アンジェロ・レオがトラメイン・ウイリアムズを攻略して勝利。アンジェロ・レオは田中恒成っぽかったな。いい試合でした【結果・感想】

アンジェロ・レオがトラメイン・ウイリアムズを攻略して勝利。アンジェロ・レオは田中恒成っぽかったな。いい試合でした【結果・感想】

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2020年8月1日(日本時間2日)、米・コネチカット州で行われたWBO世界S・バンタム級王座決定戦。同級2位アンジェロ・レオが6位トラメイン・ウイリアムズと対戦し、3-0(118-110、118-110、117-111)の判定勝利。見事初戴冠を果たした一戦である。
 
 
ランキング1位のステファン・フルトンの新型コロナウイルス陽性により急遽代役に抜擢されたトラメイン・ウイリアムズ。
序盤は抜群の距離感を発揮し鋭いカウンターと右リードで優位に進めるものの、中盤から徐々にアンジェロ・レオに対応され流れが変わる。
 
左ボディから右ストレート、さらにインファイトに持ち込みボディへの連打を浴びせ、ウイリアムズにまともに勝負をさせないアンジェロ・レオ。
後半はほぼ一方的な展開で、付け入る隙を与えず文句なしの判定勝利。エマヌエル・ナバレッテの返上したWBOタイトルを戴冠した。
 

期待のトラメイン・ウイリアムズ。判定勝利を予想していたけど……負けとるやないか〜い!!

決定戦に出場を予定していたステファン・フルトンの新型コロナウイルス陽性により、セミファイナルでレイセ・アリームと対戦予定だったトラメイン・ウイリアムズの代役出場となった今回。
 
以前から申し上げているように僕はトラメイン・ウイリアムズのことが好きで、この試合もかなり楽しみにしていた。ステファン・フルトンの欠場による繰り上げはあまり歓迎すべき話ではないが、トラメイン・ウイリアムズが王座戴冠を果たせば僕もテンションが上がる。
 
ただ、相手のアンジェロ・レオも簡単な相手ではない。
過去の試合を観ると、この選手はインファイトもアウトボクシングもできるオールラウンダーな印象。遠間でカウンターを狙う“待ち”のスタイルを得意とするトラメイン・ウイリアムズにとっては強敵の部類なのではないか。
 
一応、勝敗予想は希望を込めてトラメイン・ウイリアムズの判定勝利にしておくが、実際にはどうなるかわからない。
 
急転直下のアンジェロ・レオvsトラメイン・ウイリアムズw アンジェロ・レオ思てたんとちゃう。ウイリアムズ結構苦労する?
 
遠い位置でアンジェロ・レオを釘付けにできればトラメイン・ウイリアムズ有利。
逆にアンジェロ・レオがインファイトに持ち込むようならアンジェロ・レオの勝利が近づく。
 
何とも言えないところだが、相手の動きにより早く対応した方が中盤から抜け出すのではないか。
 
 
そんな感じでトラメイン・ウイリアムズを応援しつつ、当日を心待ちにしていた次第である。
 
って、負けとるやないか〜い!!
 
この日は午前中に用事があってリアルタイムで観られなかったのだが、午後イチで帰宅して視聴したところ、結果は3-0でアンジェロ・レオの勝利。残念ながら僕のトラメイン・ウイリアムズは完敗を喫していた……。
 

想像の範囲内の試合ではあったよね。遠間でのカウンターが得意なウイリアムズだが、インファイトには穴がある

ただまあ、今回はある程度想像の範囲内の試合ではあった。
 
トラメイン・ウイリアムズは身体能力の高いカウンター使いで、抜群のスピードと見切りを活かしたアウトボクサー。タイプ的にはギジェルモ・リゴンドーの要素にゲイリー・ラッセルJr.風味をまぶした感じの選手である。
 
なので、遠い位置で自分の間合いを支配しているうちはめちゃくちゃ強さを発揮するが、一定以上距離を詰められると途端にできることがなくなる。
 
2017年12月にWBO世界S・フェザー級王者ワシル・ロマチェンコがギジェルモ・リゴンドーにインファイトで何もさせずに勝利したが、要するにああいうこと。
 
上述のように、トラメイン・ウイリアムズが勝つにはカウンターの脅威でアンジェロ・レオを射程の外に釘付けにする必要がある。
 
アントワン・ラッセルvsランセス・バルテレミーとかいうPBC丸出しの激シブマッチ。トラメイン・ウィリアムズvsパブスタン、ファーマーvsミッキー・ベイも楽しみだぞ
 
ところが今回のアンジェロ・レオの圧力はウイリアムズの想定以上。
ガードを上げてグイグイ距離を詰め、サウスポーの右脇腹を狙った左ボディといきなりの右ストレートでウイリアムズを押し込む。中盤5Rからは上から覆いかぶさるように身体を寄せ、接近戦でボディ中心にウイリアムズの体力を奪っていく。
 
マジな話、8、9Rあたりのウイリアムズのしんどそうな表情と言ったら……。
口は開いて顎も上がり、右腕をL字気味に構えるのも辛そうなほど。
 
両者の体格差、近場での対応力の違いが如実に現れた試合だったなと。
 
開始直後にリング中央で向かい合うとアンジェロ・レオの方が明らかにひと回り大きく、その時点で嫌な予感はしたのだが……。
 
スポーツにおける地域格差、経済格差の不平等ありきで観るのも楽しい。身体能力抜群の地味強黒人ファイター3人出場のPBC興行おもしろかった
 

アンジェロ・レオは文句なしにいい選手だった。インもアウトもいける上に身体能力系のサウスポーへの対応力も見せつけた

とは言え、アンジェロ・レオがめちゃくちゃいい選手だったというのも大いにあると思っている。
 
この選手の過去の試合を観ると、相手によってインファイトとアウトサイドを使い分けたり、vsサウスポーでは左リードや右脇腹を狙った左ボディがスムーズに出たりとかなりスタイルの幅が広い。
しかも実際にリングに上がると身体も大きく、トラメイン・ウイリアムズとは階級違いと言ってもいいほどの差を感じた。
 
序盤2Rまでは何度かウイリアムズの稲妻のような左カウンターを顔面にもらっていたが、効いたそぶりをいっさい見せず。それどころか自ら前に出てスペースを潰し、威力を半減させる馬力という。
 
そして、ウイリアムズのカウンターを封じて以降はゴンゴン距離を詰めてボディの連打で疲弊させていく流れ。
 
インもアウトもOKでサウスポーも苦にしない。その上、今回の試合で身体能力系サウスポーへの対応力も見せつけた。
 
正直、ファイトスタイルは地味で人気の出る要素も感じないが、実力の高さは間違いない。
先日の予想記事で「さすがは地味強ファイターを根気よくサポートするメイウェザープロモーション所属」などと言ったが、マジでその通りだったじゃねえかとww
 
 
いや、そうなんだよな。
トラメイン・ウイリアムズのような身体能力抜群のサウスポーは凄まじい距離感とカウンターを持ち味とする反面、インファイトに穴があることが多い。多少の被弾を気にせず、スピードに惑わされずに前に出て接近戦に巻き込めば自分の土俵になるというのははっきりしている。
 
だが、実際にそれができるかは別の話。
2019年5月のWBO世界S・フェザー級タイトルマッチで王者伊藤雅雪がジャメル・へリングを攻めきれずに判定負けを喫したが、ああいうクネクネしたサウスポーの間合いに入れずフワッと負けるパティーンは割と多い。
 
完敗の伊藤雅雪。ヘリングに最後まで追いつけず…。これ系の相手はどうしても鬼門になるよな。この先避けては通れないけど
 
2015年12月の内山高志vsジェスレル・コラレスとかね。
 

ちょっと田中恒成っぽさがあるアンジェロ・レオ。カウンター使いのサウスポーを苦にせずゴンゴン間合いを詰められる能力って?

そういう意味でも2019年8月に今回と似た流れでジョナサン・ゴンサレスを圧殺した田中恒成はお見事だったわけだが、ここの違いが僕にはいまいちわかっていない。
 
田中恒成がゴンサレスを7RTKO。だから田中は近場の差し合いで勝負する選手だと8億5248万5年3ヶ月前から言ってる
 
相手の右リードで足を止められ、カウンターを警戒するあまり中間距離に釘付けにされた伊藤雅雪や内山高志。
多少もらっても「ほーん、それで?」という感じで前に出続け、ボディを中心に疲弊させていったアンジェロ・レオや田中恒成。
 
もっと言うと、先日日本S・ライト級タイトルマッチで井上浩樹に勝利した永田大士のファイトは文句なしに感動したが、それでも間合いだけを見ればやや遠い。井上のカウンターをスパスパもらっていたし、あれだけ前に出続けてもアンジェロ・レオのインファイトには及んでいない気がする。
 
不調の井上浩樹が負けたんじゃなくて絶好調の永田大士が王者を攻略したんだろ。覚悟を決めて試合に臨んだ永田大士に感動しました
 
この“もう一歩、もう半歩”踏み出せるかどうかの違いがどこにあるのか。
もちろん身体の大きさや単純なフィジカルも影響するとは思うが、ここが一段上に行けるかどうかの境目になるのかな? と思ったり。
 
 
てか、アンジェロ・レオってちょっと田中恒成っぽさがあるんですよね(僕が思ってるだけ?)。
インファイター寄りのオールラウンダーというか、身体が強く被弾も多いが対応力はめちゃくちゃ高い。無尽蔵のスタミナも兼ね備える。
 
しかも「スピードで圧倒するぜ」「打たせずに打つぜ」とイキりたがる田中と違い、自分にできること、やるべきことを淡々とやり通す割り切りもある。
 
 
トラメイン・ウイリアムズ応援していた試合ではあるが、アンジェロ・レオの成熟した試合運びにも大いに関心させられた。
 
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