田中恒成の井岡戦振り返りYouTubeがおもしろかった。本人が試合を振り返るのはいいよね。でもごちゃごちゃと言い訳する選手も嫌いじゃない

田中恒成の井岡戦振り返りYouTubeがおもしろかった。本人が試合を振り返るのはいいよね。でもごちゃごちゃと言い訳する選手も嫌いじゃない

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2020年大晦日に井岡一翔に敗れキャリア初敗北を喫した田中恒成が、数日後に自身のYouTubeチャンネルで試合中の心境を語っている。
 
 
以前から何度も言っているが、僕はもともとこの試合にあまり乗れず、当日も格闘技イベント「RIZIN.26」を現地観戦していたせいでリアルタイム視聴はできなかった。
 
あるべき場所に戻ってきた堀口恭司。朝倉海を1RTKOに沈めて王座奪還。やっぱりRIZINの現地観戦はサイコーだなw
 
ただ応援していた井岡一翔が勝利したと聞いて、後追いで視聴した経緯がある。
 
そして、その中で気になったのが、5R終了時に田中恒成が発した「もう倒すしかねえ!!」というひと言
 
ダウンを奪われたものの、ポイント的にもラウンド的にも挽回のチャンスは十分残されている。まだ焦る時間帯ではなかったはずなのに、なぜあそこまで切羽詰まった発言が出たのか。
 
そのときの心情? 理由? を本人の口から聞いてみたいと思い、YouTubeを観てみた次第である。
 
田中恒成vs石田匠。田中の勝ちか〜。石田が逃げ切った感じもしたけどな。両者の差は勝負どころでの凄みかな
 

田中恒成のYouTubeおもしろかった。近格闘家のYouTubeチャンネル、ワンパターン過ぎてまったく観てなかったけど

 

まず田中のYouTubeチャンネルは普通におもしろかった
 
試合をした本人(負けた方)がその試合を“自分の言葉”で振り返る場がある。それを観客側が聞けるというのは、スポーツ選手がYouTubeに参戦する大きな意義となっていると思う。
 
プロの手によって編集された媒体というのもありがたいが、どうしても個人のバイアスがかかるケースが目立つ。客観性に欠けていたり視点がズレていたり、ときには「俺の聞きたいのはそこじゃねえんだよ」と思うこともしばしば。
 
それに比べ、本人が“自分の言葉”で直接話す内容は説得力が段違い(自分で話しているから当たり前だが)。冗長だったり「そこは別にいいや」という部分もなきにしもあらずだが、それ以上に本人の生の声や悔しさを押し殺す表情を目の当たりにできるというのはめちゃくちゃ価値が高い。
 
格闘家のYouTubeチャンネルは基本ワンパターンなので最近はまったく観ていなかったのだが、今回の田中のチャンネルは久しぶりに視聴意欲のわくものだった。
 
井岡一翔vs井上尚弥戦実現の可能性を考える。井岡に勝ち目があったとすればあそこかな? でも、あの頃の叩かれ方は異常だったよね
 

なるほどの内容だった。例の「もう倒すしかねえ!!」は自分とセコンドを鼓舞する意味だったのね

内容についてだが、【前編】【後編】ともに「なるほど。そうだったのね」と思うことが多く、興味深く視聴させていただいた。
 
 
戦前に用意してきた戦術がうまくハマらず、前半の1〜4Rまでで「駆け引きの部分では勝てない」「自信はあったが、井岡はそれ以上に上手い」と感じた。
 
5Rあたりで距離もタイミングも把握され始めていたこともあり、少しパターンを変えて攻めてみたが逆に倒されてしまった。
 
1Rは自分がポイントを取ったと思ったが、セコンドは取られたと断言して驚いた。
さらに5Rにダウンを奪われたことを加味すると、あの時点で3ポイント差をつけられている計算になる。なおかつ中間距離での駆け引きは相手の方が上という状況。
 
なので、勝利するためにはここから先は1ポイントも渡したくない。
終盤KOを狙うとしても、ガンガン前に出てダメージを与えておきたい。
 
ただ、決して慌てふためいていたわけではなく、例の「もう倒すしかねえ!!」は自分とセコンドを鼓舞する意味で発した言葉。
 
 
だがそれ以降は攻撃ばかりに脳みそがいってしまい、結果的に防御が疎かになってしまった。
6Rに一度目のダウンと同じ左フックで倒されたが、あの瞬間は「左フックに注意する」という頭は一切ない状態だった。
 
世界タイトルマッチを戦うボクサーとしてあれは恥ずかしいミス。
人の言葉を借りるのであれば、あそこは自分の「若さ」が出た場面だったと。
 
 
なるほどねぇ。
僕は3、4、5Rと田中がどんどんペースを上げているように感じたが、本人は5Rから少し攻め方を変えていたのか。
 
とは言え、中間距離での差し合いでもう少しやれるはずという計算が崩れたことで攻め中心にシフトしたことは間違いなさそう。


しかも、出力を上げて前進したにも関わらず逆にダウンを奪われ、そこで一気に冷静さを失ってしまったと。
 
6Rのダウン後に「立って来い」という井岡のゼスチャーを見て「言われんでも行くわ」とカッとなったなったと言っていたが、そういう部分も含めて井岡にコントロールされていた感じか。
 
 
前回の記事で「そこそこやれると計算していた中間距離で先手を取られた」「フルスロットルでエンジンをふかしてようやく互角という状況に田中は余裕を失ってしまったのではないか」と申し上げたが、何だかんだで当たらずとも遠からずと言っていいのかな?
いや、知らんけどw
 
井岡一翔の尿を自宅の冷蔵庫で保管ってそんなことホントにあるの? SNSで直接罵声を浴びせるのはアウトだよな。相手が誰であれ
 
少なくとも元王者の木村悠氏の言っていたメンタルの差、田中が井岡に敬意を払い過ぎたことが敗戦につながったという分析よりは多少マシなんじゃないっすかねww


ちなみに例の「もう倒すしかねえ!!」が自分とセコンドに発破をかける意味だったという部分には「へえ、そうなんだ!!」と思わされた。
 
確かに大きな焦りはなかったのかもしれないが、それ以降のガチガチっぷりを見るとあのダウンで精神的余裕が失われたことは間違いなさそうである。
 

潔く負けを認めることがよしとされるが、僕は「俺は負けてない」と喚き散らす姿も嫌いじゃない

上記の田中恒成の動画に対し、「素直に敗北を認めるのが素晴らしい」「潔くて男らしい」という感想が多く聞かれる。
 
基本、世間一般では負けた側は素直に負けを認め、相手を讃えることがよしとされる。今回の田中恒成も悔しさを押し殺しながらも「負けを認めざるを得ない」「すべてにおいて完敗です」と言っていたし、そういうスタンスの方が好まれることは間違いない。
 
 
ただ、僕自身は「俺は負けてない」と喚き散らしたりごちゃごちゃ言い訳する選手もそこまで嫌いではない。
 
記憶の新しいところで言えば、RIZIN.25で斎藤裕に敗れた朝倉未来が試合後のインタビューで「自分が勝ったと思っていた」とコメントし、自身のYouTubeチャンネルでも「生物的には自分の方が強い」と発言して微妙に叩かれていたことがそれに当たる。
 
朝倉未来vs斎藤裕感想。斎藤の勝ちやな。空間支配とカウンター戦術を突破された朝倉未来はちょっとヤバい?
 
僕が格闘家のYouTubeチャンネルを観たのは朝倉未来のあの動画以来だったのだが、ああいう人間臭さもそれはそれでアリだと思っている。
 
以前にもちょろっと申し上げたが、ヘビー級タイトルマッチで豪快にKO負けしたアンソニー・ジョシュアが爽やかな笑顔で相手のアンディ・ルイスを讃える光景より、マニー・パッキャオに判定負けを喫した直後に「俺が勝ってただろ!!」と喚き散らすエイドリアン・ブローナーの方が生々しくて好きだったりする。


このインタビューで「アンソニー・ジョシュアの人柄が素晴らしい!!」と言われていた覚えがあるが、どことなく嘘くさく見えるんですよね……。

そうそう、このヤカラ感ね。
やっぱりこれでいいんですよww

もちろんこれらはすべて僕の好みなので、潔く負けを認める選手が素晴らしいという意見を否定する気はまったくない。
 
栗原慶太vs井上拓真感想。井上拓真がめちゃくちゃ上手かったな。はじめの一歩方式で言えば栗原がKOで勝つ流れだったけど
 

さすがにインタビューもブッチした上で自身のYouTubeチャンネルでイキリ倒すのはどうなのよ? とは思うけど

まあ、さすがに平本蓮のように試合後のインタビューをブッチした上で自身のYouTubeチャンネルでキャンキャン吠えるのはどうなのよ? とは思うが。
 
僕は平本蓮に対しては割と好意的な人間で、「もうキックの試合はやらない」と宣言してMMAの世界に飛び込んだスタンスはめちゃくちゃ評価している。
 
MMA選手を自分の土俵に引っ張り出して「勝ったで〜!!」と喚く立ち技選手を尻目に、ゼロからMMAに挑戦する気概は文句なしに素晴らしかった。
 
 
だが必要以上に周りに噛みつき、メディアに大口を叩きまくった中でのあの試合内容。しかも、その後は取材すら受けずに自身のYouTubeチャンネルだけでイキり倒すのは……。
 
 
いや、ホントに入場はカッコよかったんですけどね。

 

 

 
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