那須川天心vsルイス・グスマン。天心の2戦目を現地観戦してきた。才能は完全に和製ウィテカー。次は“崩し”と“配分”かな。メリハリが重要?【結果・感想】
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表題の通り2023年9月18日に東京・有明アリーナで行われた「Prime Video Presents Live Boxing 5」を現地観戦してきた。
今年4月にボクシングデビューを果たした那須川天心の2戦目。
那須川天心vs与那覇勇気現地観戦。天心すごかった。Amazonの中継は絶対に必要だよね。試合順は「打順」なんだよ
今回の相手は9戦全勝7KOのファン・フローレス。試合順もセミファイナルに抜擢されるなど1戦目をしのぐインパクトを期待されたわけだが……。
ところがフローレスが新型コロナウイルスに感染して離脱、本番3週間前に対戦相手が変更になる事態に。
僕も前回に続いて現地観戦を楽しみにしていたのだが、天心の対戦相手が代わったことで若干冷めたことをお伝えしておく。
前回はメインやセミに出場する選手が天心にプロモーションを丸投げしてのほほんとしている状況にだいぶカリカリしたが、今回はそこまでではなく。
それどころかSNS自体あまり見ておらず、逆張りムーブで軽く遊んだ程度である笑
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— 俺に出版とかマジ無理じゃね? (@Info_Frentopia) September 12, 2023
そんな感じ(どんな感じ?)で、お目当てだった那須川天心vsルイス・グスマン戦の感想を言っていくことにする。
那須川天心の公開練習動画を視聴。「自分で相手を動かす、導く」んだって。最近言動が落ち着いてきたのは陣営と話し合いをした結果ジャマイカ?
登場しただけで会場の空気を一変させる天心はすげえよな。これと似た空気感を持ってるのは…
まず全編視聴は下記↓
僕は代役ルイス・グスマンの知識がまったくなく、過去の試合を探しても見つからない。それがこの試合に冷めた要因の一つとなっている。
対戦が予定されていたファン・フローレスは腕が長く1発1発の威力もありそう。前回の与那覇勇気戦以上に緊張感のある試合を期待していた分、コロナ感染と聞いて「あらら~」となってしまった。
那須川天心vファン・フローレスが決定。与那覇戦と同じ対策だと思うけど緊張感は増しそう。Amazon側は天心がいればOK、それ以外には興味がないのかもしれんね
煽りVの後にジミー・レノンの「テンスゥイン~、ナァスカゥワァァ!!!」のコール。
定番の矢沢永吉「止まらないHa〜Ha」とともに本人登場。
マジな話、姿を見せただけで会場の空気が一変するスター性はさすがとしか言いようがない。
僕が初めて天心を生観戦したのは2018年2月のKNOCK OUTだが、当時からこの空気感はすげえなと思っていた。
その際に「これと似た空気感のヤツを知ってる」「でも、誰だっけ?」と思ったのだが、あれこれ逡巡した末に「あ、アントニオ猪木だ!!」と。自分の中で合点がいった記憶がある笑
いろいろと賛否が分かれる選手だが、入場だけで観客を釘付けにする存在感は誰にも真似できない部分である。
ちなみに名前をコールされたときのコレ↓が「ONE PIECE」の“ギア5”だったとか。
僕は結構前に「ONE PIECE」から脱落しているので今回は完全に「?」だった。
てか、ギアって5段階もあるんすか?笑
いつの間にかすげえ増えてるじゃん。
超サイヤ人ですら4までなのにww
まあ、ゴッドとかブルーとか身勝手の極意とか、意味不明な名称でバージョンアップはしてるけどさww
試合は今回もよかった。現時点でも日本王者くらいの実力はありそう
試合の感想だが、率直に申し上げてよかったと思う。
持ち前のスピードを活かした足運びと当て勘、カウンターのタイミング、目のよさ。
デビュー戦で「和製パーネル・ウィテカーになれる」とおっしゃっていた方がいたが、マジでその通りのパフォーマンス。
1Rにいきなりダウンを奪ったカウンターは凄まじいものがあった。
ほとんど相手の攻撃を食わず、なおかつ一つ一つのアクションが派手なのもウィテカーっぽい。
以前にも申し上げた通り現時点でも日本王者くらいの実力はあるのではないか。
いや、何で相手陣営と写真撮ってんだよ笑
那須川天心vsジェルウィン・アシロWBO-AP決定戦。初のバンタム級で天心がちゃんと動けるかに注目かな。世界王者勢揃いだけど各試合は割と普通…
案外ああいう展開もあるかも? と思ってたよね。KOで終わらせるなら前半、そこを逃すと間延びする?
あれだけ圧倒しながらKOできなかったことで各所から否定的な声が聞こえるが、実を言うと僕はあまり意外ではなく。
正直、ああいう展開もあるかも? とちょっと思っていた。
前回5、6Rで失速したことを踏まえると、この試合でいきなり8Rをフルで動けるとは思えない。成長したとは言ってもやはり後半に疲れが出るのではないか。
・KOで終わらせるなら前半
・そこを逃すと案外間延びする? かも?
漠然と「前半KO」と「微妙にグダった末の大差判定」で5.5:4.5くらいの予想をしていた。
那須川天心に全部を背負わせた日。天心のことが嫌いなのは構わんけど、ウジウジ揚げ足取ってる場合じゃないでしょ。佐々木尽の振る舞いには感情移入できたよ
試合の終わらせ方にピンときていない印象。キック時代から“崩し”は使わずいきなり大技を仕掛けるスタイルだったし
今回8Rをクリアした天心だが、ここぞの局面でのギアチェンジ、試合の終わらせ方にピンときていない印象を受けた。
パンチは単発気味、連打はせいぜい2、3発まで。
もう少し詰めればレフェリーが止めに入るのでは? というシーンが3度ほどあったと思うが、その“もう少し”の手前でやめてしまう。
前回の与那覇戦を観る限り、天心はパワーでなぎ倒すというよりタイミングで打ち抜くタイプ。
THE MATCH 2022の武尊戦でもそうだが、キック時代から基本はスパッと切り裂くカウンターを持ち味とする。
那須川天心vs武尊感想。衝撃的に強かった天心。この日の天心には誰も勝てないんじゃない? 武尊もあきらめずにがんばった感動的な試合
攻撃パターンもあまりローを駆使した“崩し”は使わずいきなり大技を仕掛ける流れが中心。
本人も1発で切って落としたい、鮮やかに終わらせたいのだと想像する。
要するに「徐々に削って手札を奪う」「ダメージを蓄積させた末にレフェリーストップを呼び込む」ファイトに慣れていない(知らない)のだろうと。
スタミナ不足というより配分の問題? パンチを“引く”意識が強すぎて体重が乗り切らない
申し上げたようにキック時代の天心は大技の1発狙いが基本で“崩し”がなく、攻撃に強弱がつきにくい。そのため、中盤までは持ち前のスピードと当て勘で圧倒できるがいったん慣れられるとやや単調になる。
しかも“強”“強”ばかりなので体力の消耗も激しい。
今回は7、8Rに疲れが見えたが、アレはスタミナ不足というより配分の問題な気がする。
3Rのキックならフルスロットルで駆け抜けることができたが、長丁場のボクシングでそれは難しい。
おまけにキック時代の天心は胴回し回転蹴りやクリンチからの投げ未遂等、ダーティな時間稼ぎを得意としていた。
アクロバティックな技が使えない分、ごまかしも利かなくなっている。
また、これもキック時代から目についていたのだが、天心はパンチを“引く”意識が強すぎる(と思う)。
打たれることが大嫌いなのか、打ち終わりの復元を重視するあまり拳に体重が乗り切らない印象。
技術的な部分は僕にはわからないが、もう少し前体重で打ち込んでもいいような……。
キックの3Rが染み付いたところからのアジャスト。もう一段突き抜けるにはギアの上げ下げ、メリハリが重要?
・スピードとセンスはピカイチ
・ただ、攻撃パターンが単調で強弱が足りない
・そのせいで後半になると慣れられやすい
・“引き”の意識が強すぎてパンチの当たりが浅い
序盤の貯金でそうそう負けることはないが、そこでKOできない場合は後半モタつく。
打ち終わりの意識が強すぎるせいでいまいちパンチに力が乗らない。
今のままでもある程度勝ち続けることはできるが、そこから先に行くには一段突き抜ける必要がありそう。
この辺は何年か前の亀田和毅と少し似ている。
天心の場合はキックの3Rが染み付いているのが要因だと思うが。
亀田和毅vsルイス・カスティージョ。和毅今回もよかった。出入りとサイドへの動きが向上。ひょっとしたら井上尚弥の対抗馬の可能性が?
と言いつつ、ペース配分や崩しを意識しすぎると天心のいいところが失われてしまう可能性もある。
今回1Rにダウンを奪ったカウンターなんて、才能しか見当たりませんでしたからね。
あの閃光のようなカウンターを放棄してまで“そこそこ上手い試合運び”をマスターする必要があるの? という話。
極論、KOを捨てて今のスタイルを洗練させていけば和製パーネル・ウィテカーになれるわけで。
・要所での休み方
・勝負どころでの全力
・踏み込みを躊躇させる1発
たとえばギジェルモ・リゴンドーのようにカウンターをチラつかせながら離れた位置でサボるコツをつかめれば。
6、7割の力で流す時間帯とギアを上げる時間帯、メリハリのつけ方を覚えれば終盤の失速も解消されるのではないか。
この辺は本当に段階を踏んでアジャストしていくしかない(気がする)。
リゴンドーが不愉快に勝利。チャーリー・クレメンテをボディで悶絶KOに。勝ってよかったなリゴンドー。不快感がすごいけど。最後に日本来る気ねえのか?
とりあえずアレだ。
どちらの方向に向かうにしてもとことんまで振り切ってもらいたい。
“そこそこ試合運びが上手いアウトボクサー”なんてお呼びじゃないんですよ笑
中途半端にムエタイをかじったせいで最大の持ち味である野性味を失った山本“KID”徳郁の二の舞にならないことを祈る。
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