ゲッソリで低調な中谷潤人、打たれ過ぎのオラスクアガ、メインの拳四朗は…。実は微妙な試合が多かった。マグラモ、コルテスはがんばった【結果・感想】

ゲッソリで低調な中谷潤人、打たれ過ぎのオラスクアガ、メインの拳四朗は…。実は微妙な試合が多かった。マグラモ、コルテスはがんばった【結果・感想】

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先日申し上げたように2023年9月18日に東京・有明アリーナで行われた「Prime Video Presents Live Boxing 5」を現地観戦してきた。
 
那須川天心vsルイス・グスマン。天心の2戦目を現地観戦してきた。才能は完全に和製ウィテカー。次は“崩し”と“配分”かな。メリハリが重要?
 
セミファイナルの那須川天心vsルイス・グスマン戦を目当てに足を運んだわけだが、今回はそれ以外の試合の感想を。
 
具体的には
・アンソニー・オラスクアガvsジーメル・マグラモ
・中谷潤人vsアルヒ・コルテス
・寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラー
の3試合である。
 
全編視聴は下記↓

 
本当は1試合ずつ個別に取り上げようと思ったのだが、面倒なのでやめた笑
 
本音を言うと、3試合ともあまりテンションが上がらなかったのが主な理由である。
特に世界戦の2試合、中谷潤人vsアルヒ・コルテス戦、寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラー戦は期待した内容とは少し違った。
 
世の中ではKOを逃した那須川天心が酷評されているが、僕の中では上記2試合もだいぶ微妙だったことをお伝えする。
 
どのくらい微妙だったかと言うと、この逆張りが正解だったんじゃねえか? と思ったほど笑

3150FIGHT Vol.7現地観戦。尋常じゃないテンポの悪さ。「演出がんばってるでしょ?」の押し付けがヒドい。試合は見ごたえ十分なのに
 

○アンソニー・オラスクアガvsジーメル・マグラモ×(7R2分52秒TKO)

まずはこの試合。
前回拳四朗と激闘を演じたオラスクアガの約5ヶ月ぶりの復帰戦である。
 
寺地拳四朗vsアンソニー・オラスクアガ。MVPはオラスクアガで決まり!! 驚異の粘りで拳四朗の心を折りかける。フライ級なら京口よりも強いかもしれんな
 
対戦相手のジーメル・マグラモは2020年11月に中谷潤人と世界戦を戦うなど日本でもおなじみの選手。
正直、復帰戦で対戦するにはかなりの強豪で、ハードルが爆上がりしたオラスクアガが若干気の毒に思えた。
 
 
感想としては、マグラモはやっぱり強かった&オラスクアガもよかったけど打たれ過ぎかなぁと。
 
両者ともに中間距離~近場で打ち合うタイプ。
1発の威力、パンチの精度はオラスクアガだが、回転力とプレスはマグラモに分がある。
 
大雑把に言うと左フック、アッパーのオラスクアガと右ストレートのマグラモ。
 
お互いのパンチがバシバシ当たるスリリングな試合だが、各局面でマグラモが一枚上回る。
仮に判定までいった場合、オラスクアガは相当危なかったと思う。
 
 
ただ、マグラモは過去の試合を観ると後半の失速が目につく。
上記の中谷潤人戦でもラウンドを重ねるごとに動きが鈍くなっていったし、多くのフィリピン選手同様、基本は前半型なのだと思う。
 
対するオラスクアガは打たれ強さと粘りを持ち味とする。前回も拳四朗の連打を再三もらいながらもゾンビのように何度も持ち直してみせた。
 
諸々を加味すると、この試合でマグラモが最後まで持つかは微妙。マグラモの息切れ具合とオラスクアガの粘りがどこかでクロスするのではないか。
 
で、徐々に疲労を滲ませていったマグラモが7Rについに決壊したわけだが、まあ、そうなるよなと。
 

打たれ過ぎなオラスクアガにドキドキする。“強弱”の範疇を超えている気が…

見事な逆転KO勝利を挙げたオラスクアガだが、それはそれとして。
 
さすがにこれはちょっと打たれ過ぎな気がする。
 
前回の拳四朗戦同様、1発の威力、前に出る馬力、何度も持ち直す粘りは確かにすごい。
だが、攻撃と防御のターンがあまりにはっきりしている。
 
防御のターンではひたすら耐え、相手の手が止まったところで攻撃開始。
あれだけ長時間打たれ続ければ当然ダメージも蓄積する。
燃費が悪過ぎるというか、もはや“強弱”“メリハリ”の範疇を超えているような……。
 
何と言ってもパンチを芯で食いまくる光景は心臓に悪い。
 


 

○中谷潤人vsアルヒ・コルテス×(判定3-0 ※119-106、119-106、118-107)

お次はセミセミの中谷潤人vsアルヒ・コルテス戦。
 
挑戦者コルテスは現WBC王者ファン・フランシスコ・エストラーダを追い詰めた強豪で、今回が初のタイトルマッチとなる。
 
 
ちなみに僕の展望は下記。
 
中谷潤人vsアルヒ・コルテス。中谷有利だと思うけどコルテスの健闘に期待する。あるかもしれない井岡vs中谷戦()に向けて。でも、中谷の後半KOかなぁ
 
中谷の後半KOを予想しつつコルテスのがんばりにも期待していた。
 
特に長身サウスポーの中谷の懐にどうやって入るかはこの試合の見どころ。今後もし井岡一翔vs中谷戦、エストラーダvs中谷戦が実現すれば、その参考になるかもしれない。
 
と言いつつ、中谷の一方的な試合になるんだろうなぁと。
 
 
ところが思ったほど中谷はコルテスを圧倒できず。
計3度のダウン、ポイントも大差がついたが案外危ない場面もあったり、なかったり。
 
6Rにはスリップダウンの直後に反撃を浴びて逆にグラっとくる瞬間も。
後半のKOどころかダラダラと粘られ12Rのゴングを聞くという。
 
何というか、体調悪過ぎだろと。
インターバルのたびに中谷の表情がスクリーンに映されたが、とにかく頬がコケてガリッガリ。
 
あのやつれ方はバンタム級最終盤の井上尚弥を彷彿とさせる。一晩では回復しきれないレベルの減量を強いられていると想像する。
 
中谷潤人がやヴァイ。サンティアゴを6RKOで3階級制覇。バンタム級初戦の井上尚弥と同等の凄み。入場の時点で絶好調だった
 
パフォーマンス的にもバックステップは鈍くパンチに対する反応も遅い。
コルテスがあれだけケロッと立ち上がるところを見ると、パンチにも体重が乗っていなかったのではないか。
 
6RにグラッときたシーンもKOを狙い過ぎたのかと思ったが、よくよく振り返ると出力が上がらなかったのかもしれない。
 
正直、今回の中谷はMAXパワーの6割くらいしか力を出せていない気がする。
 
その中で3度のダウンを奪ったのはすごいとも言えるが、いや、お前はそんなもんか? と。さっさと階級を上げた方がいいんじゃねえか? と上から目線で眺めていた次第である笑
 

詰めのうまさ、嗅覚の高さを見せてくれたアルヒ・コルテス。でも、井岡一翔にアレができるかは…

逆にアルヒ・コルテスはよかったと思う。
 
何度倒されても立ち上がる根性、粘り強さはもちろん、詰めのうまさが見られたのが……。
 
上述の通り僕はコルテスが中谷の懐にどう入るかに注目していたのだが、パンチの引きに合わせて踏み込むやり方はなかなかアリだった。
 
中谷は左を振る際に比較的大きく踏み込む分、復元が若干遅れる。


 
その瞬間を狙って身体ごと踏み込むと同時に右をフルスイング。

これによって中谷は自分から手が出しにくくなり、中盤にはっきりと効かされて距離を取るシーンも。
 
コルテスはフランシスコ・ロドリゲスJr.ほどの強引さはないが、狙いどころを見極める嗅覚はかなり高かった。
それこそ近場のパンチにもう少し精度があれば“まさか”を起こせたかもしれない。
 
 
ちなみに井岡一翔がこれを真似できるとは思えない。
 

 
このボディはすごかった。


 
ゲッソリ過ぎるんだよな。


 
力石政法vsマイケル・マグネッシ全然わからんな。中谷潤人vsジーメル・マグラモが理想なんだろうけど。過去一狭いリングらしいね
 

○寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラー×(9R2分19秒TKO)

そしてメインイベント、寺地拳四朗vsヘッキー・ブドラーについて。
 
と思ったのだが、長くなってきたので続きは次回に。
もしよければ引き続きお付き合いください。
 
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