グヴォジクがスティーブンソンをKO! うわぁ…、とんでもないもん観たわ。世代交代の大激戦だったな。どっちもすげえ【結果・感想】
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2018年12月1日(日本時間2日)、カナダ・ケベック州で行われたWBC世界L・ヘビー級タイトルマッチ。
同級正規王者アドニス・スティーブンソンvs暫定王者アレクサンドル・グヴォジクの一戦は、11R2分49秒TKOでグヴォジクの勝利。戦績を16勝全勝に延ばすとともに、見事王座統一を果たした試合である。
序盤から絶え間ないフットワークでリングを動き回るグヴォジク。
対するスティーブンソンは多彩な右で距離を測り、必殺の左を打ち込むタイミングを探す。
両者ともに一歩も引かない一進一退の攻防が続く。
ところが、3R開始直後にグヴォジクの右がカウンターでヒット。
スティーブンソンが崩れるようにダウンを喫する。
スリップと判定されたが、ダメージを抱えたスティーブンソンの動きが落ちる。
それ以降、徐々にグヴォジクがペースを掴み、優勢に試合を進めていく。
だが、スティーブンソンもボディを中心に反撃を見せ、完全には流れを渡さない。
10Rには左フックをヒットしてグヴォジクをグラつかせるなど、随所にベテランの意地を見せる。
迎えた11R。
疲労困憊で完全に足が止まったスティーブンソンに対し、グヴォジクはここぞとばかりにペースアップ。
打ち終わりに力強い連打を浴びせ、スティーブンソンをコーナーに追い詰める。
ダメージと疲労によって手が出ないスティーブンソンは、さらに追撃を浴びたところでついにダウン。
それを見たレフェリーが両者の間に入り試合をストップ。この瞬間、グヴォジクの王座統一が決定した。
「ベテルビエフvsグヴォジクとかいう地球が割れるかもしれない統一戦。退路を断った爆腕と重量級の拳四朗楽しみやね」
スティーブンソンの容体が安定に向かったようで一安心。ようやく試合の感想に移れる……
アドニス・スティーブンソンvsアレクサンドル・グヴォジク。
先日も申し上げたように、この試合はヤバい。
もしかしたら、ヘビー級の無敗対決よりもいい試合になるかも。
激戦区のL・ヘビー級での超注目試合。
もうね。観ないわけにはいきませんよ。
そんな感じで、デオンティ・ワイルダーvsタイソン・フューリー戦と並び、個人的にめちゃくちゃ楽しみにしていたこの一戦。
「ワイルダーvsフューリードローww ワイルダーのパンチって何で当たんの? フューリーは2度のダウンから立ち上がる」
ただ、KO負けを喫したアドニス・スティーブンソンが危篤状態に陥ったとのこと。
病院に搬送され、集中治療室に直行。予断を許さない状況が続いているという話で、とてもじゃないが試合の感想を語る気にはならず。
それが今朝になって容体が安定に向かっている旨の情報を見て、ようやく僕の気分もそっち側に至った次第である。
うん。
とりあえずは一安心? でいいのかな?
現役続行か引退かはともかく、日常生活に支障がないくらいに回復してもらえれば幸いですね。
お互いが持ち味を発揮し、若干スティーブンソンが上回る序盤
具体的な試合についてだが、全体を通して「スティーブンソンが疲れたな」と。
まず、序盤の展開は「なるほど」という感じ。
多彩な右で距離を測り、タイミングを見て左を打ち込むスティーブンソン。
対するグヴォジクはスティーブンソンの右を左で打ち落とし、左右に動きながら打ち終わりを狙う。
試合前にだいたいこんな差し合いになるかなぁとイメージしていたのと近い立ち上がりだった(気がする)。
「スティーブンソンvsグヴォジク!! ま〜たおもしろそうな試合を組みやがってw」
そして、序盤の攻防でリードした(ように見えた)のはスティーブンソンの方。
小刻みな右でグヴォジクとの間合いを調整し、大きく踏み込んで必殺の左を打ち込む。
グヴォジクはこの左をバックステップでさばき、パンチの戻り際に合わせて左足をスティーブンソンの外側に。
そのまま距離を詰めてリターンの右を返すのだが、スティーブンソンはその右にも素早く反応する。バックステップでさっと距離をとり、グヴォジクのカウンターをスレスレで避ける。
グヴォジクは打ち終わりを狙って間合いを詰めたいのだが、スティーブンソンは鋭いバックステップによって距離をリセットしてしまう。
そのつどリング中央で対峙させられ、ガードのど真ん中を突き抜ける左への対応に追われる。
リードの差し合い。
足場の奪い合い。
絶え間ないアングルの調整。
両者が自分の持ち味を発揮し、各局面でほんの少しスティーブンソンが上回っているイメージ。
幻のダウンでスティーブンソンが失速。足が動かず、グヴォジクにペースを奪われる
そして問題の3R。
開始直後にリング中央で両者が激しく交錯。
次の瞬間、スティーブンソンが尻餅をつくように倒れる。
「おや? 何があった?」と思ったら、レフェリーがスリップを宣告。
遠目でよくわからなかったが、どうやらパンチによるダウンではないらしい。
「エロール・スペンスvsマイキー・ガルシア本当に決まっちゃった。勇敢なのか無謀なのか」
だが、そこからスティーブンソンの動きが明らかに鈍る。
必殺の左が伸びず、バックステップのレンジも短い。
グヴォジクのフットワークに置いてきぼりを食うシーンが目立ち、打ち終わりのリターンにも一瞬対応が遅れる。
ん?
これはアレか?
さっそく疲労がきたのか?
と思っていたのだが、ラウンド間のスローを観たら完全にダウンじゃねえかww
そこにはグヴォジクの右フックをモロにアゴに食い、豪快に崩れ落ちるスティーブンソンの姿が……。
おおう……。
こんなもらい方したら、そりゃダメージが残るでしょ。
あそこからガクンと落ちたのもそのせいか。
「ヒルベルト・ラミレスvsカーペンシー感想。ラミレスはこの階級でも活躍できる?」
ボディに活路を見出すスティーブンソン。この経験値は半端じゃねえッス
それ以降、4、5Rとグヴォジクのペースで試合が進む。
スティーブンソンも懸命に腕を振るが、上半身の動きに足が追いつかない。
ところが5Rの終了間際。
スティーブンソンの左がグヴォジクのボディに突き刺さる。
これまで顔面に集中していたところに、いきなりボディへの左。
表情には出さないが、一瞬身体をくの字に折ったグヴォジクの動きが止まる。
「ドネアvsバーネット感想。ロマンを捨てて実を取ったドネアと背中痛で棄権のバーネット。ここからだったのに」
6Rに入ると、スティーブンソンがボディ中心の攻めに切り替える。
外側からの右ボディでグヴォジクのサイドへの動きを制限し、正面に立った瞬間を狙って左のボディストレートを突き刺す。
微妙にフットワークが鈍り、明らかに嫌がるそぶりを見せるグヴォジク。
いや、すげえなスティーブンソン。
疲労とダメージで足が動かないのに、ボディで活路を開いて無理やり流れを引き戻しやがった。
やっぱり防衛9度の経験値は半端じゃないということか。
スティーブンソンはダメージと疲労の影響でできることがない。真っ向勝負を挑み、グヴォジクの連打に撃沈する
そして7R。
このラウンドからスティーブンソンはガードを上げて距離を詰め、相打ち覚悟のKO狙いで左を振るう。
残り少ない体力を考えると、グヴォジクの足に追いつくのは難しい。このまま中間距離で勝負するのは不利という判断か。
ちなみにだが、スティーブンソンは前回のバドゥ・ジャック戦でもこの辺りのラウンドから打ち合いを挑み、何とかドローにまで持ち込んでいる。
「バドゥ・ジャックvsスティーブンソン。いい試合過ぎて笑いが止まらんww どっちも出し切った消耗戦」
だが、結果的にはこれが失敗だった感が強い。
ブロックの上を打たせながらの前進では、なかなかグヴォジクのフットワークには追いつけない。
自慢の左は空転させられ、サイドに回られガードの外側から連打を浴びる苦しい展開。
10Rには意地の1発を当ててグヴォジクをロープにふっ飛ばしたが、反撃もそこまで。
疲労とダメージで動きが止まった11Rにつるべ打ちにあい、壮絶ダウンで万事休す。
と言っても、足が動かないスティーブンソンにできることはアレしかなく、どちらにしても厳しい状況だった。
サイドに逃げるグヴォジクに対して何度も身体をひねって左を打ち込んでいたし、体力の消費は明らかにスティーブンソンの方が激しい。
10Rに左を当てた際、追撃で仕留めきれなかったのが限界を超えていた何よりの証拠かなぁと。
加齢による体力の低下か、パンチによるダメージか。
恐らく両方だと思うが、序盤から中盤にかけての失速がスティーブンソンにとってはあまりにも痛かった。
まあでも、こういうのが世代交代マッチなのかもしれないですね。
よーいドンでスタートして、徐々に体力差が開いて勝負が決するという。
スティーブンソンが負けたのは残念だけど、グヴォジクのすごさもたっぷり観られたので僕は満足かな。
以前の記事で
「グヴォジクは重量級の拳四朗」
「拳四朗は和製ロマチェンコを目指せ」
などと喚いたが、それも何となく伝わったかな? などと思ったり。
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