映画「G.I.ジョー」感想。バロネス役のシエナ・ミラーをトゥーム・レイダーのララ・クロフトにしたかったんだろうな。ド派手なちぐはぐB級映画

映画「G.I.ジョー」感想。バロネス役のシエナ・ミラーをトゥーム・レイダーのララ・クロフトにしたかったんだろうな。ド派手なちぐはぐB級映画

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映画「G.I.ジョー」を観た。
 
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「G.I.ジョー」(2009年)
 
ガンの治療薬“ナノマイト”の輸送任務に就いていたデュークは、任務中に突然謎の組織「コブラ」に襲われてしまう。レーダーにも写らない戦闘機を操るコブラの襲撃に苦戦を強いられるデュークだが、その中にかつての恋人アナの姿を見つけて驚く。
 
なぜこんなことをするのかと問い詰めるデュークだが、アナはまったく聞く耳を持たない。そして、圧倒的な戦闘力でデュークを叩きのめし、ナノマイトの入ったケースを奪おうとする。
 
事態がまったく飲み込めないデュークはアナの身に何が起きたかを知るため、コブラとの交戦中に現れた秘密組織「G.I.ジョー」に入隊することを決意する。
 
 
「G.I.ジョー」での入隊試験を兼ねた実践訓練を受けるうちにどんどんと頭角を表すデューク。いつの間にか組織随一の強者であるスネークアイズからも一本をとれるまでに成長する。
 
そして、同僚のリップコードとともについに正式入隊を認められるのだった。
 
だが喜びもつかの間、今度はG.I.ジョーの秘密基地がコブラの襲撃を受け、ついにナノマイトを強奪されてしまう。
 
 
なぜアナは“バロネス”と名乗り、コブラに加担しているのか。
その秘密を知るため、さらにナノマイト奪還のため、デュークはナノマイトが持ち込まれたパリの化学施設に向かうのだが……。
 
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G.I.ジョーの実写映画を観た。へえ、もともとは玩具が原作なんですね。そして、WOWOWの守備範囲の広さには感心させられる

人気玩具「G.I.ジョー」の実写化映画として製作された「G.I.ジョー」。
「ハムナプトラ」シリーズや「ジャングル・ブック」を手がけたスティーヴン・ソマーズの監督・製作総指揮により、2009年に公開された映画である。
 
と言っても僕はG.I.ジョーの玩具も知らず興味もない。
この映画の存在は知っていたが、これまで観ようと思ったこともなかった。
 
だが、たまたまWOWOWでO.A.されていることを知り、今回初めて観てみた次第である。
 
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というか、今さらながらWOWOWはいいっすよね。
スポーツ観戦はもちろん、海外のドラマやオリジナルドラマも豊富。中には「え? これやるの?」みたいな作品もあったりして、守備範囲の広さはさすが老舗の有料チャンネルである。
 
不満がないこともないが、今後もお世話になっていくだろうなというのは容易に想像がつく。
 

薄っぺらい作品でしたね。CGとアクションを融合したすごい映像なのだが、それだけ

まず、全体を通して「薄っぺらいな」というのが率直な感想である。
 
破壊兵器を生成する“ナノマイト”を奪い去っていった謎の組織「コブラ」。世界の秩序を守るためにナノマイト奪還に動く「G.I.ジョー」だが、のちにデュークにナノマイトの護送を命じたマッカランこそが本当の黒幕であることが判明する。
そして、デュークたち一行はナノマイト奪還のため、デュークの元恋人アナを追ってパリの研究所に向かう流れ。
 
ナノマイト護送中に謎の組織コブラに襲われ、元恋人アナとデュークが遭遇する「起」。
G.I.ジョーに入隊したデュークがパリの研究所でコブラと交戦する「承」。
潜水艦でコブラの秘密基地のある北極へ潜入し、その過程でアナが正気を取り戻す「転」。
スネークアイズとストームシャドーの因縁、デュークとコマンダーの因縁が明かされる「結」。
 
ストーリーは単純でわかりやすく、映像のすごさも相まって視覚的にはめちゃくちゃ楽しめる。
頭を空っぽにして観るには最高の作品と言える。
 
だが薄い。
とにかく薄い。
 
コブラの襲撃を受ける冒頭のシーンやパリの研究所での交戦シーンなど。
CGと実際のアクションを織り交ぜたバトルは見応え十分なのだが、なぜか引き込まれるものがない。
 
恐らく各局面での説明が絶対的に不足しているのが原因だとは思うが、シーンが切り替わるたびにいちいち唐突感が尋常じゃないのである。
 
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すべてが唐突過ぎて各キャラにちっとも感情移入できない。もう少し説明がほしかったよね

ナノマイトの護送中に唐突に近代兵器を持った一団に襲われたと思ったら、突然背後から別の近代兵器部隊が到着してわちゃわちゃ始める。
 
主人公デュークが突然「俺、G.I.ジョーに入ります!!」と言い出し、凄まじいスピードで成長を遂げていく。それこそ仮入隊からスネークアイズに勝つまで2、3日くらいじゃない? と思うほどのハイペース。
 
で、正式入隊が決まって「よかったよかった」と言っている側からまたしてもコブラの襲撃を受け、あれよあれよという間にナノマイトを奪われてしまう。
 
 
そして、パリの研究所に向かう最中のカーチェイスでは、ビックリするくらいゴツいスーツを装着して敵の車を追いかける。
2本の足で!!
 
攻撃を受けてもほとんど効かず、走っている車とぶつかっても中の人間はピンピンしている無敵のスーツ。
 
いやいやいやいや。
そんないいもんがあったんすか。
 
訓練シーンではまったくノータッチだったじゃないっすか。
あまりに唐突過ぎやしませんかねOK?
 
 
確かにストーリーがポンポン進んでテンポもいいのだが、さすがにもう少し説明がほしかった。
デュークとアナの過去もそうだが、リップコードとスカーレットがいつの間にかいい感じになっていたりといろいろなものをはしょり過ぎ。
 
それこそ多少バトルシーンを減らしてでも、人物像を掘り下げて各キャラへの感情移入を促してくれれば。
 
デストロなんて、知識ゼロの僕からすれば完全に「誰それ?」キャラでしたからね。
 
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スネークアイズとストームシャドーの因縁ワロタww こういう間違ったステレオタイプの日本像っていまだにあるんだな

ついでに言うと、スネークアイズとストームシャドーの因縁シーンはまあまあのちぐはぐさである。
 
家なき子? のスネークアイズがたまたま食べ物泥棒に入った家でストームシャドーと出会い、師匠に見出されてライバル関係になっていくという流れなのだが、あそこはいろいろなものが入り混じって何とも言えない味わい深さがあったww
 
「日本=忍者」的なステレオタイプに中国拳法の要素がごっちゃになった感じの“勘違いした日本像”。ああいうのは古い洋画でちょくちょく観た記憶があるが、2009年時点でもまだこんなことをやってんのかと。
 
スネークアイズは思いっきり金髪の白人だし、そもそもストームシャドー役のイ・ビョンホンは韓国の俳優じゃねえかww
 
 
監督のスティーヴン・ソマーズが無知なのか、それとも雰囲気を出すためにわざとやっているのかは不明だが、人によっては「おいおい、ふざけんな」となるかもしれない。
 
なので、僕が心の広い人間だったことに彼らは全力で感謝するべきなのである(違
 

バロネス役のシエナ・ミラーでアクション女王育成を図ったが、いまいちうまくいかなかった? ララ・クロフトのアンジーはやっぱりすごいよね

表題の通りなのだが、恐らくこの作品はバロネス役のシエナ・ミラーを「トゥーム・レイダー」のララ・クロフトにしたかったのかなと思う。
 
「トゥーム・レイダー」はアクションゲームを題材にした実写映画で、主人公ララ・クラフトをアンジェリーナ・ジョリーが演じたヒット作。
 
“女性版インディ・ジョーンズ”とも言われたアンジェリーナ・ジョリーのアクションはセクシーかつ華麗で、誰もがひれ伏すほどの上から目線は一度観たら忘れられないほど。はっきり言ってめちゃくちゃカッコよかった。
 
この人はもはやララ・クラフトを演じるために生まれてきたのでは? と言っても過言ではないくらいのハマり役である。
 
ここまで他を圧倒できれば、多少ストーリーが稚拙でも関係ない。

2000年代最強のアクション女王は? と聞かれれば、僕には「アンジェリーナ・ジョリーです」としか答えようがない。
 
そして、今作のシエナ・ミラーにはそのアンジェリーナ・ジョリーっぽいシーンが散見される(気がする)。
 
すべてを見透かしたような視線と微笑を絶やさず、顎を突き出し背筋を伸ばして歩くフォルム。
身体の線を強調した黒い衣装に身を包み、スタイリッシュなアクションと両手拳銃で目の前のものを破壊し尽くす豪快さ。
 
実際にアンジェリーナ・ジョリーを意識していたかは定かではないが、少なくとも「トゥーム・レイダー」がこの時期の女性アクションのフォーマットにはなっていたのは確実なのではないか。
 
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まあ、シエナ・ミラーもスカーレット役のレイチェル・ニコルズも次回作に出演していないことを鑑みるに、シエナ・ミラーをアクション女王に仕立て上げるという狙いは失敗に終わった気もするのだが。
 
というか、次回作「G.I.ジョー バック2リベンジ」ではキャスティング自体がガラッと変更されているので、製作段階でいろいろあったのかもしれませんね。
 
 
つまり、この映画における僕の感想は、
「わかりやすいけど、作品として薄いよね」
「アクション女王育成に失敗したよね」
主にこの2つである。
 
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