井上拓真vs久高寛之感想。久高がクソよかった。井上は1年ぶりの復帰戦でベテラン強豪に判定勝利。2018年の世界挑戦を見据える【結果・感想】
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2017年8月30日、東京・後楽園ホールで日本S・フライ級2位の久高寛之とWBC世界S・フライ級9位の井上拓真が、53.5kg契約の10回戦で対戦。3-0(98-92、98-93、97-94)で井上拓真が勝利し、1年ぶりの復帰戦を飾った。
2016年に世界戦が決定していたものの、拳の負傷で中止となり復帰までに1年を擁した井上拓真。4度の世界戦の経験を持つベテラン久高寛之を相手に、どのような試合運びを見せるかに注目が集まっていた。
「タパレスが大森を11RTKOで粉砕。顎を骨折した大森は病院直行する。意図的な体重超過が「あり」な件」
試合は井上がスピーディなワンツーを打ち込み、久高がそれをブロックしてカウンターを返す展開。
打ち終わりを狙ったボディやオーバーハンドのフックで、久高が井上の猛攻を抑え込んでいく。
一進一退の攻防が続く8R。
井上の右が久高の顔面を捉え、久高が左目尻から激しく出血。
一気に井上に流れが傾くかと思われたが、ドクターチェック後にペースを上げた久高が逆に井上をロープに追い詰める。
「大竹秀典vs丸田陽七太感想。丸田はちょっと期待はずれだったなぁ。フィジカルに巻き込まれて完敗。てか、大竹vs臼井なんて試合があったんかい!」
ラスト10Rに入ると、久高の挑発から両者がリング中央で激しく打ち合う。
大激戦の中、両者まったく譲らぬまま終了のゴングが鳴らされる。
「圧勝ダニエル・ローマン。松本亮手も足も出ず。誰だ松本が勝つとか言ってたヤツは? 僕だけどww まあ相手が悪いよ」
3-0の判定で勝利した井上。
だが、試合後のインタビューでは「これで世界とは言っていられない」と反省の弁を述べ、次戦以降の挽回を誓った。
「エリクソン・ルビンvsジャーメル・チャーロ予想。チャーロ弟か、新星ルビンか。チャーロ弟がドネアとか井上尚弥っぽい」
井上拓真が復帰戦に勝利。でも、久高寛之のファイトがすばらしかった。何コイツ? こんないい選手だったんだ
“モンスター”井上尚弥の弟、井上拓真の復帰戦。
深夜枠で放送されたものをようやく観たのでその感想を。
まず、何より久高寛之がよかった。
この日の主役は間違いなく井上拓真だったが、実力的には完全に久高が上だったのではないだろうか。
この久高という選手については、正直あまり印象がない。
40戦以上のキャリアを持つ選手なので、過去に何試合か観たことはあると思うのだが、これといって思い出せない。
なので、今回の試合を観て非常に驚いてしまった。
「おお、すげえ。久高ってこんなにいい選手だったんかいな。全然記憶にないけど」
とりあえず、今回の久高が狙ったのは井上の打ち終わり。
パンチの引きに合わせたカウンターだったのではないかと思う。
「井上拓真がヤップに勝利。これ、世界王者なれるんちゃう? ウーバーリ? ウォーレン? ペッチ? 松本亮はゾッとした」
中でも目立っていたのが右のオーバーハンド。
右のボディストレートでガードを下げさせ、打ち終わりに上から右を被せる。アレが久高の得意なパンチだと思うが、井上の左ガードの低さをうまく逆手にとっていた。
「クアドラス勝てたでしょ。エストラーダに超僅差判定負け。中間距離での正確性と作戦失敗ですかね」
ガードを高く上げ、井上のワンツーに合わせて1歩踏み出す。腕が伸びきる前にパリングで芯を外し、クリーンヒットを許さない。
パンチの角度がずれた瞬間を狙ってリターン、インファイトでの連打につなぐ。
うまく腰を落としてボディを下から突き上げ、すぐさまガードを上げて井上の反撃に備える。
(井上が1年間練習してきたという)左に得意の右を合わせ、そのまま近づいてのインファイト。
至近距離では完全に久高に分があり、そこを利用して井上のよさを封じていた。
「井上拓真vs ペッチ・CPフレッシュマート予想。セミファイナル出陣で「井上の弟」から卒業だぜ。って、拳四朗w」
井上のよさを封じる久高の老獪さ。ちょっとダビド・カルモナっぽいなと
そして、6R以降は右中心のスタイルから一転、左ジャブを多用する作戦に切り替える。
井上の動き出しを狙って左を1発。
さっと距離をとって井上のリターンをガード。
ジリジリと近づき、今度は大きく踏み込んでボディに左。
さらに得意の右をボディに打ち込み、追撃の左を顔面に。
いや~、いいっすね久高。
完全に井上を圧倒してるじゃないっすか。
何となくだが、この老獪さはクアドラス戦のダビド・カルモナっぽい。
僕があの試合を観たばかりだからかもしれないが。
「エストラーダvsクアドラスとかいう予想困難な一戦。SUPERFLYの中で実は一番楽しみ。エストラーダのKO勝ちが観たい」
ただ、7R以降にガードが下がって被弾が増えてしまったのは残念だった。8Rに目尻を切って盛大に出血していたが、あのラウンド辺りで井上の攻撃を止めきれなくなった感じである。
うまく芯を外していたと言っても、中間距離の攻防では井上のパワーに押されていた。
あれだけの連打に何度も突っ込んでいくというのは、どうしても負担が大きくなるだろう。
「バルデス完勝!! セルバニアを寄せつけず。思ったよりいい選手なのかもなオスカル・バルデス。ダウンを奪われながらも攻撃の手を休めず打ち続ける」
やはり、これはフィジカルの限界。
どれだけ知力と策略を振り絞っても、どこかでスピード&パワーでねじ伏せられてしまう。僕が普段「フィジカル至上主義」と喚き散らしているのは、まさにこういうところかなと思う。
ダビド・カルモナや先日のダニエル・ローマンもそうだが、多少の実力差ならフィジカルでひっくり返されてしまう。久高もそのタイプと言える気がする。
「久保隼陥落…。ダニエル・ローマンすごかった。こりゃ勝てんわ。まるでゴロフキンじゃねえかww」
もちろんメイウェザーvsマクレガー戦ほどの差があればフィジカルの壁も超えられるし、世界戦の舞台で亀海を圧倒して見せたミゲール・コットがいかにすごかったか。
アンドレ・ウォードに至っては、セルゲイ・コバレフ相手にやってのけたわけで、もはや常人には考えが及ばない領域のお話である。
「衰えまくったメイウェザーがセンス抜群のマクレガーにTKO勝利!! お前ら最高やww 報酬100億円のメイウェザー」
井上拓真はどうなんだろうか。空回りしている印象が強いが。思いきって長距離ランナー化するのもアリか?
なお井上拓真については、ちょっとよくわからない。
いろいろなものが空回りしているというか、全体的にしっくりきていない印象が強い。
「コットvs亀海感想。あ~、亀海これでいっちゃったか。もう少しやりようがあったような気が…。頂上は高かった」
僕の中でのこの選手のイメージは、初期の兄貴に近いゴリ押しのファイター。
持ち前のスピードを活かして距離を詰め、得意な位置で目いっぱい腕を振るスタイル。ジャブで相手を崩すというより、一気呵成の攻めで相手をたじろがせ、試合のペースを握るタイプと言えばいいか。
ただ、この復帰戦では、カウンター狙いのアウトボクサーに若干傾倒した感じも受けた。
また、自分の距離で気持ちよく腕を振っている際はめっぽう強いが、懐に入られると厳しくなる面も兄貴と被る。今回の試合でも、久高の老獪なインサイドワークをかなり持て余していた。
「ロマゴンの手詰まり感ぱねえっす…。シーサケットのカウンターで大の字KO負け。PFP No.1の伝説に終止符?」
しかもハンマーのような左を持つ兄貴と違い、井上拓真には相手を突き放す武器がない。そのため、あっさりインサイドに入られバタバタするシーンが目立つ。KO率の低さを見ると、この階級では相手を圧倒するほどのパワーはないのかもしれない。
「弱点バレバレやんけ。レイ・バルガスがロニー・リオスに大苦戦。バルガスがわかりやすく弱みを露呈した」
いや、これはどうなんだろうか。
今のところ「小型版井上尚弥」というイメージなのだが、本当に何とも言えない。
むしろ、思いきってキース・サーマンやカルロス・クアドラスのような長距離ランナーになるのもアリかなと思ったり。
どちらかと言うとファイターよりもカウンター使いに見えるので、それを活かした当て逃げスタイルに徹するとか。あの足腰と身体のバランスがあればできるでしょ? みたいな。
「ガルシアvsサーマン感想!! 才能の塊キース・サーマンがパワーでダニー・ガルシアを置き去りにする」
もしくは、開き直って至近距離でゴンゴン打ち合うのも悪くない?
くっついて打ち合えば、カウンターを被弾する危険性も減るのか?
でも、そうすると得意のカウンターが機能しにくくなる?
などなど。
「井上拓真は軽量級のキース・サーマン襲名ってことでいいよな? ペッチ・CPフレッシュマートに判定勝利で初戴冠」
まあでも、アレだよね。
ファーラン・サックリンやフロリアン・サルダールにも勝ってるし、普通にすごいですよね井上拓真。
どうしても兄貴と比較されるし、微妙にスタイルも似通ってはいるけど、まったく別の選手として観るべきかなと。
今回もキャリア9戦目で久高寛之に3-0で勝利したわけで、世界戦へのステップアップとしては文句なしですわ。
ラスト10Rの打ち合いでクリンチに逃げなかったのがすばらしいとか、闘志を感じたとかって話はまあ、どうでもいいや。
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