武尊vsロッタン現地観戦。武尊の“終わり”を明確に感じたよ。ロッタンが絶好調だったとはいえ武尊がああいう負け方をするとは。やっぱりK-1に長く居すぎたよな【2025.3.23 ONE172感想】

2025年3月23日にさいたまスーパーアリーナで開催されたONE172を現地観戦してきた。
お目当てはもちろんメインの武尊vsロッタン・ジットムアンノン戦。
本来2024年1月のONE165で対戦予定だった両者だが、ロッタンの負傷により延期に。今回ようやく実現したわけだが。
結果はまさかの1RKOでロッタンが勝利。
【ONE】武尊 念願のロッタンとの大一番で衝撃1RKO負け…左フック被弾でわずか80秒殺で敗れる(スポニチ)https://t.co/BJ3BdMD6Ke
— 毎日新聞 (@mainichi) March 23, 2025
日本勢が大活躍だった今大会、残念ながらラストを飾ることはできなかった。
楽しみにしていたONE172。でも花粉症が酷すぎて観戦に集中しきれず笑
ONE165での武尊vsスーパーレック戦を現地観戦したのは下記の通り。
武尊vsスーパーレック戦現地観戦。いい試合だったけど内容は完敗かな。K-1以外のリングで1勝2敗、トップ選手に2敗は結構重い気がする
その際、興行自体が(僕の中では)よかったこともあり今回も楽しみにしていた。
だが残念ながらあまり集中できなかったことをお伝えする。
理由は花粉症が酷すぎたから。
僕は重度の花粉症持ちなのだが、今年は輪をかけて酷い。
特に先週から今週がヤバく、午後→夜にかけてどんどん症状が悪化する。
この日も試合が進むにつれてくしゃみと鼻水が止まらなくなり、メインの6試合がスタートした頃にはティッシュの消費がとんでもないことに……。
(飲食物持ち込み禁止を知らずに)入口でペットボトルを没収されたこともあり、とにかく絶不調のまま武尊vsロッタン戦を迎えている笑
若松佑弥、野杁正明の勝利で会場が爆発する中、僕は無表情でリングを眺めていた笑
吉成名高vsラック、KANAvsペッディージャー、野杁正明vsタワンチャイ。全身狂気の吉成さん、“ONE仕様”に作り上げたKANAと野杁。タワンチャイにKO勝ちは本当にすげえ
明確に武尊の“終わり”を感じた。前回のタン・ジン戦もあまりよくなかったけど
というわけでメインイベント(武尊vsロッタン戦)の感想を。
鼻水がズルズルでボーっとしていたのだが、その中で思ったことを言っていく。
まず多くの方と同様、武尊の“終わり”を明確に感じた。
もともとK-1離脱後のパフォーマンスはいまいちで、前回のタン・ジン戦などは強さそのものが目減りしていた印象。
武尊vsタン・ジン。武尊反応遅くなったか? 試合開始すぐに「これは勝ちそうだな」と思ったらダウン食らった。本人的には「下に集中しすぎた」らしいけど
反応の遅さや動きのぎこちなさ等の目に見える部分だけでなく。
うまく言語化できないのだが、数年前に比べて何かが違う。
マジな話、この出来ではロッタンに勝つのは相当難しい。
ロッタンのKO率の低さ、武尊のタフさを考えればKO負けはないと思うが、厳しい試合になるのは間違いなさそう。
だが、あの負け方は僕の想定をさらに超えていた。
武尊が最後にKO負けを喫したのは約12年前、しかもドクターストップによるTKOとのこと。
つまり純粋に倒されてのKO負けは今回が初となる。
那須川天心戦でカウンターをもらった際もすぐに立ち上がって何ごともなかったようにファイトを継続した。
前回のタン・ジン戦のダウン直後も明確に動きが落ちた感じはなかった。
ところが今回は……。
まさかKO負けとは。耐久力と馬力に依存したファイトが崩れつつある?
スローを確認すると、相打ち気味の左で下がらされる→追撃の左ですっ飛ばされている。
しかも膝をついたまましばらく動けず、ロープを掴もうと手を伸ばすも距離が合わない。
タン・ジン戦以上に効かされていたのは明らかで、確かにあのストップは適切だった。
打たれながら打つ。
蹴らせてから蹴る。
まっすぐ出てまっすぐ下がる。
自分がぶっ壊れる前に相手を破壊する。
これまで耐久力と馬力に依存したファイトで勝ち抜いてきた武尊だが、その耐久力が目減りしたことで勝ちパターンが崩れつつある。
激闘の代償?
加齢による運動能力の低下?
要因は様々あると思うが、今回の負け方は(ロッタンの絶好調さを差し引いても)致命的だったのではないか。
入場の時点で「武尊負けるかも?」って思ったよ。ガチガチに入れ込む武尊とマイペースなロッタン
そして、実を言うと入場の時点で「武尊負けるかも?」と思ったことを告白する。
登場した瞬間から気合い十分の武尊。
この段階ではそこまででもない、多少固いかな? 程度だったのだが……。
リングインしようとしてボディチェックに呼び戻される。
2024年1月のスーパーレック戦でもそうだったが、武尊はこのリングインまでの流れがしっくりきていない印象。
K-1時代とルーティンが変わったことで微妙にリズムが崩れているのではないか。
もともとこの選手は完璧主義な性格(らしい)。
入場からリングインまでの流れも毎回同じでないと納得いかない部分はありそうである。
武尊vsスーパーレック戦が無料公開されたので視聴してみた。思った以上に武尊の完敗ですね。この階級で最強ではないと本人が認めちゃったのも残念
逆にロッタンはめちゃくちゃリラックスしていた。
花道を豪快に蛇行して観客とタッチ、たっぷり時間をかけてリングサイドにたどり着く。
さらにリングイン直前に婚約者? 恋人? とハグ。スタッフに急かされてもまったく意に介さない。
で、極めつけは選手紹介である。
名前を呼ばれて拳を突き出す武尊に対し、ロッタンは背を向けたままセコンドと言葉を交わす。
入場時からガッチガチに入れ込む&ルーティンがうまくいかずにリズムを崩された武尊。
ずーっとマイペースで注意を受けても気にしない、会場の空気を心から試合を楽しむロッタン。
僕は以前から「パッと見の印象は案外バカにできない」と申し上げているが、今回もそれに近いものがあった。
カウント8まで休むはずがレフェリーにストップされたりと噛み合わないまま終わってしまった。
那須川天心vsジェルウィン・アシロ。アシロが強かった&遠間からすっ飛んでくる剛腕との相性もよくない? 天心の調子も悪かったかもね
武尊はK-1に長く居すぎたよな。ここから巻き返すのは相当難しそう
「明確に武尊の終わりを感じた」
「この負け方は想定を超えていた」
と申し上げたが、実際に本人がどういう結論を出すかはわからない。
コメントを聞くかぎり納得のいく最後ではない感じもする。
ただ、個人的にここから巻き返すのは相当難しいと思っている。
今さら「コツコツ戦績を積み上げて~、再びタイトルマッチの機会を~」という立場でもない。
かと言って、スーパーレックやロッタンといったトップ級に勝つのは厳しい。
チャトリのおっさんは再戦ビジネスに乗り気のようだが、これだけのスター選手が客寄せとして便利使いされるのはどうなのよ? と。
何度か申し上げている通り武尊はK-1に長く居すぎたと思う。
この人のガチの全盛期は恐らく2019年あたりまで。
レオナ・ペタスをKOした2021年3月が最後の力を振り絞った試合だったと想像する。
それ以降は運動能力の低下に加えて微妙に異なるルールに適応しきれず。相手のレベルが上がったことで苦戦が続いている。
武尊vsレオナ・ペタス感想。武尊の主人公属性がすべての予想をひっくり返す。K-1のすごさと未成熟さが絶妙なバランスで噛み合った
UFCにはなれなかった新生K-1。もしK-1が最高峰の舞台になっていれば…
いや、難しいですよね。
K-1に長く居すぎたと言ってもその間本人は他流試合をずーっと訴えてきたわけで。
「那須川天心戦をやらずに直でONEに参戦していれば」とも思うが、武尊にとって天心戦は何よりも重要な位置付けだった。
もっと言うと、天心の存在がなければK-1は今も鎖国を続けていたかもしれない。
格闘技ファンは今度から「那須川天心と武尊の試合あったじゃん」と言える。THE MATCHにより天心と武尊はジャンルを超えたスターに。でもフジテレビの判断は正しかったよ
ガチガチの独占契約は決して悪いことではない。
実際にUFCはそれで成功しているし、新生K-1はもともとUFCと同じピラミッド構造を作ろうとしていた。
ただ、それをやるなら競合他社をすべて駆逐しなくてはならない。
圧倒的な財力とトップのカリスマ性、手腕でMMA界の1強に上り詰めたUFCに対し、K-1は国内外の団体をまとめるまでには至らず。ウダウダと内輪もめを繰り返しているうちにONEの札束ビンタで有力選手が次々移籍していった。
仮にK-1が誰もが目指す最高峰の舞台になっていれば……。
武尊も絶対王者として自分のルール、開催地、タイミングで最強を証明するリングに上がれたはず。
それこそ今回のONE172のように日本のトップが勢揃いする大会をK-1主導でやれていた可能性もあったのではないか。
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