でもラウンドごとの公開採点は悪くない。
 
京口紘人vsタノンサック・シムシー戦を京口紘人本人が自分のYouTubeチャンネルで生配信←僕がこれを「ない」と思う理由
 
実際、今回の堤麗斗vsスユンベイ・イエノア戦でもジャッジ1人がイエノアを支持していたが、プロボクシングほどごちゃごちゃ言われていないですからね。
 

アマチュアボクシングのいいところ:その4

「知っている選手が活躍する」
 
これは今大会に限って(というより、近年のアマチュアボクシングに限って)の話なのだが、やはり知っている選手、日本人選手が活躍するというのは大きい。
 
スポーツに限らずどんなジャンルでもそうだが、どれだけ「おもしろい」「すばらしい」と言われてもよく知らない人たちをわざわざ観ようとは思わない。
 
“世界最高峰”と言われるボクシングの世界タイトルマッチよりも知り合いが出場する6回戦の方が楽しいという方は絶対にいて、理由は「知っているから」「思い入れがあるから」に他ならない。
 
僕自身、今大会を観ようと思ったのも「日本人選手が強い」と聞いたから
いくら「アマチュアボクシングはおもしろい」「プロよりもエキサイティング」と喚き散らされても、知らない外国人同士のど突き合いなどを進んで観ようとはこれっぽっちも思わない。
 
・どうやって一般層に届けるか
・一部のマニアよりもライト層に浸透するべき
・でも、あまりに下品なやり方は逆効果
 
等の議論は本当によく目にする(僕も考えたことがある)が、どちらにしても「知られている」ことは何ものにも代え難いことなのだろうと。
 
ただ、そこにばかり注力されるのも興ざめなんですよね。
「選手それぞれに物語がある」とどれだけ言われても、いくら何でも弱い、ちっとも勝てないでは話にならない。やっぱり勝負ごとは勝ってこそでしょ。
 
映画「負け犬の美学」何か違う。「敗者にも物語がある」に超違和感。“物語”って言葉が嫌いなのもあるけど、勝者こそすべてのリアルが最優先であってほしい
 

ウンコに行く余裕があるかどうかは大きいよね。試合中、試合後問わず

長々と「アマチュアボクシングのいいところ」について語ってきたが、何だかんだで僕の中では「試合時間が短い」というのがもっとも大きい。
 
表題の通りなのだが、要するに「ウンコに行く余裕があるかどうか」
申し上げたようにアマチュアボクシングは1試合が3分×3R+1分間のインターバルが2回。入場と選手紹介、結果発表を合わせても15分前後ですべてが完了する。
 
この短さ、お手軽さは観戦スポーツとしてかなり有利。
15分程度なら集中力も持続するし、夜寝る前にちょろっと観ることも可能。それこそ試合前、試合中に便意を催してもギリギリ我慢できる時間でもある。
 
また、それ以外にウンコに行く余裕がある競技は何か? と考えてみると、パッと思いつくのは野球とマラソン
こちらはアマチュアボクシングとは違って「試合時間が長い+競技の特性上、目を離しても大丈夫」であることが主な要因となる。
 
極端な話、野球やマラソンはウンコだけにとどまらず、試合中に外食に行くことすら問題なかったりするわけで。
こういう中座が許される競技というのも、観戦スポーツとしての最適解と言えそうである。
 
まあ、正確には投手と捕手のサイン交換やベンチワーク、マラソンで言えばコースの起伏や選手の表情、監督の指示その他。
細かい感情の機微や微妙な空気の変化を読み取ることが“動きの少ないスポーツ”の醍醐味でもあるのだが。
 

アマチュアボクシングのよくないところ

・コスチュームがダサくて臭そう
・スケジュールがハード過ぎておっかない

 
そして、前回散々申し上げたように「アマチュアボクシングのいいところ」をすべてチャラにしてしまうのが上記の2つ。
 
普段アマチュアボクシングをまったく観ない僕が初めてちゃんと観てみた。短いラウンドを全力で駆け抜けるには? 世界ユース選手権inポーランド
 
僕自身、この「コスチュームがダサくて臭そう」「スケジュールがハード過ぎておっかない」という2つの要因が解消されない限り、今後もアマチュアボクシングを好んで観ることはないと断言できる。
 
 
最初に「これからはアマチュアボクシングを観てもいいと思った」って言ったじゃねえかって?
 
甘いな。
人の心は日々うつろうものなのである()
 
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